「会いたかったぞ...。佐藤練也...。」
擬態した外見のまま、不気味な笑みを浮かべながらフォルミカアルビュスワームは練也に言い放った。その左右には擬態したもう2体の同一種のワームが、練也達を見据えていた。
「アイツ等...!前回人里で妹紅と慧音に擬態していた奴等か!」
魔理沙が片手に箒を持ちながら、3体の擬態したワームを睨む。此処でコイツ等を仕留めなければ、また著しい被害が発生する。1つの里を短い時間でその殆どを瓦礫に変えてしまう敵を前にして、この場に居る全員は油断を許さなかった。
「ワームは擬態したら即刻対象を殺す筈だが、聞いて呆れるな。」
士が挑発的な言動を起こし、擬態しているワームに向けて言葉を放つ。取り乱す様子はなく、擬態練也は平静を保ちながら士に言葉を返す。
「ふん...。それより、貴様が持つ力も同じものとはな...。門矢士。」
「同じ力...?どういうことだ?」
練也に擬態したワームが発した”同じ力”という言葉が、士の耳に引っかかる。擬態練也が腰部にあるベルトを示しながら、士に言った。
「仮面ライダーという存在に姿を変えるという部分は共通している。しかし貴様ならいざ知れず、この佐藤練也には大きく欠けている部分がある。」
そう言って、擬態練也は自らの頭上に手を翳す。上空に裂け目が生じ、それと同時にダークカブトゼクターがそこから現れ速やかに擬態練也の手中に収まる。擬態慧音や擬態妹紅も然りである。彼女等の手にはそれぞれ、ダークザビーゼクターとダークガタックゼクターが握られていた。それに合わせて練也と士もディケイドライバーを腹部に押し当て、霊夢や魔理沙、紫も構えて敵の攻撃に備える。
「貴様に足りないもの...。それは破壊の上で成り立つ、新しい世界が創造されることに対する認識である...。その破壊を抑制する力を持っているというのが、何よりの証拠だ。強大な力の下にこそ、新しい革新的な世界が生まれるのだ。」
「破壊こそ、新たに生まれるモノの象徴そのもの。」
「それを理解出来ない時点で、お前達に未来は無い。」
それを聞いた後、一行はそれぞれの言い分を述べた...。
練也は、声に力を込めて擬態した3体に言い放った。
「俺は、綺麗事を言うのが嫌いだし、言うヤツも嫌いだ。だが、お前等の破壊という二文字に正義っていう概念は微塵も感じられない!お前等のやっていることはただの殺戮と同じだ!罪の無い人々を巻き込み、幻想郷というこの美しい世界を蹂躙しようとするなら、俺は全力でお前等を叩き潰す!」
次に、士が声を大にして言葉を述べる。
「お前等は破壊の上に大義を成そうとしているが、その行為はただの破壊でしかない。護るべき者の為の破壊なら、それは大義だ!だが自分達の力を誇示する為の破壊など、ただの自惚れた奴の愚業でしかない!」
次は霊夢が3体を見据えながら言う。
「大義やら正義だか知らないけど、アンタ達はこの幻想郷を土足で踏み躙る真似をした。その報いは、受けてもらうわよ。」
魔理沙も後に続いて言動を起こす。
「私もお前等を許す気はねーよ。なんせ私達の仲間を傷付けて、この世界を乗っ取ろうとしたんだからな。」
最後に、紫が静かに言った。
「幻想郷の力を、その身に刻むことね。」
その場に静寂が訪れ、その場に居た全員は身動ぎ1つせずに睨み合う。それは束の間の間のみであった。擬態した3体のワームは、1体を除きその場から離れた。それを制止しようとする練也を、士が止めた後にこう言った。
「因縁の対決だ。お前の手で奴を葬ってやれ。」
「士...。」
「俺は、奴等を追う。」
「...頼む。」
「士、私も行くぜ!」
擬態妹紅と擬態慧音が去った方向へ、士は駆けて行く。その後を追うようにして、魔理沙は箒に乗って追跡する。紫はその場にとどまり、スキマの中へと入る。その中から経過を見守ると言うのだ。
「貴方達は、アイツを相手にするのね。良いわ。ボコボコにしてあげなさい。」
「ああ。ヤツは俺の手で倒す。」
「当然でしょ?幻想郷とこの神社は、私が守るわよ。それと、練也?アイツを倒すのは私よ。」
「”そういう覚悟”があるってことだよ。どっちが倒そうが同じことだ。この世界を護れるならな。」
そう言って戦闘態勢に入る練也と霊夢。擬態練也は、その2人に向けて言い放った。
「この世界の住人共が、如何に愚かか理解出来たぞ...。しかし...。我々と同じく、別の世界から来た人間さえもこんなに愚かだとはな!」
2人はカードを翳し、それと同じようにして擬態練也もダークカブトゼクターを翳し、力強く宣言する。
「変身!」
「変身!」
KAMEN RIDE
DECADE
HEN-SHIN
姿を変貌させた両者。
幻想郷での大きな戦いが、今幕を開ける...!
所変わり、霧の湖の湖畔。
「さて、此処なら広くて戦い易い...。戦いをするには絶好の場所だ...。」
湖畔に立ち、ある一点を見ながら擬態慧音は言った。彼女の左手首付近にはダークザビーゼクターを装着する為のアタッチメントが装備されており、右手の中には何時でも装着出来るようにとダークザビーゼクターが握られていた。彼女の視線の先には士と魔理沙の姿があった。
「(大丈夫か...?チルノや大妖精のヤツ。コイツ等に巻き込まれなきゃ良いが...。)決闘だったら、何処でもやってやるぜ!」
胸を張りながら、2体に対して豪語する魔理沙。弾幕を撃つ準備を整えて、彼女は目標を見据えながら士と言葉を交わす。士は口を動かしつつも、ライドブッカーからライダーカードを取り出し戦闘準備を整えた。
「魔理沙、今度はしくじるなよ。」
「言われなくてもわかってるぜ。私は、こう見えて時間を操るヤツを相手にしたことがあるからな。」
続いて擬態妹紅が口を開く。彼女も例の如く、腰にはゼクターを装着する為のベルトを装備している。右手には擬態慧音と同じように、ダークガタックゼクターが握られていた。士や魔理沙の動作を見るや否や、彼女も自身の概ね横側にゼクターを翳す。
「コレで2on2...。決闘の場は整った。」
見据える両者。先に挙動を起こしたのは擬態慧音と擬態妹紅だった。
「「変身。」」
HEN-SHIN
それぞれ翳したダークゼクターをアタッチメントに装着し、それと同時に身体が徐々に六角形の形状をした装甲システム。ヒヒイロノカネに覆われ、それぞれ違う姿に変貌を遂げる。
蜂とクワガタの形を参考に、形を成した仮面ライダー。ダークザビーとダークガタックの姿を完成させた。士もディケイドに変身する為、ディケイドライバーにライダーカードを挿入する。
「変身っ!」
KAMEN RIDE
DECADE
士の両側面には例の如く、無数の鉛色に染められた影が出現した。それに並行してディケイドライバーのセンター部分より、カードの形状を成したマゼンタカラーのエネルギー体が眼前に展開される。無数の影が士に重なった後、眼前に展開していたエネルギー体が彼の頭部に投げ込まれるようにして融合。身体のカラーをマゼンタ、黒、白に染め、仮面ライダーディケイドの姿を成した。
「行くぞ、魔理沙。」
「応!」
戦いが始まり、互いに距離を凄まじい勢いで詰めて行く。拳打や蹴打を繰り出し、士は先を制する。ダークザビーとダークガタックも鋭い突きや蹴りを繰り出すが、士の巧みな身のこなしにより捌かれ、虚空を掠めるのみ。
「余所見してると痛い目見るぜえ!」
士が間合いを一旦切り、それに合わせて2体が攻撃を仕掛けにかかる。そこへ上空から魔理沙が放つ無数の弾幕により、ダメージが蓄積されていく。物凄く濃密な弾幕だ。鈍重なマスクドフォームでは、いささか避けるのには心許ない。魔理沙は星型の弾幕を撃ち出し接近しつつ、片手に何やらモノを忍ばせていた。
「先ずは、コイツを喰らいやがれ!魔廃『ディープエコロジカルボム』!!」
魔理沙の手に握られていたモノとは、ディープエコロジカルボムである。凄まじい魔力を内包した、魔理沙特製のお手製爆弾と言って良いものだ。ある一定の時間をおいてから、かなりの規模の爆発を起こす、いわゆる時限信管付きの爆弾なのだ。絶え間なく弾幕を浴びせる魔理沙に加勢して、士もアタックライドカードを挿入し、2体に対し射撃を浴びせる。
ATTACK RIDE
BLUST
ライドブッカーをガンモードへと変形、銃身を多数に分裂させ制圧射を見舞う。2人の放つ猛射に襲われ動きを封じられたダークザビーとダークガタックは、ディープエコロジカルボムの爆発に巻き込まれた。
「.......。」
「........。」
爆発した瞬間、その付近は青白い爆炎に包まれた。発生した爆炎の奥の状況は、確認出来ない。ダークザビーとダークガタックは仕留めることは出来たのだろうか。それを確かめるのはこの爆炎が消えた時だろうと、魔理沙は考えていた。しかし、まだ勝負は続いていたのだ。怪しく煌めく青炎の中から、突然響く作動音。その作動音を、士は何を示すものなのかを知っていた。
「来るぞ。」
「えっ?(この音が、そうなのか...?!)」
炎の奥より響くのは、装甲が浮き上がることに伴って生じる排気音にも似た効果音。そして、ダークゼクターより直接発せられる電子的なもの。この2種類が2人の耳に届いていた。
「さあ。ここからが、本番だ...。」
「私達の力、思い知れ...!」
炎の中から擬態したワームの声が聞こえた。その直後、ダークザビーとダークガタックに更なる変化が見られた。いや、最早容姿だけに限ったことではない。この場の状況自体に、重大な変化をもたらすことが起きたのだ。
「「キャストオフ。」」
CAST OFF
そのキャストオフという言葉の意味が魔理沙には理解出来なかったが、炎を吹き飛ばしながら自身に高速で飛来するヒヒイロノカネに気付き回避したその後から、コレは間違いなく攻撃だということを彼女は理解した。士はその場で回避を試みるが、ヒヒイロノカネの一部が身体を掠めた。多少怯んだりはしたものの、大したダメージではない。2人が先程まで爆炎に包まれていた場所に目をやる。そこには、また新たな姿を成した2体の仮面ライダーが、2人を見据えていた。
CHANGE WASP
CHANGE STAG BEETLE
「(アイツ等、格好がさっきまでと違う...?)士!」
「魔理沙。どうやら、話している暇はないみたいだぜ?」
そう言いながら士は、ある1枚のライダーカードを手慣れた様子でライドブッカーから引き抜く。そのカードをディケイドライバーの挿入口に投げて挿入し、サイドハンドルを動作させて効果を発動する。
KAMEN RIDE
KABUTO
士の姿に変化が見られた。先程までの容姿と異なり、頭部に施された天を向く雄々しい1つの角と、赤、黒、シルバーの3色が施されたボデイ。そして青い複眼。魔理沙は、その容姿には見覚えがあった。
「(あの格好は、魔法の森で戦った時の...!?ってことは!)」
魔理沙は攻撃される前に先手を取ろうと、数多の弾幕をダークザビーとダークガタックに浴びせにかかる。普通の弾幕、グリーンスプレッド、メテオニックデブリ、デビルダムトーチ等ふんだんに使い、積極的に攻撃する。
「クロックアップは使わせないぜ!」
「(無駄な足掻きを...。)はあっ!」
ダークザビーは、擬態した人物の弾幕を使い魔理沙の攻撃を迎え撃つ。もう一方。士とダークガタックの一騎打ちにおいては、クロックアップを使った者同士の戦いとなった。
「お前の話は聞いていたぞ、世界の破壊者。我々の上の方と破壊の抑制をする者以外に、あと1人だけディケイドが存在するとな。」
「そう言われるのは久しいな。まあ、実際世界の一部は破壊してきたりはしたが。悪の部分だけな。....。」
「...。なんだ?」
「柄の悪い連中が変身するライダーは、やはり大したことはないな。雰囲気でなんとなくわかる。」
「貴様ああ...!!」
CLOCK UP
「やはり大したことがない器だったか。」
ATTACK RIDE
CLOCK UP
激昂したダークガタックを蔑むかのように士は言い放ち、彼は戦闘を開始した。その戦いの音響は、近くに居る妖精達を震え上がらせたが、例外となる人物も勿論中には居た。湖に住む氷の妖精、チルノである。
「最近やけにうるさいし変な大きい穴ボコまで出来てると思ったら、なんか面白そうなことやっているじゃない。アタイ達も混ざろ!行くよ、大ちゃん!」
「止めようよ、チルノちゃ〜ん...。」
チルノの後からオドオドした様子で付いてくるのは、彼女の親友である大妖精こと大ちゃんである。この激闘の中、介入すればただでは済まないのは火を見るよりも明らかだが...。
戦いは、更に激しさを増していた...。