Sword Art 00nline -The world in which an angel fell- 作:シビリアン
それでは本編へどうぞ!
刹那が桐ヶ谷和人としてこの世界に降り立ち、もう12年が経過しようとしていた。
和人は親に買って貰ったデスクトップパソコンで取り敢えずこの世界のことについて調べた。
まず知ったことは、この世界は西暦2022年……つまり"刹那"がいた時代より約300年前ということになる。
だが300年前とは言えど、"刹那"の記憶では明日発売予定のVRMMORPG……ソードアート・オンラインというゲームや、そのハードであるナーヴギアというのは聞いたことがない。というより"刹那"がいた世界にはそんなものすらなかった。
なぜ和人がそんなことを知っているのかというと、以前彼が"刹那"の頃、ロックオンに300年前のゲームというのを教えてもらった……というより無理やり教われたことがあったからだ。ロックオン曰く、『お前もまだ子供なんだからゲームっていうのにも興味を持ってた方がいいぞ』と言っていた。……訳がわからん。
……話が逸れたがその時教えてもらったゲームのなかにナーヴギアというのがなかったからそういうことを知っているのである。こういうときにロックオンの知識が役に立つとは思っても見なかった和人であった。
ということから、ただ単にタイムスリップしたのではなく、俺達の世界とは別の世界だということが推測できる。
あとその他の出来事はほとんど同じだったため、変わっているところはその点だけであった。
それを調べ終えたあと、彼は不意に自分が"刹那"であった時にいたあの世界のことを考えていた。
ソレスタルビーイングが実質滅び、世界が1つになったあの世界は今どうなっているのだろうかということ、あの時散っていったプトレマイオスの皆のこと、アリー・アル・サーシェスを討ったのと引き換えに自らの命も散らしたロックオンのこと、そしてアザディスタン王国のマリナ・イスマイールのこと……今となればもうどうしようもないことなのに何故かそのことを考えてしまう。
……その考えはあの世界にまだ未練があったということから来ているのか、それは彼自身にも分からなかった。
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翌日、和人は朝いつも通り5:30と早く起きて、部屋で筋トレをしていた。これは"刹那"の頃だった習慣が身に付いているからだろう。
昔それを知った祖父に剣道を勧められたのでやってみたが、祖父に『お前の剣は剣道に相応しくない』と言われ、結局それ以来剣道をやることはなかった。
ある程度筋トレを終えると、もう時刻が6:30になっていた。和人は汗をかいていたのでタンスからタオルを取りだして汗を拭き、そのままタオルを首にかけるとリビングへと向かっていった。
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「あ、お兄ちゃんおはよう」
「ああ」
和人がリビングに着くと、そこにはもう既に彼の妹である直葉がいた。
と言っても直葉とは血が繋がっていない兄弟となるが。
というのは、和人の本当の両親は和人が1歳の頃に事故で既に他界し、その後に桐ヶ谷家に引き取られたからだ。
それを知ったのはこの世界のことについて調べていた時だった。
だが彼はそんなことを気にしていなかった。……元より"ソラン"の本当の家族はもうこの世にいないのだから…。
ちなみに母親はもう仕事に出掛けているのことらしい。……にしては早すぎるのではないだろうか。
そう考えていると直葉が苦笑しながら和人の方を向いていた。
「昔から思っていたけどお兄ちゃんって筋トレよく飽きないで続けられるよね」
「ああ、朝からでも体を動かさないと鈍ってしまうかもしれないからな」
相変わらず無愛想で真面目にそう言う兄に、彼女は溜め息をついていた。……まあこんな糞真面目な兄がいたら誰だってこうなるだろう。
和人は彼女に返事をしたあと、自分の朝食が置かれている席に座った。
「「いただきます」」
和人達ははそう言うと、朝食に手をつけた。
和人は朝食と限らず、昼食や夕食を食べるときでも、ただ無言で黙々と食事をしているので、直葉はそれを見て兄と何を話題にして話せばいいのか分からなく、結局食事が終えるまで無言のままだった。
「「ごちそうさまでした」」
食事が終わり、二人揃ってそう言うと和人は台所に行き自分の分の食器を洗っていた。
ちなみに和人は家事もできるらしく、たまに直葉と交代で料理をしていることもあったとかないとか。
和人は食器を洗い終えると洗面所にそそくさ向かった。
直葉はそれを見て相変わらず無口だなぁということと、相変わらず兄との会話が少ないことに溜め息をつき、何か兄と会話が続けられるような話題がないかなと思いながら自分の分の食器を洗うのだった。
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和人は顔を洗い終えると、今日は11/6の日曜で学校が休みなので取り敢えずパソコンをつけて調べものをすることにした。
和人はニュースの項目を開いて見ると、どれもこれも茅場晶彦の話題ばかりであったので取り敢えず彼が今まで読んでて信頼性があると思った専門家の記事を読むことにした。
茅場晶彦というのは、「ナーヴギア」をはじめとしたフルダイブ用マシンの基礎設計者にしてSAOの開発ディレクターでもあり、天才的ゲームデザイナー、量子物理学者として知られ、VR技術のほぼ全てを組み上げたとも言われている人物だ。
今読んでいる記事はその茅場晶彦のインタビューという内容であり、どんな内容なのか少し気になったのでマウスを動かしてその項目をクリックすると、記事の内容が表示される。和人はそれを読んでいると1つだけ気になった文を発見する。和人は手に取っているマウスを止めてその部分をまじまじと読んでみた。
ーーこれはゲームであっても、遊びではない。
和人はそれを読むと意味がわからないと言った表情になった。ゲームであっても、遊びではない……ゲームというのはまだわかるがこの遊びではないというのは一体どういう意味なのだろうか。
何を意味してこの言葉を言っているのか、それともただの言葉の綾なのか、だが言葉の綾にするならもっと別な言葉があるだろう。なら一体……?
和人はその頑なな頭をフル回転させて考える。だがいくら考えても全く意味が分からなかったので取り敢えず保留ということにした。
それからまだ続く記事を読むが、後はこれといって気になった所はなかったのでこの記事を閉じる……前にこの記事にコメントができるらしいので、和人は今気になっていることをコメント欄に書き込んだ。
ーー『この茅場氏のゲームであっても、遊びではないというのは一体どういう意味なんだ?』
それを書き込むと、今度こそその記事を閉じた。
恐らくこのコメントに反応する者はいないだろう。……仮にいたとしても面白半分で読むだけ……またはよくても適当に返事が返えってくるだけだろう。
だが和人は知らない……というより知る筈がない。後にこの記事を読んで興味深そうに笑みを浮かべている者がいたということに。
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和人は他にも調べ事をしていたら、いつの間にか昼になっていることに気づく。
直葉はどうやら今日部活があるらしいので出掛けているため、今日の昼は自分で作ることになる。
和人は時間を改めて確認するとパソコンの電源を消して自室を後にする。
そして台所につくと取り敢えず冷蔵庫にあるものを使って料理をしようと取り出す。
和人はあまり面倒臭くないもの……炒飯を作ることにした。……といっても卵とあまりのご飯とネギだけで作るので対して贅沢なものにはならないが……。
まずボウルに卵を殻が入らないように上手く割り、大体よくかき混ぜたと思うと手を止めて、ネギを大体自分が食べる量だけ切り、その後に先ほど混ぜた卵に冷えた米を入れてかき混ぜる。こうすることによってパラパラの炒飯ができるのこと。
そしてそれを予め油をひいておいたフライパンに移し、ネギ、塩コショウを入れる。
そして和人はそれを全体的に解すようにお玉を動かしながら炒めていく。
大体全体に火が通ったなと思うと和人は電子コンロの電源を切り、作った炒飯を用意しておいた皿に移す。
ちなみに使い終えたフライパンは、後で洗いやすくなるように流しに置くとお湯をフライパンの中に注いだ。
綺麗に出来上がったその炒飯は、具材こそ少ないが普通の人なら塩コショウとネギの香りを漂わせて食欲を更にそそる……のだが和人は相変わらずそのいい香りがしても表情ひとつも変えずにただ黙々とスプーンで炒飯を掬って食べていた。
和人は旨いの一言も喋らずに食事を終えると、流しに皿を持っていき、ただ黙々と食器を洗った。
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大体食事を終えてもはや1:00を過ぎた頃だろう、母親が何か大きな箱が入っている袋を手にして帰ってきたのだ。
「ただいま、和人」
「ああ、おかえり……なんだその袋は?」
和人は帰ってきた母よりその大きな箱が入っている袋の方が気になっていた。それにはきっと電子ケトルや前壊れたとか言っていたラジカセを新しく買ってきたのか……そんなことを想像していると、次の母の返事でその考えは大きく外れていた。
「ナーヴギアよ」
「……何?」
「だからナーヴギア、和人の為に買ってきたのよ」
和人は母のその答えに唖然としていた。別にナーヴギア欲しかった訳でもないのだが……彼の唖然としている表情からそれを読み取ったのか母は笑顔のまま口を開いた。
「和人パソコンでこのナーヴギアのこと結構調べていたでしょ?だから欲しいのかなーって思って。それに和人はいつも頑張っているからね、直葉には色々と欲しがっていた物を買ってあげたけど、和人は昔から『何か欲しいものはある?』って聞いても『特にない』ってことしか言ってなかったじゃない?それで和人って何に興味があるのかなーって思って和人にはちょっと悪いけど部屋を覗かせてもらったわ」
和人は母の勘違いな言葉に少し溜め息をついた。ああ、だからあの時視線を感じたのか……あの時警戒心を少し緩めていたから気にかけることがなかったな……というか自分の息子の部屋を覗き見する親なんて聞いたことがないのだが……。
「それで目にしたのはこのナーヴギアだったわけ。ちょっと購入するのは大変だったけど和人の為だもの、このくらいどうってことないわ!」
まるでえっへん!とでも胸を張りながら言う母に彼は呆れてしまっていた。なるほど、だから朝早くに家を出ていたのか。和人は母からそれを渋々と受けとると、母は『今からまだ仕事あるからいってくるわ。それとそのゲームの感想、後で聞かせてちょうだい!』と言うと改めて出掛けていった。……嵐のようなというのか忙しい母だなと思いながら和人は母を見送ると自室へ戻っていった。
……そういえばこのゲームのやり方知らんのだが……
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「……ということだ」
『……お前の母ちゃんってなんかすげえなその話だけ聞くと』
和人はこのゲーム……ソードアート・オンラインのやり方を電話を通してクラスメイトに聞いていた。
ちなみをそれを聞いたクラスメイトがお前もゲームするんだな的なことを言っていたが、和人は母に感想聞かせろと言われたのもあるのだが、折角買ってもらったものをしないという訳にはいかないと返事をした。するとクラスメイトが何やら溜め息をつきながら『……お前ってそういうとこでも真面目だよなぁ……』と言っていた。
『で、そのゲームのやり方だっけ?……いいよ、ちょうど俺もやろうとしていたとこだったしな』
「すまない、助かる」
『いいって、これも友の為さ!……で、その前にまずアバター登録について言っておかないとな』
「アバター……?分身ということか?」
『んまあ意味的にはそう言うけどゲームにおいてはプレイするとき、必ずアバターを作らないといけないんだ。名前、性別、肌の色、身長、顔とか……』
「随分細かいんだな」
『てか大半のゲームはそんな感じのが多いぞ。……でだ、まず名前だけど……』
「それなら"和人"でいいんじゃないのか?」
『ダメダメ!ゲーム内で自分の名前を入力するなんて……ましてやネットゲームとかそれやったらマナー違反になるから駄目だ!』
「……なら何がいいんだ?何も思い浮かばないのだが……」
和人はそう言うとキャラの名前を考えていた。しかも真剣に。他の人から見れば苦笑してしまいそうなその光景だが、和人は真剣に考えていた。
ソラン……これは本当の自分の名前になるからというのと、もう捨てた名前だったので却下。刹那……も考えたが今の自分はもう"刹那"ではないという理由で却下。
それからもあれこれ考えていたが何も思い付かなかった。するとクラスメイトが電話越しに何か閃いたように話し出した。
『なら桐ヶ谷和人を略して【キリト】なんてのはどうだ?』
「キリトか、了解した」
『うえっ!?ちょっと待って!それでいいのか!?俺何となくで決めた名前なんだけど……』
「それ以外思い付かないからな。問題ない」
『……ハァ……わかったよ。それで話を戻すけど、まあ後のキャラメイクはお前に任せるよ。やり方くらいはわかるだろ?説明書読めば』
「ああ、問題ない。しかし……このデータ引き継ぎというのは何だ?」
『ああ、それはβテスター用の奴だからβテストやってないお前には関係ないぞ』
「なるほど、わかった」
βテストというのは、数ヶ月前にソードアート・オンラインが唯で先行プレイできるという過去にやったキャンペーンのことである。しかしそれに参加するには予め応募しておかなければならず、しかも2000名限定ということもありゲーマーはまっしぐらに応募したとか。
当時彼はSAOに興味すらなかったので応募しなかったが。
『じゃあ次に起動方法を教えるな。まずソードアート・オンラインのパッケージをナーヴギアのメモリに差し込む。そしたらナーヴギアのコンセントを刺して、ナーヴギアを被ったあとに電源をつける。すると何回か信号が鳴るからそれが強くなってきたらリンク・スタートと決め台詞を言う。あとはキャラメイクしてゲームスタートっということだ。わかったか?』
「了解した。それと助かった。ではな」
『ああ、んじゃあな』
クラスメイトはそう言うと電話を切った。
和人はそれを確認すると、先程言われた手順で動き、ナーヴギアがちゃんとコンセントに刺さっているのとちゃんとソフトが入っているのを確認すると、ナーヴギアを頭に被って電源をつけた。すると信号が鳴り、だんだんと信号が強くなると和人は先程言われた決め文句を口にした。
「リンク・スタート!」
すると彼の視界は真っ白になり、目の前に虹の線が通りすぎていくのを確認した。
すると目の前に急に名前入力のウインドウが現れる。
和人はそこに迷いなくkiritoと入力すると次はアバターメイクの画面が現れた。
和人はまず男か女かを聞かれたので男と選択した。自分の姓を偽るつもりもないしましてや変態でもないので女は絶対に選ばない。
そして次にアバターの細かな設定をする画面が現れたので取り敢えず現実に近いアバターを設定する。和人本人、現実に近くないと違和感を感じるのことらしい。
全ての設定が終えると彼の視界はまた真っ白になった。
それが和人がソードアート・オンラインの世界に入った時だった。
そして彼はまだこの時は知らない。今後起きる事件のこと、その事件……歪みの元凶を断ち切る為に再び"刹那"として戦うことになるのは……
はい、お疲れ様です。
ゲームに興味の無い刹那な和人をSAOに入れるには結構無理やり過ぎたかもしれません。だが後悔はしていない!(キリッ!
今作でのキリトという名前はクラスメイトの案ということにしました。刹那な和人は絶対思い付かない筈なので。
それと和人と会話していたクラスメイトのことですが、今後の出番はないです。あくまで和人にSAOにログインさせるきっかけとして出したので。
最後になりますがもし誤字脱字、おかしな表現やここをこうしたほうがいいという所が御座いましたらご指摘の方をよろしくお願いします。
それでは次回もお会いしましょう!