「やはり、彼女は洗脳。もしくは何かに憑依されている...。紫さん、僕は咲夜さんを倒します。」
「そのようね。それじゃあ、私はレミリアの相手をしてあげようかしら。」
何時もとは違う眼の煌めきに気付いた練也と紫は、彼女達が洗脳若しくは憑依されていると判断し行動に移る。ナイフを持つ咲夜に対し、練也はカブトクナイを装備して近接戦を展開しようと近迫。咲夜はその動作に対して瞬時に反応し、そこから激しい剣戟が交わされる。
「はっ!」
攻撃を続ける練也だが、咲夜の眼が一種紅く煌めいたかと思えば彼女はその姿を消していた。その後直ぐに彼女の姿が見えたかと思えば、いつの間にか自分を取り囲む無数のナイフ。それらが一斉に刃を練也に突き刺そうと動き始める。その直後彼女の姿が消えたことを確認した練也は、それ等に対抗するように付与されている能力を発動する。
「クロックアップ。」
CLOCK UP
自身の周囲から迫り来るナイフの動きが止まり、その後練也はそれ等を蹴散らしながら前へと突き進む。咲夜は自身の能力を発動させているにも関わらず、何故自分と同じように動けるのか。彼女は愕然とした様子を一瞬だけ見せたが、すぐに思考を切り替える。
「....!」
「ふっ!」
ナイフを断続的に迫り来る練也に対して投擲する咲夜。対する練也は的確にそれを足捌き、カブトクナイを用いて必要最小限の動作で対処する。ナイフをカブトクナイの刀身で斬り落としながら、練也は徐々に咲夜へ近付いていく。
「....。」
「幻符『殺人ドール』!」
咲夜が自身の周囲にナイフを展開させると同時に、そのナイフ達が勢いよくその場で回転を始める。彼女が両腕を空に掲げて、そこから前に振り被る。その動きに連動して、練也に向かい放たれた。まるでナイフ1本1本に意思があるかのように、的確な弾道で目標に迫る。
「.....!」
「......。」
そのまま横方向へ跳び込み前転の要領で回避し、何発かは火花を散らし命中したもののダメージ的にはさして問題は無い。ドスドスッという音を立てて床や壁に突き刺さる数多のナイフ。この攻撃は、咲夜の本命の攻撃ではなかった。すぐさま第2波の攻撃が迫る。
「速符『ルミネスリコシェ』!」
回避を終えたばかりの練也に対して、新たなスペルカードを発動する咲夜。1本のナイフが光の尾を引きながら、高速で練也に迫る。確かに速度は速いが、1本のナイフが相手なら避けるのは容易い。しかし、そのナイフはそう簡単に動きを止めなかった。壁に接触すると同時に、すぐさま反転。また練也に向かって来たのだ。
「!」
「...。」
ナイフの機動に翻弄される練也。命中してもダメージ自体はあまり高くはないが、このまま攻撃を受け続けるわけにはいかない。彼はまだ咲夜が手を打って出ると判断し、冷静に対処する。
「光速『C-リコシェ』!」
また新たなスペルカードを発動した咲夜は、今度こそ形勢を好転出来ると確信する。今の練也はルミネスリコシェに気を取られ、それの対処に追われている。ここで更に速度を増したルミネスリコシェの上位互換スペル、C-リコシェを発動すれば練也の意表を突く形となる。ダメージを負い怯んだところで、攻撃を仕掛け彼の息の根を止める算段だ。
「....。」
CLOCK OVER
クロックアップと咲夜が発動した時間操作能力が、その効果の発揮を停止。その後、咲夜からC-リコシェが放たれた。紫の軌跡を描きながら練也の周辺をルミネスリコシェと共に、彼を死へ誘おうと舞い始める。
「!」
そしてルミネスリコシェとC-リコシェによる一撃が、練也の胸部に命中する直前。練也はカブトの能力を活かし、この戦局を覆す。
「プットオン。」
PUT ON
全身に纏っていたヒヒイロノカネが何処からか飛来し、ダークカブトのボディへ装着されライダーフォームからマスクドフォームへ姿を変えた。先程と容姿が変わった練也を見て、咲夜はまたも愕然とした。そしてその状態の彼に向かい、刃を突き立てる2つのナイフ。
ガギィインッ! ギィンッ!
ヒヒイロノカネにより、その鋭利な刃を突き立てた2本のナイフ。それらは弾け飛び、回転しながら宙を舞う。それからゆっくりと咲夜を見やる練也。ゼクターホーンを軽く圧し、またもヒヒイロノカネをパージする準備を始める。
「......。」
「どうやら...、潮時のようですね...。」
ダークカブトゼクターを基点とし電流がボディ全体に流れ始め、ヒヒイロノカネが若干浮き上がるようにして動作。その後練也は手に力を込め、一気にホーンを倒し姿を変貌させた。
「この美しい世界は...、僕達が護ります。」
CAST OFF
決意の言葉を述べ、練也は装甲を脱ぎ棄てた。顎下部から持ち上げられた角を顔面に装着し、その眼を一瞬黄色く煌めかせる。
CHANGE BEETLE
「クロックアップ。」
「はっ!」
激しい攻防戦が紅魔館の中で繰り広げられ、練也と咲夜の戦いだけでも、館の壁という壁、床という床には著明な傷跡が生じた。
そして今、お互いに満身創痍となった状態。
両者共に能力を使い過ぎたのか、かなり消耗しているようにも見える。
場所は紅魔館の屋根の上。満月の下、互いに見据える両者。
「貴方の言う通り、もう潮時のようね...。」
「...ええ...。」
2人は互いに距離をゆっくりと詰めていき...。
ONE
「.....。」
練也が必殺技の準備を始めると、咲夜も同じく最後の攻撃と言わんばかりの構えを見せる。
TWO
「.....。」
両者の距離は次第に狭まり、もうすぐで技の有効圏内に入ろうとしていた...。
THREE
「.....。幻葬『夜霧の幻影殺人鬼』!」
「ライダーキック...!」
RIDER KICK
紅魔館には、2人の必殺技が干渉した際の轟音が響いた。