左右対称のエース 作:パワプロ大好き男
夏季西東京地区大会が始まった。
「土屋、ガンガン投げてこいよ。」
原田が言った。
「打たせてもいいからな、しっかり守ってやる。」
山岡が言った。
「打者に集中してね。」
平井が言った。
「ビクビクするなよ、俺たちがいるんだから。」
吉沢が言った。
「まぁ、点とられたら承知しないからね。」
白河が言った。
「外野のことは俺達に任せとけ。」
梵が言った。
「まぁ、俺の足ならどんな球でもとってやるぜ。」
神谷が言った。
「絶対にホームランだけは打たれるなよ。」
富士川が言った。
「ありがとうございます、ぶっとばされたら、よろしくお願いします。」
土屋が言った。
「オーーーーー!!!」
ナインは全員守備位置に着いた。
しかし、ベンチではわがままを言っているやつがいた。
そう、エースナンバーを着けときながら、シードである2回戦で先発のマウンドから明け渡され、なおかつスタメンにも外れた成宮だった。
「チェッ、なんで初戦はエースである俺じゃなくてアイツなんだよ、ふざけんな!!」
成宮の怒りは最高潮に達した。
それを見ていた監督が言った。
「成宮、お前を外した理由は、初戦でお前の体力を消費しないためだ。」
監督の言葉に成宮は驚いた。
「初戦は大抵エースを持っていく高校は山ほどいる、しかし、うちらはそんなことはさせない、エースであるお前を決勝までとっておけば、相手はさすがに打てはしないからな。」
成宮は監督の言葉を聞いて感心した。
「だが、全く投げさせるわけにはいかないからな、次の試合はお前でいく、その次の試合は土屋でいく、そんな感じで交互に投げさせてやるから、これ以上のわがままは言うな。」
監督の言葉に成宮はニンマリした。
「ニヒヒ、監督、さすがですね~まさかそんな作戦を考えているなんて、頭が上がらないですわ~」
成宮が言った。
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試合は5回まで無得点だが、6回の表は土屋ではなく井口がマウンドに上がっていた。
実は土屋は160㎞/hのストレートを投げすぎて、肩を痛め、さらにはスタミナが持たなかったため、降板した。
ついでに病院に行って検査を受けた結果、右肩を炎症してしまった。
「アイツ馬鹿だよな~初回からあんな速い球投げてたら肩とスタミナ持たねぇのによ。」
成宮がベンチでボヤいていると監督が言った。
「成宮、それ以上言うと明日は井口が先発させるぞ。」
監督の言葉に成宮はゾッとした。
「あ~あ~分かりましたよ監督、すみませんでした。」
若干ふて腐れたような口調で話した。
試合は最終回にサヨナラホームランを放ち、1―0で勝利した。
試合後、選手一同はバスに乗り込んだ。
後から土屋も乗り込んだ。
「あ~あ、つまんねぇの、今日は結局、俺の出番なかった。」
成宮は不機嫌な態度で言った。
監督は無視して選手全員に話した。
「土屋は最低でも2週間は安静にしなければならなくなった、しばらくは土屋なしで戦うことになる、次の試合からは成宮でいく。」
これを聞いた皆がざわついた。
「マジかよ。」
「土屋がいなくなるのは痛いな~」
「でも成宮がいるからな」
「あぁ、なんとかなるだろう。」
無駄話をしながらバスは発車した。
「土屋、俺がエースのお手本を見せてやるから、ベンチでしっかり見とけよ。」
成宮が土屋に言った。
「えぇ、分かりました。私はしばらく安静してますから。」
土屋は言った。
(本当にこんな上から目線で高飛車で浮かれてる先輩がエースナンバー着けていいのかよ。)
土屋はここの中で思った。
3回戦以降は成宮が先発、果たして成宮はエースとしての意地を見せることが出来るだろうか?