左右対称のエース   作:パワプロ大好き男

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第20話

後半戦が始まった。

平野はそのままマウンドに上がり、6回の表を三者凡退に抑えた。

しかし、その裏、1番からの好打順を梅宮にあっさり抑えられ、こちらも三振凡退。

7回表を平野がきっちり抑えたのであったが、さすがの平野も疲れがたまった。

 

「平野さん、ナイスピッチです。」

 

多田野が声をかけた。

 

「ありがとう。」

 

平野が言った。

 

「大丈夫ですか平野先輩。」

 

土屋が声をかけた。

 

「あぁ、大丈夫だよ、裏の攻撃に期待するよ。」

 

平野が言った。

――――――――――――――――――――――

7回裏、この回の先頭バッターは山岡からだった。

山岡が出塁すると、成宮が打席に立った。

 

(俺が決めて見せる!)

 

成宮はバットを握りしめた。

 

(怖ぇな、決めに来てるよ、じゃあコイツで仕留めてやるよ。)

 

梅宮は1回戦で投げなかった縦スラを投げた。

成宮は驚いた。

 

(アイツ……こんな球を隠し通してきたのか……切り札を!)

 

結局、成宮はサードゴロに倒れ、後続も凡退に終わった。

 

(あの野郎、笑いやがったな!!)

 

成宮がベンチでイラついていると、土屋が言った。

 

「相手の方が1枚上手でしたね、成宮先輩。」

 

「はっ!?」

 

成宮は驚いた。

土屋がこんなことを言うなんて想像すらしなかったからだ。

 

「どんなに言い訳しても、スコアブックが全てですよ、いい加減目を覚ましたらどうですか?」

 

「な、何!?」

 

成宮は鋭いことをど突かれ、放心状態になった。

さらに土屋はいい続けた。

 

「あなた、稲城実業高校のエースなんですよね?なんでキャッチャーの多田野を信じないのですか?なんで山岡先輩、江崎、矢部先輩、白河先輩の内野手のこと信じないのですか?なんで杉、神谷先輩、福井キャプテンの外野手のこと信じないのですか?なんで試合に出ていない選手のこと信じないのですか?」

 

「い、いや、その………」

 

成宮はしどろもどろになった。

 

「あなたは、エースのクセに、自分が1番って思い込んでいる限り、このチームは強くなんてなれないですよ。」

 

土屋の言葉に成宮は驚いた。

さらに土屋は言い続けた。

 

「あなたは、チームを引っ張ることと仲間を信じないこととはき違えているんですよ。それなのにあなたは自分のやっていることに自覚がない、しかも、いつまでも上から目線で高飛車で謙虚さがない、そんな人、俺は一生ついていきませんよ。」

 

成宮はただただ驚くしかなかった。

土屋に対して何も言い返せなかった。

そして、土屋はトドメをさすかのように言った。

 

「ハッキリ言って、あなたなんてウザい、あなたをエースだなんて認めませんから。」

 

そう言って、土屋はライトの守備についた。

 

(アイツ……)

 

成宮はしょんぼりしてしまった。

――――――――――――――――――――――

8回表は、平野が打たれてしまい、ノーアウト1、2塁となった。

ここで監督はレフトの成宮をピッチャーに、空いたレフトには背番号7の杉良平が入った。

 

[稲城実業高校、選手の交代をお知らせします。レフトの成宮君がピッチャー、レフトには杉君が入ります。5番 ピッチャー 成宮君、9番 レフト 杉君。]

 

アナウンスを聞いて、多くの女子生徒から黄色い歓声が上がった。

成宮は2番バッターと3番バッターを抑え、2アウトとなった。

 

[4番 ピッチャー 梅宮君]

 

梅宮が右打席に入った。

2ストライクと追い込み、多田野はチェンジアップを要求した。

しかし、成宮は首を振った。

次はフォークを要求したが、これも首を振った。

 

「鳴さん…」

 

「大丈夫だ樹、ストレートで押せる!!」

 

成宮は自分の我を通し、ストレートを投げた。

しかし、案の定打たれてしまった。

右中間を割、ランナー1人帰った。

神谷から江崎にわたり、多田野に渡した。

しかし、多田野はボールをこぼしてしまい、2―1と逆転を許してしまった。

 

「福井、ライトに入れ。」

 

「はい。」

 

「ライトの土屋をマウンドに上げる。」

 

監督が成宮を下げることになった。

 

(まさか、監督、成宮を!?)

 

林田部長は驚きを隠せなかったのであった。

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