東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第17話 2人の変身者

 

 

「(まさか食材を切らしているなんて...。もっと買溜めしておくべきだったかしら?)」

 

 

 

食材を買う為に博麗神社から人里までの間、ゆっくりと飛行していた霊夢。今日は思いの外天気が良く、心地が良い日だ。雲1つ無い青空に浮かぶ太陽は、暖かさを含んだ陽光を地上に注いでいた。それにより今は、気分が穏やかではある。しかし、それだけでは空腹は満たされない。霊夢の腹からは、空腹を訴える悲痛な音が1回鳴った。

 

 

 

「(うぅ...。何でこんなにひもじい思いしているのかしら?私、何か悪い事した?)」

 

 

 

そんなに腹を空かせているのであれば、外食等をして腹を満たせば良いと考える者もいるだろう。しかし霊夢の場合はそうは言っていられないのだ。財布の中の事情というヤツである。あえてそこは言及せず、このまま経過を見守る事にしよう。霊夢が人里まで順調に飛行している途中、魔法の森の方向から爆発音の様な音が、霊夢の耳に聞こえた。

 

 

 

「今の音....。...気のせいね。」

 

 

 

 

霊夢は先程の音に関して、何ら気にすることは無い様子で人里に向かい飛行を続けた。

 

 

 

 

練也が香霖堂から離れて、少しばかり時間が経過した。彼が歩いている道路の側には、広大な森が広がっている。その反対側には田畑等、広大な農地が広がっていた。それ以外には特に顕著なものは見られない長閑な環境の中、彼は1人ゆっくりと歩みを進めていた。

 

 

 

「戦いを終えたのは良いけど、これからどうすっかなあ〜。」

 

 

 

先の戦闘でディケイドライバーと2つのライドブッカーを霖之助から譲り受けた練也だったが、その後の事など本人は考えていなかった。とりあえず今朝突然自分の前に現れた謎の男の伝言通り、香霖堂に行った事については何も問題はない筈だ。こうして力を手に入れただけではなく、その力で1人の人命を救ったのだから。練也は宛てもなく、ただ目の前にある道をゆっくりと歩いて行く。

 

 

 

 

「....ん?」

 

 

 

 

士は今日も相変わらず、トイカメラを持って幻想郷中を練り歩いている。レンズ越しに見る風景はどれも綺麗なものばかり。ピンぼけも嘘の様に無くなっていた。

 

 

 

「アイツは...。」

 

 

 

前の方から歩いて来る1人の男の存在に気付いた士は、シャッターを切る準備をしつつゆっくりと歩み寄っていく。近付いてくる士の存在に気付いたのか、風景を見ながら歩いていた練也はふと前を向いた。自分より若干背が高い長身の男がこちらに歩みを進めて来ている。何だと思いながらも、練也は歩調を保ちながら歩いていた。

 

 

 

「おい。」

 

 

「ん?」

 

 

 

士に声をかけられ、その場で練也は立ち止まった。無愛想な態度でモノを言う奴だなと練也は内心思いながらも、士に面と向かい言葉を吐いた。

 

 

 

「何か用ですか?」

 

 

「用ならある。紫からの伝言だ。」

 

 

 

士はそう言いながらトイカメラのシャッターを切った。乾いた音が鳴り、フィルムに練也の姿を焼き付ける。士の言葉に練也は耳を傾けた。

 

 

 

「バックルは先程手に入れたと紫から聞いた。スペルカードの有無を差し引いても、お前はこれで十分戦う力を手に入れた。」

 

 

「....。」

 

 

「これから起こる異変に、お前も関与する可能性がある。それを今回お前に伝えろと紫に頼まれた。それだけだ。」

 

 

 

その場からゆっくりと歩き出そうとする士を呼び止め、練也は彼の名前を聞いた。士は練也に背中を向けゆっくりと歩みを進めながら、自らの名を名乗った。

 

 

 

「俺は佐藤練也。アンタの名前は?」

 

 

「門矢士。通りすがりの旅人だ。」

 

 

 

そのまま黙って去って行く士の背中を見送る練也。そしてその時、練也はふと重大なことを思い出した。まだ見える士の後姿を、全力で追いかける。後ろからドタドタと近付いてくる足音に気付いた士は、立ち止まり後ろを振り向いた。

 

 

 

「伝えることはもう伝えたぞ。」

 

 

「ちょっと待ってくれ!俺からも、1つアンタに聞きたいことがある。」

 

 

「俺は写真撮影で忙しいんだ。聞くなら手短に聞け。」

 

 

 

面倒くさいと言いたげな士を他所に練也は質問する。

 

 

 

「守矢神社に帰るには、どの道を行けば良いんだ?」

 

 

「守矢神社...?....山の上にある神社のことか?それなら...。」

 

 

 

士が言葉を述べ終わる前に、付近でけたたましい音が響いた。耳をつんざくが如くの轟音の発生源を突き止める為、2人はその方向へ向け駆けて行く。

 

 

 

 

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