東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第12話 現れた盗人

 

 

練也が迎えた3日目の幻想郷の朝。それは彼にとって、かなり新鮮なものだった。女性陣とは別の寝室に敷かれた布団の上で、寝転び身体を伸ばしながら欠伸をする。

 

 

 

「.....うおおぉっ....。そうか。朝か。」

 

 

 

ゆっくりと床から立ち、洗顔をしようと歩いて行く。彼は歩いている途中、ふと思うことがあった。今着ている自分の服装は、真っ白な着流しの様なモノだ。着流しという部分にはさして問題は無い。寧ろ彼はこういった純和風な服装を好んで着ることがある為、着せてもらったことに対してお礼を言いたいぐらいだった。しかし問題な点はいくつかある。

 

 

 

「....。(俺はこれから水でも被んのか?巫女さんの修行みたいに?)」

 

 

 

この際、修行装束の様な配色には突っ込まないでおこう。もっと突っ込まないといけないのは、彼がこれからとろうとしている行動であった。

 

 

 

「井戸から水を汲むなんてやったことねーけど...。」

 

 

 

彼は、井戸の前に立っていた。カラカラと滑車にかかっている縄を下に下げていき、その先にぶら下がっている桶に水をたっぷりと汲み上げていく。それから桶を逆さにして頭から水を被った。やはり冷たい。肌を刺す様な冷たさが、練也の身体を包み込んだ。井戸から水を汲み上げる音に気付いたのか、早苗がゆっくりとその場に姿を見せた。

 

 

 

「あの...、練也さん?何をしてるんですか?」

 

 

「.....。洗顔?」

 

 

 

練也も早苗がたてた足音に気付き、その方向へ顔を向けた。その時偶然2人の目が合い、一瞬間が空いた。この絶妙な雰囲気の中、練也は空になった桶を持ちながら早苗の質問に答えた。

 

 

 

「えーっと...。あっちに流し台ありますけど...?」

 

 

「...あっ、忘れてた。...寒っ。」

 

 

 

練也は早苗に言われるまで、流し台があることを忘れていた様だ。恐らく寝ぼけていることも手伝って、正常な判断が出来なかったのだろう。

身体中に水を滴らせ、冷え切った身体を1回震わせる。寒そうにしている中にも、彼はどこか爽快感を感じているかの様な顔を浮かばせた。

 

 

 

「もう...。風邪引かないで下さいね?タオルや着替えを用意するので、上がっていて下さい。」

 

 

「ああ、ゴメン...。」

 

 

 

先に屋内へと上がって行く早苗の背中を見送り、その場で深く息を吸い込む。それから地平線から昇ったばかりの太陽を眺め、練也はふと笑顔を浮かべた。幻想郷の朝は実に清々しく、気分が落ち着く朝だと感じた。

 

 

 

「うしっ!さっぱりしたことだし、俺も行くかね!」

 

 

 

顔を太陽から背け、屋内へ向かおうとしたその時。彼は何者かの声を聴き、その場で立ち止まった。

 

 

 

 

もうすぐこの世界に...

災いが訪れます....。

 

 

 

 

 

「(...何だ...?)」

 

 

 

周りを見渡す練也であったが、彼の周りに人の姿は無い。しかしほんの僅かな間だけだが、その声の主と思われる存在が彼の前に姿を見せた。鉛色一色に染められた、大いに歪みが生じている壁。その中から1人、男が現れた。その男に対し驚きを隠せない様子で、練也はその場で動きを止めた。

 

 

 

「.....俺....?」

 

 

「....まだ、時間はあります....。」

 

 

「時間...?」

 

 

「....香霖堂へ、向かって下さい....。そこに、僕から貴方に託したいモノがあります...。」

 

 

 

男は練也にそう言い残し、壁の向こうへと消えて行った。それと共に壁も消え、彼の眼前には幻想郷の美しい風景が広がっていた。

 

 

 

「(何だったんだ...、アイツ...。何で俺と同じ顔を...。それに、時間て...。)」

 

 

「...?練也さん?」

 

 

 

屋内から着替え着とタオルを持って来た早苗だったが、練也の様子がおかしいことに気付く。地平線から昇る太陽を見つめながら、彼はあの男の存在について少しの間だけ考えた。

 

 

 

 

 

所は変わり、博麗神社。夏とはいえやはり朝方なのか、そこまで暑さは感じられない。そこへ通じる石造りの階段を登る、1人の男の姿があった。階段を登り切ったところで、彼は正面に佇む鳥居を見上げた。

 

 

 

「此処が博麗神社か...。」

 

 

 

ゆっくりと境内の中へと足を踏み入れる男の手の中には、何か銃の形をした様なモノが握られていた。銃の種類から言わせれば、ソレは拳銃の様な形を成していた。しかし拳銃というには、若干大き過ぎるサイズに、やたらゴテゴテとした外見。一目でソレが普通の武器ではないことは、誰にでもわかる代物だった。

 

 

 

「神社にそんな物騒なモノを持ち込むってことは、それなりの覚悟が出来ているのよね?」

 

 

 

突如、男に襲いかかる弾幕。それを簡単には当たらないと言わんばかりに、ただならぬ身のこなしで男は回避する。男に攻撃を放ったのは、この神社に住む巫女、博麗霊夢だった。

 

 

 

「キミが博麗霊夢かい?」

 

 

「何で私の名前を知ってるの?」

 

 

 

そう言いながら攻撃を続行する霊夢に対して、男はやれやれと言いたげな素振りを見せながら懐から1枚のカードを抜き取り、拳銃の形に似た武器にソレを挿入する。

 

 

 

「簡単さ。僕は世界を旅する者だからだよ。1つの世界に住んでいる人間の名前ぐらい、知っていて当然さ。」

 

 

 

カードが武器に挿入されると同時に機械的な音声が発せられ、男はその武器を空に翳しながら声高らかに宣言する。

 

 

 

「変身っ!」

 

 

 

KAMEN RIDE

DIEND

 

 

 

男の身体の周辺に無数の影が姿を現し、その影が重なった後、カード状の物体が頭部に融合。身体を黒、シアンの2色に染めた。男の姿が変貌を遂げたことにより、霊夢は驚愕する。

 

 

 

「!?...あなた、何者?」

 

 

「僕かい...?僕は、通りすがりの仮面ライダーさ。」

 

 

 

 

 

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