東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第33話 障壁

 

 

「(さっきの攻撃...。当たればどうなっていたことか...。)さあ、まずは小手調べですね。」

 

 

文が纏う風に変化が見られた。彼女は持っていた団扇を真横に翳し、そこから素早く逆側へと振り翳す。それに呼応して、風が無数の鋭利な刃を形成し練也に目掛け放たれた。

 

 

 

「(まるで生きているみたいだな...!)」

 

 

 

練也が放つ熱線とはまるで異なり、まるで生きているかの様に変則的な動きをする風刃。彼を斬り裂かんと迫る無数の刃に対し、地を高速で這う獣の如く俊敏な動きで練也は攻撃を回避する。しかしこの攻撃はまだ序の口であった。

 

 

 

「お次は、コレです!」

 

 

 

無数の風刃に加え小規模な竜巻が形成され、それらが畝りながら練也へと迫る。あの竜巻に巻き込まれれば、ただでは済むまい。

 

 

 

「竜巻の中にも無数の風刃が存在します。巻き込まれれば、かなり痛いですよ。」

 

 

「痛いで、済めば良いんだけどな!」

 

 

 

苦し紛れに襲い来る風刃や竜巻に対し、熱線を放つ練也。赤色に染められたエネルギー体の結晶は、風刃や竜巻を複数飲み込み消滅させた。しかしソレを回避し練也に命中した風刃も、複数確認出来た。どれも擦った程度のものだが、触れた箇所が少しだけパックリと割れている。凄い斬れ味だ。あともう少し位置が違っていれば、刃が動脈に達し大出血していただろう。

 

 

 

「(やっぱり、直線の射撃だけじゃ通用しない...。もっと別の射撃とかを浴びせないと。)ふんっ!」

 

 

 

風刃の後に迫っていた数体の竜巻に目掛け、練也は自身の身体全体から衝撃波を発生させ迎撃する。竜巻は形を崩され、中の風刃諸共消滅した。コレは、彼が新しく思い付いたスペルカードの元となる形の技だ。

 

 

 

「(気を体外に放出することにより、竜巻を消滅させましたか...。いやはや、これ程とは...。)」

 

 

「ふんっ!!」

 

 

 

両手にエネルギーを収束。再度射撃を試みる練也だが、今度は形を少々変えたようだ。楕円を長くしたような形。つまり光弾の形で熱線を放ち、その後に光弾が無数の子弾となり目標に襲い掛かる。彼がパッと思い付いたこの弾幕は、クラスター爆弾を参考にしたモノだった。

 

 

 

「おお、こんな弾幕を撃てるようになったんですね。ちょっと意外です。」

 

 

 

練也が放った多数の光弾が途中で炸裂し、無数の子弾となって文に降り注ぐ。その子弾と子弾の間を縫うようにして、文は弾幕を交わしていく。

 

 

 

「でも、まだ足りませんねえ〜。この幻想郷で戦いに勝つ為には、この程度の弾幕では通用しませんよ?」

 

 

「っ...!(一々癪に触る喋り方だな...。)」

 

 

 

攻撃が当たらずに苛立ちを感じ始めた練也は、射撃を一旦中止した。残りのエネルギーを自身の身体全体から放射しようと、その場で踏ん張る姿勢をとる。

 

 

 

「っ!!!」

 

 

 

「(弾幕が命中しないと考えて、別の戦法を取る気ですね。)ですが!」

 

 

 

 

文が今日最大の竜巻を作りつつ、練也に向かい言い放つ。

 

 

 

「私は、幻想郷最速の伝統ブン屋!何処の馬の骨かもわからない、外来人に負けたりなどしません!」

 

 

 

文のその一言が、練也の闘争本能をより一層燃え上がらせた。練也の周辺には顕著にエネルギーの流動が生じ始め、身体中が深紅のオーラに包まれて行く。最早後には引けない。

 

 

 

「そういうなら....。」

 

 

 

更にオーラはその大きさを増し...。

 

 

 

「.......。」

 

 

 

文の竜巻程の大きさへと、その規模を変貌させた...。

 

 

 

「(コレが、練也さんの本気...。)面白いじゃありませんか!受けて立ちましょう!」

 

 

 

 

「...馬の骨とまで言われて、引き下がれるかあっ!!!」

 

 

 

「竜巻『天孫降臨の道しるべ』!!」

 

 

「轟波『46ショックウェーブ』!!」

 

 

 

最大の竜巻、最大の気の壁が今ぶつかり合った瞬間。湖の湖畔上空、概ね100m付近で大規模な衝撃が発生した。近くにいた妖精や妖怪達は一斉にその方向を見やり、それに合わせるかのように凄まじい衝撃があらゆる存在を襲った。

 

 

 

同刻、博麗神社。霊夢と魔理沙はゆっくりお茶を啜りながら、談笑に勤しんでいた。もっぱら会話の内容は、霊夢が取り逃した青と黒の人間か妖怪かよくわからないものに対する話だが。

 

 

 

「...それでソイツを取り逃して、挙げ句の果てには空腹に悩まされる始末よ。今度見つけたら何してやろうかしら?」

 

 

「まあ落ち着けって、霊夢。多分ソイツのことをよく知っているヤツがもう直ぐここに...。」

 

 

 

噂をすれば、である。スキマが虚空に出現し、そこから門矢士が姿を見せた。

 

 

 

「紫、前から言ってるだろ!いきなりスキマを開くな!」

 

 

「おっ、士。結構早かったな。まあ、それを使えば当然か。」

 

 

「俺が使えるわけじゃないがな。」

 

 

「っていうか、魔理沙。アイツに詳しいヤツってもしかしてコレのこと?」

 

 

「随分な物言いだな、腹黒巫女。」

 

 

「今何て言ったかしら?」

 

 

「さあな?」

 

 

 

 

その後からスキマ妖怪である、八雲紫がゆっくりと姿を見せた。

 

 

 

「普通に行くのはちょっと面白くないと思ったし、良い刺激にもなったでしょ?それにこっちの方が手っ取り早いし。そんなことより...。来るわよ。」

 

 

 

 

紫が霧の湖の方角を見やり、それにつられて一同は同じ方向へ顔を向けた。

 

 

 

 

瞬間。その場にいた全員が、凄まじい衝撃と轟音を自らの身体で感じ取った...。

 

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