正月一発目は正月スペシャルです
今年一番目の作品
ゆっくりしていってね
「はー…サブッ」
正月早々コタツでブルブルと震えている黎人
実は彼は寒がりだったりする
「何よ、男のくせに情けないわね」
「テメェだってずっとコタツにいるじゃねぇか」
黎人の向かいには霊夢がコタツに入っていた
「アニキーアネゴー…掃除終わりやしたよー」
唯一、刃燗のみが外で平然としていた
これが……若さか……
「ん?あぁ、お疲れ。折角だし中に入りなさい」
「ウイッスー…」
霊夢に誘われ、刃燗は中に入っていった
「一応参拝客は来るんだな」
「一応、て何よ」
御節ももう少しで無くなりそうな時
何人か神社に来てたのに驚く黎人
一応お正月なのだから初参りは来るだろうが、それにしてもここに来るとは珍しい
「まー…お正月といえどもやる事はちっとも変わってねぇんだがな」
そう言って黎人はかまぼこに箸を伸ばす
が…
ーーヒョイッ
そのかまぼこは霊夢に取られてしまった
「んー…そうね。珍しい事がある訳じゃないし」
かまぼこは、霊夢の口に入れられた
仕切り直して黒豆に箸を伸ばす
が…
ーーヒョイッ
その黒豆は刃燗に取られてしまった
「まーこういうのも良いんじゃないっすか?ダラダラと正月過ごすのも」
黒豆は刃燗の口に入れられた
気がつくと、机の上の品物はほとんど片付けられている
残っているのは、膾、昆布巻き、数の子ぐらい
なくなるのも時間の問題だろう
「…!!」
急に黎人は残っていた品物に目がいった
それは、たった1匹だけ残っている
クルマエビだ
直ぐさまそれに向けて箸を伸ばす
やがて、それを箸が掴んだ
ーーガシッ
途端、黎人の動きが止まる
箸は確かにクルマエビを捕らえていた
だが、それを捕らえている箸はそれだけではなかった
「………………」
黎人はその箸の主を睨む
相手もこちらを睨みつけていた
「少し遅かったわね。私の方が若干速かったわよ」
「テメェの目は節穴か?どう見たって俺の方が速かったぜ」
クルマエビ掴んでいる箸に力を入れ、黎人と霊夢はエビを引っ張る
「レディーファースト、てのをご存知ない?それにお正月は巫女は大忙しなのよ。少しは私を労ったらどう?」
「そんなの知らねぇしお正月の準備は刃燗が一人でやってたじゃねぇか。何突然仕事人アピールしてんだグータラ巫女」
何やら二人のオーラが溢れ出ている
2人の間に火花が散っており、このエビは自分のものだと言わんばかりの顔で相手を威圧している
それにしてもエビの耐久力が半端ない
「いいから寄越しなさぁい!!!」
「断る!!!」
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こうして、エビをかけた仁義なき決闘(笑)が始まった
「いい?勝った方がエビを貰う、て事よ」
「上等だ。あのエビは誰にも渡さん」
舞台は博麗神社の参道
いつでも準備OKと言わんばかりに黎人は構える
「よろしい。じゃあ…」
風が吹き荒れる
今日もまた、波乱の日々が幕を開ける…
「羽根つきで勝負よ!」
「なんでやねん!!!」
今年一発目のツッコミ乙
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「ルールは簡単よ。羽根を10回落とした方の負けね」
「いや何で羽根つき」
「文句言わない。ほら、これがあんたのよ」
羽子板を貰う
恐らく香霖堂から借りたのだろう
それにしても値札がついたままなのが気になる
「さぁ始まりました。エビをかけた羽子板バトル!対戦者は博麗霊夢と斐川黎人。この勝負に勝ち、エビを食べる権利はどちらに委ねられるのか。実況は私、蛾溪刃燗でお送りいたします」
「何やってんだよお前」
「んなこと言ったって途中から空気だったんすよ〜。察して下さい」
「それじゃあ行くわよ」
羽根を持ち、霊夢が開幕宣言をする
(…ったく、一体全体何で…?)
突如雰囲気が変わる
霊夢に纏う謎のオーラ
数々の妖怪を倒し、あらゆる者を制した
楽園の素敵な巫女による……
「ハァッ!!!」
彼女が放った羽根は
赤いオーラを纏い……
「ぐあああああああああ!!?」
黎人に襲いかかる
「な!何てことだ!!博麗霊夢の必殺技『夢想打法』が斐川黎人に襲いかかるーー!」
その場には土煙が舞った
「ゲホッゴホッ突然何だよ」
黎人が無事(?)姿を現した
「あら大丈夫?」
霊夢が声かけて黎人に近づく
「当たり前だ…とにかく続きを」
「そ、じゃあその場にいなさい」
霊夢の言っている意味が分からず、黎人は彼女の方を向くと…
霊夢の右手に墨付きの筆があった
「は!?ちょっと待て!!そんなの聞いてねぇよ!」
「何言ってんの?羽根つきで落とした方は落書きされるのが鉄板なのよ」
「ふざけんな!こんな…?」
言い切る前に黎人は身体が動かなくなった
恐らく霊夢が何かしたのだろう
「安心しなさい。勝敗には関係ないんだから」
どこか楽しそうな霊夢
やがて黎人の顔に筆が近づく
「や……やめろーーーーーーーーー!!!!!」
「ぷっ……物凄く似合っているわよ……フフッ」
「テメェ…!」
男爵髭を描かれた黎人
それにより間抜けさが浮き彫りになっている
「さ、早く続きをしましょう、黎人男爵」
どう見たって茶化している
それを見て黎人の中に怒りが募っていった
「はっはっは……どうやら俺を怒らせたいらしいな」
そう言うと、黎人は羽根を持った
因みにサーブは交代交代らしい
意識を集中させる
相手は博麗の巫女
生半端な攻撃では効果がない
(いくぜ……)
黎人は羽根を上に投げ
思いっきり振り抜く
すると羽根は勢いよく、そして鋭く霊夢のところに飛んでいく
しかし羽根に纏う謎のオーラの正体が知りたい
やがて、霊夢の足下に辿り着こうとする
「甘いわよ!」
だが流石博麗の巫女
瞬時に前方に駆け、羽根を打ち上げる
黎人の攻撃をいとも簡単に制覇した
「甘いのはそっちだぜ」
ように見えたが、それは囮だった
わざと打ち返される羽根を打ち、羽根を空高く打ち上げさせる事が目的だった
前方に大きくジャンプする
それは見る人を凌駕し、興奮させる素晴らしいジャンプ
まるで空を飛んでいるかのようだ
そして、羽根の高さまでたどり着く
「オラァ!!!!」
羽子板を思いっきり振り下ろす
打たれた羽根は高速で霊夢の隣に堕とされた
威力が高かったせいか、地面に埋まっている
「どーん!」
「決まったぁぁぁ!斐川黎人の『ダンク○マッシュ』。某人気漫画のように高威力!そしてお決まりの決め台詞も忘れない」
決まってスカッとしたのか台詞まで再現する
…パクリじゃないですよ、ええ、パクリでは
そして…
「さて霊夢…覚悟しな」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。あんな技ありなわけ!?」
「夢想打法とやらがあるんだこんなの序の口だろうが」
黎人は筆を持つ
「さぁ、地獄を楽しみな」
筆が霊夢の顔に近づく
「イヤァァァァァァァ!!」
「ダッハッハッハッwwあー可笑しいwwwアッヒャッヒャ」
鼻に豚鼻を書かされた霊夢
女性にとっては屈辱以外の何者でも無い
ツボにハマったのか爆笑している黎人
「フフフフ…面白いことするじゃない」
ユラァ、と霊夢は羽子板を構える
「決めたわ……こっから先、あまりにも恥ずかしすぎて外に出れない顔にしてやる」
「フッ……コッチのセリフだ」
羽根つき対決が再開した
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あれから暫く経ち、お互いに9勝9敗
顔はもう真っ黒けで面影すら無い
「さぁ、勝っても負けてもこれが最後よ」
「上等。さぁ、終焉だ」
緊張感が漂う
風が吹き荒れ、互いにオーラが纏われる
やがて霊夢のサーブが始まろうとした時だ
「おー、面白いことやってるなぁ」
博麗神社の方から声をかけられる
振り向くといつの間にか、魔理沙が座り込んでいた
「ブハッ、お前ら何だぜ?その顔。もう一体誰なのかがさっぱりだぜ」
二人の顔を見て吹き出す魔理沙
「邪魔しないで魔理沙。気が散るから」
「お〜悪い悪い、じゃあ続けてくれだぜ」
そう言って魔理沙はエビを齧って様子見とする
そして霊夢と黎人は再び羽根つきを…
(エビ?)
再び魔理沙の方を向くと
懸賞品であるエビが消えていた
「……魔理沙、そのエビは」
「ん?あぁ、だってお前らがそれ残してるだろ?勿体無いから私が食べることにしたんだぜ」
黎人の問い掛けに、魔理沙は平然と答える
それが、危険を招くということを知らずに
「……」
霊夢は意気消沈している
それは黎人も同じ
「ん?どうしたんだぜお前ら」
「「魔理沙……」」
突然動きが止まった二人に違和感を感じ、魔理沙が声をかけた
だが、直ぐに二人は答えた
「「吐きだせぇぇぇ!!」」
「ウぎゃああああ!!」
博麗神社の方で、今日も断末魔が響き渡る
それは、今年初の断末魔
それを合図に周りの人は想う
今年も、幻想郷は平和である
正月でも相変わらずのネタ回
今年もこんな感じだろうなー…
それでは今年も、東方羅戦録をよろしくお願いします