VANISHING POINT~もう1つのBECKの物語~ 作:JhonnyWolf
~締め切りを大幅に超えて完成した「13」はBECKの「Devil´s Way」にも似た圧倒的な存在感を持つバラッドだった、対を成す「瞬華」は今までのBadにはなかった激しい衝動剥き出しのロックンロール、2つの曲は素人目にも難易度の高い楽曲で、誰の目からもKが本気でメンバーを信じて書いている事が分かった~
「紹介する、今回の楽曲のエンジニア指揮を任せる山ピーだ」
レコーディングスタジオの空気が川久保の一言で固まった
「ほらやっぱり大石さんじゃないんだ?って顔じゃないですかぁ」
山ピーと呼ばれた男は川久保に泣きついた
「お前だって大石に色々教わったんだろ?自信持てよ、ウチは人手不足なんだ何でも出来ないと困るんだよ」
困るのはこっちだよ…川久保・大石のコンビって言う事で社長からお金出してもらっているのに…その時の私はそう思っていた
「まぁ良いさ…アリサ仮歌入れちゃえよ」
Kは疲れた様に言うとソファーに身を投げ出した
「疲れ果ててるな…大丈夫か?」
「例のロスピエロスの件もありますからね…正直限界でしょうね…」
私と川久保さんが心配になる程、Kは根をつめていた
レコーディングに入ると川久保さんが連れて来た山ピーの評価が変わった
「うーん…良いんだけどさ…つまらないんだよね、ありきたりの展開かなって…もっと抑えた魂の鼓動みたいな音が欲しいよね」
リイヤのドラムに本日何回目になるか分からない位のNGが出た
「言い方優しいけど厳しいよね…」
アリサが呟いた
「一応BECKを見続けてる男だからな…」
川久保が満足そうに頷いた
「よう、やってるな」
空気を変えたのはBECKの千葉の来訪だった
「デモCD聴いてよ、竜介が偵察して来いってよ」
「で?ご感想は?」
「良いんじゃねぇの?世間はどう思うか知らないけど俺達は気にしてねぇよ…聞きたいのはそういう事だろ?」
「まぁ…やっぱ似てる部分あるし…」
アリサが答えた
「川久保さんのOK出てるんだから自信持てよ」
「コユキがスゴイ気にしてんだよ、Kの事…」
「コユキが?」
「アイツも曲書くからな…苦しさ分かるんじゃないか?」
千葉はデスクに頬杖をついた
その頃Kはスタジオ近くのカプセルホテルで仮眠をとっていた
「良いフレーズ浮かんでいたのに…」
Kは目覚めると両手で顔を覆った
Kがスタジオに戻る頃、リイヤの収録が丁度終わった
「千葉君じゃん」
リイヤと談笑してる千葉にKは話しかけた
「なぁK、サクとリイヤちゃん交換しない?BECKの現場むさ苦しくてよ」
「サクにはウチのタイコは叩けないよ、リイヤじゃないとな」
「え?」
ソファーに座りながら言ったKの一言に一番反応したのは当のリイヤだった
「なんか嬉しいかも…頑張って良かったかも…」
「何言ってんだよ…」
Kはそう言うと近くにあったベースのチューニングを合わせ始めた