Zombie Army Trilogy クロスオーバー   作:ダス・ライヒ

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ドグマオンラインやってて更新が遅れる…

それと今日から大佐殿参戦だよー


魔女の来訪

 カール達がトラックでベルリンへと向かう中、マリにこの地獄に続く新たな来訪者が着ていた。来訪と言っても、何らかの形で来たというのが正しいが。

 

「ここは…」

 

 声からして女性であり、その容姿は長い金髪と雪のように白い肌を持ち、長身で赤い瞳を輝かせ、整った顔立ちとグラマラスな体型の美女であった。

 彼女が目覚めた場所は、ベルリン郊外にある一軒家だ。ドイツ国防軍の敗残兵らが陣取った跡があったが、この騒ぎで何処かへ去っていった様子だ。

 

「少なくともガリア…では無いな…」

 

 聞きなれない国名を口にすれば、彼女は何か武器になるような物を探しに屋内を探した。

 

「これだけか」

 

 武器と言えば、ウェンチェスターM1898散弾銃一挺だけであり、弾も残り少なかった。どうやらここに立て籠もっていたドイツ軍の将兵らが、ナチゾンビの迎撃のために殆ど使い切ってしまったようだ。残る弾を服に仕舞いこもうとしたが、自分が何も身に着けていないことに気付く。

 

「あの衝撃で消滅したのか…?」

 

 顔を赤らめながら、彼女はこの一軒家にある衣服を探しにクローゼットのある部屋へと向かった。二階へ上がってクローゼットのある部屋に入れば、直ぐにクローゼットを開け、中にある衣服と肌着を手に取る。

その衣服は、高品質な生地で出来たドイツ国防軍陸軍の将校の軍服であった。丁度それを着ている今は亡き将校は、身長が彼女と同じ175㎝だったのか、サイズ的には合っていた。更にやや肥満体系であったのか、大き過ぎる胸のサイズにも合っている。肌着を身に着けてからその軍服を聞けば、鏡の前に立って自分の姿を見た。

 

「これも悪くない」

 

 そう鏡に映る自分の軍服姿に微笑みながら、黒い将校用ロングブーツを履き、腰にベルトを捲いて拳銃用のガンホルスターを吊るした。机の引き出しにあるルガーP08自動拳銃を取り出す。

 

「少し変わった自動拳銃だな。操作方法さえ分ければ何とかなる」

 

 ルガーP08をいじくり回しながら呟けば、ガンホルスターに入れて予備の弾倉も幾つかポケットに入れる。

 食料も取り、近接戦闘に備えて軍用スコップも取れば、ドアを開けて外に出た。

 

「戦場跡のようだが…人の気配がしないな。人の気配がする方へ行こう」

 

 拳銃を取り出しながら辺りを見渡し、辺りを警戒する。

 

「ん、死体か…?」

 

 辺りを警戒しながらベルリンへの方角へと進む。途中、kar98k狙撃銃を握ったまま死んでいるドイツ兵を見付けた。自動拳銃と散弾銃だけでは心許ないと思い、狙撃銃と予備弾薬の入った弾奏ごと取った後、目に付いた倉庫へと向かう。

 散弾銃を構えながら倉庫へ入り、敵が居ないことを確認すれば、辺りに使えるものが無いかどうかを調べ、拳銃自殺を図って死んでいるドイツ兵の死体からMP40短機関銃を拝借する。

 

「ガレージにはサイドカーか。これ程の装備は持てないな、使わせてもらうか」

 

 ガレージに入ってBMW R75サイドカーを見付けた彼女は、先ほど見付けたM39卵型手榴弾四つとkar98kとMP40、FNハイパワー自動拳銃二挺、ウェンチェスターM1897を予備弾倉や食料と共に荷台に入れ込み、ガレージのシャッターを開けてサイドカーのエンジンを掛けた。

 

「行くか」

 

 エンジンが十分に掛かったのを確認すれば、彼女はベルリンへと向けてサイドカーを走らせた。

 

「それにしても異常だ…一体何が起きている…?」

 

 サイドカーを走らせながら周囲の過ぎ去っていく異様な景色を見て、妙な胸騒ぎを感じる。あちらこちらに無残に殺されたドイツ兵やソ連兵の双方の無残な死体が転がり、更には木の杭に串刺しにされた死体まであった。これには流石に戦場を知る彼女は、顔を引きつかせる。

 数十分ほどサイドカーを走らせれば、ベルリンの出入り口まで辿り着く。そこにもまた、彼女が嫌悪感を抱かせるほどの光景が広がっていた。

 

「女子供まで異常に殺されているのか…長くここには居たくない物だな」

 

 砲撃や爆撃で破壊された都市のあちらこちらに吊るされているベルリン市民の死体を見ながら、彼女は早くこの場から逃げ出したい気持ちになってきた。

 

「なっ!?」

 

 走行しているうちに彼女が乗るサイドカーが対戦車用の地雷を引っ掛かった。前輪が地雷に引っ掛かって爆発し、彼女の身体は宙を舞う。数秒後に固い道路に投げ出され、数mほど転がった後、彼女は気を失った。

 

「やったぞ! 誰か知らんが引っ掛かった!!」

 

「同志、今の人間なんじゃ…?」

 

「馬鹿野郎、人間でもナチの軍服を着てた。つまり奴らの手先だ」

 

 彼女のサイドカーを破壊した地雷を設置したと思われる者達が物陰から姿を現し、前輪が吹き飛んで横転したサイドカーに近付き、彼女が詰め込んだ食料や弾薬などを奪おうと、バールでトランクをこじ開けようとする。

 男たちが身に着けている衣服はソ連赤軍の軍服であり、装備類などソ連赤軍正規の物ばかりだった。しかし正規兵は少数であり、大半は私服で雑多な装備を身に着けた男女、パルチザンと呼ばれる共産ゲリラが大半である。一人の男が彼女に気付き、その長い髪を掴んで仲間に問い掛ける。

 

「おい、あのサイドカーに乗っていたのは女だ。銀髪の女だが、身体つきは絶品だ。しかもまだ生きてる」

 

「なんだと同志? ファシストの連中は金髪の女が好みだと思ったが…こんな女まで居るとは…よし、後で頂いて…」

 

 正規兵の男が下品な企みを口にした途端、彼女の長い髪を掴んでいる私服の男の首から大量の血が噴き出した。

 

「うっ、うわっ!?」

 

「起きてるぞ!」

 

 気絶していた筈の彼女が突然意識を取り戻し、素早い動きで仲間の首をナイフで欠き切った為、ソ連兵のパルチザンたちは彼女に銃を向ける。直ぐに撃つべきだが、近くにソ連兵が居るため、撃てないのだ。

 

「このアマ!」

 

 一番近くに居るソ連兵がナイフを抜いて彼女に斬り掛かったが、あっさりと避けられ、喉を斬られる。

 

「撃て、撃て!!」

 

 喉を斬られたソ連兵が大量に血が噴き出している首を抑えながら悶え苦しむ中、銃を持つ者達は一斉に彼女へ向けて手に持っている銃を撃った。

 雨のような銃弾が襲い掛かる中、彼女は物陰に飛び込み、ガンホルスターに収めてあるルガーP08自動拳銃を引き抜き、安全装置を外して自分に銃を撃ってくる敵に撃ち返す。その狙いは正確であり、三人以上が倒れた。

 

「殆ど素人か。うっ…!」

 

 撃つ体勢がソ連兵以外、殆ど素人同然な動きであるため、彼女は勝てると見込んだ。

 全く近付いてこないので、その隙に折れた左腕を力尽くで元に戻し、使えるようにする。

 

「向こうに移動するか」

 

 敵は同じ場所を撃ってばかりいるので、彼女は道路にあるドイツ軍やソ連軍の車両の残骸を利用し、敵から見えないよう近くにある爆撃で廃墟同然になった建物へ移動する。数秒後辺りに敵は何名かを回り込ませたが、彼女が居ないことに驚き、辺りを探し始める。

 

「居ないぞ!」

 

「探せ! 同志を殺したことを後悔させてやる!!」

 

 リーダーらしきソ連兵が仲間たちに彼女を探すよう大声で叫ぶ。当の彼女はそれを良いことに、銃撃戦か惨劇で死んだかわからない程バラバラになったドイツ兵が持っていたMG42機関銃を取り、敵を一掃できる位置である二階まで上がって窓に二脚を設置し、弾が入っているかどうかを確認した後に、まだ散会していないパルチザンたちに向けて発砲した。

 電気のこぎりのような凄まじい銃声が鳴り響き、狙われたパルチザンたちはバタバタと倒れていき、更に手足を引き千切った。彼女が引き金から指を離すころには、手足を引き千切られてうめき声を上げる数名しか生き残っていない。

 

「MG42だ! 手榴弾を投げ込め!!」

 

 まだ健在な数名ほどが彼女の居る建物に向けて手榴弾を投げ込もうとしたが、彼女の反応が早く、手榴弾を投げる前に死体へと変えられた。

 

「う、うぅ…!」

 

 リーダーと思われるソ連兵が腹から内臓を吹き出していたが、まだ息があった。

 状況を知らない彼女は直ぐに近づき、ここが何所で何が起きているかどうかを問う。

 

「おい、ここは何所だ? 町並みからして中欧辺りだと思うが?」

 

「なんだお前…一体何が起きているのか分からないのか…?」

 

「分からない…? 分からないとはどういう意味だ…?」

 

 リーダーが言っていることが理解できない彼女はもう一度問い掛けたが、問い掛けた本人は彼女の顔に血を吹きかけた。

 

「お前たちがやったことだ…このナチ公が…!」

 

 そう言った後、リーダーは息を引き取った。

 顔に着いた血をハンカチで吹き払う中、彼女は背後から這いずりながら近付いてくる何者かに気付き、既に弾が無くなったMG42の木製ストックで近付いてきた何者かの頭を潰した。

 

「なんだこいつは…!?」

 

 潰した死体は手足を失ったナチゾンビであったが、彼女はまだその存在には気付いていない。まだ息のあるパルチザンたちが「助けてくれ」と喚き散らしているが、彼女は彼らの話す言葉を理解できない。そればかりか彼女が周囲に目を向ければ、四方のある多数のナチゾンビが近付いてくる。

 

「不味いことには変わりないな」

 

 そう自分が置かれている状況がかなり不味い状態だと理解すれば、直ぐに彼女は迎撃態勢を整えた。サイドカーの荷台から持ってきた武器弾薬を取り出し、近くにあるヘッツァーの残骸の上に置く。手袋をはめれば二挺の自動拳銃を手に取り、二つともちゃんと弾が装填されているよう確認すれば、弾倉を本体に戻し、押し寄せて来るナチゾンビの接近に備えた。

 

「五、四…三、二…」

 

 残った生存者達を雑多な鈍器などで殺しながら、周りから接近してくるナチゾンビが十分な距離まで来るのを待つ。

 

「一!」

 

 十分な距離まで近付けば、彼女は左右に拳銃を向け、引き金を引いた。

 狙ったのは左右から接近してきたナチゾンビの頭部であり、正確に眉間を撃ち抜き、元の死体へと戻す。

 最初の二体が倒れたところでで、次から次へとナチゾンビが彼女に飛び掛かったが、飛び掛かった数体分だけ数秒足らずで動かない死体になった。彼女は華麗な動きで振り下ろされる鈍器を軽やかに回避し、正確に弱点である頭に銃弾を撃ち込む。しかも照準器を覗かずに。並大抵の人間が成せる技ではない。

 彼女が持つ二挺のFNハイパワーの装填数十三発程を撃ち尽くすころには、大量のナチゾンビの死体が道路に倒れていた。

 衰えることなくナチゾンビは来るが、彼女が二挺の自動拳銃の再装填を行えるほど距離があり、彼女は余裕をもって自動拳銃の再装填を行う。

 

「数が多いな」

 

 再装填を終えれば直ぐに向かってくるナチゾンビの頭に撃ち始め、元の動かない死体に戻す。

 

「ちっ!」

 

 何発も連続で撃ち続けている所為か、右手に握る自動拳銃の空薬莢がスライドに引っ掛かった。直ぐにスライドを引けば良いのだが、生憎とナチゾンビが待ってくれない。彼女はその自動拳銃を、まだ残っている弾倉を引き抜いてから手近に居る豪く腐敗したナチゾンビの頭に目掛けて投げ飛ばす。

 勢い良く飛ばした所為か、自動拳銃は顔面に突き刺さった。死体の腐敗ようからして、六年位前の戦死者であろう。

 自動拳銃でナチゾンビの一体を仕留めた彼女は、空いた手で置いてあるMP40を手に取り、左手の自動拳銃の残弾が無くなるまでナチゾンビを撃った。FNハイパワー自動拳銃の弾がなくなればそれを捨て、空いた左手で短機関銃の弾倉を握り、周囲に群がってくるナチゾンビを撃ち始める。

 十数体以上を撃ち殺すことに成功したが、弾倉分の数を遥かに上回る数のナチゾンビが迫ってくる。まさに焼け石に水であるが、それでも戦い続けなければならない。向かってくるナチゾンビを撃ち殺しつつ、彼女は次に散弾銃を手に取る。

 

「これが散弾銃か」

 

 纏めてナチゾンビを吹き飛ばした後、彼女は散弾銃の威力に少しばかり驚きながら、ポンプを引いて空薬莢を排出してから、左から来る集団に向けて撃ち込んだ。ナチゾンビの四方が吹き飛び、血が噴き出る中、次々と押し寄せて来るナチゾンビに向けて彼女は散弾銃を撃ち続ける。

 散弾銃の弾を全て撃ち尽くすころには辺り一面血の一面となる。だが、ナチゾンビは衰えることなく押し寄せて来るので、彼女は次に狙撃銃を手に取る。しっかりと構えて照準器に二体のナチゾンビが揃えば、引き金を引いた。銃声が響いた後、勢い良く発射した弾丸は一体目を貫き、二体目の頭に命中した。

 

「7.92mmの威力は高いな」

 

 額に大きな穴を開けて倒れるナチゾンビを見て、kar98k小銃の使用弾である7.92×57mm弾の威力を改めて知った後、彼女はボルトを引いて空薬莢を排出し、押し込んで次弾を装填しつつ、引き続き照準器に二体か三体かのナチゾンビの頭が揃えば引き金を引き、纏めて倒し続けた。

 

「コンタァァァクゥゥゥゥ!!」

 

「こんな奴まで居るのか。纏めて潰すのが楽だな」

 

 五発目を薬室に送り込んだ後、身体中に爆薬を巻いたナチゾンビ、通称ボマーゾンビが全力疾走しながら彼女に近付いてきた。周りには他のナチゾンビが大勢おり、爆薬を撃てば纏めて一掃できると睨んで爆薬に照準器を合わせて引き金を引いた。

 彼女が睨んだ通り、爆薬を撃たれたボマーゾンビは周りのナチゾンビを巻き込んで跡形も無く吹き飛んだ。肉片や血の雨が飛び散り、彼女の白い肌を赤黒く染める。

 

「汚いな…」

 

 弾の無くなった狙撃銃を捨てて袖で顔を拭う中、彼女はM39卵型手榴弾を手に取り、安全キャップを外してからバールを振り下ろそうとするナチゾンビの口にそれを突っ込んだ。

 

「グォ?」

 

 口に手榴弾を無理やり突っ込まれたナチゾンビは何も理解できていない様子であった。直ぐに彼女は手榴弾の起爆紐を引っこ抜き、群がっているナチゾンビの方へ向け、手榴弾を咥えたナチゾンビをそちらの方向に向けて思いっきり蹴とばした。

 起爆まで余裕があるのか、近くにある何か盾になるようなもので身体を防御する。

 数秒後に手榴弾は爆発し、血と肉片が辺りに飛び散った。彼女が盾にしていた瓦礫に血と肉片がこびり付き、真っ赤に染まっていた。彼女はその瓦礫を地面に戻し、落ちている短機関銃を拾い上げた。

 

「さて、他の生存者を…」

 

 周囲の敵を制圧した彼女が次なる場所へ移動しようとした瞬間、近くに榴弾が炸裂した。

 

「なに、装甲車両か…!?」

 

 榴弾が炸裂して両手で顔を守っていた彼女は、近付いてくるキャタピラ音に気付き、それが大砲を搭載した装甲車両と認識した。

 音が聞こえて来る方向を見れば、ヘッツァー軽駆逐戦車が車体の上にウクライナ武装SS義勇兵を乗せて彼女に向かってくる。車体の上に乗っているウクライナ人の兵士たちはドイツ軍の武器とソ連の鹵獲武器を所持している。大した射撃力の無いナチゾンビよりも非常に厄介な敵だ。直ぐに彼女は起き上がり、遮蔽物となる近くの建物に飛び込もうとするも、ヘッツァーからのもう一発の榴弾が近く着弾した。幸運にも破片は当たらず、近くの建物に飛び込むことは成功したが、右腕に破片が刺さった。

 

「軽駆逐戦車か、我が軍のと良く似ているな」

 

 右腕に刺さった破片を無理やり引き抜きながら、停車して乗っている歩兵を下ろしているヘッツァーを見て、自分が属していた軍が保有している軽駆逐戦車と似ていることを思い出す。

 

「あの女を殺せ! 大佐殿に逆らえばどうなるか分かっているな!?」

 

「りょ、了解です!」

 

 武装SSの野戦服を着たルーマニア人将校が、降りた格下のウクライナ兵達に母国語で命じれば、ウクライナ義勇兵たちは下手なルーマニア語で返答し、彼女を殺そうと銃を抱えながら近付いてくる。

 MG42機関銃かDP28軽機関銃を持つ兵士達は、彼女が飛び込んだ建物に向けて制圧射撃を掛ける。ヘッツァーの車体上部に搭載してあるリモコン式のMG42もそれに加わる。居ると思われる敵の動きを封じている間に、kar98kやMP40、Gew43半自動小銃、PPsh41短機関銃を持つ歩兵らが突撃を仕掛ける。

 このウクライナ義勇兵たちはドイツ軍式の訓練を受けているためか、かなり動きが精錬されていた。ヘッツァーに乗る武装親衛隊の軍服を着こむルーマニア人将校もドイツ式の士官学校で学んでいる様子だ。

 

「手榴弾!」

 

「了解!」

 

 入り口前まで来れば、M24柄付手榴弾をそこへ投げ込み、爆発してから短機関銃を持つ兵士らが突入する。突入してから周囲に向けて連射し、十数発以上撃ってから引き金から指を離した。ありとあらゆる場所へ銃口を向けて出てこないことを確認すれば、下士官が何組かに別れて探索するよう指示を出す。

 

「一班三人に別れて探し出せ!」

 

『了解!!』

 

 指示に応じ、ウクライナ人の義勇兵たちは三班に別れて彼女の探索を行った。突入してきたウクライナ義勇兵の数は十一名であり、残りの機関銃を持つ兵士三名は外で待機している。分隊長である軍曹と伍長は入り口を見張る事となる。

 

「(少し厳しいな)」

 

 銃口を周囲に向けながら辺りを警戒するウクライナ義勇兵を見て、彼女は少しばかり厳しい相手だと認識する。身を隠し、持ってきた短機関銃が無事かどうかを確認した後、自分に気付かず近付いてくる敵兵に向けて撃ち込んだ。

 

「居たぞ!!」

 

 一人が撃たれて倒れれば、残った二人は大声で仲間に知らせ、背を低くしながら持っている小銃を彼女が潜んでいる場所へ向けて撃ち始める。これにより他の敵兵達が駆け付けて来る。更には外で機関銃を持つ兵士らも建物に突入してきた。

 

「厄介なことになったな」

 

 大声で叫びながら銃を撃ってくる敵兵等に応戦しながら、彼女は少し焦りを見せる。

 壁越しに短機関銃を撃ちながら応戦していれば、柄付手榴弾が二つばかり飛んできた。

 幸いにも飛んできた手榴弾は直ぐに起爆せず、投げ返すには十分な時間があった。彼女はこれを手に取り、飛んできた方向へ向けて投げ返した。

 

「うわっ!?」

 

 ウクライナ義勇兵が声を上げて驚いたが、これが彼らの遺言となった。

 手榴弾は爆発し、最初に彼女へ向けて銃を撃ってきた二人は死亡した。だが、彼らが銃を撃ってきたおかげで他の敵兵達が集まってくる。

 

「あそこに居るぞ!」

 

「殺せ! 殺すんだ!!」

 

 ウクライナ語でそう叫びながら、敵兵達は銃を撃ちながら徐々に距離を詰めて来る。

 

「抜け道を探すか」

 

 遮蔽物に隠れて銃弾を避ける中、彼女は敵の裏をかくために周囲を見ながら抜け道となる場所を探す。

 目を凝らして探していれば、直ぐに抜け道となる場所を見付けることが出来た。敵はまだそこに彼女が居ると思って制圧射撃を続けており、そこへ行くのは容易いことであった。

 数発ほど撃ち返して居ると思わせてから移動し、敵の後ろを取ろうと物音を立てぬよう静かに早足で進む。まだ銃声が鳴りやまないでいることから、未だにそこへ向けて撃ち続けているようだ。向かいながら短機関銃の弾倉を満タンな物に取り換え、銃声を頼りにそこへ向かう。

 

「(まだ気づいてないな)」

 

 自分の存在に気付かず、大声を上げながら指示を出す下士官を見ながら彼女はナイフを引き抜き、その軍曹の階級章を付けたウクライナ人の背後に近付き、喉に先端を突き刺した。

 刺された首元から血が噴き出る中、刺された軍曹は息のあるうちに彼女を殺そうとしたが、もっと深く刺されて息絶える。

 

「あそこに居たぞ!!」

 

 彼女の存在に気付いた他のウクライナ人義勇兵たちが銃を撃ってきたが、撃つのは彼女の方が早く、数名以上が短機関銃の銃弾を浴びて死亡する。

 

「あぁぁぁぁ!!」

 

 生き残ったウクライナ義勇兵がPPsh41を乱射したが、全くの無駄弾であり、ルガーを切り替えた彼女に腹を数発ほど撃ち込まれ、銃を撃ちながら踊るように死んだ。

 他のウクライナ義勇兵たちも仲間を殺されて怒りを覚えて襲い掛かって来たが、あっさりと彼女に撃ち殺されるか、ナイフで刺殺され、スコップで撲殺される。

 

「グッ…あぁ…」

 

 最後の一人が入り口前で力尽きれば、彼女は外に出て、外で待ち構えているヘッツァーに構えた。

 

「なんて女だ…! しかし車両には勝てまい。榴弾で跡形も無く…」

 

 車内からウクライナ人義勇兵一個分隊を壊滅させた彼女の強さに、ルーマニア人武装SS将校は恐怖を感じた。直ぐに砲手に榴弾を撃ち込んで跡形も無く吹き飛ばそうとしたが、自分たちが乗っているヘッツァーが何所からか攻撃を受けて吹き飛んだ。

 これには流石の彼女も驚きの様子であり、今手にしている機関銃を周囲に向けて辺りを警戒する。

 

「味方では…無いな…」

 

 自分の目の前にある脅威を排除した人物を見ながら、彼女はそう呟いた。

 ヘッツァーを破壊した人物は五階建ての建物の屋上に居り、手には使用済みの使い捨て対戦車火器であるパンツァーファウストが握られていた。シルエットは女性であり、彼女と同じく腰まで届く長い髪を持っている。銀髪ではなく、金髪であり、スタイルは少々彼女より劣るが、容姿は負けないくらいの物だ。

 その正体とは、V2製造工場から脱出した一行の一人であるマリであった。マリは使えないパンツァーファウストを捨て、段差を辿りながら降り、彼女の前に立つ。

 わざわざ相手の方に近付いたのは共闘するのではなく、どうやら彼女を敵対視している様子であり、帽子を脱ぎ捨ててナイフを抜いた。しかし手に持っているStg44突撃銃は捨てず、左手に握ったままだ。敵対意思を見せるマリに対し、彼女も臨戦態勢を取って手に持った短機関銃をもったまま臨戦態勢を取る。

 数秒間の睨みあいの末、先に手を出したのはマリであった。手に持った突撃銃の銃口を彼女に向け、引き金を引いて撃ち始める。これに対して彼女も移動しながら撃ち返す。お互いが持っている銃の弾を撃ち尽くせば、手に持っている拳銃を引き抜き、まるで阿吽の呼吸のように同時に撃つ。

 

「クッ…!」

 

「キャッ…!」

 

 同時に撃った瞬間に互いの拳銃が弾け飛び、両者とも拳銃を握った手を抑えながら睨み合う。

 

「ハァァァ!」

 

次もまた先に動いたのはマリであった。左手に握ったナイフで彼女に斬り掛かり、その妖艶な身体にナイフを突き刺そうとする。これに彼女は鍛え抜かれた持ち前の反射神経で避けつつ、マリの腹に拳を強く打ち込む。

 

「ぐぁ…!」

 

 女性は筋肉量が少なく、少しの打撲でも男性より激痛を感じやすい。ましてやマリのように一切筋肉の無い身体つきの女性は、かなり痛みを感じやすいだろう。彼女は口から唾液を吐き出す。

 

「このぉ!!」

 

「ぐっ…!」

 

 彼女が追撃を仕掛けようとした時、マリは痛みで怒りを覚えたのか、左手にナイフを持ち替え、彼女の腹を斬り付けた。斬られた個所から血が滲み出たが、幸いにも内臓が飛び出すほど深く斬られていない。直ぐに反撃の拳をマリに打ち込む。

 これにマリは左手で彼女の拳を防ぎつつ、ナイフを自在に扱って連続の突きを繰り出すも、彼女の衣服を切り刻むだけで肌に全くかすれもしなかった。

 

「うっ!? 卑怯な…!」

 

 自分より体格も容姿も勝っている女の肌にナイフが突き刺さらないことに腹を立てたのか、地面の砂を彼女の目線に向けて蹴った。これに彼女は左手で砂を拭いつつ、卑怯な手段を取るマリを罵倒する。

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

 そんな罵倒されるマリは容赦なくナイフを振るい、彼女の背中にナイフを突き刺した。

 突き刺された痛さに彼女は声を上げる中、何とか力を振り絞り、マリの顔面に肘打ちを食らわして距離を取る。

 

「痛っ…」

 

 肘打ちを受けた頬を抑えつつ、背中のナイフを引き抜く彼女を睨んだ。

 そんな彼女らの勝負に水を差すように、骸骨やマシンガンゾンビを加えたナチゾンビの大群が押し寄せて来る。

 

「邪魔」

 

 そう言って背後から飛び掛かって来たナチゾンビを、まるで居るのが分かっているが如くマリは組み伏せ、襲って来たナチゾンビが持っていたバールで持ち主の頭に突き刺した。

 銀髪の彼女の方も、襲ってくる数体のナチゾンビを奪った武器を使い、秒単位ほどで片づける。

 機関銃を撃ってくるマシンガンゾンビに対し、彼女らはナチゾンビが持っている重火器を奪い、頭部に向けて何発も銃弾を撃ち込んだ。無論、マシンガンゾンビは五発ほどのライフル弾を撃ち込む必要があり、そう簡単に倒れる敵ではない。それを知らない彼女は少し焦っているのを見て、マリは嘲笑うような表情を浮かべる。

 しかし自分で彼女を殺したいマリは、頭部を吹き飛ばしたマシンガンゾンビのMG34機関銃を奪い取り、銀髪の美女をハチの巣にしようとするマシンガンゾンビの頭部に向けて撃ち込んだ。

 MG34機関銃は後年開発されたMG42よりも高価で連射力が劣るが、精度は高く、命中率はMG42より優れている。

 さらにマリの射撃力の高さが重なり、数秒ほどで銀髪の彼女の周囲に居たナチゾンビや骸骨ごとマシンガンゾンビを倒した。

 

「助けてくれたのか…?」

 

 そうマリに問い掛ける彼女であったが、当の本人は答えず、近付いてくるナチゾンビや骸骨に向けて機関銃を撃つだけであった。

 何も答えないマリの事を放って置き、彼女も持っている小火器で近付いてくるナチゾンビの頭を撃つ。辺りを制圧した後、マリに礼を言おうとしたが、邪魔物が消えたのか、彼女に襲い掛かって来た。

 

「感謝す…」

 

「とりゃぁ!」

 

 今度はナイフを使わず、拳と足だけで攻撃を繰り出してくる。

 これに彼女は応戦するが、先ほどのナイフとは違って動きが読めず、顔や腹、脚に何発もの打撃を受ける。

 

「ぐっ…!」

 

 怯んだところでマリが顔面に強烈な蹴りを入れ込み、彼女は顔を抑えながら後退る。

 蹴られた個所である鼻を抑え、潰れていないことを確認すれば、鼻血を拭ってからマリに挑発を仕掛ける。

 

「この程度か? 雌豚」

 

 この一言にマリは怒りを覚えたのか、軍服の上着を脱ぎ、そこらに捨ててから自分の剣を引き抜き、襲い掛かって来た。剣で襲い掛かるマリに対し、彼女はナチゾンビの死体から鈍器を取り、それで剣の刃を受け止める。無論、二回くらい受けたくらいで切断され、防御手段で使える物ではなかった。

 直ぐに距離を取り、近くで死んでいる国民突撃兵の老人が持っているモーゼルC96自動拳銃を拝借し、その古めかしい拳銃でマリを撃とうとした。

 

「まだ湧いてくんの!?」

 

 銃声が響いた後にマリが足を止め、建物から建物へ脅威の飛躍で飛び移るスナイパーゾンビの存在に苛立った。まだスナイパーゾンビの存在を知らない彼女には先程の敵対してきた人間の兵士だと思ったが、マリの背後で脅威の飛躍で飛び回るスナイパーゾンビを見て、それを脅威と認識する。

 

「あいつ等から仕留めるか」

 

 スナイパーゾンビはマリのみならず、自分に向けて撃ってきたので、自動拳銃の安全装置を外し、進路を予想してそこに銃弾を撃ち込んだ。見事にそこへ吸い込まれるようにスナイパーゾンビが飛び込み、銃弾を受けたスナイパーゾンビは地面へと落下した。マリの方もいつの間にか回収していたワルサーP38自動拳銃でスナイパーゾンビを撃ち落としていた。

 

「しつこいわね…」

 

 これで戦闘を再開…と、思いきや、周囲から新手のナチゾンビが湧いて出て来る。

 全身に炎を纏って個人装備を身に着けている巨漢のナチゾンビや、甲冑を身に着け、ドイツの刀剣類を持つドイツ騎士のゾンビ集団、チェーンソーを持った場違いと見えるナチゾンビがマリと彼女に向かってくる。さらには通常と言うべきか、普通の歩兵装備のナチゾンビも出て来た。

 

「はぁぁぁ!!」

 

 群がってくるナチゾンビをマリが剣で次々と斬り殺していく中、銀髪の彼女は撃ち殺したドイツ騎士ゾンビからロングソードを奪い取り、群がってくるナチゾンビやドイツ騎士ゾンビを斬る。

 辺り一面が真っ赤に染まり、ナチゾンビや騎士ゾンビの死体で溢れていく中、共闘していると思っていたマリが、攻撃できる隙を見付ければ彼女に斬り掛かって来る。

 

「おい、周りが見えないのか…?」

 

「私にはあんたを殺すことしかないけど?」

 

 流石にこれには怒りを覚えたのか、剣を交えつつ彼女は周りの敵を片付けてからしろと告げるが、マリは聞く耳を持たず、背後から迫ってくるナチゾンビを斬り殺しつつ、次なる一撃を彼女に加えて来た。

 

「グォォォォ!!」

 

 そんな死闘を繰り広げる二人の間に、全身を炎で纏った巨漢のナチゾンビが唸り声を上げながら片手斧を振り下ろそうとしたが、勝負に水を差された彼女らの同時の突きを頭部に受け、地面に倒れ込む。

 数秒後にその巨漢のナチゾンビは周囲のナチゾンビや騎士ゾンビを巻き込んで爆発したが、二人は爆発の数秒後にそれを察知し、地面を蹴って爆発から逃れられる場所まで退避した。退避した先でもナチゾンビや騎士ゾンビはまだ大勢残っており、爆風で倒れていた数十体は立ち上がり、再び彼女らに手に持った鈍器や刀剣類で襲い掛かってくる。

 二人はそんなナチゾンビや騎士ゾンビにお構いなしに死闘を再開し、互いに剣をぶつけ合う。時折に周囲から次々と襲い掛かってくるナチゾンビや騎士ゾンビを倒しつつ、ただひたすら二人は剣を振るっていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 

「てやぁ! っ!?」

 

 周りの敵を倒しつつ死闘を繰り広げる中、チェーンソーを持った巨漢のナチゾンビが、エンジン全開のチェーンソーを振り回しながら襲って来た。二人は地面に伏せて相手が大勢を直して次なる攻撃に移る前に腹を斬り、斬られた個所から内臓をこぼしながら怯むチェーンソーゾンビに向け、強烈な蹴りを防護マスク越しの顔に加えた。

 

『邪魔だ!!』

 

 二人同時に叫びつつ、手に持った剣でチェーンソーゾンビの両腕を斬り落とし、さらに両足を切断したのちに頭を斬り飛ばした。

 邪魔物を排除したところで、二人は再び剣を混じり合わせ、死闘を続ける。

 身に着けている衣服は凄まじい戦いの末に切り刻まれ、所々に白い肌を見え隠れしているも、二人は周りの視線に対してお構いなしに剣を交える。

 お互い凄まじい死闘の故に興奮状態に陥っており、勝負に邪魔をするものであれば容赦なく剣を振りかざし、惨殺する程であった。

 

「はぁぁ!!」

 

「やぁぁぁぁ!!」

 

 戦いもエスカレートしていき、身体を敵の返り血で真っ赤に染めながらも剣を振るい続けた。

 

『っ!?』

 

 激闘のあまり互いの剣が弾け飛んでしまったが、それでも二人はまだ戦いを止めず、拳で互いの身体や顔面を殴り合う。激しい死闘を繰り広げる二人にお構いなしにナチゾンビや騎士ゾンビが襲い掛かるが、全く相手にならず、ただ吹き飛ばされるか、逆に武器を奪われて殺されるだけであった。

 

「ン? 何の騒ぎだと思って駆け付けてみれば、何をやってるんだ、あの死にぞこない共は?」

 

「分かりません、それに見ないのが幾つか混じっておりますが」

 

「それにあの真ん中で殴り合っている二人の女が居るな。事情は知らんが助けてやろう。こちら中隊本部、各車、二人のお嬢さん(フロイライン)に当てんように撃てよ!」

 

 激闘が続くかと思ったが、遂に終わりの時が来たようだ。

 ティーガーⅡ重戦車に乗るバウアーが、ナチゾンビや騎士ゾンビに包囲されている二人を見付け、救援を行うと後続の車両に告げた。

 

「了解しました大尉、なるべく傷つけないようにします。砲手に前方機銃手、絶対に二人のお嬢さん方に当てるなよ」

 

 バウアーの部下であるクルツが応じれば、共に戻って戦隊に復帰したユートとカヤも命令に応じた。

 

了解(ヤヴォール)、こちらシェイファー・ハウンド、救援活動を協力します!」

 

『了解です大尉殿。よし、砲を撃ちながら突撃しろ。包囲されている人間を救出する』

 

 一同が二人の救出を行うため、互いに乗り込む車両の主砲をナチゾンビや騎士ゾンビの集団に向けて発射した。凄まじい砲声の後に、二人の周囲に群がっていたナチゾンビ群は吹き飛ばされる。赤い血煙が上がる中、シェイファー・ハウンドの歩兵班を乗せたハノマークと、シュタイナーが率いるZbvの各車両が突撃を仕掛ける。

 周囲のナチゾンビを一掃すれば、ハノマークが搭載機銃を撃ちながら停車し、乗っている歩兵が続々と下車し、まだ残っているナチゾンビの掃討を始める。甲冑を身に着けている騎士ゾンビには少し手こずるかと思ったが、案外そうでもなく、kar98kやStg44のライフル弾であっさりと制圧された。

 

「せいっ!」

 

 歩兵班と共に飛び降りた佳織は周囲の騎士ゾンビを軍刀で斬り殺し、リィア率いる歩兵班の背後を守る。

 

「居たぞ! っ!? 殴り合いをしていて周りが見えてないのか? 横に着けろ、私が直接二人を殴って終わらせる!」

 

 自車であるⅢ号突撃砲A型を強引に進めてナチゾンビや騎士ゾンビを引き殺しつつ、カヤは直接向かって殴り合っている二人を止めようとしたが、その必要はなかったようだ。

 シュタイナーが乗る指揮車であるSd Kfz250の車体の上から、M1ガーランドの狙撃モデルを持つカールが構え、走行中にも構わず、迷い無しに引き金を引いた。

 発射された弾丸は殴り合っている二人の間を通過し、間から襲い掛かろうとしたナチゾンビの頭部に当たった。二人は互いに距離を取り、互いに拳銃を引き抜いて自分等に向けて銃弾を放ったカールの方へ銃口を向けた。

 シュタイナーとカールが乗る指揮車とカヤが乗る突撃砲が停車したころには、周囲に湧いていたナチゾンビや騎士ゾンビは元の屍に戻っていた。Zbvの歩兵らが周囲で索敵を行う中、マリは殴り合いを再開しようとする。

 

「お前はそこでじっとしていろ」

 

 銀髪の彼女を睨み付け、飛び掛かろうとしたマリであったが、首元にワルサーP38のハンマーを叩き付けられ、固い地面に顔面をこすりつけられる。そんなマリに向け、マイタが上着を被せる。理由はアッシュとコワルスキーが嫌らしい目付きでマリの身体を見ていたからである。

 一方でZbvの兵士らに短機関銃の銃口を向けられ、上着を羽織っている銀髪の彼女はシュタイナーから尋問を受けていた。

 

「女、お前の名は? それにどこの所属だ?」

 

「セルべリアだ、セルベリア・ブレス…所属は…言わん」

 

「セルべリア…名前からして東欧系か? その制服からして、国防軍情報部か?」

 

 名前が判明した彼女に対し、シュタイナーは続けて問うが、セルべリアは顔を下に向けながら回答を拒否する。これにシュタイナーは拳銃を使って問おうとしたが、バウアーに止められた。

 

「まぁ、なんにせよ、あの女と対等に殴り合っていた女です。使える人員には変わりありませんよ」

 

「フン、使える人員は一人でも多い方が良い。助かったよ大尉、おかげで弾が無駄にならずに済んだ」

 

 あのマリと対等に渡り合っているセルべリアが使える人員とバウアーから告げられれば、シュタイナーは少しイラつきながらも自動拳銃の安全装置を入れてから腰のガンホルスターに戻し、彼に礼を告げた。




この回はね、レゴのキャプテン・アメリカがナチゾンビを惨殺してた動画を参考もとい、若干アレンジして書いたもんすわ。
次回からゲームに沿って行きます。まぁ、二作目あたりに突入すれば、色々と混ぜ込んでいく予定ですけど。

アクションと殴り合いの方はキャプテン・アメリカ ウィンターソルジャーを参考にしました。
あの映画、豪く酷評されてるソーさんの二作目の映画なんかより段違いで傑作と話題になってます。
自分も見ましたが、まさしく傑作でアイアンマン2を超えてしまいそうな内容でしたわ。
社長とソーさんは3Dを使った派手な戦闘シーンが魅力だけど、3Dを使わないアクションも負けずには劣りません。
復讐異世界旅行記にもウィンターソルジャー的な奴を出す予定です。
して、その正体は誰か…?
取り敢えず死んだと思っていたバッキー的な人かもしれません。
では、次回もよろしこ~

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