インフィニット・ストラトス ~未定~   作:ぬっく~

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第35話

金属音がホテルの最上階付近から鳴り響く。完全にISを展開できない楯無と戦斧を振るう少女がお互いにぶつかり合う。

 

「(この子……なんて力しているのよ!)」

 

楯無は少女の異常性に冷や汗を掻く。

ISを相手に生身で戦う少女は楯無にとっては化け物でしかなかった。

しかし、ここで足止めを受けてはいられなかった。楯無は視線を僅かに後ろに向け、隊員に合図を送る。

それを受け取った隊員が頷くのを確認すると、楯無は指を鳴らす。

 

「《清き熱情》」

 

戦いの中で散布した霧状のナノマシンを発熱させ、水蒸気爆発を起こす。

いきなりの爆発に少女も怯み、楯無はその隙をついて、少女の横を抜ける。

 

「行かせるかよ……!?」

 

しかし、少女の戦斧は楯無に届くことはなかった。

楯無が抜けると同時に隊員が発砲したのだ。

 

「ノーマルは相手するつもりはなかったのだがな……」

 

隊員の眼を見て、どうやら行かせて貰えないと判断すると、少女は戦斧を肩に担ぐ。

 

「来いよ」

 

その合図に再び戦闘が始まった。

 

 

 

 

楯無が最上階に辿り着いた時には、そこはもう既に血の海としか言いようがなかった。

 

「っ!」

 

楯無は苦虫を噛み潰し、まだ戦闘音が聞こえる方へと走る。

そして、そこではISを部分展開した三人の亡国機業とトンファーを持った大男と両手に黒いナイフの小柄の男が戦っていた。

 

「下がりなさい!」

 

亡国機業が楯無を目にし、叫び声と同時に物陰へと避難すると同時に楯無の《蒼流旋》にアクア・ナノマシンが集まる。

 

「《ミストルテインの槍》」

 

最上階に特大な爆発がハンターを襲う。それと同時に楯無は《ミストルテインの槍》の衝撃を受けた。

 

「くっ……どうよ……」

 

楯無は奴らには生半可な攻撃は通じないとはいえど、生身で《ミストルテインの槍》を使ってしまった。

 

「ごめんね……」

 

楯無は立つ程の力もなく、その場に座ってしまった。

 

「糞いてぇな……」

 

「…………」

 

ホテルの一室のドアが蹴り飛ばされ、中から出て来たのは、先程楯無が吹き飛ばしたと思われたハンターたちだった。

楯無の《ミストルテインの槍》が当たる寸前に奴らは近くの一室へと逃げ込み、その一撃を凌いだ。

 

「まだ、息があるか……」

 

楯無の途切れ途切れの呼吸。大男は楯無を生かしておくには不味いと思ったのか、持っていたトンファーを振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……おい』

 

その一言は、その場にいた全員が動きを止める一言だった。

 

「……一夏……くん……?」

 

霞む楯無の目に写ったのは、《リンドヴルム》を纏った一夏がいたのだ。

楯無に向けられたトンファーは、一夏の《雷光穿槍》で受け止められている。

 

「この臭い……お前、黄昏種だな」

 

大男は一夏を見るが、一夏は全く気にしていなかった。

 

「っ!?」

 

大男は一夏の眼を見た瞬間、息を呑んだ。

そこにあったのは……恐怖だった。

 

「(なんだよ……あの眼)」

 

一夏は瀕死の楯無を抱え、《雷光穿槍》の矛先を向ける。

 

『《雷閃》』

 

問答無用で一夏は《雷閃》をぶっ放した。

 

 

 

 

「おいおい……どうなってやがる」

 

楯無の《ミストルテインの槍》を回避してから、物影で見ていたオータム、スコール、Mは一夏の登場に驚いていた。

一夏はISを完全に展開し、最上階の壁をぶち壊して入って来たのだ。

 

「好機か?」

 

「いや、下手に入らない方がいいわ」

 

オータムの言葉にスコールは反対する。

 

「なんでだよ、スコール」

 

「あの子の眼……あれは異常よ」

 

スコールは一夏の眼を見て、異常までにも恐怖を感じ取ったのだ。

そしての直後に電撃が通り過ぎる。

 

「撤退か?」

 

「そうしたいところだけど、無理っぽいね。多分、逃がしてもらえない」

 

このホテルに残っているのはスコールたち以外にはいない。

ハンターからは逃れることは出来るだろうが、一夏から逃れるのは無理と判断したのだ。

 

「だけど、あの子もハンター二人相手はキツイようね」

 

「…………」

 

スコールの言葉にオータムは何も言わない。

そして、Mの方を見る。

 

「はぁ……M」

 

「なに?」

 

突然の呼びにMはオータムの方を向くと、一つのバックを渡された。

 

「合図したら、アイツの所に走れ」

 

そう言って、オータムとスコールは銃を構える。

そして、一夏とハンターが距離を取った瞬間、スコールとオータムは発砲した。

Mはその合図と共に一夏の方へと走る。

 

「ちっ!」

 

ハンターはMを見つけるが、後方からの援護でその場から動くことが出来ず、一夏の元へと辿りつく。

 

「小僧! そいつを連れて行けぇ!!」

 

オータムの叫び声に一夏は従い、Mを抱き込む。

 

「待って! まだぁ!!」

 

Mはオータムたちが考えていることを知ると、オータムちのいる方へと行こうとするが一夏がそうさせない。

 

「(少なくとも生きろよ……マドカ)」

 

一夏は楯無とMを抱き抱え、ホテルから脱出と同時に肩に連結された砲身をホテルに向ける。

 

『《星光爆破》』

 

黄色に明滅する光弾を放ち、爆裂した。

網膜を焼く光弾と、息もできないほどの爆風が起こり、Mはその光景を目にし。

 

「オータム、スコール……。なんで……なんでよ!!」

 

Mは《星光爆破》を放った一夏に怒りをぶつける。

しかし、一夏は何も言わない。

 

『撤収する……』

 

一夏はそう言って、ホテル跡を後にする。

この作戦で生き残ったのは楯無とM以外いなかった。

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