VANISHING POINT~もう1つのBECKの物語~   作:JhonnyWolf

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Bad Luck Sister

~その日満員の日本武道館で1つのバンドがピリオドを打った、全ての作品の作詞・作曲をしていたベーシストでリーダーの「K」の突然の脱退宣言はバンドとしての事実上の解散を意味していた、ではそこに至るまでの「彼」と「彼女達」の話をしよう~

 

 

 

バンド「Bad Luck Sister」は同時期にBECKやベルアームといった突出したバンドの陰に隠れ、世間的には評価がやや低いが武道館を埋める動員数は決してマニアックなバンドではない事を証明していた

 

 

彼らと私の出会いは事務所の会議室とは名ばかりのダイニングキッチンだった…

 

当時私の勤める芸能事務所「RED RAM」はマンションの一室にあった

見た目と歌声がキレイなVoのアリサ、当時大学生だったGtのユズル、アリサと仲良く、繊細なDrを叩くリイヤ、それをまとめる年上のBaのK、私は新人のマネージャーで、初めての担当がBadだった

 

「えっと…実は私あんまり音楽とかバンドとか詳しくなくて…」

 

「大丈夫ですよ有島さん、私達も全然知らないから…まぁKはオタク入っているけどね…」

 

アリサがテーブルの端に座りヘッドフォンで音楽を聴いているKを指差すとリイヤも笑った

 

「オタクって言うか中毒ですよね」

 

ユズルは読んでいた本を閉じた

 

「とっつき難い人ですけど悪い人じゃないんで」

アリサの言い方が二人の関係が他より親密な事を物語っていた

 

 

 

「不思議な人だな…」

 

RED RAM契約後のライブを観ていてそう感じた…当然というか予想通りに客はアリサやユズル中心に盛り上がっていたし彼女達もよく盛り上げ方を知っていた

 

「存在感薄いだろ…他のメンバーに比べると」

 

隣に立っていた社長がそう言った

 

「でも…ちゃんと「そこ」に居ますよね…」

 

「あのバンドはKだからバランスがとれているんだよ」

 

 

赤いギブソン・サンダーバードがやたら印象的だった

 

 

「え?帰った?」

 

ライブハウスへの挨拶を済ませて向かうと楽屋にはリイヤとユズルしか居なかった

 

「Kさんは平君と飲みに行くって言ってたし、今頃着替えてアリサも合流しているんじゃないかな」

 

リイヤも帰る為に立ち上った

 

「お店分かります?」

 

 

 

駅前の居酒屋「顔良」、リイヤが言った店にKとアリサは居た

 

「あっ…有島さんだ」

 

アリサがKの隣で手を振った

 

「紹介するね平君、こちら今度私達のマネージャーになった有島香澄さん」

 

そう言ってアリサが紹介してくれた人物を見て私は驚いた

 

「どうも、平です」

 

「え?BECKの?平義行?」

 

驚く私を見てアリサが笑った

 

「ウチも下積み長かったんで…」

 

才能揃いのBECKの中でも評価の高い彼と先程のKとが結びつかなかった

 

「一緒に飲みませんか?後で千葉も来るんで、一人でも女の人に居てもらった方が助かります、良いだろ?K」

 

「平君が良いなら」

 

遅れて来たBECKのMC千葉恒美は評判通りに明るい人だった

 

「BECKとはBad組む前からの付き合いなんだよね…お互い鳴かず飛ばすが長かったからね」

三人で盛り上っているのを見てアリサが説明してくれた

 

「あのさ…これは…スタッフとしてじゃなくて聞くんだけどさ…」

 

「Kの事?」

 

「あ…うん…」

 

「好きよ、でもそれよりバンドが好きだから」

 

アリサの違う一面だった

 

 

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