完全復活、パーフェクト織斑様だぜい! ……と冗談は置いといて、長きに渡る入院生活を終え、一夏はIS学園に復学する。勿論、入院生活中でもトレーニングは欠かせずやっていたので、筋肉とかは一切落ちていない。
そして、いつも通り一組に入る。
「あ! 織斑くん、戻って来た!」
「ホントだ!」
クラスメイトが一夏の姿を見て、騒ぎ出す。
一ヶ月近く、学校を休んでいたのだから、騒ぎ出すのは仕方ない。
「お久しぶりですね。一夏さん」
『嗚呼』
一番最初に声をかけてきたのは、セシリアだった。
『俺がいない間、クラスのことを任せてすまない』
「いいえ。特にそれっと言った問題はありませんでしたので」
一夏がいない間、セシリアはクラス代表を務めたが、大きなイベントは無かったため、普通の業務をするだけで終わった。
「そうですわ。実は一夏さんがいない間に転校生が来ましたわ」
『転校生か……』
「ええ。しかも二人ですわ」
セシリアの言っている転校生の情報は既に入手しているので知っているが、一夏は敢えて何も言わない。
「丁度、来ましたわ」
そう言って、セシリアは教室のドアの方に視線を向ける。
一夏もそっちを見ると、
「皆さん、おはようございます」
人なつっこそうな顔。礼儀正しい立ち居振る舞いと中性的に整った顔立ち。髪は濃い金髪。黄金色のそれを首の後ろで丁寧に束ねている。簪から聞いた通りの転校生がそこにいた。
「おはようございますですわ。シャルルさん」
セシリアの挨拶に気付いたシャルルはニッコリと笑顔を見せる。
「オルコットさん。後ろにいる人って、もしかして……」
「シャルルさんは初対面でしたわ。ええ、このクラスのクラス代表の織斑一夏さんですわ」
セシリアに紹介され、一夏は軽くお辞儀する。
「初めまして、フランスから来ました。シャルル・デュノアです」
シャルルは握手を求め、一夏はそれに応じる。
そして、一夏は常に持ち歩いている空中ディスプレイを起動させ、文字を入力した。
『織斑一夏だ。よろしくな』
その行動を見て、シャルルはあることに気付く。
「織斑くんって……もしかして、喋れないの?」
『嗚呼。ここに来るまでに事故でな。因みに耳も駄目だ』
「え!?」
流石のシャルルもそれには驚きだった。
「もしかして、長期いなかったのって……」
『いや。それは別件だ』
それを見て、シャルルは何故か一安心する。
『それで、もう一人は……』
一夏がセシリアにもう一人の方を訊こうとした時だった。
「織斑一夏ぁ!!」
一夏の背後から勢い良く迫って来る者がいた。
耳の聞こえない一夏では、彼女の声は聞こえていない。周りもそれに気付いた時には既に遅く回避は出来ない……と思われた。
「っ!」
一夏は後ろに跳び、彼女の攻撃を回避したのだ。
簡単に説明すれば、助走なしで一夏はバク宙で回避した。
『殺気をそれだけ出していれば、気付かないとでも思ったか?』
背後を取られた彼女は直ぐに振り向くと同時に拳を出すが、
「っ!! 離しやがれ!!」
出された拳を一夏は掴む。
『セシリア。こいつがそうなのか?』
「あ、はい。ドイツからの転校生のラウラ・ボーデヴィッヒさんです」
『ふ~ん』
一夏は改めて彼女を見る。
輝くような銀髪。ともすれば白に近いそれを、腰近くまで長く下ろしている。そして左目に眼帯。映画とかで出てくる『軍人』が使うような、黒眼帯。開いている方の右目は赤色を宿していた。
「死にやがれ!!」
ラウラは空いた方の拳を一夏に向けるが、
「ッッッ!?」
一夏は最初に掴んでいた拳を軽く曲がらない方向へと曲げる。
その痛みにラウラは攻撃を中断をせざるを得なかった。
そして、痛みに耐え切れず、膝が着く。
「認めない……貴様が、あの人の弟など……私は、断じて! 認めん!!」
『そうかい』
一夏は掴んでいた拳を手放し、ラウラは肩を押さえながら、去っていた。と言うより、自分の席に向かった。
「一夏さん! 無事ですか!?」
『それ以外に何に見える』
一連の出来事にクラスは静まり返ってしまった教室。
だが、それはSHRを知らせる鐘によって切り替わった。
「SHRを始めるぞ。席につけ」
織斑先生の声でクラスメイトたちは、すぐに自分の席に座り出した。
「では、僕たちも」
「そうですわね」
そう言って、シャルルとセシリアも自分の席につく。
「(こりゃあ、ひと嵐来そうだな……)」
一夏はそう思いながら、自分の席につく。
その予想が的中することは、一夏は知らない。