左右対称のエース   作:パワプロ大好き男

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第2話

4月8日、入学式が始まった。

 

「新入生代表、土屋貴之(つちやたかゆき)。」

 

「はい」

 

壇上に上がったのは土屋隆則コーチの弟だった。

 

(彼が土屋コーチの弟か………なかなか似ているな。)

 

成宮は感心していた。

すると成宮の周りにいる女の子が壇上に上がった土屋貴之を見て話していた。

 

「やばくない!?」

 

「1年生なの!?」

 

「かっこよくない!?」

 

「アタシ大好きだわ!!」

 

「タイプかも!!」

 

成宮は少し憂鬱になった。

 

(なんだよ、キャーキャー言いやがって………)

 

少しぶっきらぼうな顔をして女の子達を見た。

――――――――――――――――――――――

入学式も終わり、練習が始まった。

すると国友広重(くにともひろしげ)監督が2、3年生を集め、1年生を紹介した。

 

「それでは、1年生を紹介する、1人ずつ前に出て自己紹介しろ。」

 

国友監督が言った。

 

「○○○出身、多田野樹です、ポジションはキャッチャーです、よろしくお願いします。」

 

「○○○出身、江崎卓です、ポジションはセカンドです、よろしくお願いします。」

 

「○○○出身、杉良平です、ポジションはレフトです、よろしくお願いします。」

 

次々と自己紹介する中、最後に土屋コーチの弟が自己紹介した。

 

「苫小牧中学出身、土屋貴之です、ポジションはピッチャーです、よろしくお願いします。」

 

彼だけはお辞儀が浅かった。

3年生は全員ムッとしたが、こらえた。

しかし、成宮だけは納得いかなかった。

 

(あの野郎、1年生のクセに生意気なんだよ。)

 

それを見ていた原田雅功キャプテンが成宮にげんこつした。

 

(イテッ、なにするんですか雅さん。)

 

(俺達は先輩だぞ、いちいちイライラするな。)

 

(は~い………)

 

成宮はショボンとした。

 

「これら1年生は新戦力になるわけだ、しっかり1年生と仲良くなりながら、練習に取り組め、いいな?」

 

「はい!!!」

 

国友監督が言うと、皆が返事した。

早速練習が始まった。

野手はバッティング練習や筋力トレーニングなどをした。

投手はピッチング練習などをした。

 

「多田野君…」

 

「あっ、土屋君、樹でいいよ。」

 

「いいのか?」

 

「うん、構わないよ、多田野だと恥ずかしいし。」

 

「そうか、したら、改めて、樹、バッテリー頼む。」

 

「了解。」

 

土屋は多田野を座らせ、ピッチングをした。

 

シュ、スパーン

 

横で見てた成宮は度肝を抜いた。

 

「なっ!?なんだコイツ、超速ぇー!!」

 

さすがの成宮も驚いた。

1年生ながらこんなに速いやつは類も見なかった。

多田野の横にいた原田も驚いた。

 

「ナイスピッチ、速いな~」

 

原田は成宮と対称に土屋のストレートを称賛した。

するとブルペンの外にいた丸瀬一太郎(まるせいちたろう)記録員が言った。

 

「雅、ヤベェよコイツ、スピードガン測ったら、とんでもない速さだよ。」

 

「どれぐらいだ?」

 

「160㎞/hだよ。」

 

「なに!?本当か!?これは逸材だ。」

 

原田もさすがに驚きを隠せなかった。

成宮も驚いた。

 

「マジかよ!?コイツすげぇじゃん!!さすが土屋コーチの弟だ。」

 

成宮は土屋を称賛した。

しかし、土屋は何事もなくただ虎視眈々と投げた。

 

「樹、痛いか?」

 

「いや、大丈夫だよ、ちょっとビックリしただけだよ。」

 

「そうか、痛かったら言ってよ、ムリはさせないから。」

 

「ありがとう。」

 

成宮は2人の会話を聞いて、違和感を覚えた。

 

(なんで樹はあんな速い球を受けれるんだろう……)

 

そう思いながら、成宮は原田のミットに向かって投げた。

――――――――――――――――――――――

実践練習では、2、3年生が土屋の球に苦戦していた。

 

「速ぇな~あんな球打てねぇよ。」

 

吉沢秀明(よしざわひであき)が言った。

 

「凄いよね、1年生とは思えないよ。」

 

平井翼(ひらいつばさ)が言った。

 

「これは甲子園間違いなしだな。」

 

梵勝美(そよぎかつみ)が言った。

 

「あぁ、さすが土屋コーチの弟だ。」

 

富士川慎也(ふじかわしんや)が言った。

 

「どうやったらあんな速い球を投げられるんだろうな。」

 

原田が言った。

3年生だけではなく、2年生も言った。

 

「すげぇな、逸材だぜ。」

 

神谷カルロス俊樹(かみやかるろすとしき)が言った。

 

「凄いね…何も言うことないな…」

 

白河勝之(しらかわかつゆき)が言った。

 

「こりゃ、誰も打てやしないだろう。」

 

山岡陸(やまおかりく)が言った。

 

「稲城実業高校の救世主になりそうだな。」

 

矢部浩二(やべこうじ)が言った。

 

(なんだよ、皆してアイツを褒めやがって。)

 

成宮だけはすねていた。

バッティング練習では場外ホームランが何本も出た。

さすがの2、3年生も度肝を抜いた。

 

「監督、さすが土屋隆則コーチの弟ですね。」

 

林田正義(はやしだまさよし)部長が言った。

 

「あぁ、アイツなら即戦力になりそうだ。」

 

国友監督もうなった。

稲城実業高校に明るい材料が来たのであった。

――――――――――――――――――――――

練習後、成宮が土屋に言った。

 

「やるじゃねぇか土屋、さすが土屋隆則コーチの弟だな。」

 

すると土屋から意外な言葉が飛んできた。

 

「成宮先輩、兄貴のことは一生触れないでください、耳障りですから。」

 

成宮は思わず立ちすくんだ。

まさかそんなことを言うとは思いもしなかった。

さらに土屋が言った。

 

「兄貴は怪我をしながらも皆から愛されていた、俺はそんな兄貴の弟という扱いを受けるのはもう御免ですから、いいですね、他のメンバーにもよろしくお願いします。」

 

成宮は土屋の言葉に、何も言い返せなかった。

土屋は寮の部屋に戻ったのであった。

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