問題児たちが異世界から来るそうですよ? ━魔王を名乗る男━   作:針鼠

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九話

 アンダーウッド地下大空洞、大樹の地下水門。

 さすがは水の都と呼ばれるだけあって水門も立派なものだった。興味深そうに水門を見上げていた信長の視線を移動する。

 

「はい、終わり」

 

 大きな木造の水門を前に流れる大河。飛び石のように突き出た岩の一つに嘲笑を浮かべながら降り立つペスト。かつての魔王少女は斑模様のワンピースではなく藍色と白のメイド服を着こなし羽のような軽い身のこなしで岩場へ足を下ろした。

 

「ま、まだよ! ディーン!」

 

 そんな彼女と対峙する飛鳥が怒鳴るように叫んだ。ついさっき小突かれた後頭部を擦りながら、大河に足の一部を沈めている従僕の巨兵に指示を与える。ディーンは主人の命に従って敵を討ち果たすべく拳を振る。神珍鉄という特殊な素材で生み出されたディーンの腕がみるみる伸びる。

 熱した鉄がドロドロになったところこそ見たことはあるが、伸縮する鉄など聞いたこともない。信長も初めて見たときは大層驚いたが、この繰り返される光景は見慣れた。

 ペストは僅かな風でディーンの腕を逸らし、伸びきった腕を掻い潜って飛鳥に一気に接近。戸惑う彼女を、今度は強めに背中を押して大河に突き落とした。激しい水飛沫をあげて飛鳥は水に落ちた。

 

 彼女達がこうして戦っているのにはもちろん理由がある。

 事は会議の後、城へ向かう攻略組と防衛組の振り分けを話し合うときに起きた。飛鳥が何よりも先に攻略組へ立候補したのだ。それを十六夜が却下した。

 《ペルセウス》、《グリムグリモワール・ハーメルン》、信長達《ノーネーム》にとって大一番となったどちらのゲームのときも飛鳥は最前線から意図的に外されていた。十六夜はそれを率直に力不足だと断じ、彼女はそれを認めた上で今回だけは退かなかった。友人である耀を救いたい。レティシアを救いたいという強い意志がある。それとおそらく、自分がコミュニティの足手まといではないとやはり心の奥底では認められないのだ。魔王であるペストを下したことも彼女の自信の一つとなったのだろう。だから十六夜はあえてペストと飛鳥を戦わせた。

 結果はこれだ。まるで手も足も出ず飛鳥は水に落とされた。その前も含めればすでに五度以上彼女は殺されている。

 

「意地悪いよねぇ、十六夜って」

 

 岩場に座り込んで観戦する信長は言う。最初から結果はわかりきっていた。

 ディーンはたしかにペストの死の風を防ぐ鋼鉄の体を持っている。伸縮自在の腕。意外と動きも素早い。しかしそれを操る飛鳥は所詮ただの女の子だ。ならば自ずと敵は術者である彼女を狙う。

 飛鳥に耀のような身体能力は無い。かといって戦い慣れていない彼女では戦術の組立もろくに出来ない。

 

「あのお嬢様は口だけじゃ聞かない。ましてや他人の言葉で納得出来るようなタイプじゃないだろ? …………ってもあの斑ロリめ」

 

 ガシガシと苛立たしげに後頭部を搔く彼はバケツを手にしている。何をする気かは知らないが彼もよくよく面倒見が良い。見習うつもりはないが感心する信長だった。

 

 

 

 

 

 

 《六本傷》現頭首代行となっているキャロロ(東区喫茶店の猫ウェイトレス)の案内で辿り着いたのは葉翠の間と呼ばれる大浴場だった。立ち込める湯気の向こうには樹の幹の一部をそのままくり抜いた湯殿。それはまさに大自然と一体になった浴室となっていた。

 

「わぁ」

 

 思わず感嘆の声を漏らす飛鳥。早速堪能したいところではあるのだが、

 

「こら、逃げない」

 

 飛鳥は右手を伸ばして逃れようとする小さな頭を掴む。振り向いたペストは不機嫌そうにこちらを見上げた。

 

「お風呂なんて別に入らなくても平気よ」

 

「そりゃ黒死病と恐れられた貴女が風邪をひこうものなら笑い話でしょうけど、二人揃って十六夜君に洗われるのは笑い話にならないわ」

 

 引きつった顔の飛鳥。ペストも同様にぞっとした様子だった。

 彼の言葉は『俺に無理矢理洗われるか仲良く二人で風呂に入るか』だ。どちらを選ぶかなど考えるまでもない。

 たとえ二人であっても十六夜に逆らえるとは二人共思えなかった。

 

「この際だから隅から隅まで洗ってあげるわ。十六夜君の話じゃ貴女の時代はお風呂が普及していなかったのでしょう?」

 

「………………」

 

 嫌がるペストを無理矢理座らせて頭を洗っていると入口の方から声が聞こえてくる。

 

「YES! とっても素敵なのですよ」

 

 この声は黒ウサギ。それと湯気を奥から現れたもう一人はサラだった。

 二人を見て思わず飛鳥の表情が変わった。童顔の割に体のあちこちがけしらんことになっている黒ウサギに比べればサラの方は少し胸のボリュームが及ばないが、長身に合ったモデルのようなスレンダーさがあった。

 

「スタイルはバランスよ!」

 

「それわざわざ口に出している時点で負けてることにならない?」

 

 飛鳥とペストは互いの己の体を見下ろして、深々とため息を吐き出した。

 以前の出来事もありなんとなく事情を察してしまい、あわあわとする黒ウサギ。サラの方は不思議そうに首を傾げていた。

 

「いやいや、飛鳥ちゃんはこれからもっと成長するから大丈夫だよ」

 

「そうかしら。……いえ、別に気にしていないけれど」

 

「そうです飛鳥さん! 飛鳥さんは私なんかよりずっと素敵な女性です!!」

 

「ペストちゃんだってサラちゃんみたいにはなれないだろうけど、それはそれで需要があるんだって白ちゃん言ってたよ。なんだっけ? 『ろりろり』してる」

 

「そうです! 白夜叉様もそう言って……ん?」

 

「え?」

 

「「「え?」」」

 

 女性陣の時間が止まった。

 

 おかしい。これは絶対おかしい。湯気の向こう、湯船に堂々と浸かっているのはどう見ても信長だ。ありえない。そんなわけがない。堂々と湯に浸かって頭にタオルを載っけてこちらをマジマジと見ているわけがない。

 一体何時から。いつの間に。いやいや、そんなことも関係ない。

 

「さ、サラ様ここが混浴だなんて聞いてませんよ!?」

 

「いや混浴じゃない」

 

「「「出て行けええええええええ!!!!」」」

 

 雷と黒い風と巨兵の拳が炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 大樹の根本から翼を持つ多くの幻獣達が空に飛び立つ。グリーの背に乗った十六夜とその隣には《龍角を持つ鷲獅子》議長たるサラも己の翼で空を飛んで古城を目指す。彼等が救出及びゲームクリア部隊である。その姿を信長は飛鳥と共に見送っていた。

 

「信長君、本当によかったの?」

 

 飛鳥の質問は黒ウサギやジンも抱いている疑問だった。昨夜チームを振り分ける際、十六夜は彼にだけどっちがいいかと彼自身に尋ねた。それはつまり信長ならばどちらに参加しても構わないという意味だった。それに飛鳥が悔しさを覚えなかったかといえば、もちろん嘘になる。

 しかし信長は大して考えることなくこう答えた。

 

 ――――僕は飛鳥ちゃん達と一緒にここを守るよ、と。

 

 ギリギリの戦いを、強敵との戦いを望む信長のことだ。てっきり皆ゲームクリアに向かうと思っていた。巨人族がすでに彼の敵になり得ないことはわかっている今、彼が満足する敵はあの龍ぐらいだろうから。

 

「上には十六夜とサラちゃん、それに耀ちゃんにジャックさんに、《六本傷》の頭首の人もいるんでしょ? 僕まで行ったら余剰戦力だよ」

 

 それならば巨人と龍が生み出す化け物、そして巨人を操る者と戦った方が面白そうだと信長は言う。飛鳥は少し疑わしげに信長の顔を見て、肩を竦めた。

 

「もし私が心配だからというふざけたことを言うようなら、今すぐディーンで古城まで投げ飛ばしていたところよ」

 

「心配なんてしないよ。僕は十六夜以上に飛鳥ちゃんを買ってるもん」

 

「あら、ありがとう。でもそれは何故?」

 

「飛鳥ちゃんは眩しいくらい真っ直ぐだから。弱さを受け止めて、敗北を知ってそれでも強くあろうと己を磨き続けることが出来るのは立派な才能だよ。凄く人間臭くて……憧れるよ」

 

 思っていたよりもまともな答えだったことに飛鳥は思わず目をしばたかせる。そうしてうろんげに流し見た。

 

「負けたことが無さそうな貴方はそんな才能必要ないのでしょうけど」

 

 あはははー、と笑って誤魔化す信長に蹴りをくれる飛鳥。その口元にようやく笑みが浮かんだ。昨夜の惨敗、そして今から始まる戦いに緊張で強張っていた表情が柔らかくなった。内心心配していた黒ウサギ達もそれを見て安心したようだ。

 その数分後、高原の向こうにいたはずの巨人の軍勢が陣営目の前に現れた。

 

 

 

 

 

 

 巨人達は唐突に目の前に現れた。それも以前のような濃霧を発生させての奇襲ではない。本当にいきなり、その場所に現れた。その出現の仕方に信長は覚えがある。例の少女も今のように突然現れて突然消えていた。やはり彼女もこの戦いに関わっているのだ。まさか大部隊をそのまま移動させられるとは驚きだが。

 

「やっぱりこのタイミングで狙ってきましたね」

 

「当然ね。戦力を分散させるこのタイミングは向こうにとって絶好の好機だもの」

 

「後は残った僕らの仕事ですね。――――ペスト!」

 

 ジンの呼びかけに応えて顕現したペスト。戦力が揃ったことを確認した信長がジンに問いかける。

 

「作戦は?」

 

「こちらの戦力を考えれば巨人達は大した脅威にはなりません。問題は奪われた《バロールの死眼》です」

 

 その光を浴びただけで死が確定する最悪のギフト。そんなものを発動させられてしまえばこちら側に抗う術はない。かつてアルゴールの石化を破った十六夜なら別だろうが、彼は現在空で戦っている。

 

「だからここはバロール退治の伝承をなぞろうかなって」

 

 ジンの視線を受けて黒ウサギが察する。

 

「もしかして黒ウサギの出番だったりします?」

 

 ジンが語るバロール退治の伝承とはその名の通り魔王バロールを退治した伝承である。伝承の中で開眼したバロールの死眼は《神槍・極光の御腕(ブリューナグ)》によって貫かれた。それを黒ウサギの《マハーバーラタの紙片》――――帝釈天の槍で再現しようというのだ。

 

「それならそこの男でも出来るんじゃないの?」

 

 ペストが指したのは信長。彼のギフトがどういうものなのかはわかっていないが、他人のギフトをそれなりの性能を残したままコピー出来る。以前の戦いで彼は黒ウサギの帝釈天の雷を再現していた。

 話題にあげられた本人は申し訳なさそうに笑う。

 

「《疑似神格(ヴァジュラ・)金剛杵(レプリカ)》は出来たんだけどさすがに《必勝の槍》までは無理だったんだよ」

 

 それはすでに実証済み。相変わらず出来ることとそうでないものの境界が曖昧なギフトだった。

 つまらなそうに鼻を鳴らすペスト。

 作戦が決まったことを確認して、次は段取り。引き続きジンが進行する。

 

「作戦の初期段階はペストと信長さんで巨人達を混乱させてもらって、飛鳥さんには撃ち漏らしがないようその少し後ろで確実に叩いてもらいます」

 

 飛鳥が頷き、信長がペストに気軽気に手を振る。ペストの方はフン、とそっぽ向いてしまった。

 

「黒ウサギは《アンダーウッド》の頂上で待機。上手く追い詰めて《バロールの死眼》が出てきたら帝釈天の神槍でトドメを刺す……で、どうかな?」

 

「最後の自信無さそうな顔が無ければ言うことなしだね」

 

「ま、無難な作戦ね」

 

 信長とペストの言葉にほっとするジン。

 

「じゃあ行こうかペストちゃん」

 

 腰の鞘から引き抜かれる長刀。それを見て顔をしかめるペスト。彼女にしてみれば自身を敗北させた武器だ。いい思い出であるはずがない。

 

「また一緒に戦えるなんて嬉しいよ」

 

「そう。巨人諸共倒れてくれて結構よ」

 

 つれないペストの台詞にも喜々とする信長。己の内側で熱が滾る。口元はにやけて仕方がない。戦うことが楽しくてしょうがない。

 だからこそ時々不安になる。こんなに幸せでいいのかと。いつまでもこんなに幸せでいいのかと。

 最近は余計な思考ばかりが混じる。こんなこと元いた世界では考えられない悩みだったから。

 

 

 

 

 

 

 巨人が次々と倒れていく。多くの幻獣、獣人達が己のコミュニティを守ろうと必死になっている。無論それもある――――が、それ以上に多くの敵を薙ぎ払うのは戦場の戦闘を進む信長とペストだった。

 ペストの風は一瞬で多数の巨人を無効化していく。信長の炎は一瞬で多数の巨人を灰燼に帰す。逃した敵は後ろの飛鳥とディーンが確実に叩き潰す。まさに一騎当千の働きに、《龍角を持つ鷲獅子》全体が活気づく。

 

「思い出すねペストちゃん。君と戦ったのは僕にとって最高の幸せだったよ!」

 

「ねえ喧嘩を売ってるの? おかげで私は殺されてるのよ」

 

 軽口を叩き合う間も二人共に手は緩めない。それになんだかんだと言いながら互いに死角になる敵をフォローする光景はまるで長年戦場を共にした戦友のようだ。かつて殺し合いを演じた仲とは思えない。

 思わず感心する飛鳥。不意に信長が振り向いた。

 

「飛鳥ちゃん後ろ」

 

 変わらない笑顔で、緊張感もなく告げられた言葉。故に振り向いたそこに巨人が突き出した槍が迫っていようとは思いもしなかった。

 

(せめてもっと慌てた感じで教えなさいよ!)

 

 逆恨みに等しいとわかっていながら思わずにはいられなかった。咄嗟に戦いの前にサラから手渡された紅玉を構えて、それが効果を発揮する前に槍は半ばから切断された。

 

「平気か飛鳥!」

 

「サラ、もう帰ってきたの?」

 

 上空から、攻略組として編成された部隊が次々と戦場に降り立つ。その中に十六夜とグリーの姿だけがなかった。

 飛鳥の言葉に思わず居心地悪そうな顔をするサラ。まさかゲームがクリアされたとは思えないので、何かアクシデントでも起きたのか。それでも十六夜が残っているなら充分か、とここまで考えながら信長は飛鳥から戦場の向こう側へ声を張り上げた。

 

「ありがとうフェイちゃん!」

 

 信長達同様、一騎当千の強さを見せるのは白銀の騎士。蛇腹剣、弓、槍、数多の武器を自在に切り替えて操る戦い方はどこか信長に似ているが、彼女の方がより洗練されているように思える。

 たった今飛鳥を救ったのは彼女の弓だった。

 

「本当に、化け物がうじゃうじゃと」

 

 巨人を片手間に倒しながら、フェイス・レスの強さに戦慄を覚えるペストは内心を隠すように毒づく。

 

「強いよねぇ、フェイちゃん。頼んだら戦ってくれないかな?」

 

 こんな状況でも平然としかねない信長を見て、『貴方もその一人』なのだとペストは心の中でぼやいた。むしろ彼の異常性こそが飛び抜けている。戦闘能力だけでいえば十六夜、黒ウサギ、白夜叉、フェイス・レス。彼女が知っているだけでも彼と同等以上の存在はこれだけいるが、彼の本当の怖ろしさはそこではない。

 戦いを、殺し合いを、純粋に楽しむ狂気じみた思考。己の命をまるで玩具のように扱って遊ぶその恐怖は、戦った者でなければ真に理解出来ないだろう。

 

 正気と狂気で揺らぐ者は多くいるが、信長の場合はすでに狂気に堕ちきっている。その上で平然としているのだ。それを化け物と呼ばずなんだというのか。

 

「待っていたわ、《黒死斑の御子》」

 

 ペストは思考を現実に戻す。敵本陣を切り抜けたのはペスト――――それと信長だ。

 眼前にはかつて巨人族が扱ったという《来寇の書》を広げたローブの女性の姿がある。手には別に黄金の竪琴も。女性――――アウラはペストを見上げて嘲笑を浮かべた。

 

「名無しの使いっ走りは楽しい?」

 

「ええ。少なくとも貴方達より不快ではないわ」

 

 アウラは一度信長を気にしたように目をやって、再びペストへ向き直る。

 

「《ハーメルンの笛吹き》から切り離されて、随分霊格が縮小してしまったようね。今の貴方は神霊には程遠い。もどかしいでしょうに。どう? もう一度私達の元へくれば相応しい器を用意してあげられるわ。貴方が保有する霊群は規格外といっていい。単身で最強種である神霊に成り上がれるほどに。望むなら、数人の部下を与えても。先立って渡したハーメルンの三流悪魔などではなく――――」

 

「――――黙れ」

 

 ペストの衝撃波が儀式を形成していた壁を突破してアウラに傷を与えた。彼女自身気付けないほど意外にも、彼女は怒っていた。

 

「アウラ、私は一つだけ貴方達に感謝していたわ。それは他でもない《ハーメルンの笛吹き》の魔書を提供してくれたこと。その一点に関していえば、私は借りも義理もあった。だから貴女の誘いに一考する価値があった」

 

 だけど、

 

「オマエはたった今それを捨てた。オマエ達にしてみればただの捨て駒でも《グリムグリモワール・ハーメルン》は私達の……()の全てを賭して旗揚げし、彼等が命を捧げたコミュニティよ」

 

 信長は傍らでそれを聞きながら彼女の指に嵌められた指輪を見る。本来彼女は《ハーメルンの笛吹き》とは関係ない。故にそれは彼女の器にしてみればあまりにも弱い。かつて神霊に迫った力は見るも無残なほど弱く成り果てた。

 それでもそれは彼女の願いだった。箱庭へ復活した彼女が隷属させられる条件として、どんな形でもいいからハーメルンの旗を残したかった。

 本当はそんな権限もなかったのにそれを許してくれたのは白夜叉、そして信長だった。

 

 ――――僕は君達(・・)に感謝してるんだ。《グリムグリモワール・ハーメルン》は僕が初めて恐怖を覚えるほど強い相手だった。一生忘れることはない。だからそれで君が少しでも強く在れるというのなら、僕は何も言わないよ。

 

 忘れないと言ってくれた。強かったと。こんな男に覚えていてもらいたかったわけではない。それでも、この旗に殉じて去った彼等を忘れないでいてくれる者がいるならば、自分がまだここで戦う意味はある。

 

 このときペストは気付かなかった。自分が小さく笑っていたことを。

 

「交渉は決裂かしら?」

 

「いいえ決別よ。後は殺し合うだけよ、古き魔法使い」

 

 ペストの言葉を合図にするように本陣を突き破って飛鳥やサラ達《龍角を持つ鷲獅子》の幻獣達が現れる。

 役者は揃う。戦いは佳境へと向かっていた。




閲覧及び、お気に入りが千人超えありがとうございました!!
ここまで伸びたのがにじファンから含めて初めてなのでもうどう驚けばいいのやらわかりません。なので腹芸を披露したいところですが残念。文章で腹芸はお見せ出来ないので変わらぬ作品をお楽しみいただければ幸いです。

>書いてて今更ですがこんなネガティブな信長君はミスったああああ!コンセプトがぶれぶれになってしまかねない魔王らしくない姿に残念です。私が。
まま、これがプロットを立てずに思いつきで文章打ってるツケが回ったというやつですかね。でも書き直しはしません!完結前に書き直すと完結出来ないジンクスあるので、これはもうこのままの信長君でいってもらいます。

>中盤のあれはサービスシーンです。本編にまるで関わってない(笑)
やっぱああいう馬鹿らしいのだと筆が進みますね。

飛鳥の言うとおり女の子はバランスさ!あ、でも大きい胸もいいよね!小さい胸もいいよね!(相変わらず可愛ければいいという真理です)

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