早速宮司見習いとして、改めて守矢神社で生活することとなった練也。任された初日から酒に浸っているような感じだが、このままで行くと彼の行く末が心配だ。最も本人は、それをわかっているみたいだが
「...。(好意を受けたと言っても、昼間からの飲酒って神職的にどうなんだよ...。神奈子さんや諏訪子さんにでも知れたらヤバイかもなあ。)」
「しかし、2人で景色を眺めながら呑む酒も中々乙だねえ...。」
「普段は誰かと一緒に呑んだりとかは?」
「まあね。たまに気紛れで博麗神社に行って、霊夢と一緒に呑んだりとか。あとは地底の旧都なんかにも行って仲間と呑むこともあるよ。」
「そっか。よく皆こんな強い酒呑めるな。」
「え〜?まだまだ序の口だよ〜?宴会になったら色々酒とか出るけど、ホントに強いヤツもあるからね。」
その会話を影から見届けていた早苗。2人が仲睦まじい様子を見ていた彼女は、そこから妙な意識が生じ始めていた。自分でも何故こんなに食い入るように、この状況を見ているのか。更に状況を観察する早苗の後ろから、迫る2つの影。紛れもなく、神奈子と諏訪子である。
「ほう、早苗?お前もしかして...?」
「...患っちゃった?恋愛的に。」
「...〜〜〜〜///」
顔を赤く染める早苗。彼女は、恋する乙女となっていた。
一方、紅魔館。館の主であるレミリアは、咲夜から異変解決の報告を受けていた。紅魔館にもワームの脅威が迫っていたがそれらは館の主力メンバーにより撃破され、それからというものの、彼女達の身近に目立った兆候は見られていない。ただ、そのレミリアや館の住人を震撼させた謎の衝撃。彼女は、この正体をどうしても知りたかった。
「咲夜。貴方がこの間言っていた、湖の弾幕ごっこのことだけど...。」
「はい。」
「私は、あの正体が気になる...。あれ程純粋なパワーを感じる波動は初めてだわ。」
「次にその人物と会う機会があるとすれば...。もうすぐ行われる博麗神社で開かれる宴会だと思われます。天狗との絡みがあるならばおそらくは...。」
「貴女の憶測もあてに出来るわ、咲夜。だけど、早く私は知りたいのよ。この私を震撼させる程のパワーを持つ存在にね...。」
「かしこまりました。では、失礼致します。」
「.....。」
咲夜はその場から姿を消し、レミリアは1人その場で不敵な笑みを浮かべる。っと、彼女の下へ1部の新聞が館の窓から風に運ばれるように入って来た。
「....。(また天狗の新聞かしら?)」
新聞を拾ってその見出しの記事を見るレミリア。そこから1ページずつ、ゆっくりと読んでいく。記載されている内容は、以下の通りであった。
《幻想郷に轟く衝撃!守矢の居候、佐藤練也!》
《外来人が異変解決に関与か?!能力、弾幕も会得!》
《謎の変貌!練也が持つ能力、『変身』とは?》
「...。」
レミリアは1人、椅子に腰掛けながら不敵な笑みを顔に浮かべていた。
マヨヒガの縁側にて。文々。新聞を読んでいた士の目には、自分のことについて書かれている記事が何1つも確認出来ない。何故か練也や、ワームのことばかりが取り上げられている。自分は除け者かと、文に対する不満をその場で吐く。それに対して近くで遊んでいた橙が、士の不満を取り除くように言った。
「なんだこれは...。記事の内容が偏り過ぎだな。」
「大丈夫だよ士。1番近くに居る私達が、ちゃんと士のことをわかっているから!」
「...そうだな。ありがとう橙。」
「えへへ...。」
士は橙の頭を優しく撫でると、橙は嬉しそうに士に擦り寄る。微笑ましい光景だが、それによる惨事も引き起こされる。
「ちええぇぇぇぇぇん!!!」
策士の九尾と言われる八雲紫の式、八雲藍が橙の笑顔を見て悶絶しながら鼻血を吹き出しつつも、ソレをティッシュで押さえる。もはやティッシュが尋常ではない速度で赤く染まり、止血の役割を果たさなくなっている。ソレをすぐ横で見ている紫。なんともシュールな光景である。策士の九尾が、ただのエロ狐へと変貌を遂げていた。
カタンッ...。
その光景を絶好なシャッターチャンスと言わんばかりに、士はトイカメラのレンズを藍に向けた。シャッターが切られた音に反応し、それからレンズのアングルを確認。明らかに自分の方へ向いているとわかった藍は、顔面を真っ赤に染めて涙目を浮かべる。
「...///」
「中々の絵面だな。題名は、《興奮する変態策士》か...。」
「士。あまり藍様を虐めないであげて?」
「橙がそう言うなら仕方がないな。」
「ちええぇぇぇぇぇん!!!」
「......。」
この惨事は、留まることを知らなかった...。