東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第2章 ワーム異変
第15話 変身っ!! 前編


 

何処までも広がる青空の中に、突然現れた裂け目。その裂け目から数多くの生気の欠片もない瞳が、地上を覗いていた。

 

 

 

 

「うわあああぁぁぁぁぁぁあああ!!!??」

 

 

 

 

 

不気味としか言えないその裂け目。八雲紫が発動させたスキマから、練也が絶叫を響かせながら地面に向かい落下した。スキマと地面との間の高さは5mぐらいで、落ち方によっては致命傷を負ってもおかしくはなかった。しかし運良く大した傷は負わず、練也はその場に立ち上がり周囲の状況を確認する。

 

 

 

 

「いつつ...。ん?アレは...。」

 

 

 

 

辺りを見渡すと、民家の様な建物が一軒だけ確認出来た。練也はとりあえずその民家らしき建物に行こうと、痛みを訴える身体に鞭を打って歩き出す。

 

 

 

 

「(こんな所に一軒だけ民家があるなんて、おかしな所だな。)」

 

 

 

 

そう思って近付いてみたが、どうやら民家ではなく店の様だ。看板と思われる物に、3文字で『香霖堂』と書いてある。更にその香霖堂の周りには商品と思われる物品が並べられており、どれも吹き曝しの状態でその場に置かれていた。どうやら全部特売品の様で、元値の半額で販売中という貼り紙が貼られている。練也は正直に思うところ、この店の店主は商品の扱い方を間違えていると感じた。

 

 

 

 

「(...入ってみるか。)」

 

 

 

 

香霖堂のドアを開けると同時に、客の来店を知らせる呼子の音が聞こえた。この音が鳴れば、誰か1人は反応して出て来る筈だ。しかし誰も出て来る気配が無い。それに構う事なく、練也は店内を見渡した。所狭しと商品が並べられており、もう何処を見ても物を置くスペースが無い。これは店の外に商品を並べるのも頷ける。

 

 

 

 

「いらっしゃい。」

 

 

 

 

店の奥にある戸が開かれ、そこからこの香霖堂の店主と思われる男が姿を見せた。白色の頭髪に、黄色の瞳孔。視力が低いのか、眼鏡を掛けている。男は珍しい物を見る様な表情を浮かべ、練也に言った。

 

 

 

 

「見ない顔だけど・・・。君、人間かい?」

 

 

 

「はい。俺は外来人で、佐藤練也って言います。」

 

 

 

 

男は練也の答えを聞くと、納得した様に頷き自分の名を名乗った。

 

 

 

 

「成る程、通りで見ない顔をしている訳だ。僕は、この香霖堂の店主をしている森近霖之助。何か探し物なんかがあれば、遠慮なく僕に聞いてくれ。」

 

 

 

 

霖之助という男は久々に来店した客をおもてなしするが如く、気を利かせた立ち振る舞いをする。凄い気合いの入り様で、レジで会計の準備を始めた。もしかすると、練也は実際に久々に来た客なのかも知れない。香霖堂に置かれている商品の状況から見ても、そうである事は明らかだった。練也は早速店内を探索し始めた。

 

 

 

 

「(コレは...。)」

 

 

 

 

探索を始めてしばらくすると、練也は1つの木箱を発見した。その木箱には何かを封印する為の札が貼られている。木箱の重さは、片手で持ってもそこまで重さを感じない程度の重さだった。練也はその木箱を持って、霖之助が待機しているレジへと向かう。早速その商品を霖之助に見せたが、彼はその木箱を忌み物を見る様な目で見つめていた。

 

 

 

 

「見付けてしまったか。悪い事は言わないから、早くそれをしまって来てくれ。」

 

 

 

「そんなにヤバいモノが?」

 

 

 

 

直感で、今朝の男が言っていた託したい物だと判断する練也。彼の質問に霖之助は、木箱に目を向けながら答えた。

 

 

 

 

「とてつもない力を感じるんだ。箱の中身を拾った時には、凄まじい力が僕に伝わって来た。強大な力が、その木箱に眠っている。」

 

 

 

「だが悪いモノじゃないだろ。」

 

 

 

「君には解るのか?」

 

 

 

「解らない...。だけど、コレは多分...。」

 

 

 

 

 

 

練也が言い終える前に、屋外で凄まじい爆発音が鳴り響いた。状況を確かめる為に、香霖堂から駆け出した2人は驚くべき光景を目の当たりにする。多数の妖精がグループを編成し、臨戦態勢をとっていたのだ。妖精達が、2人に向かい光弾の雨を浴びせる。

 

 

 

 

「!!!」

 

 

 

 

練也は自身の右拳にエネルギーを収束させ、地面に向けてその拳を振り下ろした。拳が地面に触れた瞬間に地面が捲り上がり、人の身の丈程ある天然の遮蔽物が形成された。しかしその直後、妖精達の放った光弾が遮蔽物に命中し炸裂。その衝撃で遮蔽物は粉砕され、2人は香霖堂に向かい吹き飛ばされた。

 

 

 

 

「くそっ...。...霖之助さん、大丈夫か?」

 

 

 

「大丈夫だよ。それより、この状況を打破しないと....。」

 

 

 

 

香霖堂の周辺には、また静寂が訪れる。妖精達は一旦様子を伺っている為か、攻撃の手を休めていた。

 

 

 

「(コレが、紫さんが言っていた異変の一部か...?妖精っていうのはアイツ等の事だったのか。)...今だっ!」

 

 

 

練也は今が好機と言わんばかりに、その場から駆け出した。突然のアクションに驚いた妖精達は、光弾を香霖堂目掛けてばら撒いた。しかし命中弾は1発もなく、彼は傷の1つも負ってはいなかった。

 

 

 

「霖之助さん!勘定は後で払う!」

 

 

 

「えっ!?練也、君は何を!?」

 

 

 

「木箱の中身を使う!」

 

 

 

練也の手にはいつの間にか木箱が握られており、貼ってあった札も剥がされていた。素早い動作で木箱の中からモノを取り出し、それを自分の腹部上に押し当てる。同時にベルトがソレの左右から出現し、腹部上に固定された。

 

 

 

 

「バックル....!?それにホルダーが2つも...!」

 

 

 

「それは自身を変身させる為の道具だ!無闇に使うんじゃない!」

 

 

 

 

霖之助が放つ言葉に耳を貸さず、練也は両腰骨付近に出現したカードホルダー。ライドブッカーからカードを1枚取り出し、妖精達に翳しながら声高らかに宣言した。

 

 

 

 

「変身!!」

 

 

 

KAMEN RIDE

DECADE

 

 

 

 

腹部上に固定されたバックル。ディケイドライバーにカードを挿入した後、カード挿入口の左右にあるサイドレバーを中央に向かい圧する。9つの影が彼に重なると同時に、複数枚のカードが頭部に吸い込まれる様に融合。身体のカラーを美しい白銀に染め、仮面ライダーディケイドへと変身を遂げた。

 

 

 

「......どうやら、彼は手に入れたみたいですね...。世界を守護する者の力を...。」

 

 

 

空間に生じた鉛色のオーロラの奥から、1人の男。もう1人の練也が、姿を見せた。戦いの行方はどうなるのか...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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