東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第13話 異変の前兆

 

 

 

 

マヨヒガにある、士の部屋。整頓された机の上には、ライドブッカーから取り出したと思われるライダーカード等が置かれていた。それらを1枚1枚入念にチェックしていく。

 

 

 

 

「(この世界に来ても、俺の力が衰えることはないか...。)」

 

 

 

 

全てのカードに異常が見られなかったことを確認した士は、壁に飾った数多くの写真に目をやった。綺麗に写し出された、幻想郷の風景。朝焼けに染まる棚田、静かに流れる小川、一面に咲く向日葵....。その全てが、綺麗に写っていた。

 

 

 

「此処が、俺の世界か...。」

 

 

 

 

1人で呟く士の顔は、何処か明るく輝いていた。今まで彼が撮る写真という写真はピンぼけばかり起きていたが、この世界に来てから急にピンぼけが無くなったのだ。この世界に受け入れられたと、士は写真を撮っていく内に感じた。

 

 

 

「士、入るぞ。」

 

 

 

藍が扉越しに声をかけ、ゆっくりと士の部屋に入って来る。普段と変わりない余裕を持った様子で部屋に入る藍を見て、士は何か用かと問いかけた。

 

 

 

「何の用も無しに部屋に入ってくるなんて、お前らしくないぞ?熱でも出たか?」

 

 

「違う。それに用事が無いとは言っていない。紫様から話は聞いた。どうやらこの世界に、良からぬことが起きるらしいな。」

 

 

 

藍は昨夜に紫から情報をもらい、状況を把握した様だ。鳴滝の言葉が正しければ異変はすぐに始まり、幻想郷の平和は破壊されてしまう。

 

 

 

「ああ。その兆候はもう見え始めている。どうやら久々に戦うことになりそうだな。」

 

 

 

椅子から腰を上げた士は、登る朝日を眺めながらそう呟いた。

 

 

 

同刻。博麗神社の境内では、仮面ライダーディエンドと博麗霊夢が早朝から激戦を繰り広げていた。無数の光弾が飛び交う中で、両者は互いに1歩も退くことなくありったけの力を戦いに注いでいた。

 

 

 

「君もいい加減しつこいね。」

 

 

「黙ってやられる程、私は甘くはないわよ。」

 

 

 

複数の札を両手に持ち、ディエンドに向けて一斉に放つ。一枚一枚が赤い軌跡を描きながら、複雑な軌道でディエンドに迫る。それに対し武器を向けるディエンド。その武器、『ディエンドライバー』に変身時と同じ様にカードを挿入することで、能力を発動する。

 

 

 

「やはりそれはお互い様だというわけだね。」

 

 

 

ATTACK RIDE

BLAST

 

 

 

無数の青い光弾が、霊夢の放った札に目掛けて突っ込んでいく。それらが空中でかち合い、ディエンドは完璧に迎撃したと判断したが、その攻撃は小手調べに過ぎなかった。

 

 

 

「おっと。危ないな。」

 

 

 

札と光弾がかち合い炸裂した直後、その奥から紫のオーラを纏った複数の札がディエンドに放たれた。先程の攻撃よりも勢いが増し、大きさも1回り大きくなっている。なんとか回避するも早くも次の攻撃が迫っていた。

 

 

 

「はあっ!」

 

 

 

虚空から姿を見せた霊夢に対し僅かばかり反応が遅れ、一瞬だけディエンドの動きが止まった。霊夢の手には針の形をした武器、『封魔針』が握られており、それをディエンドに目掛けて投擲。針が地面にめり込んだ直後、ディエンドを囲む様に四方八方に結界が張り巡らされた。

 

 

 

「さあ、観念しなさい。貴方に逃げる術は無いわ。」

 

 

「残念だなあ。君からはお宝の匂いがしたんだけど。まあ良いか、今回ぐらいは。」

 

 

「貴方、さっきから何を言ってるの?」

 

 

 

ディエンドライバーを操作しながら呟くディエンドに対し、霊夢は警戒を解くことなく様子を伺う。両手には霊力を込めた複数枚の札を持ち、彼女は何時でも攻撃は可能であった。

 

 

 

「貴方の目的は何?」

 

 

「さあね。君の予想にお任せするよ。じゃあね。」

 

 

 

ATTACK RIDE

INVISIBLE

 

 

 

 

アタックライドカードをディエンドライバーに挿入した後、カードの効果を発動。ディエンドの姿が結界の中で消え、霊夢は敵を逃してしまったと自らの不覚を自覚した。

 

 

 

「一体何が目的だったのかしら、アイツ...。まあ、何か盗まれたわけでもないし...。」

 

 

 

警戒を解き、屋内へと戻って行く霊夢。時間は既に朝食時を回っており、彼女の腹は大きな音をたてた。

そう言えば、調理に必要な食材を切らしていたのだ。完全に忘れていたとガッカリした様子を見せた霊夢は、早々に調達を強いられることになった。

 

 

「今日は霖之助との約束もあるし、どうしようかしら...。ちょっと遅めに行っても平気よね...。」

 

 

 

 

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