問題児たちが異世界から来るそうですよ? ━魔王を名乗る男━ 作:針鼠
「可愛い妹よ。大好きなお兄ちゃんを置いて行くなんて酷いぞ」
「誰が誰を大好きかもう一度言ってみなさい。この世のあらん限りの苦痛を与えて殺してやるわ」
ツン、とそっぽを向くペスト。彼女は本気で怒っているのだが、信長はそんな彼女の姿も可愛いなぁ、と狂ったことをぼやきながら隣の席に荷物を下ろす。
彼女達は双子だった。外見年齢が違うとかは言っちゃいけない。言えば身体中に黒い斑点を浮かべて倒れる犠牲者となるだろう。
ちなみに、双子であるからしてクラスは一緒。席も隣同士だったりする。ペストにとっては死にたくなるぐらい迷惑な心遣いだった。
「あら、おはよう御二人さん。相変わらず仲が悪いわね」
かけられた声にペストは顔は向けず、目だけでそちらを見る。立っていたのは予想通り、赤いリボンで髪を結わえた少女の名は久遠 飛鳥。信長やペストのクラスメートの女子生徒である。
ペスト達を見るなり上品に口元に手をやって微笑む彼女のスカートの丈は学校の規定よりずっと丈が長い。ペスト含め、多くの女子生徒はスカートの丈を学校が定めたそれより幾分短くしてしまう中、足首が隠れるほど長いスカートを履くのは校内でも彼女くらいだ。なんでも『男児に太ももを晒す格好なんて信じられない。恥ずかしくないの?』だそうだ。意外と初心なのである。
「おはよー飛鳥ちゃん。それに耀ちゃんも」
「……はよー」
ゴシゴシと眠たげな目を長い袖にすぼめた手で擦るのは同じくクラスメート、春日部 耀。こちらは飛鳥とは反対に細い足を惜しげも無く晒している。ただ一点おかしいのは、何故か上は男物の学ランを羽織っていること。この学ランについては追々明かされることだろう。
飛鳥は大あくびをする耀の寝癖を直してあげながら、ふと辺りを見回す。
「そういえば十六夜君は?」
「十六夜はねー、なんか暴走族に呼ばれてるからちょっと行ってくるって」
「そう……可哀想ね、その暴走族達」
「合掌」
飛鳥と耀は顔も名も知らぬ暴走族に手を合わせた。暴走族に単身クラスメートが呼び出しを受けたのにこの反応。つまりはあの少年はそれだけ出鱈目なのだ。心配するだけ無駄である。
それに暴走族にしても憐れみはしても同情はしない。普段人様に迷惑をかけているのだから、いつか天罰が落ちても自業自得だ。
「それはそうと、二年から私達のクラス、担任変わるらしいわよ」
あっさり話題を変えた飛鳥。
「なんでも去年のマンドラ先生、頭痛と胃潰瘍と不眠症、それに去年の学期終わりには鬱の気も出てたらしいわ。どうしてかしら?」
「心配だね」
「うんうん」
一同は神妙に唸る。
(どう考えても貴方達のせいでしょう)
そんな彼等の話を聞きながらペストは心の内で吐き捨てる。
去年、この学園に入学してきた信長達だったが、初日にして学園を半壊にするまでの大暴れ。その後もなにかイベントがあれば暴れ、無ければ企画し暴れ、結局いつでも暴れる。本人達は至って純粋に、自分達の欲求に従って動いているだけなので反省はしない。そりゃ胃に穴もあくだろう。
「今度お見舞い行こうか!」
「ナイスアイデアよ信長君」
「じゃあ元気になってもらえるようにサプライズ考えないとね」
やめておけ、と言ってやるほどペストはお人好しではない。担任……否、元担任のマンドラは特別嫌いではなかったが、別段好きだったわけでもない。彼がどうなろうと自分には関係が無い。
(南無)
まあ、心の中でそっと手ぐらいは合わせてやろう。欠伸を噛み殺しながらペストはそんなことを考える。
ガラリと教室の扉が開かれる。新しい担任のお出ましだ。いや、生贄の方が正しいかもしれない。
新しい生贄はウサ耳をへにょらせて教室に入ってきた。
あけましておめでとうございますー。今年もどぞどぞ、よろしくお願い致します。
>(ISあとがき読んでいただいた方は二度目の愚痴ですのですっ飛ばしていいですよ!)小売業なわたくしは年末二十五日から三日までまるで年を越したとは思えない労働っぷりで発狂しております。ようやく休みじゃ休みー!!しかし明日は仕事だぜいやっふぅぅぅぅぅ!!!!
>こちらの更新はご挨拶と生存報告を兼ねましてー。十一月からぷっつりですからねえ。いっそ構想してた問題児の別作品をサンプルで載っけてしまおうかとも思ってますが、まあそれは追々考えるとしましょう。
ちなみにこの学園おまけについては、特に終わりも考えていない本当に適当なペースです。
>さあ皆さん初夢見ましたか?私はなんか全力で走りながら焼きそばパンかっ食らってました。どんな夢で、一体何を意味しているのか!今年の私は如何に!?
改めまして、今年もどうぞよろしくお願いします。今年もより一層、皆様と私を含めましていい年になりますように!