勇者とはなんだったのか   作:冴え渡る

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少年 10歳 ♂

名前 ルー 職業 修理屋
Lv1
HP23 MP6
ちから5 すばやさ4 みのまもり3 かしこさ18
うんのよさ−13 かっこよさ3

呪文・特技

ホイミ インパス

修復術(道具に簡単な修理を施す)
布の財布(全滅した時に落とす額が1割下がる)
ぬすむ(相手の持ち物を一定の確率で盗む)

装備・持ち物

布の服 布のズボン はねぼうし 深紅のグローブ 皮のブーツ ただの布切れ ブロンズナイフ 職人のベルト

やくそう×3 聖水×1 いのちのきのみ×1


備考

商売への関心が大人と同じ。
精神年齢はすでに17〜18歳程度にまで成長している。
祖父と二人暮らし。
家は村で唯一の道具店を営んでおり、経営はかなり潤っている。
やくそう、聖水、毒消し草、その他素材アイテム、布の服や木製の武器を販売している。
女の子が苦手で、たまに遊びに来る幼馴染の対応に困っている。
外の世界を夢見ていて、そのための準備をしている。


おお ゆうしゃ よ よくぞ まいった

ここは名も無き村

 

 

 

王都から少し離れている寂れた農村だ。

 

この村に住んでいる人たちは皆農家などのありふれた職業についていて、兵士や冒険者などは一切いない。

昔はこの村では珍しい綺麗な石が取れることで有名だった。

だが今は村に特産物や名産品などは無く、宿屋も無いので訪れる人はほぼ皆無だった。

 

村自体の規模もあまり大きくないので必然的に子供は少なくない。

 

 

この村は過疎地域だった。

 

 

その村にひとり、子供とは思えない言動をする少年がいた。

 

 

 

 

 

 

村の唯一の道具店 『ルゥ』

 

 

「ルゥ、お隣の鍬が壊れたみたいなんじゃ。直してきてくれるかのう?」

 

「別にいいよ。で、いくら?」

 

「お金取るのか………」

 

「爺ちゃん?いくら何でも業者と同じ完成度の修理をタダで行うのはダメだと思うんだ」

 

「ワシらが使っとる農具は全部ルゥが直してくれてるからのう………ルゥが直してくれないと困るんじゃが」

 

「その理論で言うと僕がいなくなったらこの村は終わる事になるよ」

 

「なんとかタダでやってあげて欲しいんじゃが……」

 

「はぁ…………爺ちゃん」

 

 

少年は自らの祖父に向かって諭すように話す。

 

 

「僕たちはこの村で唯一の道具店なんだよ?他の家とは違って農業では稼げない。だったらその農業を手助けする形で稼ぐしかないじゃないか」

 

「店の方で稼ぎは足りとるじゃろ?」

 

「………昨日のスライムレース、どうだった?」

 

「してやられてしまったわい。まさかあそこで寝てしまうとはのう。やはり大穴ではなく手堅い方で………ハッ⁉︎」

 

「んでいくら使った?」

 

「………店番をしてくるわい」

 

「今は休憩時間だよね?」

 

「うぅ!持病の腰痛が」

 

「毎朝走り込みをしてる人が何をほざいてるんだか。で、いくらなのさ?」

 

「………3000G」

 

「………………………修理は30Gで請け負うって言っておいて」

 

「……はい」

 

「後、爺ちゃん」

 

「……はい」

 

「今月の小遣いは無しで」

 

「殺生な!」

 

「なんで半年分の稼ぎを1日で消せるのか不思議でたまらないよ」

 

「鬼!悪魔!ちひろ!」

 

「なんとでも言ってよ。僕は買い物に行ってくるから」

 

 

 

 

 

 

旅商人の露店 『チー』

 

 

「いらっしゃい!うちはなんでも安いよ!」

 

「チーさん、また来たよ」

 

「ルゥ!今日も来てくれたのかい?」

 

「チーさんは珍しい物を持ってくるからね。僕としては毎日でも来たいんだよ」

 

「嬉しい事言ってくれるねぇ!それで?今日は何か目当ての物はあるのかい?」

 

「『アレ』ある?」

 

「……『モンスター図鑑』か。あれは高いよ?3000Gだ」

 

「今日、その額を爺ちゃんが使い込んだのを白状したよ」

 

「はっはっは!そいつは嬉しい誤算だねぇ!確かその額分、少年も使えるんだろ?」

 

「僕は稼げるからね」

 

「なら持って行ってよ!」

 

「ありがとう、チーさん」

 

「お代はいらないからね!」

 

「⁉︎どうして?」

 

「僕のところにくる村人は君とお爺さんだけだからね。しかも君は毎回買い物をしていってくれるし、お爺さんは酒を持ってきてくれるからね」

 

「でもそれじゃあ赤字なんじゃ……」

 

「君のお陰で黒字もいいとこだよ」

 

「…………いや、お代は払う」

 

「どうして?」

 

「売買とはそうあるべきだと思ってるからだよ。僕はチーさんの持ってくる商品に対してその額分の代金を支払うべきだも思ってるから払うんだ。」

 

「………そっか。でも負けさせておくれ。それぐらいはいいだろう?」

 

「それならいいけど………いくら?」

 

「今日の売り上げは?」

 

「280Gだけど……まさか」

 

「じゃあ280Gね。はい」

 

「………ありがとう、チーさん」

 

 

 

 

 

定休日

 

 

「今日はタバサちゃんが遊びに来るぞい」

 

「げっ」

 

「なんじゃ、嫌なのか?」

 

「いや、レックスはいいんだけどさ………タバサも来るの?」

 

「レックス君は今日は来ないぞい」

 

「なんで⁉︎」

 

「いや、なんかコリンズ君と修行をしに行くそうじゃ」

 

「僕もそっちへ」

 

ドアバタン!「ルゥ君!遊びに来たよ!」

 

「早過ぎない?」

 

「えへへ、会いたくてルーラ使っちゃった」

 

「この村名前無いはずなんだけど」

 

「だから『ルゥ』に来たよ」

 

「店を移転先にするとかどんだけ魔法のセンスあるんだよ………」

 

「今日は何して遊ぶ?おままごと?夫婦ごっこ?お医者ごっこ?」

 

「僕は店番をやるからタバサは家にお帰り」

 

「ただいま!」

 

「ここ店なんだけど」

 

「もう私の家みたいな物でしょ?」

 

「いいから帰れよこのヤンデレ娘」

 

「こらっ!姫様になんてこと言うんじゃ!」

 

「おかしくない?ねぇおかしくない?そもそもなんで姫様が冒険者やってんの?そもそもなんで姫様一人で来てんの?なんで爺ちゃんはそんなにタバサウェルカムなの?」

 

「そりゃお前わしはタバサちゃんを応援して」

 

「あーあー聞こえないー爺ちゃんが訳わかんない事言ってるのとか全く聞こえないー」

 

「ねぇ、早くあそぼ?」

 

「ごめんくださーい、タバサいます?」

 

「ほら、ビアンカ様来たから」

 

「えー、見つけるの早いよおかーさーん」

 

「ほぼ毎月来てたら来る場所ぐらいわかるわよ……」

 

「これはこれはビアンカ様、ご機嫌麗しゅうございます」

 

「もう!お爺さん?そういうのはやめてください!」

 

「ほほっ、いやはや、こうでもしないと大臣様達から何を言われるのかわかりませんのでな」

 

「…………ここも豊かになりましたね」

 

「………ワシの生まれた村であり、アベル様の生まれた村ですわい。サンタローズの時のように、とは行きませんが………まぁ、いつまでも平和でいたいとは思っておりますわい」

 

「………お爺さん、アベルもまたここに来たいと言っていました」

 

「………ルゥが守ってくれますわい」

 

「あの子は強いんですね………」

 

「えぇ、わしの孫ですからな」

 

 

 

 

 

 

ある日の事

 

森の中

 

 

「ここは…………どこだ?」

 

 

森の奥深くの大きな木の下、少年は道に迷っていた。

いつも遊びに来ていた森の、いつもより奥の方まで来てしまったようで帰り道を完全に見失っていた。

 

 

「………狼煙でもあげたほうがいいかな?」

 

 

迷って早々に狼煙を上げるという選択肢が出てくる時点でわかるとは思うが、この少年は他の同年代の子達とは違い脳の回転が桁違いに早い。

別に天才、というわけではない。

知らないことは知らないし何でもかんでも出来るわけではない、むしろ体を動かす事に関しては人よりも苦手である。

 

だがこの少年は、3歳になる前に算盤を使い、4歳になる前にどこからか深紅のグローブを見つけて使い出し、5歳の誕生日から職人のベルト自作して仕事用に付けだした。

それから5年間、少年は自分の使う釣り竿や木の実を磨り潰すすり鉢、それだけでなく村の農具を直してしまうほどの理解力を持っていた。

その上今では、祖父に代わって店を切り盛りする事もできる。

 

 

 

少年は辺りに散らばっている小枝を集める。

そして一箇所にまとめてその小枝を囲むように等間隔に小石を並べる。

すると粗末な焚き木セットが出来上がった。

 

少年はそのセットに火をつけ狼煙を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

(………)

 

 

そのまま待つこと10分。

ガサゴソと、近くの茂みから音がした。

少年は爺ちゃんが自分を探しに来たのかと思い、警戒しながら茂みに近付いていく。

 

茂みが大きく動いて、勢い良く小さな影が飛び出してきた。

 

 

「ピキー」

 

 

やせい の スライム が とびだしてきた !

 

 

「………」

 

 

………どうやらその影の正体は父親ではなくスライムだったようだ。

 

 

(……冷静になれ。モンスターはまずい、このまま僕が戦っても勝てる見込みはない………幸いにも相手はスライム、餌を与えればなんとか命だけは助かるはずだ)

 

 

少年はすぐに冷静になり、餌を取り出してモンスターに話しかけようと試みる。

 

 

「落ち着け、何か食べるか?なんでもやるから落ち着くんだ」

 

「………僕はわるいスライムじゃないよ?」

 

「」

 

「僕はわるいスライムじゃないよ?」

 

「」

 

スライム は いしそつう を もとめてきた !

 

 

少年は少し拍子抜けしてしまった。

基本的にスライムといえども相手は魔物だ。

 

この世界は『人』と『魔物』の二つの存在がある。

 

人は力が弱く寄り集まって生きる存在であり、魔物は力が強く単体で生きるものが多い。

魔物は相手が魔物使いでもない限り人間に懐く事は殆ど無い。

しかもその例外も、命を助けてもらっただとかなにかしらの理由がなければそれも奇跡のような確率でしか起きない。

今回はおそらくその例外だろう。

 

 

少年はこのスライムが話ができる事を知り、攻撃をされない為にも返事をすることにした。

 

 

「………何かようでもあるの?」

 

「うんとね?君、昨日森の出口付近で木の実とかやくそうを取ってた?」

 

 

このスライムの言う通り、確かに昨日は森の出口付近で木の実を取っていた。

 

だがそれを知っているということは、少なくともその時にその姿を見られていたということになる。

少年は少しスライムを警戒して返答する。

 

 

「……確かに、ここ最近はとってるけど……それが?」

 

「あの木の実、なんのためにとってるの?」

 

 

少年はスライムの質問に拍子抜けしてしまった。

 

 

「……あぁ、それか。モンスターでもそんなことが気になるんだ、それは」

 

 

 

 

 

「万能薬を作ってるんだよ」

 

 

 

 

 

少年はつまらなそうにスライムに答えた。

 

 

「万能薬?」

 

「まぁ、何でも治せるやくそうの上位交換だよ」

 

「じょういこうかん?なにそれ?」

 

「…………すごいやつだよ」

 

「ふーん………」

 

 

少年は思った、こいつ理解してないな………と。

 

 

「とにかく聞きたいことは聞いただろ?じゃあね。僕は帰

 

「あのね!」

 

(話の途中で区切るなよ………)

 

「お願いがあるんだ!」

 

「………叶えてあげられるかどうかわからないけど一応聞いておくよ。なに?」

 

「そのばんのうやく?をぼくに頂戴!」

 

「……なんで?」

 

「ぼく、旅に出るんだ!」

 

「!」

 

「だからやくそうが欲しいんだけど君が取っちゃったから……」

 

 

少年は妙に落ち着いた表情でスライムに質問した。

 

 

「………いつでるの?」

 

「えっ?」

 

「だからいつでるんのって聞いてるんだよ」

 

「うーん………明日には」

 

「………そっか、どこへ行くの?」

 

「どこに行くかは決まってないよ!」

 

「は?」

 

スライムは目を輝かせて言った。

 

 

 

 

 

 

 

「世界を見てみたいんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

少年はこの村で生きて10年経つ。

 

この世界は広い。

基礎的な教養を身につけていれば誰でも知っている。

 

この世界は9の大陸でできている。

 

その大陸は一つ一つがでかい。

だが少年は、自分の住んでいるこの大陸でさえ知らない。

村から出ること自体がほぼ無いのだ。他の町や国、村ですら行ったことは無い。自分の村の人以外はほとんど会ったことが無い。昔一度だけグランバニア城に行ったことがあるくらいだ。

当然、世界を見てみたいという気にもなる。

 

少年は初めて、自分と同じ思いを持つ存在に出会ったのだ。

 

 

「……………その旅、僕も行っていいかな?」

 

「…えっ?」

 

「だから僕も行きたいんだ。2度も言わせないで欲しい」

 

「……でも、僕魔物だよ?」

 

「知ってるよ………逆にその見た目で人間だったら驚きだよ」

 

「…………なんで?」

 

「僕も旅に出たいから万能薬を作ったんだよ。君とは理由が違うけどね………一人と二人では天と地ほど旅の危険度に差が出る。旅は道連れとも言うしね」

 

「?よく分かんないけど……いいよ!一緒に行こっ!」

 

「……そういえば名前は?」

 

「ないよ?」

 

「……じゃあモンスター爺さんのところへ行こう」

 

「誰それ?」

 

「僕の友達だよ。ちょっと歳が離れてるけどね」

 

 

 

 

 

 

 

モンスター爺さんの小屋

 

 

村からちょっと離れた小さな小屋、その小屋の中でルーはスライムを連れて爺さんに仲間の申請をした。

 

 

「ほほぅ!ルゥがスライムを仲間にするとはのう!」

 

「僕はこのスライムと友達になりたい。でも名前が呼べなければ友達になれない……だから名前をつけたいんだ」

 

「……仲間、ではなく友達か。何か候補はあるのかね?」

 

「スラりん」

 

「そうか、良い名じゃ。きっとよく育つぞい」

 

 

ルーは近くに束ねて置いてある書類に必要事項を書いてモンスター爺さんに手渡す。

 

 

「じゃあこれ、申請書ね」

 

「ほいほい、じゃあ受理するぞい。………よし!これでスラりんはお前の仲……友達じゃな!」

 

 

ルーはスラりんの方を向いて宣言する。

 

 

「これで君は僕と同じパーティの一員だ……改めてよろしく、ルぅっていう名前だよ」

 

「スラりんだよ!」

 




なかま が ひとり ふえた !

スラりん との 親愛値 が 1 ふえた !
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