インフィニット・ストラトス ~未定~   作:ぬっく~

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第23話

「…………」

 

少女は一夏のタグを見てから、黙り込んでしまった。

 

「(組織に居る奴以外にA0級クラスの奴がいるなんて……ん?)」

 

少女は一夏を改めて見て、あることに気付く。

 

「(ああ。なんて私はついているのかしら……)」

 

少女は不気味な程の笑みを浮かべる。

そんな少女を見ながら、一夏は、

 

『…………』

 

肩から息が上がっていた。

《リンドヴルム》の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)支配者の神域(ディバインゲート)》を異常なまで使ったことによる副作用が一夏の身体に襲いかかって来ていた。

 

「(これ以上、この場にいるのは不味いな……)」

 

楯無は辛うじて離脱は出来たようで、一夏がこの場に留まる理由はない。

だが、目の前の少女はどうやら、逃がしてくれそうにはなかった。

 

「(《支配者の神域(ディバインゲート)》はもう使えない。使えたとしても、一回成功するかどうか。《雷光穿槍(ライトニングランス)》も精々一発から二発が限界だろうな……さて、ここをどう斬り抜けるか)」

 

一夏は今あるカードで。どうやってこの場を斬り抜けようかと、思考を掛け巡らせる。

そして、覚悟を決めた。

 

「(楯無は怒ると思うけど、仕方ないな……)」

 

簪との約束がある以上、一夏はこの場を斬り抜けなければならない。

 

「(身体よ、もってくれよ!)」

 

ガキィン!

 

と、一夏の心の叫ぶと、《リンドヴルム》の肩口に連結された主砲を、少女に向けた。

残りのシールドエネルギーを注ぎ込んだ、一夏の切り札《星光爆破(スターライト・ゼロ)》。

船など一撃で跡型もなく吹き飛ばしてしまう超広範囲の攻撃では、少女も避けざるをえない。

 

「ッ……!?」

 

エネルギーの充填前に、少女は一夏に高速で飛びかかった瞬間、一夏の槍が電撃を帯び、眩しく輝いた。

直後、《支配者の神域》で瞬間移動し、少女から限界まで距離を取る。

最初の充填の動作は―――偽り(フェイク)

 

『《星光(スターライト)……爆破(ゼロ)》』

 

弱弱しい一夏の声とともに、圧縮されたエネルギーの光球が放れた。

 

 

 

 

「ッ!」

 

楯無はなんとか臨海公園までたどり着き、部下たちに介抱されていた。

 

「あの力は一体何なの……」

 

見た目は一夏と楯無と歳は殆ど変わらないのにも関わらず、楯無は一方的に負けたのだ。

 

「(まるで、一夏くんとそっくりじゃない……そいえば、あの娘もタグを付けていたわね)」

 

一夏がIS学園に入学する前に一度だけ、楯無は一夏と模擬戦を行ったことがあった。

そして、同時に一夏の異常なまでの身体能力を目にし、楯無は負けた。

 

ドウッ!

 

「!? あの子まさか!!?」

 

一夏がいる方向で強い光と爆発音が聞こえ、楯無はその場から立ち上がる。

 

「すぐさま、救出隊を向かわせなさい!」

 

「は、はい!」

 

一夏が使ったのは《星光爆破(スターライト・ゼロ)》。

長時間の戦闘で既にシールドエネルギーがない状況で、一夏は切り札を切ったのだ。

 

「アンタが死んだら、私はあの子にどんな顔をすればいいのよ……」

 

楯無は手摺りを強く握り締め、爆発があった方向を見る。

その数十分後、一夏は無事に保護されたが、異常までのダメージを受けており、入院することになった。

 

 

 

 

「あの野郎……自爆覚悟であんな物撃ちやがって」

 

オータムは一夏を追って来ると否や網膜を焼く閃光と、息も出来なき程の爆風が襲いかかったのだ。

 

「…………」

 

少女はそんなオータムの横を歩くが、何も言わない。

 

「(織斑一夏……)」

 

一夏の一撃を僅かだが受け、一夏の確保に入ろうとしたが、上からの命令により、すぐさま撤退することになる。

少女は僅かに残った一夏との戦闘の感触を確認していた。

 

「次は……私が勝つ」

 

少女……Mは首に提げられたタグを握り締め、アジトに戻って行った。

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