テイルズオブメモリアー君と記憶を探すRPGー   作:sinne-きょのり

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チャプター7:強き斧使いとの対峙

 フェアロ・ピーアから少し離れた人気のない場所。ロスト達はここに移動してきた。ロストはレティウスが要求をのんでくれるとは思ってなかったが、上手くいったようだ。とひとまず安心していた。

 町の中で戦闘するには気が引けたため、ロストがここを指定したのだ。レティウスは不機嫌そうに斧を構える。まだその手にはチャールが掴まれている。レティウスの手の中のチャールは不機嫌そうにレティウスを睨みつけている。ララは不安そうに掴まれているチャールを見ていた。

 

「よし、じゃあ始めるぞ」

 

 ロストは剣を手に取り、レティウスを睨みつける。無表情だったその顔に睨みつける瞳は怒りを彷彿させるようでもある。

 隣にいたララも持っていた武器を構えた。

 

「お前も戦うのか」

「チャールが捕らえられてるんだもん!私だって戦う!それに、君が来なくても私が1人でこうやってたよ」

 

 ロストに言われてララは強がるようにして言う。しかしロストが来なければララは無事では済まなかっただろう。ロストはそれには触れなかったが。

 ララが持っている武器は杖のように見えたが、よく見ると先端は槍のようになっている。見た通り杖と槍を合体させたような武器である。

 ロストはララの様子を見て、戦えそうだと思ったのかララのことはあまり気にせずにレティウスに向かった。ララはおそらく武器からして後方支援だろう、自分がレティウスをララに近づけないようにしなければならないとロストは思った。

 

「いくぞ」

 

 ロストはその声で動き出したが、それと一緒にレティウスも動き始める。ララはチャールを取り返す隙を見つけようと最初は動かない。

 

「おおぅらよぉ!」

 

 レティウスは斧で大きい一撃を振り下ろそうとする。ロストはその攻撃の先を予測して回避する。レティウスの斧が振り下ろされた時には既にそこにロストの姿はない。

 

「遅いっ!はあっ、魔神剣!」

 

 レティウスが気づいた時にはロストは背後にたっており一撃入れた後に魔神剣を放つが、レティウスは怯まずに背後から魔神剣を受ける。

 

「おっととぉ……痛いなあ!」

「!狙いは俺じゃない…まさか!?」

 

 レティウスにはあまりダメージはないようだった。その上にレティウスの狙いはロストではなかった。ロストはそれに気づくものの咄嗟に体は動かない。

 レティウスはロストの攻撃を受けつつも怯まず、ララに向かって斧を投げる。レティウスは狙いは後方支援のできるララだったのだ。このままではララが危ないとロストは体を動かそうとする。

 ララは自分に向かって斧が飛んできていることに気づき慌てて術を唱え始める。唱えているのは恐らくバリアー。攻撃を和らげる支援系の術であろう。

 

「お願い守って…!バリアーっ!!!ああっ!」

「おい!あんた!」

 

 術は間に合ったもののララは攻撃を受けてしまう。ロストはララを心配して駆け寄ろうとするが、斧を拾いにレティウスも追いかけてくる。

 ララは攻撃が和らげてはあったものの巨大な一撃だった為かまだ痛みが残っている様子だった。

 ララはそれでも立ち上がろうとする。

 

「う、うう…っ」

「くそっ、失せてろ!」

 

 ロストはレティウスを睨みつけた。レティウスは不敵の笑みを浮かべている。彼の考えをロストは読む事ができなかった。

 

「失せるのはぁ、君の方じゃあないのいぃ?」

 

 ロストが剣を振るもレティウスは拳を使って攻撃しようとする。ロストは何が何でもレティウスに武器を持たせないように妨害するしかなかった。

 ララはやっとの事で斧を掴み、レティウスが拾えないように遠ざけようとする。

 

「こんの…!い、今の内に!」

「わかった。虎牙破斬!!」

 

 ララは斧を遠ざけるように後ろに投げた。ララの掛け声でロストはレティウスに畳み掛ける。

 ロストからの攻撃を受けたレティウスは体勢を崩し、倒れ込む。

 

「があぁあっ!!」

「やった、か……?」

 

 レティウスの叫び声が上がる。ロストは剣を鞘に戻しながら警戒をしていた。

 ララは持っていた武器を両手で構えていた。レティウスの手元からチャールが飛び出して来る。

 

「チャール!無事だったんだね…良かったあ…」

「くっ…そおおおぉ」

「…っ!」

 

 チャールを両手に抱え安堵するララだったがロストは一方で起き上がるレティウスに警戒を強めた。ララもチャールを抱き抱えながらレティウスの方を見る。

 だが、レティウスは襲いかかってくると思っていた2人だったがレティウス自身の行動は2人の想像したものではなかった。

 

「今回はぁ、ここまでにしてやるぅ…!次こそはあぁっ!てめーらぁの命は、なぁいからな!」

 

 そう言ってレティウスは逃げていった。あまりの呆気なさにロストとララはどちらもレティウスを捕まえようなどとは考えられない。彼は負け惜しみのような言葉を口にしていた。

 

「お、おいまてっ!」

 

 ロストは慌てて追いかけようとするも、レティウスの姿は既にそこにない。小さく「ちっ」と舌打ちをするロスト。ララはその瞬間緊張が解けたのかその場にへたりこんでしまった。「はあ」とロストは大きくため息をつく。

 

「な……何はともあれ…た、助かったあ…」

「…大丈夫か?さっき、攻撃受けてただろ。これでも良ければ」

 

 ロストはへたりこんだララにアップルグミを渡す。先程レティウスから受けた攻撃のダメージがまだ残っているかもしれないと思ったのだろう。ララは「ありがと」と小さく言ってアップルグミを受け取った。チャールは方に乗り移って大きく伸びをした。

 ララは疲れた様子でアップルグミを頬張る。

 

『それにしても、お前は何者だ?』

「え?」

 

 突然の問いかける声にロストは驚きの声を漏らした。ロストは声の主を探す。

 ロストは少年の様な声を聞いたものの、周囲にはララしかいない。ロストがどこから聞こえた声なのかとあたりを見渡していたら、ララが方に乗っていたチャールを抱えあげてロストに突き出した。

 

「ああ、チャールだよ。チャール実は喋ることが出来るんだ」

 

 喋ることが出来るという謎の生物を前にしてロストはどう反応すればいいのか分からなかったがとりあえずチャールに言われた通り自分の事を話す事にした。

 

「そうなのか…。改めて自己紹介するか。俺はロスト。ロスト・テイリアだ」

『テイリア…!?』

 

 ロストのファミリーネームについてチャールは何らかの興味を示した様子だった。興味、と言うより驚愕している様な状態かもしれない。

 チャールはロストの顔をまじまじと見つめる。ロストは思わず視線をそらしそうになった。

 

「何か知ってるのか?」

 

 ロストは何か知っている様子のチャールに問いかけた。自分についてよくは知らないロストの手掛かりになるかもしれないと思ったのだ。

 

『…村長さんと知り合いなだけさ。村長のお孫さんなのか?って事はお前はフェアロ・リースの人なのか』

「ああ。レイシさんとはよくわからない。それと、出身は…フェアロ・リース…だと思う。」

「だと思う?」

 

 ロストの語尾を濁した風な言い方にララは疑問を投げかけた。ロストはなんと言おうか…と少し悩んだ様子だったが、チャールが自分の何らかを知っていればいずればれてしまうと推測し、素直に話す事にした。

 

「俺は、7年前より昔の事を覚えていないんだ。母さんやレイシさん…村長が言っていた通りならば俺は7年前のシェルフィールの森で起こった誘拐事件の被害者の内の数少ない生き残りらしいんだ」

「それって…!」

 

 ロストの話の内容が知っている事だったのかララはチャールを少し強く握りしめて感情の動きを示す。チャールは「ぎゃっ」と小さな悲鳴をあげた。痛かったらしい。

 

「私…私もその事件に巻き込まれた1人なの!」

「そうなのか…?!」

 

 ロストはララを見たが、見覚えがあるとは微妙に言い難い気持ちを感じた。どこかで見たことはあるのかもしれないが、どうしても鮮明には思い出せない。もどかしい状態だ。

 チャールはほとんど無視されたまま2人は会話していた。

 

『……あのさ、二人とも』

「どうしたの?チャール」

 

 だが、流石にとチャールは謙虚気味にララとロストに話しかける。

 ララはチャールを強く握ったままだった事に気づいて「あっごめん」とチャールズを抱える手を緩めた。

 

『立ち話もあれだし、宿に行かないか?』

 

 チャールにそう言われて確かにとロストは頷いた。ララも「そうだね」と首を縦に振る。チャールはララの手の中を離れて歩き出した。ロストとララもそれに続いて街の中へと戻る事にした。

 

「ふう…冷や冷やしたあ…」

「…」

 

 レティウスと対峙したことはかなりのプレッシャーだったのかララはホッと胸をなでおろしていた。

 安堵するララの横でロストはふと街の人の言っていた事が頭をよぎる。レティウスのことに関してだ。

 

(街の人達はレティウスを良い人だった。みたいな事を言っていた…それに、街の人達はレティウスを知っている様子だったのに、レティウスは知らないと言った…違和感があるな…)

 

 街の人達とレティウスの会話は矛盾していたような気がしていたのだ。その上にレティウスの方はまともに話の通じる相手ではない雰囲気が漂っていた。

 彼の身に何かあったのか、それとも偽物なのか。本来のレティウスを知らないロストには何も想像がつかなかった。

 

「どうしたの?なんだか…怖い顔してるけど」

「えっ。そ、そうか…?」

「なにか悩み事でもあるの?」

 

 ララに言われてロストはふと自分の頭を掻いた。本人はどうやら無自覚のようだったが、ララにはロストの表情が厳しく見えたらしい。 

 普段から無表情の多い上にあまり感情が表に出ないロストだ。見た感じの印象は本来いいものではないだろう。

 

『さっきの奴についてかー?ま、ボク達もよく知らないんだけどねー』

 

 ララの肩の上でチャールはそう言った。ロストは未だに小動物が人の言葉を喋る事に疑問があるがそれは後で聞くことにしよう、とロストは後回しにした。

 

「まあいい。もうそろそろ宿につくみたいだしな。そこでいろいろ話はしよう」

「そうだね。私も丁度休もうと思ってたところだし」

 

 宿屋の前についた2人と1匹はこうしてやっと休む事になる。この出会いはロストの運命を大きく変える一つの出来事であった。

 

 ロストはその真相をまだ知らない。

 

続く

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