左右対称のエース 作:パワプロ大好き男
6月に入り、本格的に夏が始まった。
成宮含め2、3年生は慣れているが、1年生はさすがに慣れなかった。
「ホラホラ、そんなごときでバテてんじゃねぇよ!」
成宮が1年生に対してゲキを飛ばした。
「うるさいぞ、鳴、お前は黙ってろ。」
原田が成宮にげんこつした。
「痛ってぇな、雅さんそれはないですよ!」
「お前はキャプテンでもないくせに威張りすぎだ。俺がキャプテンなんだから仕切るのは俺だ。お前は黙って俺についてこい。」
「は~い。」
成宮はしぶしぶ返事した。
すると、1人の人間が突如、倒れた。
「おい、大丈夫か?」
「誰か倒れたぞ!」
「監督呼んでくれー!!」
辺りには部員がいっぱいいた。
成宮も原田もその中に入っていた。
部員をかき分けると、なんとそこには土屋が倒れた。
「おい、大丈夫か!?しっかりしろ!!」
原田が人工呼吸をした。
成宮はただ単に立ちすくむだけだった。
(アイツが…まさか…)
成宮にとって、ライバルでもある土屋が倒れた姿を見て、ゾッとしていた。
多田野も江崎も杉も土屋を助けようとしたが、なかなか意識が戻ってこない。
「土屋、大丈夫か!?」
監督がやっと来た。
さすがに冷静の監督もこの日は慌てていた。
もちろん兄貴のコーチも来た。
「おい、貴之、しっかりしろ!!」
コーチは血相を変えて土屋を抱き抱え、保健室に言った。
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保健室には、兄と部長がいた。
土屋はようやく意識が戻り、弱々しい声で言った。
「部長、兄貴…」
「喋らなくていい、ゆっくり休め。」
土屋コーチが言った。
「よかった、一時はどうなったかと思ったよ。」
林田部長が言った。
「お前は熱中症になったようだ、落ち着くまでそこにいろ。」
土屋コーチが言うと、土屋が泣いた。
「すみません………」
突然の涙に2人は驚いた。
「俺は…1年生だけど…兄貴の…コーチの…弟だなんて…言われるのが…イヤで…成宮先輩に…エースの座を…奪われるのが…イヤで…ムリしてまで…練習に…取り組んでました…なのに…倒れてしまって…申し訳…ありません…」
土屋は涙を流した。
兄のコーチが慰めた。
「俺はお前が無事なのが1番嬉しいんだ、無理しなくても十分戦力になれる、1番怖いのは怪我したり病気になったりして試合に出られなくなるのが1番怖い、だからしっかり治してから練習に取り組め。」
コーチの一言に部長も感極まって涙を流した。
そして、土屋を寝かせ、コーチと部長は保健室を後にした。
「弟さんは大丈夫ですか?」
監督が保健室の前にたっていた。
事情を説明すると、監督は納得した表情でグラウンドへ3人で戻った。
「無事でなりよりだ、今日は暑いから無理してはいけないことを、選手に伝えねばな。」
「そうですね監督、部長の私としては徹底的に呼び掛けた方がよろしいかと。」
「私も部長の意見に同感です。」
会話をしながら、グラウンドへ戻っていた。
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練習終了後、部員の何人かが土屋のもとへ言った。
「土屋君、大丈夫かい?」
「土屋が突然倒れたから、ビックリしたよ。」
「夏は気を付けないとね。」
多田野と江崎と杉が言った。
「全く、騒がせやがってよ。」
神谷が言った。
「まぁ、無事でなりよりだよ。」
白河が言った。
「体力戻ったら、また練習に戻ってこいよ。」
山岡が言った。
「俺達はお前の帰り待ってるからな。」
矢部が言った。
「ありがとうございます、先輩、樹たちも来てくれてありがとう。」
土屋は感謝した。
すると成宮が土屋に宣戦布告した。
「土屋、熱中症で倒れたのは俺も驚いたが、練習に戻ったら絶対エースは渡さねぇからな、覚悟しとけ。」
「オイオイ鳴、いくらなんでも言い過ぎだろう。」
神谷が笑いながら言った。
「土屋は北海道出身なんだから、暑さは慣れていないのも当然だろ?」
白河が言った。
「なんだよお前らは土屋の味方か!!」
「アハハハハ」
笑いが起き、普段あまり笑わない土屋が少しだけ笑った。
夏の大会も残りわずか、土屋と成宮のエース争いはまだまだ続くのであった。