左右対称のエース 作:パワプロ大好き男
8回表は土屋がマウンドに上がった。
バッターボックスには増子が右打席に入った。
シュ、スパーン
バッターボックスの増子は驚いた。
(ウガッ、かなり速いぞ、この球!)
増子が呟いた。
「すげぇ、本当に1年生かよ!?」
スタンドにいるお客が電工掲示板を見て驚いた。
なんとストレートが160㎞/hも出ていた。
あまりの速さに増子は手が出なかった。
そして、増子をピッチャーフライに仕留め、3アウトとなった。
「ナイスボールだ土屋!」
原田が言った。
「ヘッ、やるじゃねぇか土屋。」
吉沢が言った。
「ナイスだよ土屋君。」
平井が言った。
「ありがとうございます。」
土屋は謙遜な態度で言った。
「ふん、1年生だけどやるじゃねぇか。」
成宮はすねた態度で言った。
「えぇ、私はあなたと違って先輩方を信じて投げましたからね。」
土屋は言った。
「ホント、ムカつく野郎だな。」
そう言いながらも、成宮は土屋と拳でタッチした。
しかし、試合は9回表まで進み、4―3と以前として青道高校がリード。
稲城実業高校の攻撃は9回裏だけ。
「長打はいらない、確実にバッティングをしろ、延長戦に入れば、こちらに勝機はある、しっかりやれ。」
「はい!!!」
円陣組んで言った。
この回の先頭バッターは富士川だが、監督は代打を送った。
「頼むぞ、矢部。」
「はい!!!」
背番号15を着けた矢部浩二(やべこうじ)が右打席に入った。
しかし、沢村の前に3球三振。
神谷もいい当たりを飛ばすもレフトの坂井のファインプレーに阻まれ2アウトとなった。
万事休すとなってしまった。
ところが、沢村が大暴投し、白河の頭に直撃。
沢村は危険球退場となり、白河は臨時代走により、退いた。
2アウトランナー1塁、1塁ランナーは神谷だった。
マウンドに上がったのは川上憲史(かわかみのりふみ)だった。
3番の吉沢がフォアボールを選んだ。
すると、青道高校のエース丹波がマウンドに行き、伝令をかけたあと、なぜか皆からスキンヘッドの頭を撫で始めた。
「なんすかアレ?」
土屋が原田に聞いた。
「分からない、青道高校の何かの儀式だろう。」
原田は適当に答えた。
そして、原田が打席に立った。
(鳴のためにも、土屋のためにも、俺が決める!)
原田はバットを握りしめた。
(お願いします、キャプテン、決めてください。)
土屋は願った。
「雅さ~ん」
成宮が突然、ベンチから大声で原田に言った。
「土屋にも打たせてあげてくださいよ。」
成宮が言った。
「何!?」
原田が驚いた。
「ハァ!?何言ってんの!?あのバカエース!?」
土屋も驚いた。
「独り占めするなんて良くないですよー!!」
成宮が言った。
(あの野郎、マジでぶっ殺す!!)
土屋は変なことを言う成宮に腹を立てていた。
すると、原田がセカンド方向に打った。
小湊春市が二遊間を止めるも送球がそれてしまい、1塁ランナー吉沢は2塁セーフ。
神谷がそれを見てホームベースに突っ込んだ。
倉持から御幸に送球するも、セーフ。
土壇場で同点になった。
[5番 ピッチャー 土屋君]
土屋は右打席に入った。
「土屋く~ん、頑張って~」
女子生徒の黄色い声援が土屋を後押しした。
しかし、土屋にとってみれば、耳障りだった。
「うるせぇな、言われなくても打ってやるよ。」
土屋はバットを握りしめた。
川上が1球目を投げた。
ストレートが決まってストライク。
2球目はシンカーが決まり、あっという間に追い込まれた。
2ストライクとなった。
(絶対に決めてやる、先輩方のために、チームのために!)
そして、川上のストレートを右中間に運んだ。
見事に真っ二つに割れ、サヨナラ勝ちを決めた。
土屋は2塁ベースの上で泣いた。
原田と成宮が土屋を抱えた。
「やるじゃねぇか土屋テメェこの野郎。」
成宮が土屋を祝福した。
「本当に…良かった…アレだけ…先輩方に…迷惑を…かけた…から…打て…て…良かった…本当に…ここに…入って…良か…っ…た」
土屋が泣いている姿を見て原田は潤んだ。
(土屋…)
(ヘッ、この野郎、泣かせてくれるぜ。)
成宮も涙ぐんだ。
こうして土屋のおかげで稲城実業高校は甲子園に出場することが出来たのであった。