Sword Art 00nline -The world in which an angel fell- 作:シビリアン
それではどうぞ。
和人……もといキリトは目をゆっくりと開けると、そこはまるで西洋のような建物がずらりと並んでいた。
辺りを見渡すと既に沢山の人……この世界で例えるならプレイヤー、またはNPCが街を歩いている。
キリトは一瞬目を疑った。ここが本当にゲームの中なのかということに。
それだけ完成度が高かったのだ。……そう、まるでもう1つの現実のように。
キリトは取り敢えずここに立ったままだと変な目で見られそうだと思い、街中を歩き出した。
歩くときの足音、何処からか吹いてくる風、そして何かの有機物と有機物がぶつかり合う音……限りなく現実に近いこの世界を茅場晶彦はどんな思いで造ったのだろうと思わされる。
ふとキリトは無意識にあのネット記事に書いてあった言葉を思い出す。
ーこれはゲームであっても、遊びではない。
それを思い出すとまた先程抱いていた疑問が呼び起こされたような感じになる。
未だに分からないこの疑問……この世界を通していけば何れ分かるのだろうか?
そんなことを考えていると、不意に後ろから声を掛けられる。
「……っ!何者だ!」
「あ、ああいや別に驚かせるつもりはなかったんだけど……ちょっと困っていたのかなと思っていたから……」
キリトが後ろを向くと、そこには黒髪の自分より背が高い青年が立っていた。
そして彼はいきなりのことで刃を向けるように言葉を向けてしまう。これは彼が"刹那"だったときに身に付いていた警戒心で、ミッションの時以外でも使うことがあり、ついその癖で出してしまった。
キリトはそのことに少し後悔しながらその青年に何者かを尋ねた。
「……誰だアンタは」
「あ、そういえば自己紹介しないとな。俺の名前はディアベルだ、よろしく。後、君の名前もできるなら教えて貰えないかな?」
「……俺の名前はかz……すまない、間違えた。……キリトだ」
キリトは危うく自分の本当の名前を言ってしまいそうになった。
それを見たディアベルはそのことに気にせずに笑顔をこちらに向けて口を開いた。
「キリトさんか。いきなり話しかけてきて悪いけど、君ってもしかして新規の人かな?βの時には見かけなかった顔だったから」
「……ということはアンタはβテスターなのか?」
「ああ、そうだよ。もし俺で良かったらこのゲームのことについてレクチャーしてあげようか?動きがちょっとぎこちないような感じだったし」
「……では頼む。俺はゲーム自体が初めてだから分からないことだらけだが」
「てことはこのSAOがゲーム初デビューということか。……じゃあちょっとフィールドに移動するから俺に着いてきてくれ。後フィールドの前で待ち合わせしている人もいるからその人も一緒だけど大丈夫かな?」
「特に問題ない」
「よし、じゃあ……あ、その前に武器とかは大丈夫かい?」
「武器はこれでいい」
キリトは説明書の通りに右手の指をスライドさせるとメニューを開き、アイテムから1つの武器……片手剣を取り出す。
といってもこの片手剣はゲーム開始時に配布される初期装備の片手剣なのだが。
「……まあいいか。それじゃあ行こう」
「了解した」
キリトは青年……ディアベルにそう返事をするとフィールドに向かうために彼についていった。
フィールドに出る前にキリト達は一人のバンダナをした青年……恐らく彼がディアベルの言っていた待ち合わせている人のことであろう人物がいた。
「やあすまないクラインさん、ちょっと遅れてしまった」
「ん、ああおりゃあ別に大丈夫だよ。……それでそこにいるもう一人の奴は誰だ?」
「ああ、彼はキリトさん。さっき何やら困っていたようだったから彼もどうかなと思って誘った人なんだけど……クラインさんは大丈夫かな?」
「ああ大丈夫だ。人数は多い方がいいからな、うん。……っと自己紹介がまだだったな。俺はクラインだ、よろしくな。えーっと……」
「……キリトだ。よろしく頼む」
「お、おう。宜しくな、キリト」
クラインはキリトの無愛想な態度に少し戸惑いながら改めてそう言った。
そのやり取りを見ていたディアベルは少し苦笑しながら見ていたとか。
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「ぬぅおわあああああああ!?」
キリト達はフィールドに出るとまずその場でポップした青い猪のモンスター……フレンジーボアと戦っていた。
ディアベルは経験豊富だったからか善戦している。キリトの方も飲み込みが早いのか既に順応していた。
クラインは……二人とは違いフレンジーボアに苦戦を強いられていた。
「大丈夫かい?クラインさん」
「んーまあ何とかな。それでキリトは?」
「キリトさんはもう順応しているよ」
「まじか!今日始めたばかりって聞いたのにすげえな」
「このくらいは問題ない」
クラインはキリトに相変わらずの仏教面でそう返されると溜め息をついた。
まさか初めて……しかもゲームをすること自体初めてのキリトがもう自分を通り越して順応しているのだから。
そんな彼に追い越されたら誰だって溜め息をついてしまうだろう。
そんなクラインの様子をキリトは知らずにフレンジーボアを相手に剣を振り下ろしていた。
何回か攻撃したり攻撃を避けたりしながら戦い続け、最後の一撃でフレンジーボアは体を無数の結晶体にすると四散していった。
「おめでとうキリトさん。……でもよくソードスキルを使わずに倒そうと思ったね」
「?……ソードスキルとはなんだ?」
「……えっ?」
「おめぇ……もしかしてソードスキルの存在知らずにやってたのか?嘘だろオイ……」
「知らない物は知らない。それでソードスキルとは何だ?」
改めてそう言うキリトにディアベル達は驚いたような顔をした後、ディアベルがキリトにソードスキルの説明を始めた。
「ソードスキルというのは言わば必殺技みたいなもので、通常攻撃より相手に大ダメージを与えることができる技のことだよ。使い方は簡単、まず剣を構えて頭のなかで何かを貯めるイメージを想像する。すると剣が青く光るから後は流れに身を任せるように相手を切りつける。……じゃあちょっと見本を見せてみよう」
そう言うとディアベルはまたポップしたフレンジーボアの方を向いて剣を構える。すると彼の持つの剣が青く光り、その直後にフレンジーボアに向かって突っ込むと斜めに切り裂く。するとフレンジーボアは一気に体力を減らして消滅した。
「今のがソードスキルだ。俺が今使ったのはスラントという序盤から使えるソードスキルだから覚えておいた方がいいよ」
「了解した。……アンタは大丈夫か?」
「アンタじゃなくて名前で読んでくれよな……あぁ俺も大丈夫だぜ」
「よし、なら試しにやってみてくれ」
ディアベルがそう言うとキリト達はまたポップしたフレンジーボアの方にそれぞれ向かう。
キリトはフレンジーボアを確認すると咄嗟に剣を構えて先程言われた通り貯めるイメージを頭のなかで作る。すると剣が青く光り、それを確認するとフレンジーボアに向かって、ソードスキルであるスラントを放つ。
するとフレンジーボアはHPを一気に減らし、そのまま消滅した。
もう片方でクラインもソードスキルを発動させてフレンジーボアを倒した。
「いやったぜぇい!」
「おめでとう。でもこれRPGでいうスライム的ポジションなんだけどね」
「えぇっ!?マジかよ!?てっきり中ボスくらいかと……」
「これが中ボスじゃあこのゲームは簡単になってしまうよ。……それでキリトさん、ソードスキルを使った感想はどうだい?」
「悪くはない。だが体が勝手に動くのはどうも違和感がある」
「まあそれは人それぞれだからね。俺は別に大丈夫だけど」
ディアベルはキリトにそう笑顔で言う。キリト自身、このソードスキルというのはどうも体が勝手に動くためか、好きにはなれなかった。自分で剣を振る方が断然いい。
そう言えばキリトはふと思った。こうして最後に剣を振ったのは何時だっただろうかと。
それを思い出したとき、あの時の……"ソラン"の頃の記憶が蘇ってきた。
『どうして……どうしてなのソラン……?どうして……』
『おめでとう、これで君たちも神に認められた戦士となった。これからは共に神の為に戦おう』
『ソラン、銃はこうやって持って射つんだよ』
『剣の振りがまだ甘い。ソラン、俺が手本を見せるからよく見ていろ』
『それでは今から君達は神のために戦うことになる』
『本当に行っちゃうのか……?』
『ああ、俺は今から神の勤めを果たしてくる』
『駄目だよ……死んじゃうよ!』
『何だお前、死ぬのが怖いのか!?それは神を冒涜する行為だぞ?』
『彼は神の為に命を散らした。これで彼は神の御許に導かれるだろう』
『この戦いは、神の御膳に捧げられた聖戦である。伝統を軽んじ、神の土地を荒らす不信仰者どもに我々が鉄槌を下すのだ。不信仰者どもに屈服してはならない。我々は戦いで死すことによって、神の御許へと導かれるであろう』
『戦えソラン、神の為に』
「……っ!」
キリトはその記憶を振り払うかのように首を横に振る。するとディアベル達が心配そうにキリトの方を向いていた。
「ど、どうしたんだキリト、いきなり顔色悪くしてよ……」
「まさか具合が悪くなったのかい?なら無理しないで休んだ方がいいよ」
「……いや、大丈夫だ。少し考え事をしていただけだ。……だから気にすることはない」
「そうかい。ならいいんだけど……もし具合が悪くなりそうだったら言ってくれよ。俺達もそれに合わせて休憩するからさ」
「ああ、すまない」
どうやら余計な気を使わせてしまったようだ。キリトは大丈夫だと言うと、ディアベルは心配しながらそう返事をした。
「にしちゃあすげえよな。この剣1本だけでもどこへでも進むことができるからな」
「ああ、そうだね。魔法がないのは少し寂しいけどまるで自分がこの物語の主人公になれる気分を味わえるからね」
ディアベルとクラインはそう感心しながらそれぞれ感想を述べる。
キリトは特にこれといった感想が思い付かなかった。何せゲームの経験が今回が初めてだったため、他のゲームをやったことがないキリトはなんて言えばいいかわからなかったのだ。
「おっ!もうそろそろピザが届く頃だわ。……てなわけだディアベル、キリト、おりゃちょっくら飯でも食ってくるわ」
「そう言えばもうそんな時間なんだね。キリトさんはどうする?俺はもう少しだけやっていこうかなって思うけど……」
「俺ももうそろそろ夕食の時間だ。あまり遅くなると親が煩いからな」
「そうか。じゃあ今度は広場で待ち合わせしようか。と言うわけでフレンドになってくれないかな?」
「おう、そうだな。じゃあ俺からもフレンド申請二人に送るよ。えーっとフレンド申請は……っと……ほい、送ったぞ!」
するとキリトの目の前にフレンド確認のウインドウが表示されたので、それを確認すると迷わずYESを押した。すると今度はディアベルからも来たのでこちらもYESを押す。
「……よし、じゃあまたログインしたら今度は街の広場に集まろう!いいかな?」
「了解した」
「おう、わかったぜ!……じゃあまたな、ディアベル、キリト。いやぁ~ピザ楽しみだなぁ~」
クラインはそう言うとメニューを開き、ログアウトしようとしていたが、彼はメニューにログアウトボタンが無いことに気づく。
「……あれ?おかしいなぁ……何処にもログアウトボタンが見当たらねぇんだけど……」
「え?そんなことはない筈だよ?メニューの一番下に……無い……?」
「此方もそれらしきものが見当たらないが……」
クラインだけではなく、ディアベルの方にもキリトの方にもログアウトボタンがなかった。
するとクラインは「ログアウト!脱出!」とか大声で叫んだが、勿論反応がない。するとクラインは項垂れた。
「はぁ……冷めたピザなんて粘らない納豆以下だぜ……」
「クラインさんドンマイ……。でも何故だ?先程からGMコールしても反応が無い……」
ディアベルもまたあれこれしてなんとかログアウトの方法を模索するが全然分からないままだった。
キリトもまたいろいろと試すが不明のままだった。
すると街の方角から鐘の音が聞こえてきた。それと同時にキリト達の体は急に白い光に包まれた。
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白い光が止まったと思うと、キリトは先程いた場所とは別に広場のような場所に来ていた。
いや、キリトだけではない。他のプレイヤーもこの広場に白い光を纏いながら急に現れた。
すると後ろから足音が聞こえてきたのでキリトは後ろを向くと、そこには先程共にいたクラインがやってきた。
「おーい!キリトォ!」
「クラインか?ディアベルはどうした?」
「わかんねぇ、きっとはぐれちまったのかも。……でもこりゃ一体どういうこった?他のプレイヤーもここに集まってきているようだけどよ……」
「俺にも詳しいことはわからない」
恐らくこんなことができるのは運営だろう。一体なんのために……?キリトがそんなことを考えていると急に空が赤くなりwarningのウインドウが沢山現れる。するとそこから血のような液体が流れ出したし、それは1つの何かの姿を形成させ、赤いローブ姿の何かが空中に現れる。一瞬趣味の悪い演出だなと思ったのはキリトだけでは無いはずだろう。
「諸君、私の世界へようこそ。私は茅場晶彦、この世界を唯一管理できる者だ」
それを聞いてキリトは少し顔を強ばらせてしまった。表情はわからないが何故か何かを企んでそうな感じに見えてしまったからなのか、それとも自分達をまるで見下ろしているように見えたからなのかは分からない。とにかく顔を強ばらせてしまったのだ。
すると彼はまた話始めた。今ここにいるプレイヤー達からすれば悪魔のような言葉を……
「諸君らのメニューからログアウトボタンが消えている筈だろう。これは不具合ではなく、ソードアート・オンライン本来の使用だ。諸君らはこのゲーム……アインクラッド全100層をクリアするまでこのゲームからは脱出できない」
キリトは彼の言っている意味が分からなかった。周りからもそれじゃあ一生出れないだろうとか、訳がわからないとかそう言う言葉が飛んでくる。
彼はそれを答えるように、そしてここにいるプレイヤー全てが絶望するようなことを口にした。
「また、もし外部からの強制ログアウト……またはこのゲーム内でHPが0になった場合……諸君らのナーヴギアに内蔵している高出力マイクロウェーブ派が諸君らの脳を焼き尽くすであろう。それと、もし停電などで10分間コンセントからの給電がない、もしくはなくなった場合、内蔵バッテリーを使い脳を焼くことにもなる」
それを聞くと周りが混乱しているのか、それとも恐怖から来ているのか、そんなことできるわけないだろと叫ぶ。しかし次の言葉でこんな叫びも意味をなくしてしまう。
「既にこのゲームで218人のプレイヤーがこの世から完全にログアウトしている。そして君達の身柄は今頃病院に搬送されているだろうから安心してゲームをプレイするといい」
その言葉を聞いて周りは絶望し始めたからか、急に静かになる。だが、周りが絶望している中一人だけ彼に怒りの視線を向けている者がいた。
そう、キリトである。
彼は許せなかった。勿論自分があの世界で作ってしまった罪の方が他から見れば許されないものだろう。
武力をもつ組織を一方的に叩き潰した挙げ句、そこに住んでいた人ももしかすると殺してしまっているのかもしれないのだから。
それを知っているからこそ彼は許せなかった。こんなことを平然と……しかも明日の予定もあった筈であろう平和に暮らしていた人々が自分の勝手な都合で巻き込まれてしまうことが。しかもそれが死に繋がるかも知れないことなら尚更だ。
そして思い出すあの言葉。ーこれはゲームであっても遊びではない……つまりこういうことなのだろう。
キリトはそれに気づけなかった自分が情けなく思い、それと同時に彼は見つける、この世界で歪みを。
彼にとっての歪み……そう、今もなお自分達を見下しているようにしている茅場晶彦だ。
「では諸君らに私からの細やかなプレゼントを送る。メニューのアイテムを開いて取り出してみたまえ」
キリトが赤ローブ姿の彼に睨みを掛けているとき、茅場晶彦がそう口にしたので取り敢えずメニューを開いてアイテムを開く。するとそこには手鏡という項目があったので取り出してみる。
すると手に持たれたのは先程選択した手鏡であった。
そこに写っているのは現実となんら代わりない自分の姿。こんなものを渡して何のつもりだと思った瞬間、目の前がいきなり光だした。
暫く経つとその光も消え、また手鏡を見てみる。だがキリトには何一つとして変わっていなかった。
本当に何のつもりだと思い始めた時、隣にいた人物から話しかけられた。
そこにいたのはキリトが見たこともない人物だった。
「おいキリト!大丈夫か!?」
「……貴様、何故俺の名前を知っている?それと貴様は誰だ?」
「……は?何言ってんだよキリト。俺はクラインに決まってんだろ?」
「……何?貴様がクラインだと……?先程と姿が全然違うんだが」
「はぁ?それってどういう……ってこれ現実の俺の顔じゃねえかあああああ!!」
キリトはクラインにそう言うと、彼は改めて手鏡を見て、そう叫んだ。
どうやらこの手鏡、覗くと現実の姿になるらしい。周りを見渡すと、殆どの者の姿が変わっていた。
「……それでは以上でソードアート・オンラインの正式チュートリアルを終了する」
茅場晶彦はその言葉を最後にその場から姿を消した。姿を消したと同時に赤い空は元の夕焼けの空に戻った。
暫くしたあと、全プレイヤーが混乱し始めた。
「ふ……ふざけんなあああああああああ!!」
「こんなの無理に決まってんだろ!出せ!ここから出せよおおおおおおおおお!!」
「いやああああああ!!お母さああああああん!!」
「俺来月面接なんだぞ!そんなのねえだろおおおおおおおおお!!」
それぞれの方面から悲惨な声が飛んでくる。無理もないだろう。自分が楽しみにしていたゲームが、死と隣り合わせのデスゲームになるとは思ってもいなかったからだ。
クラインもこの状況に混乱している一人だった。キリトは茅場晶彦が消えた夕焼けの空をずっと睨み続けている。
すると何処からかキリト達を呼ぶ声がしてきた。
彼らはその方向を向くと、黒髪の自分より少し大きな背をしたプレイヤーがやってきた。
キリトは一瞬誰だか分からなかったが自分達を知っている者はクラインとあともう一人しかいない。
ディアベルである。ディアベルは此方に着くと、結構走ったからだろう、息を落ち着かせるために少しその場で息をハアッと吐いた。
「いやーキリトさん、無事だったか……良かった」
「俺は特に問題はない。だがクラインは少し混乱しているようだ」
「クラインさん?もしかしてそこにいる人がクラインさんなのかい?」
「ああ、そうだ」
「へぇ、そうなんだ。にしてもキリトさんは姿は変わっていないね。お陰で探しやすかったよ」
「俺は現実に合わせて作ったからな。そうじゃないと自分に違和感を持ってしまうからな」
「あはは……そうなんだ。……それでキリトさん、クラインさん、少し話したいことがある」
「「話したいこと?」」
ディアベルは真剣な表情に変えてそう言う。おそらく今後のことであろう。
「もし彼の……茅場晶彦の話が本当ならこのゲームは一人で行動したら危険なものになるだろう。そこでだキリトさん、クラインさん、俺と共に来ないか?」
「……何?」
「俺はβテスターだったからこの層の安全ルートとかを知り尽くしている。それに一人で行動するより複数人で行動した方が生存率は高くなる。それに俺は一日でも早くこのゲームから脱出したい。勝手な理由だけどどうか俺に着いてきてくれないか」
彼はそう言うとキリト達に頭を下げる。するとまずそれにクラインが答えた。
「す、すまねぇディアベルよぉ……。おりゃあこのゲームにログインしているはずのダチがまだこの街にいるかもしれねぇからそいつらを置いてなんて俺にゃ耐えられねぇ……だから……俺は着いていけねぇ」
「……そういうことなら仕方ないね。ではキリトさんはどうだい?」
「……わかった、着いていこう」
「……!ありがとう!」
キリトがそう答えるとディアベルはパッと笑顔になってお礼の言葉を言った。
笑顔になっている彼の一方で、キリトは顔を誰にも気づかない程度に強ばらせる。
ーー俺は見つけた……この世界で歪みを。そうだ、茅場晶彦……貴様がその歪みだ。貴様のその歪み、この俺が断ち切ってみせる。
そしてキリトは"桐ヶ谷和人"としてではなく、再びあの世界で与えられた名前……"刹那・F・セイエイ"として歪みを断ち切るために戦うことを今ここで決意した。
「……じゃあクラインさん、もし何かあったら連絡をくれ。その時はなるべく対応して見せるから」
「……おう。……ディアベル、キリト」
「……?どうした?」
「……死ぬんじゃねえぞ。死んだらぜってえに許さねえからな!」
「……わかった」
「……ああ!じゃあクラインさんも無事でな!」
そう言うとクラインとディアベルは笑みを浮かべ、キリト達は街を出ようとした。
「……キリト!ディアベル!」
ふと後ろからクラインに声を掛けられたのでキリト達は反射的に後ろを向いた。
「……ディアベルおめえなかなか顔イケテんじゃねえか!それとキリト!おめえなかなか可愛い顔してんじゃねえか!二人とも俺好みの顔だぜ!」
「……そういうクラインさんこそこの一丁前な武士顔が似合っているよ!」
「……」
「おいキリトよ、何か返してくれたらどうなんだ?なんの返事も無いと寂しいだろうがよ」
「……すまない、こういうときどう言えばいいのかが分からない」
「……っぶっははははははは!!キリトおめえらしいや!……んじゃあ頑張れよ二人とも!」
「ああ!」
「了解した」
その会話を最後に、彼らは街から出て危険な場所へと変貌したフィールドに足を踏み入れた。
全てはゲームクリアの為に、歪みを断ち切るために……
それぞれ、自分の思いが篭った剣を二人はポップしてくるモンスターに斬りつけた。
その先にある
はい、お疲れ様です。
今回、途中でどう書けばいいか迷ってしまいおかしな所があるかもしれません。
なので、もし誤字脱字やおかしな表現、ここをこうしたほうがいいという所や別に要らない所などが御座いましたら、ご指摘の方をよろしくお願いします。
ー追記ー
内容を少し修正しました。