東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第4話 幻想郷の大妖怪

 

 

 

「幻想郷かあ....。」

 

 

 

1人っきりになった寝室の中で、練也は天井を見ながら呟いた。突然の出来事故、自分の中でまだ処理出来ていない部分はあるものの、此処は自分が居た世界ではないということを彼は理解した。

 

 

 

「博麗大結界に干渉した為、この幻想郷に迷い込んだ。...っか。そういう話も好きだけどさ...。」

 

 

 

神奈子、諏訪子、早苗の3人から説明を受け、練也は幻想郷についての知識をだいたい頭の中に叩き込んだ。全く異なる世界に居る。その事実は彼の心の中で、好奇心を生じさせた。しかし、練也には帰るべき家がある。彼がいきなり居なくなったことで、家族も心配している筈だ。先程その話を神奈子達にしたところ、今日中にでも帰れるとのことらしいが...。

 

 

 

「こんにちは。」

 

 

「えっ?」

 

 

 

突然聞こえた女性の声。その声が聞こえた方向に顔を向けると、空間にいつの間にか生じた裂け目から、1人の女性が上半身だけを覗かせながら頬杖を付いていた。顔に微笑みを浮かばせながら、女性は練也に話しかける。

 

 

 

「ごめんなさい。驚かせちゃったかしら?」

 

 

「こんにちは。裂け目から出て来るって、なんか凄いですね。」

 

 

「この格好見て驚かない貴方も中々だと思うのは私だけかしら?」

 

 

長い金髪にリボンの装飾を付け、全体的に大人びた雰囲気を醸し出すその女性は、練也に冷静なツッコミを入れる。この世界に来る前から他人とは若干感覚が違う為か、練也は彼女の存在に驚くことはなかった。

 

 

 

「多少感覚がずれているとはよく言われます。神様にも会ってるし、もう驚くことはありませんよ。俺は、えーっと...。この世界では外来人っていうのかな?外来人の佐藤練也です。」

 

 

「私は八雲紫。妖怪の賢者とも呼ばれているわ。よろしくね。」

 

 

 

妖怪の賢者と呼ばれるからには、余程高尚な人物なのだろうと想像する練也。見たところそれ相応の風格も持ち合わせている様だ。

 

 

 

「昨日はお疲れ様。危うく命が無くなるところだったわね。」

 

 

「確かに危ないところでした。間一髪、吹っ飛んだってところでしょうか。」

 

 

「そうね。その言い方で間違ってないわ。かなり豪快な飛び方するからちょっと心配しちゃったけど、この神社の巫女なら貴方の看病は任せても問題なかったみたいね。」

 

 

「おかげさまで。今では心身共に元気ですよ。かなりの怪我を負った筈なのに、1日で治るとは思いませんでした。...っていうか、どっから見てたんですか...?」

 

 

「私はいつも此処から見てるわよ?」

 

 

 

紫が不気味な雰囲気を漂わせる裂け目。スキマと呼ばれている空間に、人差し指を立てながら言った。生気が感じられない無数の瞳が、スキマ越しに練也に対して注目する。それに対して身動ぎすることなく、彼は話を続けた。

 

 

 

「成る程。それなら状況がわかるわけだ。」

 

 

「でしょ?それと貴方、中々凄いものを持っているのね。大切にしなさい。」

 

 

「大切にするって、何を...?」

 

 

「さあ?それを理解するのは貴方次第ってところかしら?それじゃあ、私は帰るわね。また会いましょう、練也。」

 

 

「ああ、それじゃあ。」

 

 

 

スキマの中へと吸い込まれる様にして、紫はその場を後にした。紫が空間に出現させたスキマを完全に閉じた後、彼女の側に現れた9つの尾を持つ女性。八雲藍が、紫にある報告をする。

 

 

 

「紫様。”例のモノ”が、此方に流れ着いた模様です。」

 

 

「そう。報告ありがとう、藍。ゆっくり休んで頂戴。」

 

 

「はい。」

 

 

 

八雲紫の式神である八雲藍がスキマの中から去ると、紫は1人スキマの中で不気味な微笑みを浮かべた。

 

 

 

「さて....。これからどうなるかしらね。」

 

 

 

同じ頃、人里から少し離れた場所。一軒だけ寂しい様子で佇む家屋の近くに、1人の男の姿があった。男は手に何かを持っており、それをまじまじと眺めている。

 

 

 

「....僕の手には負えないモノらしいな。”彼女”に頼んでみるしかないか....。」

 

 

 

そのモノを持って、男は屋内へと戻って行った。

 

 

 

 

 

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