ACE COMBAT Shining Merteor   作:vangence

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残滓

 ―――― エイリム山岳上空 ――――

 

「―――― うおっ!? あ、あぶねぇ・・・」

『集中しろペレグリン1、戦闘中だぞ』

「うっせ!」

 

この世界に来てから、初めての任務。

制空権の確保に、俺とヴィムは思いの外手こずっていた。

 

「レーザーなんて聞いてないんですけど!」

 

ガジェット・ドローンⅡ型

飛行能力を持っているからと戦闘を任されたが、光学兵器持ちって・・・

 

「うっとうしいんだよ!」

 

編隊を組んでいるⅡ型の中心を飛んでいる機体にミサイルを放ち吹き飛ばす。

すると、爆発は周囲の機体を巻き込み消し飛ばしたり、爆風でよろめかせる等の威力を見せた。

魔力を込めた品との話は聞いていたが・・・強化しすぎじゃね?

 

『とんでもない威力だな。これでクリーンなエネルギーを語るとは』

「たしかにな・・・ッッ!」

 

突然機体の後方から幾つもの光が過ぎ去ってゆく。

気付くと後ろから肉食魚の群れのように引っ付いてきていた。

 

「キモッ!」

 

エンジンを噴かして距離をとる。

 

『・・・相手は相当足が遅いな』

「さっすが相棒だぜ」

 

少し噴かしただけで一気に距離が開いてしまった。

 

「けっこう温げーじゃね、これ」

『機動性も低い』

 

ヴィムが簡単に後ろを取り、機関砲から魔力の雨を降り注ぐ。

何機かが被弾し爆発によって内側から裂けてゆく。

しかし、何機かが弾丸をはじき、散開してしまう。

 

「―――― !?」

『・・・ッチ』

「AMFってやつか?」

 

AMF ―――― アンチマギリンクフィールドの略称。その名の通り、魔法を無力化するバリアのような物らしい。

戦闘前に説明は受けてたけど・・・けっこう面倒そうだな。

ヴィムが逃がすまいとすぐさま方向転換し、機関砲で逃げた機体を瞬く間に喰らってゆく。

 

『どうした? 腕が止まっているぞ?』

「うっせえ、すぐに全部堕としてやるよ!」

 

目の前にいた機体をロックオン、トリガーを引く・・・

 

『私たちのこと』

『忘れないでくださいよ?』

 

目の前の機体が桜色の光に貫かれ、ゆっくりと落ちてゆく。

 

「遅いですよ、全部俺たちが喰っちまうとこでした」

『いや、できるならそっちの方がいいんだけどな・・・』

 

攻撃を放った相手、なのはさんがよく分からないといった風に答える。

 

『でも、けっこう数はへってる、さすがです』

 

魔力の玉を操って数機を一気に堕としながらフェイトさんが褒めてくる。

気付くと、レーダー上から敵機の反応が次々とロストしてゆく。

 

『「・・・・・」』

 

ヴィム共々黙ってしまう。

正直Ⅱ型は足が遅い。

俺たちの機体では速度が出すぎる嫌いがあり、正直戦い辛い。

Ⅱ型相手には正直あっちの方が向いてるんじゃなかろうか。

 

『じゃ、そろそろ一気にいこうかな』

 

なのはさんの周囲に魔力の玉が次々と生み出されてゆく。

 

『アクセルシュート!』

 

次の瞬間、魔力の玉が生き物のように動き出し敵機を次々と沈黙させてゆく。

 

・・・・・正直この人達二人で十分なんじゃないか?

 

軽々と敵機を堕としてゆく美女二人を見て、うっすらと寒気を覚えたのだった。

 

 

 

 

「―――― スプラッシュ1・・・これで全部か?」

『みたいだな』

 

レーダー上に敵影はない。

俺たちの役割は終わったようだ。

 

『お疲れ様でした、リニアレールの方も、もうじき片がつきそうです。現空域にて警戒を続けてください』

 

管制から、指示が入り盛大に息を吐く。

 

『二人ともお疲れ様。だけどまだ終わりじゃないよ?』

「わかってるよ、なのはさん」

『私たちは上から見ています』

『上・・・ですか。どのくらいの高度ですか?』

「そうだなぁ・・・二万フィートぐらい?」

『『に、二万・・・』』

「それじゃ、行ってきます」

 

機首を上げ、機体を上昇させる。

まぁ、けっこう距離あるし、下もつく前に終わるだろ。

そのまま帰投すっかな。

 

『・・・・ザザッ・・・』

「ん? ペレグリン2、なんか言った?」

『いや、俺じゃない・・・なんだこれは?』

「これは・・・オープン回線からだ」

 

ノイズの向こうから、かすかに声が届いてくる。

次第に音は明瞭になり、声が明瞭に届いた。

 

『現空域を飛行中の飛行隊、誰でもいい、応答してくれッッッ!!』

 

それは明らかに異常を知らせるものであった。

 

「ペレグリン2・・・なんだよこれ・・・」

『どうでもいい・・・だが、見捨てるのも後味が悪い』

 

『こちら管制室、ペレグリン各機、聞こえますか』

 

突然管制から連絡が入る。

 

「ペレグリン2、管制の話聞いてくれ、俺はこっちに対処する」

『了解』

 

管制室の対処をヴィムに任せ、俺は救援を求めてきた奴らにコンタクトをとる。

オープン回線を使って応答する。

 

「先ほど救援を求めてきた者達、聞いてくれ。俺はオーシ・・・時空管理局 古代遺失物管理部機動六課所属飛行隊 ペレグリン隊。何があった?」

 

数瞬、間を置き返答がくる。

 

『突然の事ですまない、助けてくれ!!』

「落ち着け、いったい何があった」

『敵に追われている、我々だけでは対処できない』

 

敵・・・?

どういうことだ、この世界での空の敵だと?

ガジェット・ドローンか、あるいは・・・。

 

『ペレグリン1、こっちは話がついた。悪いが、良くない知らせだ』

「・・・・言ってみ」

『この空域に、ガジェット・ドローンⅡ型とは違う反応が確認された。数は先行しているもので8、後から8つがこちらに向かっている。恐らく、戦闘機だろう』

「・・・・まさか」

 

ヴィムの話と救援を求めてきた奴らの話を総合すれば、恐らく救援を求めてきたのは・・・

 

『どうしたペレグリン1』

「すまないが、あなた方は・・・一般市民か?」

 

ヴィムの質問を無視し、再度彼等に呼びかける。

返答は、思いの外早かった。

 

『・・・いや、違う』

「つまり、空軍と言うことか?」

『―――― ペレグリン1いったい何を・・・・いや、まさか』

『・・・・・そうだ』

 

やっぱりな・・・

六課からは戦闘機らしき反応、しかも敵に追われている。

だとすれば、彼等はもしかして俺たちのように・・・

 

「あなた方は助けましょう。だが、一つ答えてください・・・あなた方の部隊名は?」

『・・・私たち、両部隊の名称は ――――』

 

 

 

彼等は二組の部隊名を告げる、だがその答えは俺たちの想像を遙かに超えたものだった。

 

 

 

 

『―――― ベルカ公国空軍、第2航空師団 第52戦闘飛行隊、ロト隊』

『同じくベルカ公国空軍、第51航空師団 第126戦闘飛行隊、ズィルバー隊』

 

 

 

 

『「・・・・・・・は?」』

 

あまりの突飛もない発言に、俺もヴィムも困惑する。

 

『ロトにズィルバーだと・・・・ふざけるな』

「まさか、あんた等があの『銀色の犬鷲』と『赤いツバメ』だとでも言うのか?」

 

そんなはずない・・・・だって、あり得るわけがないじゃないか。

だって、彼等は・・・。

 

『私の二つ名を知っているとは、有名になったものだな』

『残念ながら・・・犬鷲は墜ちました、奴らにやられたんです』

 

呆然とする俺たちをよそに、彼等は話し続けた。

 

『私たちを知っているなら、話が早い。私たちは今ある部隊に追われています』

『一晩中逃げ回ったせいで、燃料も戦闘機動をできるほど残されてもいませんし、武装もない』

 

レーダーに反応がきた、IFFのカラーは無色、だが戦闘機を識別して機体の種類を伝えてきた。

F- 16C(ファイティング・ファルコン)が4機とTypohoon(タイフーン)が4機、噂どおりの機体編成だ。

 

『後続してきている部隊名は、『シュバルツェ隊』聞いたことは?』

「あ、あぁ・・・・ある、『ハゲ鷹』だろ」

 

聞いたことがないわけがない。

言われなくても分かる、彼等のリーダーの名前でさえ、俺は知っているのだから。

 

 

 

 

ロト隊・ズィルバー隊・シュバルツェ隊・赤いツバメ・銀色の犬鷲・ハゲ鷹

 

 

 

 

俺たちの世界では、訓練学校で大体のヤツが教えられる名前の数々だ

 

 

 

 

俺たちがまだ子供の頃に起きた、血塗られた歴史の一つ『ベルカ戦争』

 

 

 

 

彼等の名は、当時ベルカ戦争において、激戦地と言われた『B7R』通称『円卓』で戦った者達

 

 

 

 

過去のエース部隊とそれを率いる、リーダー達の名だったのだから ―――――――

 

 

 

 

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