東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第29話 ワームの襲撃

 

 

「慧音、コイツ等やっぱり!」

 

 

「ああ、魔理沙が言っていた通りだ。人里の住人に擬態して、襲撃の機会を伺っていたに違いない!」

 

 

 

突如現れたワームは人里の住人に襲いかかったが、死傷者を発生させる前に慧音と妹紅、多数の自警団員の手によりそれは阻止された様だ。倒壊した家屋の屋根を突き破り、数体の蛹体ワームが2人に迫る。

 

 

 

「ちっ!」

 

 

「はっ!」

 

 

 

妹紅の放った火炎が、慧音が放った濃密な弾幕が数体のワームを巻き込み、ワーム数体は塵芥と化した。しかし、それでは終わらない。慧音と妹紅は数体の内、2体のワームに何らかの兆候が起きたことを見逃さなかった。

 

 

 

「妹紅...。まだ終わりではない様だぞ。」

 

 

「そうみたいだね。」

 

 

 

2体のワームが著しく身体を発光させ、凄まじい熱を帯び始めた。それを見た慧音と妹紅は、再度そこに対し濃密な弾幕を放つ。そこに家屋があった形跡が残らない程の濃密な弾幕を放ち、爆発音と共に夥しい量の砂塵が舞う。

 

 

 

 

「やったか...!?」

 

 

「まだ気を抜くんじゃないぞ、妹紅。」

 

 

 

これ程の弾幕が降り注げば、いくら外界の怪物といえどただでは済むまいと高を括っていた妹紅だったが、慧音の声に反応し気を引き締める。慧音の言う通り、ワームは死んでいなかった。辺りに漂う砂塵が消えていき、徐々に視界が鮮明になっていく。その先に待つ結末は、非情なものだった。

 

 

 

「えっ...!?」

 

 

「姿が、変わった?!」

 

 

 

明らかにワームの容姿が先程と異なることに気付く慧音と妹紅。先程まで緑色に染められていた身体は、白一色に染められていた。守矢神社にも姿を見せたあの個体と若干差異はあるものの、フォルミカアルビュスワームと同一種類のワームと見て間違いないだろう。

 

 

 

「何を仕掛けてくるかわからない。気を付けろ。」

 

 

「うん。慧音も気を付けてね。」

 

 

 

その頃、人里の大通りから外れた住宅街。仮面ライダーディケイドこと門矢士と、皐月という少女に擬態したレプトーフィスワームがワームと激戦を交えていた。

 

 

 

「はああっ!」

 

 

「やあっ!」

 

 

 

士はライドブッカーソードモードによる斬撃を繰り出し、ワーム蛹体を次々に斬り捨てていく。息絶えて逝くワームは緑色の爆炎を発して爆発を起こし、跡形もなくその姿を消していく。人間態から成虫態へと姿を変えたレプトーフィスワームは右手に殺人音波を収束。それを伴ったフック等をワームに見舞い、次々と爆散させていく。ワームは、レプトーフィスワームを除きそこにはもう居なかった。

 

 

 

「後は大通りの方か...。行くぞ。」

 

 

「...ちょっと、待ってほしい...。」

 

 

「...いや、やっぱり良い。お前はその子と一緒に居ろ。」

 

 

「...わかった。」

 

 

 

士はレプトーフィスワームに皐月の下に残る様に言って、彼は1人戦闘が続いている大通り付近へと向かった。

 

 

 

「なんか物騒な物音がするなと思ってみりゃあ...。」

 

 

 

人里の騒乱に気付き、魔法の森から飛び立った魔理沙。現在彼女の視点から見る人里は、凄惨と言っても過言ではなかった。家屋は倒壊し火災が発生。硝煙が辺りに立ち込め、そこに当時住んでいた住人の姿は殆ど無くなっていた。

 

 

 

「(クソッ、私がもっとしっかりしていれば...!とりあえず急がないとな!)」

 

 

 

更に箒を加速させ、現場へと急行する魔理沙に背後から見慣れた人物が彼女に声をかけた。それに飛行しながら返答する魔理沙。

 

 

 

「...?霊夢!?」

 

 

「何ボサッとしてるのよ。とっとと行って解決するわよ、この面倒くさい異変をね。」

 

 

 

魔理沙の背後を飛行していたのは、紛れもなく霊夢だった。香霖堂へ向かいディケイドライバーの封印を施す筈であった霊夢だが、それを店主の霖之助がある人物に渡したということを知り、霊夢はその人物の下へと向かっていた。その途中で人里に異常があると認識し、進路を変更。そして魔理沙と偶然会ったのだ。

 

 

 

「...ああ、そうだな!」

 

 

 

 

丁度人里では、妹紅と慧音の前に立ち塞がる2体のフォルミカアルビュスワームがクロックアップを発動。弾幕等を使い、2人は果敢に応戦する。

 

 

 

「(ぐっ...。...コイツ等、見えない...!)」

 

 

「(なんだ、この動きは...!)」

 

 

 

クロックアップによって翻弄されている慧音と妹紅。フォルミカアルビュスワーム2体は、弾幕の射線を避けつつ徐々に距離を詰めて行く。

 

 

 

「(このままじゃ...!)慧音!」

 

 

「ああ...!(並みの妖怪程度の実力じゃない...!)」

 

 

 

フォルミカアルビュスワームの鉤爪が、慧音の喉に到達するかと思われたその時。多数の光弾がフォルミカアルビュスワームの左右から迫る。回避が出来ず、それらをもろにくらうフォルミカアルビュスワーム。そこへゆっくりとした足取りで悠然と近付く士と、上空からゆったりと舞い降りる霊夢と魔理沙。

 

 

 

「さあ、どうする?降参するか。此処で死ぬかだ。」

 

 

 

士は仮面の下からフォルミカアルビュスワームを見据えながら言った。ライドブッカーガンモードの銃口が陽光に照らされ、不気味に煌めいている。若干狼狽した様子を見せた後、2体の内1体が士に飛び掛らんと構えたが、それに対してもう1体がそれを手で制した。その後、2体のフォルミカアルビュスワームは屈むような姿勢をとり、それに対して士や霊夢達が身構えた。

 

 

 

「...次は必ず、殺してあげるわ...。」

 

 

 

「忘れるなよ...?」

 

 

 

フォルミカアルビュスワームはそう言い放ち、刹那の間も空けずにその場から消え去った。士は変身を解除し、元の姿へと戻る。彼は先程まで襲われていた慧音と妹紅に向かい、歩みを進めた。

 

 

 

「怪我は無いか?」

 

 

「ああ、すまない。おかげで助かった。」

 

 

そして同じく人里に駆け付けていた霊夢と魔理沙も、彼等の下へ歩み寄って来た。人里の凄惨な状況を目の当たりにしたとはいえ、反応は個々様々である。戦闘が終わって早速、霊夢が悪態を吐く。

 

 

 

「まったく、ホントめんどくさいことになっちゃったわね...。ていうか、慧音や妹紅なら居るのは解るけど、アンタ誰?」

 

 

「おっ。よっ、士。そう言えば、霊夢は会うの初めてだったな。コイツは門矢士。前に魔法の森で私を助けてくれたヤツだぜ。」

 

 

「よっ、魔理沙。しかしお前も此処に来るとはな。タイミングが良い。そしてその紅白の口の悪いヤツは何だ?」

 

 

 

 

不機嫌な表情を浮かばせる霊夢に、淡々と士の紹介する魔理沙。魔理沙に挨拶をするがてら、士は霊夢に対して棘のある言葉を放つ。

 

 

 

「まあまあ、2人共落ち着けって。とりあえずワームは追っ払えたんだし。」

 

 

「そうだな。魔理沙の言うとおり、今は危機が過ぎ去った。(...というか、まずはこの現状をなんとかしないとな...。)」

 

 

 

妹紅がそう言いながら振り返る。彼等の眼前には、夥しい量の家屋の亡骸があちこちに積み上げられていた。

 

 

 

 

 

 

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