あの後、一夏が入院したことが簪の耳に入り、こっぴどく怒られた。
そして、一夏が入院している間に一組に二人の男女が転校して来たらしい。
『二人目の男性操縦者?』
「うん。でも、何か違和感を感じるの」
フランスからの転校生であり、名前はシャルル・デュノアと言うらしい。しかも、代表候補生でもあるみたいだ。
簪が言うには、見た目が女性に近い人らしい。まあ、女性顔で男性って言う人はいなくはない。だが、その転校生はそっちの方ではないらしい。遠くから見たからあんまり知らないが、簪が一番最初に感じた感じだと、女性だと思ったらしい。
『この時期に転校だと、俺が狙いか……』
「うん。クラス対抗戦の時に一夏が使った《リンドヴルム》も、その対象だと思う」
しかも、その製造は完全に秘匿されている上、製造及び設計図を知っているのはここにいる簪のみである。
『もう一人の方は?』
「うん。それがちょっと厄介な転校生なの……」
話によれば、その転校生の名前は、ラウラ・ボーデヴィッヒと言うらしい。
これも、前者と同じく代表候補生で、ドイツと言うことだ。
『ドイツ……となると』
「うん。一夏のお姉さんである織斑先生の元教え子らしいの」
『そりゃあ、厄介事だな』
この情報は一組にいるのほほんさんからだ。
のほほんさん。更識家の
ちなみに本名は
そんな、本音……もとい、のほほんさんから得た情報からだと、骨の隅まで軍人精神が染みった転校生らしい。
『あの千冬姉だから、神様と勘違いしていそうだな……』
「あり得そう……」
『とりあえず、俺がいない間の報告ありがとうな。簪』
「うん。本当に無理だけはしないで」
『嗚呼』
「それと、これお姉ちゃんから」
簪は一通の封筒を一夏に手渡す。
表には『秘匿』と赤く判子が押されており、見るに怪しげな封筒だった。
『嗚呼。ありがとう』
一夏は早速開け、中にある書類を確認する。だが、一夏の知りたい情報は得られなかった。
「お姉ちゃんに何を頼んだの?」
『
「
『嗚呼。どうやら、このタグがそうらしい。だが、
「それって、可笑しくない?」
更識家は裏工作を実行する暗部に対する対暗部用暗部であり、情報網は相当あるのに、
「う~ん。私だと足手纏いだね」
『まあ、無い以上仕方ない。地道に探すさ』
そうさ。この情報を良く知るのはあの
奴らとは、また会うだろう。その時に手に入れればいい。
「じゃあ、私はもう行くね」
『嗚呼。またな』
「今度は学校でね」
そう言って、簪は行ってしまった。
簪を見送った一夏は首に提げられたタグを握る。
『私たちは幸福を得られない者だ』
オータムが言ったあのセリフを思い返す一夏。
「(例えそうだとしても、俺は
例え、人類が敵になろうとも、俺はお前の味方だ。