東方 躍動仮面   作:佐藤練也

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第42話 仰ぎ見た星空

 

 

FINAL ATTACK RIDE

DE.DE.DE.DECADE

 

 

 

 

自身の前に突如として出現した、縦に連なる多数のホログラムゲート。アラクネアワームはそれを認識する前に、その奥から迫る攻撃を避けることは出来なかった。仮面ライダーディケイドへと姿を変えた士が放つ必殺キック、威力約30tものエネルギーを有するディメンションキックがアラクネアワームに直撃する。

 

 

 

「!!?」

 

 

「......。」

 

 

 

 

数十m先まで吹き飛ばされるアラクネアワーム。凄まじいエネルギーが流動していることを表す電流が、アラクネアワームの体表を駆け巡る。そのまま起き上がろうとするアラクネアワームであったが、その逞しい身体は再び大地に立つことはない。電流の流れが激しさを増し、青白い爆炎を発した後盛大に爆ぜた。

 

 

 

「...。」

 

 

 

アラクネアワームの爆発を見届けた士は、ディケイドライバーに手を掛けた。サイドレバーを動作させ、カードを挿入口から放出。それと同時に9つの影が士から分離し、変身が解除される。手に持ったライダーカードをライドブッカーに収納しつつ、士は自身の付近に現れたスキマに向かい言葉を放つ。

 

 

 

「一々死角から現れるのがお前の趣味か、紫。」

 

 

「あら、心外ね。私は何時、何処にでも現れるわよ?」

 

 

 

 

夜。香霖堂から人里まで通じる街道の上に、突然現れたスキマの中から紫が姿を表す。自分が現れる場所など、他人が知ったことではない。という風に言いながら、彼女は後ろから士に近付きながら言葉を述べた。

 

 

 

 

「私にはスキマが有るわ。それに、この能力が無ければ人里は今頃どうなっていたかしら?」

 

 

 

 

最後に残った一体のワームである、アラクネアワームの動向を最初に察知したのは紫であった。それが可能なのは、何時何処へでも展開が出来るスキマのみ。彼女はまだ戦闘が可能な士をスキマで転移させ、アラクネアワームの人里侵入を阻止したのだ。

 

 

 

 

「だからって面と向かって現れないのか、スキマ妖怪は。」

 

 

「現れ方なんて別に良いじゃない。」

 

 

「...まあ、今に始まったことでもないしな。お前がそういうことをするのは。」

 

 

 

月明かりに照らされる2人。ふと紫の方へと向き、トイカメラのシャッターを切る士。カタンッ。という作動音と共に、フィルムには紫の姿が焼き付く。1枚写真を撮られたことに気付いた紫は、今度は傘を広げてポーズをとる。まるでもっと撮りなさいと言っているかのようだ。構わず士はもう1回シャッターを切った。

 

 

 

カタンッ...。

 

 

「ワームの侵攻は止まったみたいだけど、私はそれ以外に気になっていることがあるの。」

 

 

「新たな敵か?」

 

 

 

紫が今度はスキマの上に腰をかけ、優雅な佇まいを見せる。それに対して士も絶好のポジションをとり、更に1枚...。

 

 

カタンッ...。

 

 

 

 

「いえ、海東大樹のことよ。彼は貴方の邪魔を幾度となく企てていたと聞いたわ。」

 

 

「鳴滝から聞いたのか。...何時ものことだ、ヤツが俺を邪魔するのは。その分だけこっちもその喧嘩を買ってやれば良い。それだけのことだ。お前の言いたいことは大体わかった。」

 

 

「そう....。...ところで...。」

 

 

 

紫がポーズを解き、士に歩み寄る。

 

 

 

「こんなに暗いのに、写真なんて写るのかしら?フラッシュがあるならまだしも、月明かりだけじゃ写らないわよ。絶対。」

 

 

「後で加工を施して修正する。...。」

 

 

 

カタンッ。

 

 

 

 

 

 

 

最後に紫の顔のみをフィルムに納めた士。戦闘が終わった後にも、彼には色々とやらなければならないことがある。さて何から始めるか。トイカメラをいじりながら、士はそう考えていた。

 

 

 

 

 

程なくして、夜空より虹色に輝く色鮮やかな光線が地上に向けて放たれた。それは地上に存在する無数のワーム蛹体を飲み込み、その付近を吹き飛ばす。それはマスタースパークという、魔理沙の18番とも言えるスペルカード。圧倒的火力を前に、蛹体は全滅。緑の爆炎がその一帯から吹き上がるように生じた。

 

 

 

「どうやら片付けたみたいだな。」

 

 

「そうね。」

 

 

 

夜空より舞い降りて来る、1人の少女の影。魔法使いの霧雨魔理沙は、一仕事終えてきたぜというような仕草を見せて2人の側に着地した。

 

 

 

「待たせたな2人共、こっちは片付いたぜ。」

 

 

「こっちも丁度片付いたところだ。」

 

 

「2人共、お疲れ様。これで人里はワームから護られたわ。」

 

 

 

 

夜空を見上げ、非常にリラックスした様子を見せる魔理沙。幻想郷の夜空は、非常に美しい光景である。開発が進み、コンクリートジャングルが増えて行く現代日本ではもう見ることも出来ない美しい光景である。士は星空を見る度に、思い出すことがある...。それは、自分と共に様々な世界を巡ってきた仲間、そしてその巡った世界を護っているヒーロー達の顔。その全てが士にとって、忘れられない思い出となっていた。そんな彼を見ながら、紫が僅かに微笑みを浮かべて言った。

 

 

 

 

「士、気になるかしら?」

 

 

「紫...。」

 

 

「貴方と共に旅をした。そして旅の途中で出会った人達が、今も気になって仕方がないみたいね。」

 

 

「流石大妖怪ってところか...。」

 

 

「その発言も心外ね。永遠の17歳か、妖怪の賢者っていう呼び方とか、色々あるでしょ?それより...。ご覧なさい。」

 

 

 

 

 

夜空に瞬く無数の星達を指差しながら、紫は言った。

 

 

 

「あの星達のように、きっと今も何処かで貴方を想い、見守ってくれている人は居るのよ?勿論、この幻想郷という世界そのものもね。」

 

 

「.....。」

 

 

「私達は、貴方を歓迎するわ。世界の破壊者ディケイド。いいえ、...通りすがりの仮面ライダー。門矢士さん。」

 

 

 

士は黙って紫の方を向きながら、その紫の発言に対して特に言葉を返したりはしなかった。ただ、改めてこの世界が自分の世界だという意識が、より一層彼の中で強固なものとなった。

 

 

 

「...星が、綺麗だなあ...。」

 

 

 

魔理沙は1人呟きながら、夜空を仰いでいた。

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