インフィニット・ストラトス ~未定~   作:ぬっく~

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第14話

一夏が寮に帰宅した同時刻。

 

「ふうん……ここがIS学園か」

 

IS学園の正面ゲート前に、小柄な身体に不釣り合いなボストンバッグを持った少女が立っていた。

 

「ここにアイツがいるのね……まさかアイツがISの操縦者になるなんてね」

 

まだ暖かな四月の夜風になびく髪は、左右それぞれを高い位置で結んである。肩にかかるかかからないくらいの髪は、金色の留め金が良く似合う艶やかな黒色をしていた。

 

 

 

 

朝。教室に入るとクラスメイトたちが何かを喋っていた。

一夏は先にいたのほほんさんに視線を向けると、それに気づいたのほほんさんはディスプレイに打ち込む。

 

「ねえねえ聞いた? この話」

 

「二組に転校生が来るんだって! さっき職員室で聞いたって人がいたらしいよ」

 

一夏は転校生って言葉に反応する。

IS学園に転入するにはかなり条件が厳しかったはず。試験はもちろん、国の推薦がないとできないようになっている。つまり―――この転校生は()()()()()()()の可能性が高い。

 

「なんでも中国の代表候補生らしいですわ」

 

『セシリア』

 

一組の代表候補生、副クラス代表、セシリア・オルコット。今日もまた、腰に手を当てたポーズで登場する。

 

「わたくしの存在を危ぶんでの転入かしら」

 

『いや、それはないな。むしろ、俺だろう』

 

一夏は唯一の男性操縦者。そのデータを手に入れようとする輩が多くいる。

もちろん、そいつらの大半は撃退済みだ。

 

「クラス対抗戦の方は出られるのですか? 一夏さん」

 

『大丈夫だ。問題ない』

 

来月にはクラス対抗戦。各クラス代表による戦いが始まる。

四組のクラス代表は予想通り、簪がなった。

 

「そうそう! 織斑くんには是非勝って貰わないと!」

 

「優勝商品は学食デザートの半年フリーパス券だからね!」

 

「それもクラス全員分の!」

 

「織斑くんが勝つとクラスみんなが幸せだよ~!」

 

やいやいのと楽しそうにな女子一同。

 

「―――その情報……古いよ」

 

教室の入り口からふと聞こえた声にクラス全員が視線を向け、一夏も振り向くとそこにいたのは……。

 

「久しぶりね―――一夏」

 

セカンド幼馴染。凰 鈴音がいたのだ。

 

 

 

 

『久しぶりだな。鈴』

 

「そうね、ってアンタこそ随分と変わったわね」

 

昼食。一夏のクラスに先制布告をして来た鈴はSHRが始まると同時に自分のクラスに戻った。

そして、昼休みに押しかけてきたのだ。

 

「事故に会った、って聞いた時は本当に驚いたわよ」

 

『自業自得の結果だ』

 

鈴は家庭の事情で日本から離れ、中国にいた。

時々だが、メールのやり取りをしていたから、一夏の身体のことを知っていた為、箒とは違い差ほど驚いていない。

 

「その上、ISを動かしちゃったって……アンタどんだけ不幸体質なのよ」

 

『知らん』

 

別にそこまで不幸体質だとは一夏は思っていない。

 

「一夏さん! そろそろどう言う関係か説明して頂きたいですわ!!」

 

「そうだぞ! まさか付き合ってるんてことはないだろうな!?」

 

疎外観を感じてか、箒とセシリアが多少棘のある声で聞いてくる。他のクラスメイトも、興味津々とばかりに頷いていた。

 

「べ……別に付き合ってる訳じゃ」

 

『そうだぞ。何でそんな話になるんだ? ただの幼馴染だよ。それと早口で話すな。唇読みし難い』

 

「幼馴染……?」

 

怪訝そうな声で聞き返して来たのは箒だった。

 

「小五の頭から一年前の中二まで、あたしと一夏は同じ学校に通っていたのよ」

 

その説明を鈴がする。

その確認を取る様に箒が再びこっちに向いてくるから、一夏は頷く。

 

「ああ……そういえば、アンタとは初対面だったわね」

 

鈴は箒の顔を見て、ふと思い出したかのように呟く。

 

「初めまして。これからよろしくね!」

 

「篠ノ之箒だ。こちらこそよろしくな」

 

そう言って挨拶を交わす2人の間で、何故か花火が散ったように見えた。

 

「わたくしの存在を忘れてもらっては困りますわ」

 

「……誰?」

 

「なっ……! イギリス代表候補生のこのわたくしをまさかご存知ないの!?」

 

「うん。あたし、他の国とか興味ないし」

 

「なっ、なっ、何ですって……!!」

 

言葉に詰まりながらも怒りで顔を赤くしていくセシリア。

 

「い……言っておきますけど! わたくし……あなたのような方には負けませんわ!」

 

「あっそ。でも戦ったらあたしが勝つよ。悪いけど強いもん」

 

ふふんといった調子の鈴。

 

「そんな事よりねぇ、一夏!」

 

『ん?』

 

「あんた、クラス代表なんだって? ISの操縦、あたしが見てあげてもいいけど? も……勿論、一夏さえ良ければだけどさ……」

 

『あ~。そのお誘いはありがたいんだが、俺のISはちょっと機密事項が含まれているから……すまんな』

 

「そ、そう……」

 

『まあ、模擬戦位なら大丈夫だろう』

 

「本と―――」

 

ダンッ!

 

テーブルが叩かれ、箒とセシリアがその勢いのまま立ち上がる。

 

「あなたは二組でしょう!? 敵の施しは受けませんわ!!」

 

「あたしは一夏に言ってんの。関係ない人たちは引っ込んでてよ」

 

「一組の代表ですから、一組の人間が相手するのが当然のことですわ!」

 

まあ、セシリアの言い分は良く分かる。

来月にはクラス対抗戦が控えているからだ。鈴は二組、一組の情報を渡す訳にはいかないとセシリアは言っているのだ。

 

「……ふ―――ん……まあいいわ」

 

鈴は立ち上がると。

 

「じゃあ、それが終わったら行くから。空けといてよ! 一夏!!」

 

そう言って、行ってしまった。

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