VANISHING POINT~もう1つのBECKの物語~ 作:JhonnyWolf
デビューCDは日程の関係から6曲を3曲に減らしても難航していた…
「ゴメン今のフレーズもう一回ください」
スタジオに重い空気が流れた、理由はユズルのギターにKがOKを出さない事にあった
「おぅおぅ煮詰まってるねぇ」
笑いながら入って来たのはチャイニーズブッキーの伝馬兄弟だった、REDーRAMと彼らの所属事務所が親しい関係で最近、対バンが増えていた
「あんま思い詰めるなって…」
伝馬兄がKに缶ビールを渡した
「ずっと寝てないんだろ?少し休め」
「でも時間が…」
「3曲目はあれで良いんじゃないか?ロスピエロズの「ライ麦畑でつかまえて」アレのアレンジは最高だと思うぜ?」
同意を求める視線に伝馬弟が頷いた
「じゃあ気分転換に飯でも行こうぜ、んじゃアリサちゃんはKがちゃんと寝るか見張っていてね、お土産買って来るからさ」
そう言うと伝馬兄はメンバーやスタッフをスタジオから追い出して、アリサにウィンクをした
「ったく何考えてるんだか」
アリサは自分の缶ジュースを持って来るとKの横に座った
「頑張り過ぎなんだよ…」
眠りアリサの肩にのせたKの頭を優しく撫でた
「いやぁ…今回のマキシは気合い入ってるな、元々Kが作る曲は繊細だけど今回は特に丹念に作られてるな」
「僕に今江さん位の才能があれば…」
「あいつはあいつさ…ユズル君も、もっと肩の力を抜かないと」
「焦りますよ…KさんNCー17のヘルプ断ったって聞くし…あの人のベースやっぱスゴいし…」
「比べても仕方ないだろ、ユズル君だってBadのメンバーなんだしさ」
翌日、デビューマキシシングル「発火点」は完成した…
バンドは休む暇なく東名阪ツアーに突入した
その頃REDーRAMに一本の電話が入った
「ナポリスミスの川久保ですが…」
ナポリスミスは昔BECKと契約していたレーベルで、その後の活躍から「日本のシーサイドレーベル」と呼ばれていた
「えぇ…Bad Luck Shisterはわが社の所属ですが…
一方バンドは名古屋のライヴハウスに居た
「やっぱ地方は完全にアウェーだね」
リイヤが客席を見ながら言った
「まぁ仕方ないでしょ…気にしない気にしない」
アリサは笑った
ライヴが始まればBadとて盛り上げるテクニックはある、名古屋ライヴを成功におさめた
「ライヴ慣れしてますね」
打ち上げの席でKは話しかけられた
「えっと…」
「山田です、確かお会いするのは…」
「あぁ…ジェイソン13の…」
「そうです、ジェイソン13は今休止してまして…」
「マキシ買いましたよ、聴くのが楽しみです」
物販で細々と売る…極めて一般的アマチュアバンドであった…