FINAL FANTASY F   作:クロム・ウェルハーツ

1 / 6
プロローグ

「初めましてクポ。……“光の選者”」

 

 意識が覚醒する。

 目を開くと、頭に触覚が生えた白くフワフワな生き物が浮かんでいた。

 

「まずはモグの自己紹介をさせてもらうクポ。モグは情報共有有機生命体モーグリ族の“シャイン”クポ。“光の選者”である君のサポートをさせて貰うクポ。以後よろしくクポ!」

 

 辺りを見渡す。

 周りは何もない白い空間だった。

 

「ああ、君は同位体である君自身に送り込まれたもう一人の君クポ。そして、ここは君の心象世界。今は何もない空間だけど、君、そして世界の成長でここを君好みの世界に作り変えることができるクポ。詳しい話は然るべき時にするクポ。ああ、聞き忘れていたクポ。君の名前は?」

 

 饒舌に喋る白い生き物。その生き物の質問に、青年は少しの時間考え、口を開く。

 

「……ルクス」

「よろしく、ルクス。そして、ようこそ。この世界“ペルトゥル”は君を歓迎し、期待しているクポ。そして、モグは君がペルトゥルを救ってくれることを信じるクポ」

「ペルトゥルを……救う?」

「この世界、ペルトゥルは崩壊の危機に瀕しているクポ。そして、その危機を救うことができるのは光の選者、つまり“君たち”クポ」

「君たち?」

 

 ルクスの問いかけにシャインは頷く。

 

「光の選者は君だけじゃないクポ。過去から今まで何人もの光の選者が現れ、そしてペルトゥルを救おうと命を懸けたクポ。けど、彼らの命は摘み取られてしまった」

「誰に?」

「魔王に」

 

 シャインはルクスを見つめる。

 

「ここまで言えば、君も分かったと思う。モグの……いや、ペルトゥルの願いは魔王を倒し、この世界に平和と秩序を取り戻すことクポ。そのために、光の選者を召喚し彼ら、彼女らにモグたちの願いを託したクポ。けど、魔王は光の選者たちを悉く打ち破ったクポ」

「つまり、魔王は世界を救うために動いていた光の選者を倒し、世界を壊そうとしているということか。そして、私が呼ばれた理由はペルトゥルを救うためか?」

 

 シャインは深く頷く。

 

「ルクスのいう通りクポ。けど、世界を救うということをモグたちは光の選者に強制はしないクポ。ここでどう生きるかは君の自由。魔物を狩って只管に武器を作ることも街で色々な服を着ることも美味しいものを際限なく食べつくすことも君の自由クポ。ただ願わくば……」

 

 それまで、饒舌に話していたシャインが口籠る。

 

「願わくば、どうかこの世界を救って欲しいクポ」

 

 シャインの懇願。それを最後に、ルクスの目の前が暗くなった。

 

 +++

 

 視界が黒に染められたのは一瞬。すぐに目を開くと、目の前には青空が広がっていた。そして、背中にはしっかりとした感触がある。

 

 私は倒れているのか。

 

 ルクスはそう結論付けると立ち上がる。と、彼の顔に薄緑色の光が当たった。ルクスはその方向へと顔を向ける。

 彼の目の前には黄緑色をした大きなクリスタルがあった。『とても綺麗だ』と月並みな感想を覚えるルクスはクリスタルを見つめる。

 

「光の選者か?」

 

 突然、後ろからルクスへと声が掛けられた。聞こえてきた声に反応し、ルクスは振り向くと、一人の女性がいる光景が目に入る。

 

「これはまた軟弱そうな光の選者だな。面構えに覇気がない」

 

 長く豊かな金髪を揺らし、女性はルクスを見つめる。

 

「着いて来い」

 

 そう言って、女性はルクスの返事を待たずに足早に歩き始める。

 

「おい! 私は着いて来いと言ったハズだ。同じことを二度も言わせるな!」

 

 振り返り、立ち呆けているルクスを一瞥した後に女性は苛立った様子で自分の後を追うように言う。慌ててルクスは女性の後を追った。

 二人は無言だった。ルクスへと振り返ることもなく街中を進んで行く女性。

 今、彼女に話しかけても満足に話しをすることもしてくれないだろう。

 ルクスはそう結論付け頭を振る。視線を前に戻すと、彼女の金色の髪が揺れているのが見えた。

 

「……綺麗だ」

 

 そう呟くルクスの声に反応した彼女はまだ振り返ることはないものの口を開く。

 

「光の選者にとってはそう見えるだろうな。ここ、プルヴァマのカズスはこの大陸で一番栄えている所だ。観光名所としても名高かった」

 

 ルクスは彼女の言葉に疑問を覚えた。

 

「ここが観光名所だったというのは、今は昔のことだがな。一歩外に出れば魔物がわんさか湧いて出る。……あの日以来」

 

 彼女の声が低くなる。溢れ出しそうな憎悪をプライドが押さえつけている。そんな声音をした彼女はある建物の前で立ち止まる。

 

「ここはカズスのオーナーの家だ。詳しい説明はその人から聞け」

 

 そう言って彼女はルクスの前から立ち去る。

 

「ありがとう!」

 

 ルクスの声は聞こえなかったのか彼女は振り返ることもなく歩いて行った。

 彼女を見送ったルクスは建物に向き直り、ドアにゆっくりと手を掛ける。

 これから、彼の冒険は始まったのだ。

 




Tips

FINAL FANTASY F
⇒本作のタイトル。略称はFFF。ジャンルとしては、F2PのMMOARPG。

ルクス
⇒本作主人公。自分で性別、容姿や名前は自由に設定できる。デフォルトはルクスという男性主人公で白髪のM字バングで身長180cmの優しい風貌と設定している。ただ、無口であることは全てに置いて共通しているが、プレイヤーの動かし方によっては喋らないが、動きが面白い人物になる。
ちなみに、女性主人公の場合のデフォルトはルシアという白髪のナチュラルストレートミディアムの髪型で身長165cmの優しい顔付きである。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。