Zombie Army Trilogy クロスオーバー 作:ダス・ライヒ
不定期更新で、気が向いたならの更新です。
1945年4月30日。
この日は我々日本人にとって知るものは、唯一の本土戦である沖縄戦が繰り広げられていた頃だろう。
第二次世界大戦が繰り広げられて欧州のドイツ第三帝国でも、本土戦が繰り広げられていた。首都ベルリンにてである。
兵力五十万を有するソ連赤軍に包囲され、帝都は砲火の雨に晒されていた。
これに対するドイツ軍は十万。大半の兵力は子供や老人、生きて帰れない外国人志願兵である。ドイツ人の正規兵は国防軍と武装親衛隊を合わせて四万五千人以上。戦車や砲の数でもソ連軍に劣る物であった。
制空権まで取られていたが、市街戦なために余り効果はなかったが、圧倒的な兵力による物量で押し潰される事には変わりない。無敵の強さを誇るドイツ軍は連合国の物量の前に倒れた。もう既に打開策など無く、脱出するか降伏の二択しかなかった。
だが、時のドイツ第三帝国の総統アドルフ・ヒトラーはどちらの選択も選ばず、「最後の血の一滴まで戦え」、つまり徹底抗戦を指示した。
敗北的な発言をすれば、「敗北主義者」として街灯に吊されてしまう。ドイツ兵も帰る場所もない外国人兵士と同じく死にものぐるいで戦うしかなかった。装備も兵力も練度も優るソ連籍軍相手に…
砲火の影響で人工的な地震で揺れる総統地下壕にて、負ける事実を認めないヒトラーは、ヴァルター・ヴェンクの第12軍を待っていた。
司令室の机の上にある知らせの黒電話は一向に鳴らず、ただ砲弾が着弾する音だけが聞こえてくる。
彼の背後に掛けられている地図には、東にはソ連、西は連合国が押し寄せてくる様子が記されている。この地図を見る限り、もはや形勢逆転など不可能だろう。
そんなヒトラーを見かねてか、陸軍の将官が降伏を提案する。
「
現実的な問題を叩き付けたその将官に対し、ヒトラーはワルサーPP自動拳銃の銃弾で答えた。
「余の帝国は二度と負けん! "プランZ"を発動し、この地に余の無敵の軍勢を蘇らせ、ソビエト軍に反撃するのだ!!」
ヒトラーは拳銃を机に叩き付けながら、「プランZ」と呼ばれる極秘計画の実行を命じた。
その計画の実行に不安を抱えていた親衛隊長官であるハインリヒ・ヒムラーは、ヒトラーに考え直すよう説得を始める。
「総統閣下、プランZは"サガルマリータの遺産"が三つ揃わなければ…」
プランZに続いてサガルマリータの遺産と言う新たな物が浮かび上がった。
一体それは何なのか?
今は分からないが、後程その謎が判明されるであろう。
「喧しい! 直ぐに実行するのだ!! 余の軍勢を再び蘇らせ、ベルリンから共産主義者共を一人残らず一掃するのだ!!」
「や、
ここでヒトラーに逆らえば、今度は自分が処刑されてしまうと思ったヒムラーは、直ちに総統が命じた極秘計画の実行に移った。
「スターリンめ、見ておれよ…! フリードリヒ大王のような世紀の大逆転を…!!」
そう自分の首都を攻め込むソビエト連邦の首相ヨシフ・スターリンの名を口にすれば、その世紀の大逆転となろうプランZの実行を待つ。
計画の実行は機械のレバーで行われた。命令を受けた白衣を受けた科学者がレバーを引けば、ドイツ各地に設置された塔の尖端から不気味に光る青い光線が真っ直ぐと空高く上がり、空を不気味な曇り雲で覆い隠す。
この光景はベルリンだけでなく、併合されたオーストリアを含むドイツ各地に見られた。
「な、なんだこの光は…!?」
天に昇る光が見えていたドイツ・オーストリアの各地で戦う連合国の将兵達は、それを見て呆然としていた。
その光を天に向けて解き放ったドイツ側の将兵等も、プランZの事を知らなかったのか、連合国の将兵と同じく戦うのを止めて共に光を見ている。クリスチャンである将兵達はこれから不吉なことが起こるかと思い、首に吊した十字架を握り、イエス・キリストに何事も怒らぬよう祈った。ムスリムの将兵等は銃を地面に置き、クリスチャンの将兵と同じくアッラーに祈る。
だがその願いはどちらの神にも届かず、悲劇は起こった。
「ち、地中からドイツ兵!?」
地中から死した筈のドイツ兵等が呻き声を上げながら地上へと現れた。それも一人だけではなく、大勢で。
既に腐りきったか、青白いか、ぶよぶよになっているか、焼き爛れているかだが、ぼろぼろの軍服から見える致命傷とも言うべき傷跡を見れば、一目で死人と分かる。目は不気味に黄色く光っていた。
では何故、死んだはずの人間が動いているのか?
黒魔術と言っても良いことだが、まさか実在するとは誰しもが思わないだろう。
それに動きも筋肉が腐っているのか、なんだかぎこちない。大戦が始まる九年前に公開されたホラー映画に登場する「ゾンビ」のようだ。その映画を見たことがある各国の将兵の誰もが思った。
「動くな!」
地中から現れた"ドイツ兵等"に対し、ソ連赤軍の兵士がモシンナガンM1891/30小銃の銃口を向け、警告した。警告はしたが、ドイツ兵等はそれを聞かずに銃口を向ける彼によろよろと近付いてくる。兵士は威嚇射撃を行い、もう一度警告した。
「もう一度警告する! 手を挙げろ!」
そう強く言ったが、相手は足を止めず、丸腰のまま近付いてくる。
何か不気味な感覚を感じた兵士は警告することもなく、相手の胸に向けて小銃の弾丸を撃ち込んだ。
「し、死んでない!?」
撃たれたドイツ兵は胸を撃たれても平然としていた。人は胸に小銃弾を受けたところで死にはしないが、激痛の余り、悶え苦しむはず。しかし撃たれた敵兵は痛覚がないのか、依然として近付いてくる。
それに恐怖を覚えた兵士はもう一度胸に向けて撃った。
もう一度撃てば死ぬはずだ! だが相手は死ななかった、それは何故か?
答えは簡単である。もう死んでいるからだ。
最初に死したドイツ兵等と遭遇したソ連赤軍の兵士は集団に覆い被され、生きたまま食われたり、肉を引き千切られながら殺された。
無惨に殺されたのはそのソ連兵だけでない。ドイツやオーストリアに居る連合国の将兵等が、彼と同様に生きたまま引き千切られるか、食われたまま死んだのだ。
ある将兵は内臓を引き抜かれ、ある将兵は四方を引き千切られながら殺された。
残されたナチス・ドイツの領土全域で、このような地獄絵図が行われ、多数の連合国の将兵等が蘇った"死者の軍団"の餌食となった。
「う、うわぁぁぁ! 来るなぁ!!」
死者の軍団は見境無く、生きているドイツ兵にも矛先を向け、連合国の将兵と同じく襲い掛かり、惨たらしく殺した。守るべき筈の民間人も同様に殺し、女子供、老人や病人であろうと平等に殺し尽くした。
かくして、蘇ったドイツ兵、通称"ナチゾンビ"がドイツ・オーストリアの地を彷徨い、ナチス・ドイツの領土は死者の帝国となった。
連合国地上軍はナチゾンビが出現していないドイツの各隣国へと撤退し、戦略爆撃による殲滅に切り替えた。流石のソ連赤軍も撤退したようであった。
そして地獄に取り残された生存者達は、湯水の如く湧いて出て来るナチゾンビと死闘を演じなければならなかった。
地獄が始まって日が経ったが、太陽の光は分厚い曇り雲に覆われ、地に光が注ぐことはなかった。
地にはナチゾンビが生者を求めて彷徨い、死体から千切られた首や胴体、手足をアートのように飾っている。死体は吊されるか串刺しにされていた。まさに地獄の光景と言って良いほどだ。
地獄となったドイツのベルリン郊外にあるバリケードが張り巡らされた一軒家にて、一人の生者が外へ出るための準備をしていた。扉や窓には、様々な鈍器を持った複数のゾンビが叩き、中へ入ろうとしている。暫くは持つだろうが、いずれか破られるだろう。
そんな心配を他所に、家中にいる生者は蓄音機で音楽を掛けながら外へ行く準備をしている。外へ行く準備とは、銃などの武器を持って出て行くことである。
その生者とは、フィールドグレーの戦闘服を着た男だ。人種は白人で瞳は碧眼、短髪の黒髪であり、身長は180㎝程である。
机の上に置いてある狙撃スコープ付きのスプリングフィールドM1903A4小銃を手早く組み立て、.30-06スプリングフィールド弾を一つ一つ込める。それが終わればスコープの調整を行い、試しに構える。自分が納得がいく物になれば、コルトM1911A1自動拳銃の残弾を確認し、全弾詰まっていることが分かれば腰の専用ホルスターに入れ込む。
次にM1A1トンプソン短機関銃を手に取り、スリリングを肩に掛けて背中へ吊す。弾倉も忘れずに専用のポーチを入れ込めば、手榴弾も忘れずに専用のポーチへと入れた。
最後に男は自分の得物である狙撃銃を手に取り、両手にしっかりと抱いた。常に一人で行動する期間が長かった所為か、習慣となっている。近接戦闘に備えてのナイフ数本とバールを取れば、狙撃手である男は出入り口のドアを強引に開き、ナチゾンビが漂う外へ出た。
「グォ?」
飛び出してきた狙撃手に気付いたナチゾンビらは、一斉に男の方へ振り返り、手に持った鈍器で殺そうと鈍い動きで近付いてくる。
狙撃手はそれを回避し、狙撃銃の銃座でゾンビの頭を強打した。ナチゾンビの弱点も、頭であることを分かっていたようだ。金属製のバッドプレートは、人を撲殺できる程の威力であり、例え既に死したゾンビとで、それに耐えることなど出来なかった。
次は銃剣を抜いて、顎へ突き刺し、脳に達するまで深く突き刺してから素早く抜いて鞘へ戻す。突き刺した後に素早く抜かねば、肉が固まって抜きづらくなるからだ。二体のゾンビを手早く仕留めた狙撃手は、ホルスターから45口径の自動拳銃を取り出し、目の前にいるゾンビの頭全てに撃ち込んだ。
強い反動を耐えながら撃ち込んだ弾は五発、頭を大口径の拳銃弾で撃ち抜かれた五体のゾンビは糸が切れた人形のように倒れた。
「ウゥゥ…!」
しかしゾンビはまだ残っている。背後から迫る一体へ向けてナイフを投げ、頭にヒットさせた。最後の一体は背後へ回り込み、強い力を入れて首を一回転させて無力化した。首を回したゾンビの肉体は骨が見えるくらい腐りきっており、容易に身体に送る信号を遮断させることが出来た。
自分が籠城していた家のゾンビを全滅させれば、狙撃銃を構え、遠くの方で生存者を追っているゾンビの狙撃を行おうとする。
重力、気温、気圧、温度、風向きと風速を脳内で計算しつつ、ゾンビの頭が行く進行方向へ向けて照準を合わせれば、引き金を引いた。
銃声が鳴り響き、銃口から30口径の小銃弾が発射された。弾は狙撃手が計算したとおりに飛んでいき、ゾンビの頭に命中して脳を破壊した。
「全く、こんな事になるとはな」
狙撃を終えた狙撃手はそう吐き、銃を下ろした。
男の名はカール・フェアバーン。OSSの工作員兼狙撃手であり、暗殺任務の為にドイツへ潜入し、この惨事に巻き込まれた。持ち前の隠密作戦能力で生き残り、十分余りでゾンビの弱点が頭部であることを素早く理解した。彼は地獄の実態を調査すべく、ベルリンへと向かった。
カールがベルリンに向かっている頃、ドイツ国防軍陸軍の忠実には存在しない第12装甲軍の本部にて、陸軍大将でこの部隊の司令官である老人が自信の目の前に立つ部下達に向けて訓示を行う。
「諸君、総統閣下はご乱心なされ、敵も我々ドイツ人も道連れにするべく、地獄の門を開き、生ける屍共をこの世に解き放った。今、我々がすべきことはただ一つ。民間人と負傷者を一人でも多くドイツから逃がすことだ。地獄の門より現れた死者の軍勢に関しては、連合国の特別機関がなんとかするだろう。我々がすべきことは、見境のない人食い共からドイツ国民を救うことだ。脱出地点はオーストリアとする。そこまで死人共から民間人に一切手を出させるな。以上、解散」
解散を命じれば、部下達は陸軍大将が命じた通りの命令を実行した。右眼に眼帯を付けた強面の大柄で、長身の士官も立ち去ろうとしたが、司令官に呼び止められる。
「待て、"エルンスト"」
「なんです? 閣下」
司令官に呼び止められた士官は振り返って直立不動状態を取り、内容に耳を傾ける。
その士官はエルンスト・フォン・バウアー。軍直属第8戦車中隊、通称「黒騎士中隊」と呼ばれる部隊の長である。階級は大尉。ドイツ国防軍がポーランドに侵攻して第二次世界大戦が開戦して以降、ずっと戦場に身を投じてきた歴戦錬磨の指揮官だ。何度か軍規違反を起こしているが、その度に味方を救い、敵味方双方共に敬意を抱かれている。騎士十字勲章を受章している。
そんな高貴な軍人である彼の名を口にするのは、バウアーの父であるエミール・フォン・バウアー。階級は大将、第12装甲軍司令官。第一次世界大戦に従軍し、息子バウアーと同じく勲章を受賞した高貴な軍人である。
軍人はバウアーだけでなく、彼の血を分けた兄と弟も軍属は違えど同じくドイツ国防軍に属していたが、兄は戦死し、弟はスターリングラードでソ連赤軍の捕虜となり、行方不明だ。
「外務省からお前に任務だ。SSミッテ駆逐戦隊所属特務猟兵小隊と共にベルリンへ赴き、総統閣下並び、ベルリン市民の救出せよ、だ」
「軍規破りの常習犯である我が第8中隊に 外務省が直接オーダーですか? 一体何故そのような任務を私の部隊に。心当たりは十分にありますが…」
心当たりは十分にある。
それを聞いたエミールは、バウアーが行った戦歴のことを伝えた。
「エルンスト、十分と言えば分かるだろ? お前は幾度も危機的状況にある友軍を救ってきた。あのゲッペルズがお前を新たな宣伝塔にしようと考えたくらいだ。外務省の奴等はお前の活躍を見込んで、この救出作戦をお前の部隊に依頼した。たったの一個戦車小隊くらいだが、先程言った武装親衛隊の特務小隊をつけてくれるらしい。詳しいことは、集合地点で確認してくれ。ワシにもその部隊のことは分からんのだ」
「はっ! ただちに件の小隊と合流し、合同して救出任務に当たります!」
バウアーは敬礼しながら父であり上官であるエミールの指示を復唱する。それから立ち去ろうとしたが、また呼び止められた。
「待て」
「まだ何か?」
「必ず生きて帰ってこい。外の死人共には一切れの肉もやるな。分かっているな…」
最後に残った跡取りで息子であるエミールが暗い表情を浮かべながら告げれば、バウアーは笑みを浮かべながら告げた。
「もちろんですとも父上、一切れの肉も奴等には提供しません。代わりに鉛玉を提供します。それに死人如きには殺されません」
「その息だエルンスト、死人共を死者の世界へ返してこい!」
「
父に必ず返ってくると告げれば、敬礼して司令室を後にした。
第12層行軍の司令部を出たバウアーは、外で待っている部下達の元へ向かった。待っているのは全部で十四名の黒い戦車兵用の制服を着た兵士達。彼らの背後には二両のパンター中戦車G型が止まっている。車体前面装甲には、黒騎士中隊である事を示すマーキングが付けられている。
戦車中隊と言えば、十数両で編成されるはずだが、長きにわたる戦いで戦車小隊ほどの戦力にまで減っている。
「お待ちしておりましたバウアー大尉。中古ですが、大物を用意しております」
「大物? 是非見てみよう」
「こちらです」
副官であるオットー・シュルツがバウアーを出迎え、大物の戦車を用意していると告げた。
彼の案内に従ってついていけば、そこにティーガー重戦車の更なる発展型であるパンター中戦車を一回り大きくしたような風貌を持つティーガーⅡ重戦車があった。これを見たバウアーは驚きの声を上げ、この重戦車を何処で手に入れたのか問う。
「ティーガー重戦車じゃないか! こいつを一体何処で手に入れたんだ? まさか盗んだんじゃあるまいな」
「武装SSの整備中隊に、整備が済んだハノマークで交換したのであります」
「そうか。まさか欠陥品を押し付けられたってことは無いな?」
「もちろん、完全に動くタイプです。燃料は満載しております。エンジンもバッチリですよ」
その問いに答えたクルツ・ウェーバーと呼ばれる下士官に、バウアーは再度交換したティーガーⅡが欠陥品でないか確認した後、自分の搭乗員達に搭乗するよう指示した。
「そうか。では、全員搭乗せよ! 合流地点へ向けて走りながら操作訓練だ!」
『
指示に応じ、バウアーの戦車の搭乗員達はティーガーⅡのエンジンを作動させてから戦車に乗り込み、エンジンを呻らせた。これに続いてクルツとオットーも自分の戦車であるパンターのエンジンを作動させ、バウアーのティーガーⅡの後へ続き、件の特務小隊との合流地点へと向かった。合流地点は車で十分と言ったところの距離であり、差ほど時間は掛からず、合流地点へ到着した。到着して早々、中隊を出迎えのは、とんでもない物であった。
「な、なんだ!? 一体これはどういう意味だ?」
「はぁ、私にも分かりません。ただの特務小隊だと思ってましたが、まさかこのような物とは…」
驚くべき物をを見てバウアーが口にすれば、オットーは今目に映っている事を告げた。彼ら黒騎士中隊を驚かせたのは、襟にSSの襟章を付けた女性ばかりの部隊であった。短砲身のⅢ号突撃砲二両にティーガーⅠ重戦車が一両、Sd Kfz 251装甲兵員輸送車が、ケッテンクラート、Sd Kfz 222装甲偵察車と言った具合の小隊規模の部隊だ。兵員は四十名ほど。中には当時同盟国であった日本軍の下士官に兵士が二人ほど見える。
バウアーの到着を知った部隊指揮官らしき若い青年と長い金髪の女性が近付いてくる。
「お待ちしておりましたバウアー大尉! 自分はミッテ駆逐戦隊所属特務小隊≪シェイファー・ハウンド≫の指揮官、ユート・ツァイス親衛隊上級曹長であります!!」
階級が低い青年はキューボラから上半身を出しているバウアーに向け、ナチス式ことローマ式敬礼を行い、自分がこの女性を主体にして編成された部隊「シェイファー・ハウンド」の指揮官であると名乗った。その名乗り声は緊張しきっており、上げている右手が震えていた。次に、隣に立っているヨット型の略帽を被った女性が名乗る。
「自分はカヤ・クロイツ親衛隊曹長、この部隊の副官をしております」
カヤと名乗った女性は、ユートと呼ばれるSSの下士官よりも落ち着いており、冷静に名乗った。
これを見たバウアーとクルツ、オットーは互いに視線を合わせ、本当にかの有名なオットー・スコルツェニーの配下の部隊であるかどうか疑い始める。
「本当にあのスコルツェニーの部隊か?」
「国民擲弾兵や国民突撃隊が編成されておりますが、流石に女まみれの部隊など聞いたこともありません」
「慰問部隊…訳じゃ無さそうですね…」
戦車から降りて話し合うバウアー達を見て、ユートとカヤは、つくづく自分達が見くびられていると思う。
「やはり東部戦線帰りからすれば、僕達は軽く見られているんだろうか…」
「フッ、当然だ。私達は主戦場には出ないからな。相手をするとすれば、レジスタンスにパルチザン、それに空挺部隊や特殊部隊だ」
カヤから告げられた事実に、ユートは納得するしかなかった。
名乗ったユート等に対して失礼だと思ったバウアー等も、自己紹介を始めた。
「失礼した、まさか殆ど女性で編成された部隊があるとは。我々は第8戦車中隊のバウアーだ。あちらは副官のシュルツ」
「オットー・シュルツ曹長だ、第8戦車中隊の副官だ。よろしく頼むぞ、坊ちゃんに嬢ちゃん達」
「あの黒騎士にお会い出来るなんて、光栄です」
バウアーが後ろに立っているオットーを指差しながら言えば、彼が自分のフルネームを口にし、これから自分等と共に戦う戦友達に挨拶した。
東部戦線で英雄的行動を取る黒騎士中隊に出会えたのか、ユートは光栄に思って握手をする。次にクルツが名乗り始めた。
「自分はクルツ・ウェーバー軍曹です。よろしくお願いします、上級曹長殿」
「あっ、あぁ。よろしく頼むよ」
「二人とも馬が合いそうだ。クロイツ曹長、君もよろしく頼む」
差し出された手を取り、二人は握手を交わす。
それを見ていたバウアーはカヤにも手を出したが、自分にそれは似合わないと断る。
「大尉、私にそのような資格はありません」
「カヤ!」
手を払い除けるような行動をしたため、ユートはカヤに注意しようとするが、バウアーは気にしておらず、ユートを宥める。
「そうかっかするなツァイス君」
「部下の失礼をお詫びします、大尉殿」
「そう言うのは良い。さて、時間が勿体ない。そうだろ? クロイツ曹長」
部下の失礼を代わりに謝ろうとするユートに対し、時間を無駄にしたくないバウアーは、カヤの方へ振り返り問う。
「
「そうだな。さぁ行くぞ、ユート君」
「あっ、
カヤが笑みを浮かべながら答えた後、バウアーは呆気に取られるユートを連れ、打ち合わせを行った。
短い時間で打ち合わせを済ませれば、黒騎士中隊とシェイファー・ハウンドの混成部隊は、ベルリンを目指して進軍した
Zbv勢と他七名の原作勢は、次回から登場。
前作でガールズ&パンツァーを出しましたが、今回も出すかどうか検討中。
出すかどうかは活動報告に載せるので、意見をお聞かせ下さい。
出さない場合は、マリが出て来るかな…まぁ、チートキャラなので、出さないと思いますが