守りたいんだ   作:未完

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やっぱり文を書くのって難しい。




始まりの日3

 目の前で人が食われている。そんなことを言ってすぐに「へえ、そうなんだ。」と信じる奴がこの日本に居るはずがない。それはつまりそれだけ現実味がないということを表しているのだが。実際に今、ここで、それは起きてしまっている。

何の冗談だこれは。

食われた人間はその後、のそりと立ち上がってまた人を喰う。何かの映画でも見ているのかと疑いたくなるその光景。だがそれは紛れも無くノンフィクションであった。もうグラウンド一帯に奴らが広がってしまっている。俺はどうする。何をしたらいい?逃げる?どこに?

「たすけっ、きゃあ!」

俺の混濁した意識を取り戻させたのは、知った声だった。さっきの生意気な後輩女子の声だ。なにかしないとあの子もすぐにどうにかなってしまう。あたりを見回して何か武器になるものを探す。視界に地面に置かれた工事に使われたであろう鉄パイプが入った。俺はそれを持ち上げ彼女のところへ向かう。

何をすればいいかわからないが、何もしないのは嫌だった。

 

 俺は彼女にたかっている人、もとい化け物の背中めがけて鉄パイプを叩きつけた。

ゴンという音と共に地面に倒す、つもりで振るったのだが、鉄パイプは化け物の背中に食い込んだ。それはまるで腐った果実のように。

「まずい…!」

鉄パイプが抜けなくなった。これでは残りの奴らをどかせない。俺をめがけて襲ってくる化け物ども。

こうなったら一人づつ拳で、と思うがそれでは間に合わない。

何か方法はないのか。

「うわぁああ!」

その時、別のところから悲鳴が上がった。

その瞬間目の前の奴らの注意が俺から逸れた。

何故?

気になりはしたが今はそれより彼女の救出だ。今しかチャンスはない。素早く奴らの間から彼女を引きずり出す。怪我をして気絶しているが、命に別状はないはずだ。早く手当てをしよう。彼女を抱えまだ奴らの少ない校舎の方へと向かう。

(胡桃、無事で居てくれよ…!)

俺を慕ってくれている後輩を探しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 何が起こったか解らなかった。何なんだこれは。

目の前が揺らぐ。目眩がする。目に写る現実を拒否するかのように。

頭の中かごちゃごちゃで考えがまとまらない。

先輩と別れて、それで、めぐねぇと話して、その後、練習に戻ろうと降りてきたら悲鳴が聞こえて、それで、外に出たら...

 

外に出たら人が人を食っていたんだ。

頭のなかの整理が終わったからか、やけに目の前の景色が明瞭に見えてしまった。

剥がれる肌、顔を見せる臓器類、飛び散り地面に染み込む赤い液体、

そして、

「やめて、やだ、ああああああああ!」

集団から上に向かって伸びていた手が、絶叫の後、力尽きて集団に埋もれていった。

体が硬直して私は目をそらすことが出来なかった。

 

 

 

死 ん だ

 

 

 

「うっ…」

途端に吐き気が襲ってきた。その場に座り込む。もう、何もかもが一瞬で限界を超えていた。

・・・助けて、誰か。

なんとか吐き気を押さえ込む。どうしたらいい、私は。そうだ、先輩はどうしたんだ。どこに居る。

「颯先輩!いたら返事して!」

声を張り上げる。大丈夫だ、先輩なら。絶対に大丈夫だ。

 

トンッ

 

と肩に手を置かれた。

「先輩!」

途端に安心感に包まれる。いち早く彼の顔を見るために後ろへ振り向く。

「えっ」

 

 

 

ギィゴォ

 

 

 

 

後ろに居たのは化け物だった。

 

 

何も考えられない。視覚は化け物の緑色の肌、聴覚は腐敗臭に包まれ感覚が麻痺している。やけに時間がゆっくりと進んでいゆく。近づいてくる化け物。ああ、私は喰われるんだ。まるで他人事のように考えていた。そんな脳内を様々な光景が横切ってゆく。その一枚に先輩の姿を見つけた。

先輩…結局答えを出せなかったな。

それだけが心残りだ。

死を受け入れようとしている私に次の瞬間化け物が噛み付く、

 

 

 

 

「させるかぁああああああ!」

 

はずだった。目の前から化け物が消え去った。蹴り飛ばされたんだ。私はあっけにとられてその様子を見ていた。

「大丈夫か、胡桃。」

声をかけられた。返答しようと口を動かそうとするが、固まった体は動かない。手が伸ばされた。誰の手だ。確認するように手の指から腕、と視線を上げていく。その先にあったのはさっき見たあの温かい笑顔だった。

 

 

 

 

 

二人で階段をかけ上がる。俺は例の後輩を背負っているが、今までにないほど全力で走っている。自慢じゃないが俺はそこそこ足は速く、体力にも自信がある。こんな状況でついてこれる胡桃はさすがだと思った。

「先輩!上!」

先を見ると階段の踊り場にやつらが蔓延ってた。

「くそ!」

奴等に向かって鉄パイプを振るう。点で当てないように、なぎ倒すようにする。これなら刺さらない。奴等を怯ませ次の階を目指す。

(屋上へ行くか)

どうやらあいつらは階段を昇るのが苦手らしい。ちらりと下を見ると。いくつもの化け物が重なって倒れ、潰されていた。まるで地獄絵図だ。

速く次の階へいこう。階段を回った。

「おい、まじかよ…」

「先輩?」

立ち止まった。上階におびただしい量の奴等がいた。俺らに気づいたのか、ゆっくりとこちらへ降りてくる。非常に不味い。挟まれた。どうする、もう後ろには戻れない。後ろからゆっくりと寄ってくる奴等。考えてる時間はない。

「胡桃、登るぞついてこい。」

「先輩本気か!?」

 

胡桃の方に顔を向ける。行くしかないんだ。胡桃も分かってくれたのかコクりとうなずいた。

鉄パイプを握り直した。気合い入れろ俺。

足に力を入れる。強行突破だ。

「はぁ!」

次々と奴等をなぎ倒して道を作る。

二桁に余裕で達する数の奴等を倒し、もうすぐ三階にたどり着く。だが、

「きゃっ!」

後ろから悲鳴が聞こえた。

「くっ!やめろ!離れろ!」

後ろを着いてきていた後輩の、胡桃の声だった。

「胡桃!」

立ち直った奴等の一人に片足を捕まれたらしい。もう片方の足でこのままでは胡桃が、

「先、行って!」

そんなこと、できるか!

「掴め!」

背負っていた女子を床に寝かせ、手を伸ばす。今にも奴等の中に引き込まれてしまう。胡桃も手を伸ばした。届くか?届いてくれ!

パシッ

掴んだ!

今だ。全力で彼女の手を引く。反動で後ろに倒れた。

「先輩…」

俺の手元には胡桃がいた。

「大丈夫、か?」

「お陰さまで」

良かった。本当に良かった。

 

だが、落ち着いている時間はない。胡桃を立たせ指示を出す。

「三階はあんまり居なそうだから。そいつを連れて屋上へ向かえ。着いたら絶対にドアを開けるなよ。」

そうすれば二人の身は安全なはずだ。

「…先輩はどうするんだ。」

やっぱり、聞かれるよな。

「俺はここで時間を稼ぐ」

「だ、ためだ、それじゃあ、先輩が!」

「後から必ず行くから安心しろ。もう、時間がない。」

「でも」

「胡桃!」

胡桃の肩が跳ねた。いきなり大声で驚かせてしまった。でも、仕方ない。

「また、後で(・・)屋上で、な?」

胡桃は目を見開き、その後悲しそうな顔をした。

「わかりました」

胡桃が女子生徒を背負って屋上へ一歩ずつ昇って行った。よし、これで大丈夫…

「ゾンビ相手に無双とかどこのFPSだよ」

鉄パイプを握りしめる。無双出来るかわからないが、せいぜい時間を稼ごうか。

後輩を守るために。

 

 




口調がいまいちわからない。めぐねぇの他に年上と話してる描写がない…
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