Zombie Army Trilogy クロスオーバー   作:ダス・ライヒ

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取り敢えず、マリマリを出すことにした。
今後の方針では、ヘルシング勢の参戦もアリ…
ただし、40年代なので、アーカードと少佐殿と愉快な部下達だけになるかも。


死者の村

 現代、南アメリカの密林地帯。

 そこには似合わない大戦中のドイツ海軍の大型潜水艦「UボートⅦ型」の赤錆びた残骸が打ち上げられていた。

 海も近くない密林のど真ん中にあり、船体に開いた穴から積み込まれていた物資が飛び出してしまっている。中には箱その物が壊れて、中身が外に散らかってしまった物もある。

 Uボートは何処からか運び出された感じか、上から叩き落とされた様子で、その巨体を横たえていた。

 そんな内陸部に不時着したか運び出された摩訶不思議な古い潜水艦に、興味を示した金髪の女性の探検者が訪れた。探検者の服装は、半袖半ズボンの探検服であり、頭には探検帽を被って護身用として、バスタードソードに近い剣が収まった鞘を背負い、ボルトアクション式の猟銃を持参して潜水艦に近付く。

 その探検者の容姿は浮世絵離れしており、雪のような白い肌を持ち、青空のような碧眼を持っていた。顔立ちも整い、探検服の開いた谷間から見える豊満な胸元からプロポーションも抜群だ。

 古い潜水艦に興味を示した彼女の名はマリ・ヴァセレート。詳細は単に興味本位で近付いてきただけだが、自分勝手な人物であることには限りない。

 

「ここね」

 

 そう呟いて赤錆びた残骸に近付き、散乱している物資を漁り始めた。

 

「ここに運び出されたか落ちてきて…数日前って所かな? あっ、制服」

 

 潜水艦が落ちてきたか運び出されたかの月日をざっと大まかに予想すれば、亡命しようUボートに乗船していたナチス親衛隊の将校の着替えが入ったケースを見付け、自分の背嚢に仕舞い込んだ。背嚢を背負ってから、散らばった木箱の中身を探っていき、自分にとってはめぼしい物はないと判断し、開いている穴からUボート船内に入った。

 

「臭っ…」

 

 腐敗した肉と同様な臭いに鼻を押さえつつ、マリは船内に何かめぼしい物はないかと進んだ。船内には七十年以上前に窒息したか自殺したかの乗員達のミイラ化した死体が転がっており、錆びた空薬莢が転がっている。死体を避けながら進んでいけば、自分が回収した着替えの持ち主と思われる親衛隊の将校の遺体があった。身に着けている軍服の左ポケット辺りに幾つか勲章が付けてあり、首の襟元には鉄十字勲章が離れずに付いていた。その手には大事そうに何か”おかしな物”を握りながら死んでいる。

 

「何かしら?」

 

 興味本意でそのおかしな物を死体から剥ぎ取ってみると、それは突然赤く光り出した。

 

「な、何よこれ!?」

 

 突然光り出したために、驚いて”それ”を手放してしまった。落ちた”それ”はマリを含む周囲を光で包んだ。マリは光を遮りながら、直ぐにその場から離れようとする。

 

「ちょっと! 冗談じゃないわ…」

 

 マリが言い終える前に、彼女が居るUボート全体は完全に光に包まれ、南アメリカの密林から影も形も残さず、跡形もなく消えた。マリの足跡と開いた穴から溢れだした物資だけを残して。

 

 

 

「イタタ…終わった…?」

 

 自分を含める周囲の光が晴れたところで、マリは辺りを見渡してみる。周りに見えるのはミイラ化した死体と赤錆びた船内だけだが、所々に開いた日差しが見えない。信じられないことだが、先程の光に包まれて何処かへ飛ばされたみたいだ。

 

「暑くない…? ここは南アメリカじゃないわね…ちょっと寒いし…」

 

 赤道近く特有の蒸し暑さではなく、肌寒さを感じたマリは、気温の違いで直ぐにここが南アメリカの密林でないと判断した。状況を確認するために外へ出れば、ここがヨーロッパ辺りであると推測する。

 

「ヨーロッパね…ここは」

 

 四月まで続く肌寒さと、自分の肌に合う環境である中央ヨーロッパ辺りであることが分かれば、胸にぶら下がっている双眼鏡を取り、辺りを調べる。

 

「辺りには黒煙…戦車に航空機の残骸に死体…タイムスリップしちゃったかしら」

 

 レンズ越しに見える黒煙とドイツ軍とソ連軍双方の兵器の残骸と将兵達の死体を見て、今自分が居る場所が、第二次世界大戦末期のドイツであることを認識する。レンズから目を離し、何処か安全に雨風凌げる場所に向かう。いつ兵士当たりに襲われてもおかしくないので、肩に掛けてある猟銃を取り出し、それを握りながらまだ無事な民家を目指す。

 

「っ!?」

 

「うぅ…」

 

 背後から足を音が耳に入ったため、マリは振り返り、背後から近付いてきた”何者か”に向けて発砲した。銃弾を受けた何者かは吹き飛び、地面へ仰向けとなって倒れた。

 

「誰だったかしら?」

 

 撃った何者かを確認すべく、銃を構えながら近付いた。大型動物用の大口径の銃弾を撃ち込まれたため、当然ながら胸に大きな穴が開いて即死していた。その何者かの服装は、ドイツ国防軍陸軍の野戦服であり、度重なる戦闘であったために、野戦服はボロボロであった。しかしマリにとっては腑に落ちない部分がある。それは出血が少ないからだ。

 

「出血が少ない…撃たれる前から死んでいる…!?」

 

 相手が撃たれる前から死んでいることに気付いたマリは、直ぐに死体から離れ、ボルトを引いて空薬莢を排出し、ボルトを押し込んで次の弾丸を薬室へ送り込んでから銃を構えた。

 死体の周りから魔法陣が浮かび上がり、撃たれた兵士は呻き声を上げながら復活した。

 胸の辺りを撃っても意味がないので、照準を頭部に合わせ、引き金を引いた、

 十分に当たる距離であったため、蘇った兵士の頭は吹き飛び、頭を無くした身体はそのまま地面へと倒れた。

 

「完全に死んだかしら?」

 

 空薬莢を排出してから死体へ近付き、何回か蹴って生きてないことを確認すれば、立て籠もれる家屋を探そうとする。

 向かう前に背後を振り返り、自分の背後に近付いてきた酔っぱらいのように近付いてくる兵士を撃った。

 

「やっぱ一体だけじゃないわね!」

 

 先程の撃った兵士と同様の動きをする”ドイツ兵”達が周りに居たことに気付き、自分の進路場に邪魔になるドイツ兵らを撃ち殺しながら進んだ。無論、返り血だけでなく、服が所々破れて白い肌が露わとなってしまっている。

 

「弱点はやっぱり頭…どうやらゾンビの類みたいね」

 

 頭部を撃って死ぬことから、相手がゾンビであるとマリは判断する。

 続けて撃つ内に弾が尽きてしまったのか、猟銃を捨て、背中の剣を抜いて近付いてきたゾンビを両断する。その剣の切れ味は抜群であり、斬られたゾンビは胸の辺りを残したままとなる。だが頭を完全に潰していない為に、這いずりながらマリを追ってくる。

 数体ほど蹴散らして、ドアや窓にバリケードが張り巡らされた家屋を見付ければ、そこへ向かってドアを剣でこじ開け、中に入った。直ぐにドアを固く閉じて、追ってくるゾンビがこじ開けないよう、手近にある物を使ってドアを塞いだ。

 

「これで安心…」

 

 数秒当たりでドアを頑丈に塞いだ後、一息ついて家内を見渡す。裕福な家庭のようで、置かれている家具は些か値打ちのある物ばかりだった。居間の方には、地獄のような外の状況に恐怖して自殺したこの家の主とその家族が横たえている。

 そんな冷たくなった元の主達を尻目に、マリは身体中に付いた血と汗を流すべく、無断で浴室を借りに行った。ゾンビが持っている多彩な凶器で破れた衣服と帽子を脱ぎ、下着も脱いで一糸纏わぬ姿となれば、浴室のドアを開けて中へ入り、シャワーを出す。幸いにも電気は通っているため、お湯が出て汗も返り血も流すことが出来た。

 身体中の汚れを落とした後、自分のプロポーションをさらけ出しながらバスタオルを取り、水滴を取って、近くにある着替えを手に取る。それは先程の潜水艦で自殺した親衛隊の将校の着替えだ。

 

「もうちょっと可愛いのにしたかったけど、着れる物とすればこれしか無いし」

 

 そう言いながら下着と肌着を身に着け、濃い灰色のズボンと上着を羽織れば、ボタンを閉めて臍の上辺りにベルトを着けた。黒い軍用ブーツを履いて、制帽を頭に被り、鏡の前に立った。

 

「結構似合ってるわね」

 

 鏡の前で自分の軍服姿に自惚れすれば、武器のような物を隠していないか確認するため、屋内を探し回った。

 

「こんなの隠してたなんて…略奪対策?」

 

 探し回って数分、マリはStg44と呼ばれるナチス・ドイツが開発した新兵器の一種である「突撃銃」を見付けた。

 Stg44とは、現在の突撃銃(アサルトライフル)の元祖となった銃だ。

 ナチス・ドイツの総統、アドルフ・ヒトラーは弾薬に対する補給の問題から採用に難色を示したが、性能の高さに新兵器の突撃銃として採用した。

 直ぐに東部戦線で大量配備が開始されたが、他の戦線では余り配備は見られなかった。無論、新しく生まれた銃の一種が戦況を覆せるはずもなく、結局負けてしまう。尤も、この世界では、欧州を巻き添えに滅びようとしているが。

 他に見付けた武器は、ワルサーP38自動拳銃に軍用スコップ、M24柄付手榴弾二つにM39卵形手榴弾が二つ、ダイナマイト一つとナイフが十数本だ。

 

「これで良し」

 

 装備を身に着けて準備満タンとなった所で、マリは玄関まで向かった。

 銃の安全装置を外し、ドアの前に立てば、ドアを思いっ切り蹴破って強引に外へ出た。

 マリの存在に気付いたゾンビ達は、それぞれの凶器を片手に群がって襲ってくる。中にはワルサーP38やkar98k、MP40と言った銃器を持ったゾンビも居たが、見当外れ名場所へ撃つだけで、彼女には全く命中しなかった。

 

「下手くそね!」

 

 銃を持っていても自分に当てられないゾンビを馬鹿にして、マリは突撃銃のセレクターを単発にセットし、向かってくるゾンビの頭を正確に撃ち抜いた。

 頭を撃たれたゾンビは地面に倒れ込み、元の死体へと変える。ヘルメットを被っているゾンビには跳弾して仕留め損なったが、落ち着いてもう一度頭を撃ち、死体へ戻す。

 ほんの数秒ほどで、マリに向かってきたゾンビ、ナチゾンビは全て元の死体へと戻った。まだ他に敵が居るかも知れないと思い、周囲に銃口を向けてみたが、自分以外動いている物はない。敵が居ないことを確認したマリは銃口を下げ、死体が落としたkar98k小銃を拾い上げる。手を握る窪みに血が付着していないことを確認すれば、それを握り、弾が入っているかどうかボルトを半分引いて残弾を確認する。四発以上が残っていることを確認すれば、ボルトを元の位置へ戻し、その小銃を握った。

 

「向こうから拡声器の声…誰か居るかしら?」

 

 遠くの方から拡声器による音声が耳に入ったため、そちらの方向へとマリは足を進めた。

 深い霧の中を聞こえてくる声を頼って進んだ方向にあった先は、村の出入り口だった。直ぐに胸に掛けてある双眼鏡で、村の状況を確認してみる。

 

「やっぱりこうなっちゃう?」

 

 双眼鏡の眼鏡に映る村の惨状を見て、ここもナチゾンビによる蹂躙が行われていることを確認する。出入り口の前では、木に追突したソ連軍のトラックの周りでナチゾンビが死体を貪り食っている。他には木や無惨な死体となったソ連兵や村人達の死体が吊されていた。そんな死体を他所に、あちらこちらに立っている拡声器からは、こんな放送が流されていた。

 

総統閣下(マインフィーラー)の御命令だ、全てのドイツ市民はベルリンへ来るように! 勝利は目前だ! これは我々にとって名誉となるだろう!!』

 

「名誉じゃなくて絶滅でしょ」

 

 拡声器から聞こえてくる放送にそう言えば、死体を貪り食っているナチゾンビの頭を小銃で撃ち抜いた。その距離は100m。今彼女が持っている小銃なら当たる距離だ。 正確に背中を晒しているナチゾンビの頭が撃ち抜かれれば、もう一体のナチゾンビが銃声のした方向へ身体を向け、呻り声を上げて威嚇する姿勢を取り、マリが居る方へ向かってくる。

 もう一発撃ってから仕留めれば、小銃を捨てて突撃銃に切り替え、村の中へと入る。当然の如く、ボロボロの軍服を着たナチゾンビ達が出て来た。中にはUボート乗員のナチゾンビもおり、凄まじくブヨブヨとした肌を晒していた。これにマリは、直ぐに頭を撃ち抜いて死体へ戻す。それを繰り返しながら、マリは村の奥へと突き進んだ。

 

「クソッタレのナチ共目! 俺が皆殺しにしてやる!!」

 

 道中、狂乱して自身に向かってくるナチゾンビに向けてドラムマガジンのPPsh41短機関銃を乱射するヘルメットを被ったソ連兵を見付けた。直ぐに破壊された家屋へと身を隠し、その兵士がナチゾンビを一掃するのを待つ。数秒後、ナチゾンビを一掃したソ連兵は、一息ついてから短機関銃のドラムマガジンを外して新しい弾倉を付け、右側のボルトを引いて薬室へ初弾を送って再装填を終えた。暫く周囲を見渡した後、敵影がないことが分かれば、銃口を下げる。

 ソ連兵が気を許したところで、マリは話し掛けようと、身を隠している場所から出た。だがソ連兵は黒や深緑、灰色の軍服を着た者を全てナチゾンビとしており、その対象の軍服を着ているマリを見るなり銃口を向け、引き金を引いた。

 

「ちょっと! 話聞きたいだけなんだけど!?」

 

 話を聞こうと思って姿を現せば、撃たれたため、遮蔽物へ身を隠し、相手が銃身を冷やすために引き金から指を話した瞬間を見計らい、腹に数発ほど銃弾を撃ち込む。撃たれた相手は銃を撃ちながら堅い道路の上に倒れ、胸を押さえながら苦しみ始める。

 敵がもう動かない事を判断すれば、マリは腰のホルスターからワルサーP38を抜き、近付いて自分を撃ってきた兵士に銃口を向けながら問う。

 

「ねぇ、何かあったか教えてくれない?」

 

 相手が分かるようにロシア語で問うが、そのソ連兵はアルメニア人のようで、支配層のロシア人の言葉を使う女の問いに唾で答えた。

 

「くたばれ、ナチ女…!」

 

 そう言い残し、アルメニア人のソ連兵は腹を立てたマリに眉間を撃たれ、息絶えた。

 拳銃をホルスターに戻し、マリは突撃銃を抱えながらセーフハウスがあると言う印がある家屋へ入る。出入り口のドアを開けて屋内へ入れば、家主を殺したナチゾンビ等が、バールや骨やレンチでマリを見るなり襲い掛かった。これに対し彼女は、手に持っている突撃銃で頭を正確に撃ち抜き、襲ってきた三体を元の死体へと戻した。

 そろそろ弾薬が切れる頃合いと思い、弾倉を抜いて重さで残弾を確認してみれば、丁度三十発を撃った後であり、軽かった。途中で弾の補充が出来ると思い、ポケットへ入れ込み、ポーチから新しい弾倉を出し、銃本体に付けてボルトを引いて薬室へと初弾を送り、再装填を終えてから進んだ。

 

「うわぁ、いっぱい出て来た…!」

 

 隣の家屋へ入ろうとしたとき、裏口から多数のナチゾンビがドアを破って現れたので、M24柄付手榴弾をベルトから抜き、キャップを外して紐を力一杯引き抜き、多数のナチゾンビに向けて投擲した。数秒後に投げ込まれたジャガイモ潰し器のような手榴弾は、多数のゾンビを巻き込んで爆発した。多数の肉片が辺りに飛び散り、まだ息のあるナチゾンビは、這いずりながらマリを殺そうと近付いてくる。そんなしつこいナチゾンビに関しては、銃弾で息の根を止め、先へと進んだ。

 

「ここがセーフハウスかしら?」

 

 セーフハウスと思しき場所を見付けたマリは、堅い出入り口のドアの前に立ち止まり、試しに叩いてみる。数回ほど叩けば、ドアの上に備え付けられているブザーが鳴り、大きくて堅いドアが開く。開いた先にある部屋には、多数の銃器と弾薬が蓄積されていた。

 

「セーフハウスじゃなくて武器庫か弾薬庫ね、ここ」

 

 ガンラックに立て掛けてある銃器と、置かれている弾薬箱を見て、マリはセーフハウスを武器庫か弾薬庫と表した。近くにある机の上に腰掛け、突撃銃を机に置いて一息つき始める。煙草を取り出し、一服した後に、空の弾倉に専用の弾を詰め込み始めた。三十発を詰め終えれば、開いたポーチに戻し、銃本体の弾倉に弾を込め始める。それを終えれば、喉を潤す為に水筒を手に取ろうとしたが、偶然の如くStg44用のスコープを見付けた。

 

「あっ、ラッキー」

 

 直ぐにそれを手に取り、箱から出して銃本体に取り付ける。

 ZF41と呼ばれる当時ドイツ軍に運用された高倍率スコープだ。

しかし開発コプセントは現代のダッドサイトに近く、狙撃には向かない照準眼鏡であり、ドイツ軍の狙撃兵達には不評であった。その為、民間用の照準眼鏡が多用された。 不評な照準眼鏡であったが、半自動小銃のGew43や突撃銃のStg44の為に生産が続けられた。

 準備を終えたところでマリは次のドアを開け、危険な外へと出た。外は相変わらず不気味な霧が立ち籠め、ナチゾンビが辺りを彷徨いていた。そんなナチゾンビ共に対して、彼女は容赦なく頭へ弾丸を浴びせ、元の死体へと戻す。

 ナチゾンビを倒しながら酒場と思しき二階建ての家屋へ近付き、裏口へと入ろうとしたが、二階の窓から先程のソ連兵と同様に、マリに向けて銃撃を浴びせてきた。

 

「来たな死体野郎! ド頭に風穴開けてやる!!」

 

 この叫び声からして今度はロシア人のようだが、マリの話に聞く耳を持たないようで、彼女へ向けてモシンナガンM1891小銃を撃ち続けてくる。他にもSVT-40半自動小銃やPPsh41短機関銃、DP28軽機関銃などを撃ってきた。人数からして一個分隊ほどが酒場に立て籠もっている。

 自分を殺そうとする生存者等に対しマリは、裏口に付けてある彼らのバリケードにダイナマイトを設置して爆破範囲から離れ、ダイナマイトを撃ってバリケードを撤去すると言う暴挙に出た。

 

『裏口に入ってくるぞ!』

 

『ぶち殺せ!!』

 

 爆破した裏口からソ連兵達の声が聞こえ、迎撃準備を始めている事が分かる。敵が迎撃準備をする前に裏口へ突入し、周囲にいるソ連兵全てに銃弾を撃ち込む。瞬く間に、裏口に集まったソ連兵四名が屍に変わった。

 

「殺せ、殺すんだ!」

 

 階段から数名ほどが銃を撃ちながら下りてきたが、マリは机の上に置いてあるMG42機関銃を持ち上げ、それを使って下ってくるソ連兵等に向けて掃射する。毎分1200発にも及ぶ掃射を受けたソ連兵等の身体は引き裂かれ、酒場の階段を地や肉片、贓物で汚した。一人はまだ息があったのか、呻き声を上げていたが、マリの無慈悲な銃弾でトドメを刺された。

 誰か残っていると思って、死体が落とした短機関銃を拾い上げ、二階へ上がってみると、分隊長らしき下士官がスコップで殴り掛かってきた。

 

「殺してやる!!」

 

 そう叫んでマリに殴り掛かったが、受け身を取られてしまい、床へと強く叩き付けられた。直ぐに立ち上がろうとするも、間近でPPsh41短機関銃の900~1000発の連射力を受け、蜂の巣となって力尽きる。

 

「これで終わりと」

 

 自分に襲い掛かってきた生存者等を全滅させたマリは、近くの椅子に腰掛け、置いてあるウォッカを一口飲もうとした。しかしナチゾンビは彼女にウォッカを飲ませようとせず、波状攻撃を仕掛けてきた。まだ酒場には到達していないが、多数の呻き声と軍靴の音が耳に入ってくる。

 

「もう! 空気読みなさいっての!」

 

 嫌々ながらも、マリは一階にあったMG42を予備弾薬と予備の銃身を一緒に持ち込み、声がする方向にある窓に二脚を設置し、拝上攻撃を掛けてくる敵に備えた。

 十数秒後、深い霧の中からおよそ一個小隊分は居る多数のナチゾンビが姿を現した。しかしまだまだ声が聞こえてくるからして、一個中隊ほどが居るだろう。そう思いながら、マリは電気のこぎりのような連射力を誇る機関銃を掃射する。

 凄まじい反動と共に銃弾が発射され、大多数のナチゾンビがバタバタと薙ぎ倒されていく。腐った肉が引き千切れる音が鳴り響き、頭部や腕、脚が周囲に転がる。普通の人間なら、遮蔽物へ身を隠すところだが、思考が停止したかに見える歩く死者なので、恐ろしい早さで来る弾丸を恐れずに近付いてくる。

 三分ほど撃ち続けていると、ベルトの弾丸が尽きた。直ぐに新しい弾丸が詰まったベルトに取り替え、ボルトを引いて初弾を薬室へと送り込み、引き金を引いて掃射を続行した。

 再装填をしている合間に近付かれたため、今自分が居る酒場に近いナチゾンビから仕留めていく。周囲には、これが来るのが分かっていたのか、ありとあらゆる爆発物が乱雑に置かれており、それが弾丸に当たって周囲のナチゾンビを巻き込んで爆発する。

 更に数分後、ナチゾンビの呻り声も聞こえなくなり、酒場の前の広場で動いている物は全て死体へと変わった。

 

「ふぅ…終わった」

 

 ずっと銃床が当たっていた右肩を回しながら一息つけば、MG42を置いて次の場所へ向かおうとしたが、三体ほど見逃していたようで、呻り声を上げながら階段を上がってくる。直ぐにStg44を上がってくるナチゾンビ三体へ向けて撃ち込み、死体へ戻す。

 完全に周囲の安全を確保した後、マリは次の場所へと移動した。

 着いた先は喫茶店がある通りのようで、辺りには戦闘の後と思われる死体と黒煙を上げる戦車の残骸が残されている。周囲を警戒しながら珈琲を飲もうと喫茶店の方へ向かうと、辺りが濃い霧に包まれ、ナチゾンビの波状攻撃が始まる。

 

「ゆっくり飲ませてよ…」

 

 そう言って珈琲を注いだカップを飲み干し、机の上に置いてあるMP40短機関銃を拾い上げ、向かってくるナチゾンビの頭へ向けて撃ち込んだ。

 このドイツ兵の象徴するアイテムの一種である短機関銃は集弾率が高く、余り弾がばらまかれないのが特徴だ。正確に頭に狙いを定め、一体いったいと仕留めていく。地中から這い出てくるナチゾンビも居たが、彼女の正確な射撃の前では的でしかなかった。ざっと十三人編成の分隊を二つ分片付けたところで、ナチゾンビとは違う声が聞こえた。

 

「新手かしら?」

 

 新たな敵が来ることを察したマリは、弾切れのMP40を捨て、Stg44に切り替えて備えた。

 その数秒後に、胸の心臓を光らせた血で真っ赤の骸骨の集団が霧の中から姿を現した。歩き方はナチゾンビの筋肉が腐ったような動きではなく、奇妙な歩き方であったが、彼女を殺しに来ていることには変わりない。直ぐにマリは頭部に向けて銃弾を撃ち込むが、貫通するだけで無意味であった。

 

「効かない!?」

 

 弾が通じない事に驚いたマリは、後ろへ下がってありとあらゆる場所へ銃弾を撃ち込んだ。光っている心臓に撃ち込んでみると、骸骨はバラバラになる。どうやら胸の中央に光っている心臓が動力源らしい。

 

「弱点晒してるとか、ウケるんですけど」

 

 そう弱点を晒している相手を貶した後、向かってくる骸骨の集団に光っている心臓へ向けて銃弾を撃ち込んだ。

 弾倉一つ分を使い果たせば、敵は呆気なく全滅した。霧が晴れて次なる場所への道が開けた後、マリはそちらの方向へと進む。向かっている先に砲声と銃声が連続して聞こえたので、気になって近付いてみると、T-34/85中戦車が随伴歩兵と一緒に多数のゾンビ相手に奮闘している公園であった。

 

「結構生きてるわね」

 

 影から一両の戦車と数名の随伴歩兵の奮闘ぶりを眺めていると、身体中に爆薬を巻き付け、額にハーケンクロイツの鉢巻きを付けたナチゾンビが、叫び声を上げながら全力疾走しながら戦車と随伴歩兵に近付く。

 

「”カミカゼゾンビ”だ!!」

 

「撃ち殺せ!!」

 

 随伴歩兵からの知らせに、DShk38重機関銃を撃っていた戦車長は直ぐにカミカゼゾンビを撃ち殺すよう命じるが、余りにもナチゾンビの数が多すぎ、一体を撃ち漏らしてしまう。

 戦車に取り憑いた一体は、手榴弾を口に咥えて数秒後に爆発した。身体中に巻き付けていた爆薬の数からして、十分にT-34を吹き飛ばせるほどの量であり、戦車を随伴歩兵諸共木っ端微塵に吹き飛ばした。これを見ていたマリは、カミカゼゾンビを最優先に撃ち殺すことにする。

 

「身体中に爆薬を巻いている奴を最優先に仕留めなきゃ」

 

 そう自分の中で決めつつ、身を隠している場所から飛び出し、進路の邪魔となるナチゾンビを蹴散らしながら進んだ。

 

「コンタァァァクゥゥゥ!!」

 

「来た!」

 

 何処からともなく叫び声が聞こえ、カミカゼゾンビが全力疾走で叫びながらマリに向かってきた。直ぐに彼女はカミカゼゾンビの頭に照準が定まり次第、引き金を引き、敵を黙らせる。物の数秒後、カミカゼゾンビは周囲のナチゾンビを巻き込んで爆発した。

 残った敵も全て撃ち殺せば、次のセーフハウスへと入り、弾の補充と銃の整備を行う。

 喉を潤すことや用を足すことも忘れずに済ませれば、セーフハウスを出て、何かあるかと思い、次なる目的地とされる教会と向かう。

 

「あそこが教会ね。何かあるかしら?」

 

 教会近くまで辿り着いたマリは、教会へと向かおうとしたが、道路に転がっている背中に小さな風穴を開けたドイツ兵の死体と、胸に穴を開けた女ソ連兵の死体を見て、何かあると思って近くにある馬小屋の方へ身を隠す。

 

「この死体…狙撃されてる…狂った馬鹿でも居るのかしら?」

 

 地面に横たえている死体が狙撃を受けた物と判断し、手鏡を使って教会の方を見てみると、背面にガスマスクと深緑色のコートに左腕にナチスの腕章を付けた人間が屋根の上にいた。手には狙撃用眼鏡を付けたGew43半自動小銃が握られており、ガスマスクから見せる眼鏡から得物を探していた。

 

「なにあの格好」

 

 見付からぬよう、死んでいるドイツ兵の持っていたkar98kを棒切れで銃紐に引っ掛けて取り、屋根から撃ち落としてやろうと思い、そこから撃ち込んでみたが、超人的な跳躍力で回避され、狙撃される。

 

「こんなのあり!?」

 

 不気味な笑い声を上げて跳躍する狙撃手に対し、マリは少し動揺して射撃を続けるが、どれも当たらず、次々と避けられ、一方的に狙撃される。

 

「大体読めてきた…」

 

 数分間、その狙撃手と撃ち合っている間に動きが読めたので、死体から剥ぎ取ったクリップで小銃の再装填を終えた後、狙撃手が向かった先に銃弾を撃ち込んだ。弾は吸い込まれるように狙撃の頭に命中し、頭を撃たれた狙撃手は地面へと落下した。マリは落ちた狙撃手に近付き、ガスマスクを取ってみると、顔が焼き爛れたナチゾンビであることに驚いた。

 

「こいつもゾンビなの…!?」

 

 自分を狙撃した人物がナチゾンビであることに驚きつつ、目的地の教会へと向かった。

 教会には戦闘の後なのか、ナチゾンビの手に掛かって息絶えたドイツ兵の屍が幾つかあったが、弾薬は十分にあった。それらの弾薬を手に取り、教会から出ようとしたが、周囲が霧で包まれ、そこからナチゾンビの呻き声が聞こえてくる。

 

「最後の波状攻撃って奴?」

 

 敵の波状攻撃が来ることを察したマリは二階へ上がり、そこから敵に機銃掃射を浴びせるために設置されたMG42に着き、霧の中から出て来るナチゾンビへ向けて銃弾を浴びせる。骸骨やカミカゼゾンビが混じっていたが、MG42の連射力には敵うはずもなく、バラバラになるか、周囲のナチゾンビを巻き込んで爆発する。

 第一派が全滅すれば、第二波が墓地から這い出て教会に押し寄せてきた。再装填を直ぐに終わらせ、機銃掃射を再開する。右肩に痛みと、足下が空薬莢だらけになる頃には、第二波は元の死体かバラバラになっていた。

 人差し指が切れていたので、近くにある医療パックから包帯を取り出し、指に巻いて応急処置を済ます。次は手が汚れると思い、近くで息絶えている黒い革手袋をポケットの中に仕舞っている将校から手袋を拝借し、それを自分の両手に付けた。数回ほど握った後、再び銃を取る。

 

「これで痛くならないかな」

 

 手袋を付けた後、一階へ下りようとしたが、急に連続した銃撃を受けたため、窓を覗いてみる。そこに居たのは、MG42を抱えた2mはある巨体を持つ黒いコートと黒いヘルメットを被ったナチゾンビだ。銃身を熱くしないよう、数発ほどに引き金から指を離して撃ってくる。

 

「新手!?」

 

 直ぐにマリは頭部に向けて数発ほど撃ち込んだが、相手は怯むだけで機関銃を撃ちながら近付いてくる。

 

「もう、なんなのよ!!」

 

 頭を撃っても死なない巨体のゾンビに、マリはかなり苛立っていた。手榴弾を数個ほど投げ込んでみたが、相手はコートの中に鉄板でも仕込んでいるのか、少々怯みながらも丸太のように太い脚を緩めず、機関銃を撃つのを止めない。攻撃を受けたときに上げる叫び声からして痛覚はあるようだが、ゾンビなので余り効かないようだ。

 あいつを倒さないと、前には進まない。

 そう思い、マリは立て掛けてある二連装の散弾銃を予備弾薬と共に取り、向かってくる巨体ナチゾンビに立ち向かった。わざわざ出て来てくれた得物に、巨体ナチゾンビは抱えているMG42の掃射を浴びせようとする。それに対しマリは、頭に二発の散弾を浴びせ、相手を怯ませる。被っていたヘルメットが飛び、巨体ナチゾンビは頭を抱えて悶え苦しむ。

 その隙にマリは散弾銃の再装填を終え、銃口を頭に突き付けて引き金を引いた。

 

「これで!」

 

 彼女の決め台詞と共に散弾銃の引き金が引かれ、巨体ナチゾンビの大きな頭を木っ端微塵に吹き飛ばした。頭が無くなった巨体は大きな音を立てて倒れる。これにマリは数滴ほど顔に返り血を浴びたが、ポケットから取り出したハンカチで拭き取り、そのハンカチを捨てる。

 

「さて、あそこにあるトラックで…」

 

 霧が晴れたので、道路にあるトラックへ乗ろうと向かったが、何処からともなく現れたドイツ兵達に奪われてしまう。

 

「ま、待って!」

 

 トラックへ乗り込むドイツ兵達をマリは呼び止めるが、彼らには声は届かない。

 

急げ(シュネル)! 奴が居ない間に!!」

 

「誰だか知らんが助かったぜ!!」

 

 そう驚異的な敵を排除してくれたマリに礼を言わずに、ドイツ兵達はエンジンを吹かせて何処かへ去っていった。

 

「もう! 何よ!!」

 

 置いていかれて不機嫌となったマリはその場へ座り込み、八つ当たりするように被っていた制帽を地面へ叩き付けた。それからポケットからビスケットが入った箱を取り出し、一枚ほど口に入れて食べていると、馬の鳴き声が耳に入った。ビスケットを仕舞い、制帽を被り直して、馬の鳴き声がした方向へ視線を向ける。

 

「馬?」

 

 馬小屋の方へ向かってみると、そこには一頭の白馬が鞍を付けたまま主の帰りを待っていた。

 

「あら…こんな地獄になっても主人の帰りを待ってるのね」

 

 白馬を見付けたマリは、柵を外して白馬を外へ出した。それから馬に乗り込み、手綱を握った。

 

「さて、ベルリンへ集まれとか言ってたから、ベルリンにでも行こうかしら」

 

 馬に乗ってから地図とコンパスを取り出し、自分の場所と方角を確認した後、それらを仕舞ってから手綱を握り、馬でベルリンへと向かった。




原作では、暴徒と化したソ連兵は出て来ません。この二次元作のオリジナル要素です。
アメリカ軍の将兵も、暴徒となる予定です。
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