インフィニット・ストラトス ~未定~   作:ぬっく~

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第7話

「考え直さないと言うなら、私……更識家を出て行きます!!」

 

冬がまじかになり、外もだいぶ冷えた日。

一夏の病室で簪が自分の実姉に絶縁宣言を言い渡す。

遡ること数分前のことだった。

 

 

 

 

「返事を聞きに来たわよ」

 

楯無が退院出来るまで回復した一夏の元に訪れた。

実際のことを言えば、一夏は既に退院出来るレベルまで回復していたが、楯無の諸事情で退院させなかったことはあえて言わない。

 

『お久しぶりですね』

 

『ええ。それより、返事は?』

 

『契約のことですね』

 

『その通りよ』

 

『一つ確認のついでに聞いてもいいすか?』

 

『何かしら?』

 

一夏と楯無は無言で手話で会話する。

そして、一夏は本題を切り出す。

 

『この契約で俺はあんたの物になるでいいのか?』

 

『ええ。私の従者ですもの。私の目の届く範囲での生活になるわね』

 

『そうか』

 

それを視て、一夏は机に置いてあった鈴を鳴らした。

そして、それと同時にドアが開き、簪が出て来る。

 

「簪ちゃん!?」

 

楯無も予想外の登場に驚く。

 

「これはどう言うつもりかしら……一夏くん」

 

楯無は思わず手話ではなく、言葉で話してしまうが、一夏は楯無の口元から読唇()んでいるためにある程度言っていることが分かっている。

そして、その理由は一夏ではなく簪が説明する。

 

「従者契約……一夏くんに提案」

 

「ええ、したわ」

 

楯無はここであることに気付いた。

気のせいだと、あんまり気にしていなかったことが、今ようやく分かってしまったのだ。簪から僅かに殺気を感じるのだ。

 

「一夏くんは渡さない」

 

これはマジだと楯無は冷汗を流す。

 

「それは、叶わないわ。一夏くんは私の手元に置かせてもらうわ」

 

それでも楯無は平然とし、簪と向かい合う。

 

「一夏くんを私たちの手元に置くのは構わない。問題は主」

 

「つまり、簪ちゃんは一夏くんの主になりたいと」

 

「そう」

 

「却下よ」

 

「っ……」

 

楯無は簪の願いを却下する。

それでも簪は食らいつく。

 

『隣よろしいでしょうか?』

 

後から入ってきた女性が一夏に手話で許可を求め、一夏は『どうぞ』と返す。

 

『わたくしは楯無様の専属メイドの虚と申します』

 

『織斑一夏です』

 

軽く自己紹介を済ませ、一夏たちは二人の言い争いを眺める。

二人の言い争いはヒートアップしてしまい読唇()み難くく、もう殆ど分からない。

 

『えっと……今、どうなっているのですか?』

 

『所有権の争いですね』

 

いつも引っ込み思案の簪が食らいついているとこが珍しく、楯無も手を焼いているらしい。

そして、決着をつける一言が言い放たれる。

 

「考え直さないと言うなら、私……更識家を出て行きます!!」

 

簪のその一言がどうやら、楯無に大ダメージを与える。

 

「その意味を分かって言っているの……」

 

「もちろんよ」

 

簪のその揺るぎない眼を見た楯無は渋々引き下がる。

 

「はぁ~。分かったわ。好きにしなさい」

 

簪は初めて姉、楯無に勝ったのだ。

一夏はやれやれと姉妹喧嘩を見届け、簪の頭を撫でる。

 

『まあ、下ろしく頼むわ。お嬢様』

 

『うん』

 

簪は今まで誰にも見せたことのない笑顔を見せる。

 

「本当によろしかったでしょうか?」

 

「あんなに食らいついて来るとは思わなかったんだもの」

 

楯無は少し疲れ気味に答える。

虚も簪があそこまでとは思ってもいなった。

 

「これで一応は一件落着ね」

 

「ええ」

 

しかし。この後、一夏は予想を遥かに斜めのことをしでかしたことは、誰も予想出来なかった。

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