左右対称のエース   作:パワプロ大好き男

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第14話

8回の表には成宮がマウンドに上がった。

 

「ようし、絶対に抑えて、次の攻撃に繋げるぞ~!」

 

成宮は意気揚々と気合いを入れた。

 

[8回の表、青道高校の攻撃は、8番 ピッチャー 沢村君。]

 

途中出場の沢村が左打席に入った。

すると、野手顔負けのバントをした。

これがかなり絶妙だった。

ノーアウト1塁になった。

 

(何だアイツ、バントやたらうめぇ。)

 

成宮も驚きを隠しきれなかった。

しかし、次のバッター白州をゲッツーで仕留め、2アウトランナーなしとなった。

 

「鳴さん、この回も絶好調だね土屋君。」

 

ベンチで多田野が言った。

 

「どうかな?」

 

土屋は言った。

 

「えっ、どういうこと?」

 

多田野が言った。

 

「明らかに成宮先輩は浮き足になっている、完全に自分は1番だと鷹をくくっている、いつ打たれてもおかしくない。」

 

土屋の冷静な分析に多田野は絶句した。

その予言が当たったかのように、成宮は1番の倉持を出塁してしまった。

 

[青道高校、選手の交代をお知らせします。バッター小湊亮介君に変わりまして、小湊春市君。]

 

アナウンスを聞いて土屋は言った。

 

「小湊春市って小湊亮介の弟か?」

 

すると多田野が答えた。

 

「多分、兄弟だと思う。」

 

「なるほど、しかし、高校野球で木のバットを使うなんて、どうかしてるぜ。」

 

土屋が言った。

小湊春市は成宮のストレートを打った。

バットが折れながらも出塁した。

 

「マジかよ、本当に打ちやがった……」

 

さすがの土屋も驚いた。

続くバッターは伊佐敷だが、フォアボールを与え、2アウト満塁となった。

ここでバッターボックスに入ったのは結城だった。

成宮はチェンジアップを投げた。

しかし、綺麗に打たれてしまった。

 

カキーン

 

打球は左中間をわり、ランナー一掃のタイムリーツーベースで一気に逆転した。

4―3となった。

成宮は悔しがった。

 

「クソッ、チクショウ、ふざけんなよ、バカ野郎!!!」

 

マウンド上で成宮は大声でキレた。

完全に乱れた。

それを見ていた国友監督が土屋に言った。

 

「土屋、肩を作れ、今すぐだ。」

 

「はい。」

 

とうとう成宮はここでマウンドを降ろすことを決断した。

 

(か、監督…まさか……成宮を………)

 

林田部長はオドオドしていた。

 

[稲城実業高校、選手の交代をお知らせします。ピッチャー成宮君に変わりまして、土屋君、ピッチャー土屋君。]

 

成宮はそれを聞いて驚いた。

 

「ま、まだ俺…投げれるけど……」

 

さすがの成宮もしどろもどろな口調になった。

 

「もうダメだ、お前はここで交代だ、悔しいかもしれないが、土屋に譲れ。」

 

原田が成宮をなだめた。

 

「くそ…土屋に…マウンドを…譲る…なんて…」

 

成宮はマウンド上で涙を流した。

土屋がマウンドにやって来た。

成宮は土屋にボールを渡した。

 

「土屋、打たれんなよ。」

 

成宮は涙を流しながら言った。

土屋は成宮に対して言った。

 

「えぇ、任せてください。あなたの意志を私が受け継ぎますから、ベンチで見守ってくださいね。」

 

土屋が言うと成宮は涙を流しながら言った。

 

「ホント、生意気なヤツだなお前は。」

 

そう言って成宮は土屋の肩を叩き、マウンドを降り、ベンチに向かった。

土屋はマウンドに集まった先輩に向かって言った。

 

「ぶっとばされたら、バックお願いします。」

 

「オー!!」

 

そうして、ナインは守備に就いた。

 

「やっと俺の出番か…遅すぎたが、殺ることはただひとつ、目の前のバッターを抑えるだけだ。」

 

土屋は気を引き締めたのであった。

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