ACE COMBAT Shining Merteor   作:vangence

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児戯

 ―――― 機動六課 モニタールーム ――――

 

 なのは達機動六課のメンバーはユウスケとヴィムの模擬戦を観戦するためモニタールームに集まっていた。

各々椅子に座って模擬戦が始まるまで談笑をしてい時間を潰していた。

なのはが管制室に観戦用サーチャーの配置確認を済ませると、ティアナ達と話していたスバルが質問を飛ばしてきた。

 

「あの~なのはさん」

「ん、なにかな?」

「どうしてユウスケさん達は外の訓練場で模擬戦をしないんですか?」

「それは模擬戦が始まってからのお楽しみだよ。そろそろ始まるんじゃないかな?」

 

時計を見るともうじき開始時刻だ。するとはやてがモニターの前に立ち何やら言い始めた。

 

「それじゃみんな、ユウスケ二佐とサヴァリッシュ二佐の模擬戦始めるよ。リイン映像お願い」

「はいです!」

 

はやての補佐官兼ユニゾンデバイス・リーンフォースⅡことリインがコンソールを操作してモニターに映像を出力させる。

皆がモニターに目をやるとそこには一面広大な海原が映し出された。

 

「あれ、お二人は?」

 

ティアナがユウスケ達の戦闘法を知らない者達の気持ちを代弁する。

そこには二人の姿はなかったからだ。

 

「準備に手間取ってるとか?」

 

機動六課の輸送ヘリJF704式のパイロット・ヴァイスが言う

 

「もうじき来るはずなんやけど・・・」

 

するとエリオが何かに反応する。

 

「画面奥・・・向こうから何かきてます」

「え? どこに」

 

ヴァイスがモニターに目を向けると確かに黒い点のような物が映っているように見える。

するとスピーカーから地鳴りのような低い音が鳴り出した。

音が大きくなるにつれ黒い点が次第に大きくなっていく。

 

「―――― きたよ」

 

なのはがそう呟く。

に黒い物体は次第に輪郭を表してゆく。

 

「なんですか・・・これ」

 

キャロが呆けたように言う。

灰色のガジェット・ドローンⅡ型の様なフォルム。

しかし、あれとは何か違う。

機体の先端についた金色の部分や機体後部の魔力光を放つエンジン等、違いは明らかだ。

はやてが時は満ちたと言わんばかりに説明を始める。

 

「これは機動六課の新しいチーム、ペレグリン隊の保有戦闘機 ―――― F― 22 ラプターや」

「ラプ・・・ター?」

 

画面半分に別の映像が映る。

こちらはラプターというのとはずいぶん形状が異なり、黒いカラーリングに後部から前に向かって主翼の様な物が突き出している。

一目見たとき、凶悪な印象を受ける機体。

 

「そしてもう一つの機 ――― Su― 47 ベルクート」

 

すると画面の端に新しいウィンドウが2つ現れる。

ガスマスクのような物とヘルメットを付けた人が映し出される。

同時にスピーカーから声が流れる。

 

『こちらユウスケ・カザマ二佐。以降コールサイン、ペレグリン1。戦闘空域に到着』

『こちらヴィム・サヴァリッシュ二佐。以降コールサイン、ペレグリン2。』

「もしかして八神司令・・・二人が?」

「せや、あの機体に乗ってる」

 

はやてが付けていたインカムに何か呟く。

すると音声が流れ出す。

 

『それでは、ペレグリン1、ペレグリン2模擬戦闘開始位置についてください』

 

 

 

 

『―――― 状況開始を開始します』

 

 

 

 

―――― ミッドチルダ海上 ――――

 

 

「おい、ヴィム」

『なんだ?』

 

 

「今回は・・・勝たせてもらうぜ」

 

 

『―――― そういうことは堂々と勝負してきてから言え』

「こ、これも勝負だしね! 卑怯、汚いも戦略のうちだって!」

 

俺は戦闘が始まってからずっと戦闘空域の限界近くの地上すれすれを極静音飛行して索敵を続けていた。

これは俺の機体の設計思想からの十八番戦術、『先に見つけて、先に撃つ(ファーストルック ファーストショット)』から成る。

F― 22の高レベルのステルス性能を活用した戦術だ。

 

『さすがはエースパイロット。やることがえげつない』

「褒め言葉ってことにしとくよ」

 

使う機体の性能を最大限に引き出す、これが俺の戦闘スタイル。

ディスプレイに反応がきた。

IFFの反応は赤・・・(エネミー)の色を示しており、その下にはペレグリン2と連ねられていた。

操縦桿を緩やかに傾け少しずつ速度を上げる。

徐々に速度が乗っていき敵との距離を詰める。

敵機が射程範囲内に入ったことを確認する。

武器を選択、中距離対空ミサイル AIM― 120(アムラーム)を選択。

大型の円形レイクテルが表示され、敵機の方角に向ける。

機体先端に付けられたAN/APG― 77レーダーから攻撃管制用レーダーを照射、敵機をロックオンする。

この時点でヴィムに接近が悟られるが気にせずミサイルを放つ。

アームから勢いよくAIM― 120が飛び去ってゆく。

白い尾を引きながらヴィムの機体に食らいつこうと襲いかかる。

敵機が回避行動をとる。

しかし、レーダー誘導によって敵機に引き寄せられるかのように機動を変化させる。

そう簡単に振り切れねぇっての・・・あり?

計器類を確認すると、敵機の機首がこちらを向いていることに気付く。

さすが・・・当たる前にこっちを落とすってことね。

AIM― 120でレーダー照射によるロックオンを行う際に、敵機をロックオンし続けるためにレーダー照射部分を搭載している機首を相手に向け続ける必要がある。

つまり狙っている最中はこちらは回避行動を取ることができない。

それを利用してこちらにヘッドオンしてきたのだ。

このままロックオンし続ければヴィムからの集中砲火を受けることは明らかだ。

そのまま機体を加速させつつ武装をAIM― 9に変更する。

赤外線誘導式のレーダーを感知してコックピット中にアラームが鳴り響く。

狙われていると分かりつつも速度はいっこうに下げない。

敵機が射程にはいるとAIM― 9を放つと同時に向こうもミサイルをぶっ放してきた。

バレルロール ―――― 機首を上げつつ横転する航空機動(マニューバー)の一つを行い、ヴィムの放ってきたミサイルは急激な方向転換に耐えきれず目標を失いそのまま、明後日の方向に飛び去っていく。

ヴィムも同じくバレルロールを行いミサイルを回避。

機体同士がすれ違う。

この瞬間にレーダー照射がなくなり、AIM― 120は誘導を失い落下してゆく。

一応薄い望みではあったが、やはりこの程度だと落ちないか。

ラダーペダルを蹴り込み一気に減速し、機体を急旋回させる。

敵機の後ろにつこうとするが、こちらより向こうの機体の方が機動力に勝り逆に後ろにつかれてしまう。

敵機から鉄の雨―――― ではなく魔力の弾丸が降り注いでくる。

機体に衝撃が走り、ディスプレイに表示されていた蓄積ダメージのメーターが数字を上げてゆく。

 

「ッチ、蝿みたい動きしやがって!」

 

エンジン・スロットルレバーを押し込んで機体を一気に加速させる。

急激な速度変化で一瞬距離が離れるが、敵機の対応は素早く相手も機体を加速、あっという間に詰められる。

ミサイルロックのアラートが五月蠅く鳴り響く。

 

「・・・よし」

 

バックミラーで相手との距離をみて操縦桿に指令を与える。

機首を少し下げ素早くキー操作をして機体の真後ろ―――― ヴィムの真正面にフレアをぶちまける。

フレアはマグネシウムの固まりを発火させる。

その際に大熱量と凄まじい光を放つ。

それを目くらましに使ったのだ。

一瞬とはいえそれが空戦におい生死を分ける。

次の瞬間、機首を九十度上昇、ラダーペダルを踏み込むと機体は速度を急激に失い失速。

 

「うっぐうぅぅっっっ」

 

機体の減速によって全身に凄まじいGが襲いかかる。

耐Gスーツが下半身に血液が行きすぎないように体を締め付ける。

しかし、苦しんでいる余裕はない。

敵機はそのまま自機を追い越しオーバーシュートしてしまう。

―――― コブラ ―――― 

ヴィムの機体、Su系統の機体のお家芸だ。

格闘戦(ドッグファイト)中において、後ろを取る相手の後に回り込む機動。

機体をそのまま水平に戻し敵機を前に見据える。

武装変更、機関砲もといM61A2魔導機関砲に変えガンレイクテルに敵機を重ねる。

 

「インガンレンジ、ファイア!」

 

トリガーを引き絞ると魔力の弾丸が敵機に襲いかかる。

敵機の蓄積ダメージのメーターが上昇、こっちの一方的な攻撃。

このまま仕留めさせて貰おう。

 

「FOX2 FOX2」

 

だめ押しとしてAIM― 9を数発お見舞いする。

敵機がフレアを蒔きミサイルを誤爆させるが一発だけ敵機を追い続け敵機に食らいつく。

派手な爆発が敵機を包み込む。

敵機のダメージが限界ギリギリまで上昇、後は機関砲数発で終わりだろう。

レイクテルの中心を見つめ、爆発光を抜けて敵機が見えるの待つ。

光を抜けて正面の敵機を探す。

 

「・・・あれ!?」

 

そこに敵機はいなかった。影も形もない。

次の瞬間、機体にアラートが鳴り響く。

ディスプレイには後ろに敵機がついていることを示すマーカーが光っていた。

バックミラーを見ると後ろには黒いSu― 47の姿と発射される4発のミサイルの姿が映っていた。

 

「ちょ、おま」

 

操縦桿を握り直す暇もなく機体に激しい衝撃が走り機体ダメージが跳ね上がり最大値を示す。

同時に大きなブザーが鳴り管制から通信が入る。

 

 

『―――― 状況終了、勝者ペレグリン2。お二人ともお疲れ様でした、帰投してください』

 

 

呆然としていると、ヴィムから通信が入る。

 

『状況は終了した。帰投するぞ』

「ちょっとまて、いったい何が起きた」

 

説明をこうとヴィムは爆発の後何が起こったのかを説明する。

機体をオートパイロットにして帰投ルートにのる。

 

 

『ミサイルが当たった後、俺は爆発光に紛れ、機首を上げてクルビットをした』

「く、クルビットってお前・・・」

 

クルビット―――― コブラの発展機動の一つであり、通常のコブラを行った後に機体をそのまま水平に戻さず。

後方に一回転させる機動のことだ。

コブラに比べて一回転する必要のあるクルビットは正直実戦向けの機動ではない。

 

「なんでわざわざ、面倒なだけだろ」

『・・・ハァ』

「おいなんでそこでため息?」

 

バカにしてんのかコイツは。

 

『お前は馬鹿だと思っただけだ』

「・・・いい加減に理由を言え」

 

ちょっとヘコんだよ今の・・・。

やれやれと言わんばかりに説明を始める。

 

『ユウスケ、これがなんだったのか思い出せ』

「へ? 何って、模擬戦だろ」

『そう、これはある種のデモンストレーションなんだ』

「デモンストレーションって・・・」

『この世界において俺たちは異端な存在だ。戦闘機という物の存在を否定する者は管理局の上層部には必ず存在する』

「質量兵器だったからか?」

『そうだ、俺たちや相棒(Su― 47)がいずれ批難の的になる可能性がある。俺たちは有用性(・・・)を誇示しなければならない』

「・・・そういうこうことか」

 

異端は排除されるのが世の常だ。

俺たちの戦闘機はこの世界では邪魔な存在になる可能性があるってことね。

 

「それでわざわざあんな機動とったわけか」

『しかし、戦闘前にあんな大見得切っておいて敗北とはな、ククッ』

「はぁ!? べっ別に恥ずかしくねぇし! てか、お前だって苦戦してたし」

『だが、勝ったのは俺だ』

「ぐぅ・・・」

 

そしてヴィムが放った一言で俺は絶叫する。

 

 

 

 

『楽勝ッスwwwwww』

 

 

 

 

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