東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第18話 魔法の森の死闘

 

所は魔法の森。妖精達の住処ともなっているこの森は、普段にも増して騒々しさを増していた。異変が起きる前というのは、妖精が凶暴になるタイミングとして最も多く挙げられるもので、その現象が今魔法の森で発生しているのだ。普段あまり群れることがない妖精達も、いくつかのグループを作って行動している。

 

 

 

「.........。」

 

 

 

ある存在が、森の中で息を潜めていた。身体のラインは人間のそれとほぼ同じだが、容姿はかなりかけ離れている。昆虫の様な触感を頭部に生やし、人間の皮膚とは異なる硬質な成分で覆われている体表。そしてその体表の色は、青であった。全体的に人間の身体にキリギリスを足した様な容姿を持つその存在は、紛れもなく”異形の者”であった。

 

 

 

「.......。」

 

 

 

この森に存在する妖精という妖精を嫌という程殺してきた所為なのか、もう近くを漂う妖精に対して何の興味も示さなくなっている。その存在。ワームの成虫態であるレプトーフィスワームと呼ばれる地球外生物は、外の世界からやって来た者である。つまりは、今回の異変の一部と言って良い存在だ。

 

 

 

 

「しかしここ最近、中々物騒になったもんだなぁ。妖精は騒がしくなって喧嘩も売ってくるし。」

 

 

 

息を潜めて体力を温存するレプトーフィスワームの下へ、待ちに待った獲物が来た。白と黒の配色が成された魔法使いの衣装に身を包んだ金髪の少女、霧雨魔理沙がキノコ狩りの途中、運悪くレプトーフィスワームの側を通りかかったのだ。コレは好機だと思ったレプトーフィスワームは潜んでいた木影から勢い良く飛び出し、魔理沙の行く手を阻む。

 

 

 

「うおっ、何だ!?」

 

 

 

目の前に立ち塞がる脅威を見据え、瞬時にミニ八卦炉を取り出し構える魔理沙。レプトーフィスワームは自分に向けられたモノが武器であると判断し、ゆっくりとその場で腰を沈めスタンスをとる。

 

 

 

「まさかこんなタイミングで妖怪に会うなんてな。」

 

 

「........。」

 

 

 

 

魔理沙がミニ八卦炉から伝家の宝刀とも呼べるスペル、マスタースパークを発射しようとする。それに合わせてレプトーフィスワームも力を徐々に蓄え、それに備える。

 

 

 

「この私が退治してや...!!?」

 

 

 

瞬間。レプトーフィスワームが消えたと思いきや、魔理沙への攻撃を超速とも呼べる速さで行った。何が起きたかわからないまま、魔理沙はその場から凄まじい力で吹き飛ばされる。

 

 

 

「けほっ....!(何だ、今の...?!私が一方的に攻撃された...!?)」

 

 

 

魔理沙はとりあえず攻撃を受け、それにより吹き飛ばされたことだけを認識出来たに過ぎなかった。しかしやられてばかりはいられないと言わんばかりに、魔理沙はその場で片膝を地面に付きながらミニ八卦炉を構えた。

 

 

 

「恋符『マスタースパーク』!!」

 

 

 

ミニ八卦炉から虹色に輝く美しい光線が放たれ、レプトーフィスワームを呑み込もうと迫る。しかし、そう簡単には捉えることは出来ない。レプトーフィスワームだけではなく、ワームという種族の殆どが使用可能とされる超常の能力。時間の中を自らのみが超速で動ける『クロックアップ』によって、殆どの攻撃は容易く回避されてしまうのだ。クロックアップに対抗する為には、それと同類か似た様な能力を使わなければならない。

 

 

 

「ぐっ、がっ...!」

 

 

 

クロックアップの前に成す術がない魔理沙。宙を舞った所を数回に渡り打撃を叩き込まれ、若干追い込まれ気味になってしまった。態勢を立て直す為、応戦しようにもまたクロックアップを使われてしまう。

 

 

 

「(くそっ...。あの妖怪、なんで見えないんだ...。咲夜みたいに時間でも止めてるんじゃないんだろうな...?)」

 

 

 

 

KAMEN RIDE

KABUTO

 

 

 

 

突如魔法の森に響く、聞き覚えのない音声に耳を傾ける魔理沙。その後、彼女の周りでは全く別の時間軸内での戦いが始まる。

 

 

 

ATTACK RIDE

CLOCK UP

 

 

 

辺りで見えない何かが戦っている。魔理沙の視点からは、その様に見えた。魔理沙の側に駆け付けた練也は、彼女を安全な場所まで移動させる。

 

 

 

「大丈夫かっ!?」

 

 

「えっ?あ、ああ....!」

 

 

 

 

練也が魔理沙を庇いながら移動するその間、士はレプトーフィスワームとの死闘を繰り広げていた。レプトーフィスワームは成虫態の容姿のままディケイドに飛びかかる。それを簡単にいなし、数回拳打を見舞う士。拳打を喰らい多少怯んだものの、続けて大振りの拳打を繰り出すレプトーフィスワームだったが、それも見切られてしまう。簡単に受け止められ、今度は蹴りを数発まともに喰らってしまった。

 

 

 

「......。」

 

 

 

この段階でクロックアップは双方共に解除された。もう1度突撃を仕掛けるレプトーフィスワームだったが、その判断が自身を死へと追いやる結果となった。士がディケイドライバーに新たなカードを挿入し、一撃を叩き込む。

 

 

 

FINAL ATTACK RIDE

KA.KA.KA.KABUTO

 

 

 

ディケイドライバーにカードを挿入した後にサイドハンドルを中央に向かい動作させ、必殺技であるライダーキックをレプトーフィスワームの側頭部に叩き込む。ライダーキックが頭部に吸い込まれる様に命中した後、そこで爆散することなくレプトーフィスワームは練也と魔理沙の方へ吹き飛んで行った。

 

 

 

「トドメの一撃はくれてやる。カッコ良く決めろよ。」

 

 

「ああっ!炸裂拳『ヒートスマッシュ』!!!」

 

 

 

練也は即座にスペルカードを発動。自身の右腕にエネルギーを収束させ、渾身の一撃をレプトーフィスワームの頭部に叩き込んだ。拳が頭部に減り込み、その後吹き飛ばされ凄まじい勢いで付近の巨木に激突。二度に渡り必殺技を受けたレプトーフィスワームは、一寸も容姿を留めることなく爆発四散した。

 

 

 

「....えっ!?」

 

 

 

レプトーフィスワームが爆散した瞬間を目に収めた魔理沙は、爆炎の近くに佇んでいた”人間の様な者”と、目の前で自分を庇う様に立つ男を交互に見た。状況が飲み込めないのか、目を丸くして口を開けたままの状態で沈黙している。

 

 

 

「大丈夫か?」

 

 

 

目の前に立つ1人の男が、魔理沙に声をかける。先程レプトーフィスワームにトドメの一撃を加えた男、佐藤練也。その顔には、魔理沙は見覚えがあった。

 

 

 

「お前、人里の近くで弾幕ごっこやってた...!」

 

 

「人里の近くって....。ルーミアと戦っていた時のことか?」

 

 

 

2人が会話を始めたその傍で、士は変身を解除しようとディケイドライバーのサイドハンドルに手をかけた。魔理沙は変身が解除される瞬間をしっかりと目に留め、変身していた者が誰なのかを知ることになる。複数の影が身体から分離したと同時に、変身者である士の姿が露わになった。

 

 

 

「えっ...!?士、お前だったのか?!」

 

 

「ああ。此処で会ったのも何かの縁かもな。」

 

 

「....とりあえず此処で立ち話もなんだし、私の家に来いよ。色々聞きたいこともあるしな。」

 

 

 

普通の魔法使いこと、霧雨魔理沙は服に付いた土埃を払いながらそう述べ、2人を自宅に案内しようと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

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