ボクは仗助、 君、億泰   作:ふらんすぱん

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ようやくシリアスじゃない話、でもストーリは進みます。推敲一回だけ、二回目はまた今度


意地っ張りの末路

 あの事件から数日がたった。

 事件当日の夜は僕の怪我や、警察から逃げ出したことについて、祖父や母達が僕らを激しく尋問したのだが、そこはあれだ、いつもの頭の悪い子供のふりをして乗り切る。

 彼らは騙されたのか、はたまた呆れたのかはわからないが、当日以降、追求してくることはなかった。

 大勝利といっても過言ではない戦果を得られたのだが、その代償は決して軽いものではない。

 怪我自体は軽い打撲で済んでおり、全治二週間で治ると診断された、これは問題ない。

 代償というのは、安らぎが奪われたこと、最近とみに僕と億泰が行くところ、行きつけのコンビニであったり、美由希さんのいる翠屋に、サングラスの垂れ髪と、背の高い学ランの男達がいて、新聞を買っていたり、似合わないかわいらしいケーキなどを食べているのだ。

 最初は偶然かと流していたのだが、二度三度、四度五度と続くといやでも気づく。

 コソコソしているのなら、まだ僕らの心情として許せなくもないのだが、目が合うと、じーっとこちらがそらすまで見つめてくる。

 なんだろう、証拠以外すべてそろっているから、早く自白しろと脅されている気分に、いや、実際脅し以外の何物でもないのだろう、そう僕らに圧力をかけてくる。

 だが争いからは何も生まれない、どこかの誰かの言葉を思い出し、億泰と二人、満面の笑顔を並べて見つめ返す。

 すると、承太郎さんの手にあるカップにひびが入り,花京院さんのサングラスが鈍く光る。

 笑顔があれば言葉はいらない、らしいが言葉があるのに、彼らと和解できないのはなぜなのか。

 僕は近くを通った店員さんに、空になったコーヒーのおかわりを頼んだ。

 

「他のお客様の迷惑になるから、せめて同じテーブルについてほしいんだけど、見なよ!花京院くんと仗助くん達の間のテーブルにお客さんが誰も座ろうとしないんだよ! 大体、知り合いなのになんで離れた席についてるの?」

 

 美由希さんのおっしゃる通り、三つ並んだ窓際のテーブル席、その端の僕等と彼らの席にはさまれるテーブルには誰もいない。

 時刻は午後五時をまわり、ちょうど部活帰りの学生で賑わう時間である。

 事実、問題の席以外は、お茶を楽しむ女学生で埋まっているので言い訳のしようがない。

 顔見知りではあるし、片方は親族でもある、だからといって、こちらに責任があるような言い方はやめてもらいたい。

 それに、なんでこっちにばかり注意しに来るのだろうか。

 美由希さんはトレイを片手に持ち、顔を承太郎さんから隠していた。

 

「いや、花京院くんはともかく、横の人怖いし。それにあのカップ三つ目だよ! 何したのかは分からないけど、早めに謝っちゃいなよ、どうせ君たちが悪いんでしょ」

 

 美由希さんは最初から僕たちに責があると決めつけていた。

 僕と億泰は、美由希さんからの不当な評価に眉をしかめる。

 初めて会った時から、彼女は色眼鏡で僕らを見ている、そのうち誤解は解くとして、今はこの場を乗り切らなければ。

 そうじゃないと、いい加減ストレスで、ニキビの一つでも生えてしまいそうだ。

 

「ええー、誤解ですよー、僕らは普通の小学生なんでー、あんな怖いお兄さんに睨まれる心当たりなんかないですよー」

 

「そうだぜー、きっと―、誰かほかの奴とー勘違いしてるんだろうー、俺たちみたいな特徴のない奴らなんてー、海鳴には、五万といるぜー」

 

 店内に僕達の大きな声が響く。

 億泰のセリフはやや棒読みだったが、僕の演技力でカバー出来ていた。

 ばれないよう、横目で彼らを確認したいのだが、丁度美由希さんが壁になっていて見えない。

 彼女は額に手をやり溜息を吐く。

 

「……だから、なんで喧嘩を売るのかなぁ、ああ、もう、花京院くんの隣の人も、いいかげんカップを壊すのやめてください!」

 

 磁器の割れる高い音が響く中、僕らはその場を後にすることにした。

 レジで精算中、億泰が、僕の演技にケチをつけてきた、演じる才能のない奴は、見る才能もないらしい。

 そそくさと僕らは翠屋を後にする。

 こうして多くの事件のあった5月が過ぎていく。

 

 ●

 

 八神はやてには友達がいない、いやいなかった。

 そんな当たり前が崩れたのがついこの間のことであるとは、はやてにはとても思えなかった。

 

「ごめん、はやて。何もいわないで、しばらく泊めてもらえないかしら? ちょっとパパと喧嘩しちゃって」

 

 そう言って連絡の一つも入れないで泊まりに来る友達がはやてにはいなかった、しかも二人も。

 八神家の玄関には共通の友人を通して知り合ったアリサが大きなリュックを背負い、申し訳なさそうに手を合わせていた。

 自分を頼ってくれたのは素直に嬉しく、礼儀をわきまえている友人を無碍に出来るわけもなく、リビングに招く。

 とりあえず紅茶でも入れようと台所にはやては向かった。

 その途中、冷蔵庫から勝手に麦茶を出して飲んでいる礼儀をわきまえていない方の友人に声をかける。

 

「仗助くん、アリサちゃんの後に事情聞くから、テレビでも見て待っといて」

 

 了解したと、相槌を打ち、お客様用の煎餅の袋を開ける仗助を見て、はやては思う。

 友人の家に泊まりに行くという行為はもっと期間を過ぎてから行われるものではなかったかと。

 これが今の八神はやての交友関係である。

 

 

 リビングのテーブルにアリサが座り、紅茶を飲んでいた。

 先ほどまで怒涛の勢いで、はやて相手に、父親に対する不満を一欠片も惜しむことなくまくし立てていたので、喉が乾いたのだろう。

 彼女の話を要約するとこういう事になる。

 三年生になって初めての今日の授業参観とその後の面談に仕事のため彼女の父親が出席できなくなった。

 特に面談に関しては、以前から約束しており、必ず出席すると父親も胸を叩いていたらしい。

 アリサの父母は二人共多忙なため、仕方のないことなのは彼女も理解できるのだが、約束したことを破ったのが許せないと彼女は言う。

 母はできない約束はしないと一貫して態度を変えないため、アリサにも納得できる、だからこそ、安易に結び、それを破った父親を許せない。

 両親のいないはやてには贅沢な悩みに見えるが、それはそれ、本人の境遇にならなければわからないこともあるのだろう。

 はやては彼女の聞き役に徹する。

 

「今度という今度は許せないわ、パパの顔なんて見たくもない。それに、すずかの家だと、すぐにバレて、連れ戻されちゃうからここしかないの」

 

 だから、お願いと、友人が頭を下げて頼んでくる。

 はやての家には彼女一人しか住んでいないのでお客様が来るのは歓迎することである。

 それに明日ははやての誕生日だ。

 ここ数年祝うこともなかったが、二人が居てくれるのなら、ケーキぐらい買ってもいいかもしれない。

 楽しい想像の中、リビングの床に寝転がって、はやての少女漫画を読んでくつろいでいる仗助と目があった。

 そういえば彼はなぜうちに泊まりに来たのだろうか。

 

「いや、僕の方も授業参観に」

 

 はやては意外に思う、彼もそんな普通の理由で家出をすることに。

 

「母さんが出席してしまったから逃げてきたんだ」

 

 はやては仗助の言葉を聞き間違えたかと、もう一度彼の顔を伺う。

 事情がわからないはやてとは違い、アリサが納得したと、ため息を吐いた。

 

「いや、普段は爺ちゃんが来てくれてたんだけどね、たまたま母さんの仕事に都合がついたって。だから、面談をすっぽかしてそのままここに来たんだ」

 

 仗助曰く、祖父は疑わしきは罰せず、と言った人なので問題はないが、母親は信賞必罰を是とするので何かと都合が悪い。

 特に仗助は母親に嘘がすぐバレるので、三者面談は、刑事裁判と何ら変わりがないという。

 仗助の焦り様から、普段の彼の生活態度を想像するのは容易い。

 それが学校に通っていない彼女には面白く、つい口に出る。

 

「もう、仗助くん、授業はちゃんと静かに聞かなあかんよ」

 

 はやての言葉にアリサが首を振り補足する。

 

「こいつら、授業態度は真面目にしてるわよ。問題なのは、ええっと、そう、うちの学校の教頭は小言が多くてね、子供のことを理不尽な理由で叱りつけたり、年若い私達のクラスの担任に嫌味をネチネチつける嫌なやつなの。そんな教頭が、ここでは太郎くんにしましょうか、小学生には思えない奇異な髪型をした太郎くんを叱りつけたわけよ。教頭は前から自分に敬意も恐れも払わない太郎くんとその友達の次郎くんのことが気に食わなかったんでしょうね、もうね、鬼の首をとったかのように、普段の素行が悪いだの、髪型がどうだとか、長く説教をしたらしいのよ。その締めくくりがまた有名なんだけど、校庭にある二宮金次郎像を指さして、私が君たちの頃にはこれぐらいの努力は当たり前だっただの、彼を尊敬するように私のことも尊敬しろだの、言うわけよ」

 

 アリサの話は仗助と関係無いように思うが、はやては黙って続きを促した。

 

「でね、教頭がようやく満足した後に、太郎くんが一言つぶやくの『先生は二宮金次郎のことが大好きなんですね』って。教頭は胸を張って頷いたそうよ。その放課後、教頭の車の助手席に金次郎像がシートベルトを着用して乗っていたそうよ。真っ先に教頭は太郎くんたちの仕業だとがなり立てたんだけど、誰も取り合ってくれなかったわ。当然ね、だって何百キロもある銅像を子供にどうにか、いいえ、大人だって移動させることは難しいわ。

次の日、これは聞いた話なんだけど、職員トイレで用を足していた教頭が個室から出ようとするとドアが何かに引っかかって開かないの、珍しい外開きのドア、扉の前に何かが邪魔しているために三時間近く閉じ込められたらしいわ。運が悪いことにその日に限って誰もそのトイレを利用しなかったらしく、清掃のおばさんが来るまで一人ぼっち過ごしたの。おばさんは驚いたでしょうね、ドアの前にある大きな銅像に」

 

 もしかしたらこれは怪談話なのだろうか、はやては興味が湧いてくる。

 アリサの視線が仗助の方に向いていたが、彼は大して面白くもないニュース番組に顔を向けている。

 

「こうなってくると、教頭の八つ当たりが、ひどくなるってみんなが心配していた次の日、教頭は学校にこなかったの。まあ、予想がつくと思うけど、教頭の自宅の玄関を塞いでたらしいわよ、金次郎像が、3つも。それから今日まで、教頭は休職中、太郎くん達は元気に登校してるらしいわよ、ねえ、太郎くん」

 

 聞いていないようで聞き耳たてていたのだろう太郎くんが、テレビを消し、顔をしかめる。

 

「ったく、僕も億泰も無関係だって何度も言ってるだろう。アリサはちょっとしつこいよ」

 

 心外だとばかりに、彼が不平を漏らす。

 アリサは片目をつむり、言葉を続けた。

 

「……私とすずかがあんた達が楽しそうに銅像を運んでいるところを見ちゃったんだけど」

 

「……え、嘘だろ!」

 

「ええ、嘘よ、でも」

 

 マヌケは見つかったようだ。

 そこから始まった二人の言い争いを横に、はやては今日の夕飯は人数が多いので、季節外れであるが、前からしてみたかった鍋料理に挑戦することを決めた。

 

   ●

 

 誰が悪かったのだろう、八神家のリビング、テレビの前ではやては考える。

 楽しくも騒がしい夕食の後のことだ。

 まずアリサの挑発がいけなかった。

 アリサの家から持ってきた三つのDVD、そのすべてにR15のマークが入っていたことも彼女の罪の一つに数えるべきだが、この

 

「はっ、もしかして怖いのかしら、仗助。そうね、今この場で、『僕は幽霊が怖いんでホラー映画は見れません』って言うなら勘弁してあげるんだけど、んん、どうするの?」

 

 という挑発が、最後の命綱を断ち切ったのだ。

 はやては思う、この時点で、仗助とアリサの二人をとりなしていればこの後の惨劇は起こらなかったと。

 こういう言い方をされれば、必ず挑発に乗る単純な頭を所有している彼が後先考えずに、承諾したこと。

 それを面白がり眺めていたはやてにはこのあとに起こりうる事を想像出来ず、二人を煽ってしまったこと、これがはやての罪。

 結局、誰が一番愚かであったのかと考えると、仗助の弱点を見つけたとはしゃぐアリサにも、受けて立つと胸を張る仗助にも、そして、呑気に二人の争いを楽しんでいた自分にも、誰ひとりとして、CGを駆使された最先端の技術に耐えうる胆力を有していなかったことが愚の骨頂と言える……ソファーで寄り添うように固まった三人の真ん中にいるはやては後悔していた。

 

 映画のスタッフロールが流れても誰も口を開こうとはしない。

 仗助ははやての手を握って硬直したまま動かず、アリサにいたっては、両耳を手で塞ぎ、はやての胸に顔を押し付けている。

 ここまでするくらいなら、映画を途中で止めればいいと思うのだが、お互いの張った意地がそれを邪魔しているのか、全てを再生し終わってしまった。

 時刻はそろそろ零時を回るところだ。

 はやてとしては、早く部屋の明かりをつけてもらいたい。

 演出の一環として、全員で家の明かりを一つずつ消して回ったのだが、映画を見終わった今それがとても心細い。

 この映画を見てしまったことは失敗であったが、三人で見たことは成功だった。

 もしも、一人で見てしまったら、広い家の中にポツンと取り残される自分を想像して、また寒気に襲われる。

 身震いするはやてに、アリサがようやく映画が終わってることに気づいた。

 

「えっと、提案があるんだけど、今日はみんなで一緒の部屋に寝ることにしましょう、いいわよね、ねっ!」

 

 アリサは必死にはやて達の同意を求める。

 はやてに異存はなく、仗助にいたっては壊れた水飲み鳥の様に首を縦に振り続ける。

 二人の顔色は青くなっており、鏡で確認はできないが自分のものも大差ないのだろう。

 三人で寝るには個室のベッドは広くないので、ここに寝具を持って一晩を明かすことになりそうだ。

 か細い声で、アリサがトイレに行くと部屋を出て行った。

 三本目のあの内容の後に一人でお手洗いに行けるなんてと、はやては感心したが、よく考えると二本目の後半から彼女は映画をまともに見ていなかったことを思い出す。

 はやても我慢していたことに気づき、一人では心細いので、恥ずかしいが、仗助について来てもらおうと頼むも、

 

「僕はこれから一生トイレには行かない! 絶対にだ!」

 

 自分でも理解していないだろう発言を彼が自信を持って垂れ流す。

 仕様がない、アリサが帰ってきたら付いて来て貰おうと彼女を待つ。

 彼女が出て行って、一分も経たないうちに、乱暴な足音でアリサが帰ってきた。

 ここから洗面所までは間違っても息を切らす様な距離ではないのだが、彼女の額には汗が滴っている。

 アリサは目にも涙を浮かべ、口を開くも言葉にならないのか、はやて達には何も伝わらない。

 はやてが背中を擦り落ち着かせる。

 

「……え、えっと、あのね、あの、はやての部屋がね、光ってるの。私達、ちゃんと電気を消したわよね、なのに、ぼうっとはやての部屋から明かりがついたり消えたりするのが廊下から判るの、ねえ、なんで、どうして、教えてよ!」

 

 話を終えると瞬間三人共が笑顔になった。

 人は理解できないものにあったときは笑うしかなくなるというが、この三人のものもその類であった。

 引きつった笑みではやてが問う。

 

「もう、仗助くんたら、そんなイタズラあかんよ……え、いたずらしてない、うそつかんでもいいんよ、怒らへんから、……やから、いたずらしたっていえや!!」

 

 はやての理不尽な怒声が響くが誰もそれを咎めない。

 アリサの見間違いということもあるのだろうが、先ほど彼女の戻ってきたドアの隙間からかすかな光が差し込んでいる。

 彼女の言うとおり家の何処かで何かが点滅した光を放っているのは間違いない。

 すでに三人とも涙を流していた。

 はやては願う神様どうしたらいいんですかと、天に向かい。

 

『主、どちらにおいでですか?』

 

 神に答えを願ったら、若い女性の声がはやての耳に響く。

 

「……な、なんや、アリサちゃん、今、なにか言った?」

 

 どう考えてもアリサのそれとは違うのだが、彼女に確認する。

 はやての言葉を聞き、彼女自身も含め、その後ますます青くなる三人。

 このままいくとショック死する人間が出るかもしれない。

 

「いい、はやて、それは幻聴よ、まだ聞こえるですって。あのね、よく考えて、もし、もし万が一、それが幻聴でなかったら、この家にその『いる』事になっちゃうじゃないの。そんなことになっても誰も幸せにはならないのよ!」

 

 アリサの言に、はやては納得する。

 たしかに彼女の言うとおりだ、それにこの科学が全てを解き明かした今の時代に、そんなナンセンスなものがいるはずもない。

 だから、先程からはやてにしか聞こえないこの声にあらたに、もうひとり若い女性のものと、少女の声に男性の渋いものが加わったのもただの空耳なのだろう。

 

「……無理や! アリサちゃん、やっぱり聞こえるよ! どないしよー」

 

 はやての泣き言にアリサが携帯を取り出し何処かに掛ける。

 

「鮫島、私よ、お父様と仲直りすることに決めたわ。私が大人に成ることに決めたの、……そんなお世辞はいいの、大急ぎで迎えに来なさい! はやて、私、今日は帰ることにするわ、ごめんなさいね」

 

 真面目な顔で外道なことを言い放つお嬢様。

 はやては逃がすまいと彼女にすがりつく。

 

「アリサちゃん、親子喧嘩はしっかり最後までやった方がいいってテレビでえらい教授さんが言ってたわ、やから、こんなすぐに仲直りするのは良くないって、今日は家に泊まっていって、てゆうか、逃さへん!」

 

 二人を止めることなく仗助は荷物をまとめ始めていた、どうやらアリサに付いて行くつもりのようだ。

 

「せや! アタシ今日が誕生日なんや、やからプレゼントはいらんから代わりに一緒にいて! お願い、友達やろ!」

 

「はやて、プレゼントがいらないなんて、そんな寂しいこと言わないで、親友でしょ。一緒にいるだけなんてチンケなもの贈るわけにはいかないわ、ちゃんと豪華なプレゼントを遅らせてもらうから、楽しみにしていてね。だからこの手を話して頂戴!」

 

 仗助はカバンに荷物をまとめ終わったのか、ドアの前に一人歩いていく。

 そうして、ドアに近づいてくと彼が倒れた。

 

「……はやて、ごめんなさい、私もう限界みたい。また会えたらいい……ね」

 

 そう言葉を残し、ドアの方を見たアリサも気を失う。

 

「……いややなぁ、これみんなでアタシのこと騙してるとかやったら笑って許すのに、違うんやろうな。よし、覚悟はできた、どんと来いや!」

 

 なけなしの勇気を集め、はやては彼らが見たであろう何かを見るためにドアに目をむける。

 はやて自身理解している、自分が二人と同じぐらいに臆病であることを、だからこの後に、彼女が気絶をするのも自明の理であった。

 薄れていく意識の中で、ドアの隙間から覗く四対八の恐ろしい瞳に、みんなが気を失うのは仕様がないとはやては納得し、トイレを済ましておけばばよかったなと後悔するのであった。

 




無印の後日の細々した説明はまた後の回で、、もう一方は少し詰まってます。ストーリーではなく、呼称の方がわからなくなって、ネットで調べてるんですが、待ってくれてる方すいません。感想ご指摘お待ちしてます。

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