東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第39話 夕刻の死闘

夕刻。練也捜索の為に守矢神社から飛び立った早苗は、その道中轟音と衝撃を自身の身体で感じ取った。落ち着いて方角を選定する早苗の下に一陣の風が吹いたと思いきや、彼女の側には片手にメモ帳、首にはカメラといういつも通りの身形の文の姿があった。

 

 

 

「早苗さん、お疲れ様です。どうですか?進捗の程は。」

 

 

「進捗というより...、まだ探し始めたばかりで何とも。文さんは此処で何をしていたんですか?」

 

 

 

 

見るとどうやら文のメモ帳にはそこまで丁寧と言える文字ではないが、文章の羅列で埋め尽くされている。この汚さからすれば、現場の状況を見ながら情報を書き込んでいたふうに思える。写真にもしっかりとその現場の全容が写し出されていた。

 

 

 

「ちょっとさっきまで博麗神社の取材に行っていました。練也さんも其処に居ます。」

 

 

「そうなんですか!ありがとうございます、文さん!」

 

 

「礼には及びませんよ。私は仕事中にたまたま見付けただけですから。それでは私は次がありますので、これで失礼します!」

 

 

 

夕刻にまた一陣の風が吹き、その風と共に文はまた何処かへと飛び去った。早苗も博麗神社の方へ向けて飛行を再開した。

 

 

 

「(無事でいて下さい...。)」

 

 

 

1人の現人神は、そう祈りながら博麗神社へと向かって行った。

 

 

 

一方、霧の湖付近。より一層霧が増し視界は悪くなるが、それはさして問題ないと言うかのように戦いを繰り広げている者が居た。

 

 

 

「貴様、何処でそんな力を...!」

 

 

「さあな。色々あり過ぎて、殆ど忘れた。」

 

 

 

 

仮面ライダーディケイドに変身した門矢士は、擬態したワームが変身するダークライダー2体と熾烈な戦いを繰り広げていた。刃が交わることにより響く金属音と、拳が直撃する際の鈍い音。そして上空では星型の弾幕や緑色の球体状の弾幕、赤い弾幕が飛翔し互いに目標に向かい放たれていた。魔理沙と擬態妹紅のダークザビーによる、弾幕の撃ち合いが展開されていたのだ。

 

 

 

「(濃密な弾幕さえ張れば、例えクロックアップしたとしても動き自体は制限される筈だ。)吠え面かかせてやる!」

 

 

「(何をしようが、無駄だ。私には弾幕やクロックアップも備わっている。)何が来ようと...。」

 

 

 

魔理沙は状況を好転させる為に、スペルカード使用を宣言する。彼女の周りに突然4つの球体が姿を現し、それらがザビーに目掛けて高射速で弾幕を放つ。それに加え魔理沙自身もラジアルストライク、メテオニックシャワー等を駆使し射撃を集中させる。火力で敵を圧倒する彼女らしい戦い方だ。

 

 

 

「....。」

 

 

「(よし、ヤツはまだクロックアップを使えていない...!)このまま行くぜ!」

 

 

 

 

スペルカードを片手に、火力を注ぎ込むことを止めない魔理沙。ダークザビーはひたすら通常弾幕を放ち、魔理沙に向かい接近を試みている。それに応えるかのように、魔理沙はダークザビーに言い放った。

 

 

 

 

「そんなに近付きたいなら、こっちから近付いてやるぜ!魔符『スターダストレヴァリエ』!」

 

 

 

「(来るか...。)」

 

 

 

 

魔理沙が箒に跨り、そこから凄まじい勢いを付けてダークザビーへと突貫する。勢いに加えて箒の回転が加わり凄まじい破壊力がもたらされる、平均して魔理沙が無難に使う近接系スペルカードである。しかしそれは、ダークザビーにとってはただの”突進”でしかなかった。

 

 

 

「ただの突進では...。」

 

 

 

 

魔理沙が一直線に突っ込んで来たのに対し、ダークザビーは僅かに身体を逸らすことによりその直撃を回避。

 

 

 

「この私に攻撃を命中させることなど...。」

 

 

 

 

CLOCK UP

 

 

 

「出来る筈がない。」

 

 

 

回避した後にクロックアップを発動させ、左手首付近に装着されているダークザビーゼクターに手を添えた。そこにはやはりボタンがあり、それを1回押すことによりダークザビーは必殺技を魔理沙に放つ。

 

 

 

「ライダースティング...!」

 

 

 

RIDER STING

 

 

 

 

ダークザビーが魔理沙に接近し、タキオン粒子を収束させた左拳を彼女に振り被る。しかしそれは士の攻撃により阻まれ、失敗に終わった。

 

 

 

ATTACK RIDE

CLOCK UP

 

 

 

「なっ...!ぐぁっ...!」

 

 

 

側面より繰り出された、自身の不意を突く拳打。クロックアップを発動したダークザビーは、自分だけがそれを発動していたと錯覚し周囲への警戒を怠った。その結果が、これである。

 

 

 

「何故だっ?!姿を変えずに、お前は...!?」

 

 

「一々姿を変えるなんて悠長な真似、してられるかよ。」

 

 

「くっ!」

 

 

 

更に拳打を叩き込む士。そのキレは半端なものではなく、破壊力は確かなものだ。

 

 

 

CLOCK OVER

 

 

 

 

「お得意のクロックアップも封じられたな。これまでだ。」

 

 

「ちっ...。」

 

 

 

 

すぐに魔理沙も士の近くまで行き、一旦ダークザビーを見据えた。そういえばもう1体のダークライダーが見当たらないことに気付いた魔理沙は、辺りを見渡して士に向かい口を開いた。

 

 

 

「そういえば、あのクワガタみたいなヤツが居ないな。やっつけたのか?」

 

 

「いや...、他に任せている。」

 

 

「他って...。」

 

 

 

士がある方向に指を指し、魔理沙に示した。なんと湖の氷の妖精であるチルノやその他多数、彼女の仲間と思われる妖精達と戦っているダークガタックの姿がそこにあったのだ。

 

 

 

「成る程。私達は予定外のゲストに救われたってことか。」

 

 

「どうやらそうらしい。後は...。」

 

 

 

士と魔理沙は、再びダークザビーに目を向けた。ダークザビーは、若干身動ぎし狼狽しているかのような素振りを見せている。しかし今更後には引けない。上からの命令が出ているからだ。別命無く撤退すれば、容赦無く存在自体を消されてしまう。左手首付近のダークゼクターに手を添えて、ライダースティングを放つ態勢をとる。どうやらヤル気のようだ。

 

 

 

「どうやら背水の陣らしいな」

 

 

「みたいだな。」

 

 

 

 

2人はそれぞれカードを翳し、最後の攻撃だと言うようにその態勢へと移行した。この時、士のライドブッカーから何やら複数枚のカードが放出され、彼の手の中に収まった。そこには、魔理沙の姿が描かれていた複数枚のカードがあった。

 

 

 

「.....。」

 

 

「どうしたんだ、士?」

 

 

「魔理沙。」

 

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

おもむろに魔理沙の後ろへ行き、それを気にする魔理沙を他所に動作を半ば強引に行う士。魔理沙は突然の士がとった行動に、明らかに動揺していた。

 

 

 

「なっ、何するんだよ?!いきなり....。」

 

 

「ちょっとくすぐったいぞ。」

 

 

 

FINAL FORM RIDE

MA.MA.MA.MARISA

 

 

 

 

士がファイナルフォームライドカードをディケイドライバーに挿入し、効果を発動。魔理沙の肩の上にポンと手を置くと、一瞬だけ魔理沙が痙攣反応を起こす。

 

 

 

「ひゃん!...んっ...あっ...♡...はっ、...なっ、なんだよ!おっ、お前は、そっ、そそ、そういうヤツだったのか!?いきなり身体に触れやがってえ!」

 

 

「違う。お前の今の姿、よく見てみろ。」

 

 

「えっ...?...はあ!?」

 

 

 

 

決して途中までは別に嫌でもない反応を起こしていた魔理沙...。それから彼女は、自分の身体に変化が生じたことを認識した。彼女自身が、巨大な八卦炉になっていたのだ。コレには魔理沙は愕然とする他は無かった。

 

 

 

「行くぞ。」

 

 

「えっ。...ああっ!」

 

 

 

両腕を八卦炉魔理沙に添えてから、士はファイナルアタックライドカードをディケイドライバーに挿入。それに対抗するかのようにダークザビーは2人に向かい攻撃を開始した。

 

 

 

「ライダー...、スティング!」

 

 

RIDER STING

 

 

 

「はああああっ!!」

 

 

 

FINAL ATTACK RIDE

MA.MA.MA.MARISA

 

 

 

「士。私はこういう時、なんて言えば良いんだ?出来れば言わせてもらいたいな。」

 

 

「好きにしろ。」

 

 

 

士と魔理沙の前に出現した無数のホログラムゲート。そこに目掛けて突貫するダークザビーには、最早勝機など無かった。魔理沙はその目標に向かい、声高らかにスペル名を唱えた。

 

 

 

「ようし...!恋符『マスタースパーク』!!」

 

 

 

マスタースパークを放った瞬間に、2人に凄まじい衝撃が伝わる。普段のマスタースパークよりも幾倍か光線の太さが増している。

 

 

 

 

 

「まだ...、終わりではないぞおぉ...っ!私達の、他にも...まだまだ貴様等の敵はいるのだからなああぁぁ.....。...グオああああああ!!!!」

 

 

 

 

その巨大な閃光の中へダークザビーは身を投じ、塵芥となりその場から消えた。断末魔を上げながら消え逝く様は、まさに異形の者のそれであった...。光線を出し尽くし大量の土煙が舞い上がる中、士は変身を解除し、それに続いて魔理沙も元の姿に戻る。

 

 

 

「おいっ、士!」

 

 

「なんだ?さっきのことならもう終わったぞ。」

 

 

「その...、なんだ...。使う時ぐらい...、一声かけてくれりゃあ...。」

 

 

「一声かけたぞ。それともお前の覚悟不足か?」

 

 

「〜〜〜////うるさいっ!もう知らないぞ、私は!」

 

 

 

顔面がマグマのように赤くなった魔理沙の顔を見た士は、まるで疲れるヤツだと言いたげな顔を見せながらダークガタックの方へと目を向けた。

 

 

....氷像となり、妖精達が取り囲んでいた。素晴らしいドヤ顔を晒しながら、チルノは士達に対して勝ち誇るように言い放った。

 

 

 

「どうだっ!アタイ達の力、思い知ったか!」

 

 

「(最早ただの数の暴力だな。ショッカーより達が悪い。)」

 

 

 

士と魔理沙は戦いに勝ち喜んでいる妖精達を見た後、沈み行く幻想郷の太陽を見送った。

 

 

 

....その光景を見ていた、オーロラの空間から姿を見せたもう1人の佐藤練也は、士達に聞こえない程度の声で言った。

 

 

 

「...中々やりますね、...ディケイド...。ですが貴方は確実に、この先困難に見舞われることになるでしょう...。」

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