愛すべき我が家族達   作:尾狩奈

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トキワの森の総大将

オーキド博士の研究所でポケモン講座を開き、その後オーキド博士からお礼にと一匹のポケモンを貰ったシオン。

それから2日が経ち今シオン一行は迷子になっていた。

「広すぎるでしょこの森」

『すみませんマスター、私がお月見山に行きたいとワガママを言ったばかりにこんな…』

シオンの隣でシュンとするサーシャ。

現在シオン一行はトキワの森にいた。

森にはちゃんとした道があり、本来ならば迷うハズのない場所なのだが、シオンがオーキド博士から貰ったポケモン『ニンフィア』が、飛んでいた『バタフリー』を追いかけ始め、更にそのニンフィアを追いかけた結果迷子になってしまったのだ。

「サーシャのせいじゃないよ、気にしなくていいから、なんとか道を見つけて森を抜けようか」

『はい…』

ニンフィアにはなんとか追いつき、ボールに戻したが、その時には既に時遅く、どこをどう追いかけたのかわからない状況だった。

「サーシャ、人の気配とかってある?」

『いえ、私もさっきから気配を探しているんですが、ポケモンの気配しか…』

「あー、まぁこんな時間だししょうがないか」

時刻は夜8時。

あたりにはちらほらゴーストタイプのポケモンも見え始める。

『!?』

ふと、サーシャが何かに気付いたように顔をあげた。

『マスター、強いポケモンの気配が1つ、こちらに向かってきます』

その言葉にシオンとサーシャは臨戦体制に入り、目の前の茂みを見る。

ポケモンの足音が聞こえないため、飛行するポケモンか、あるいは浮遊しているポケモンだろう。

それはすぐに姿を現した。

黒い影のような帽子にマントを羽織った魔女を連想させるシンオウ地方ではジムリーダーメリッサが愛用していたポケモン『ムウマージ』だった。

『おやおや、こんな時間、こんな場所に人の子がおるとわの、なんじゃ、迷子にでもなったかや?』

話かけてきたムウマージの言葉に、敵ではないと判断したシオン達は警戒をとく。

「お騒がせして申しわけない、俺は各地を旅しているシオンといいます、こっちは相棒のサーシャ、ご察しの通り、すこし道に迷ってしまい、往生していました」

『ふむ、最近の若者にしては礼儀がなっておるの、我の名はムウマージ、この森では総大将と人の子らに恐れられておるがよ、我は人の子にどうしようというわけではない、うぬらさえよければ出口まで案内してやろう、もちろんタダではないがのう』

ムウマージは1つ息をすると言葉を続ける。

『実は我は退屈しておっての、うぬら、我を連れてゆかぬか?実力はそこらのトレーナーには負けんと自負しておるが、もちろんバトルで力量を測って貰っても構わん』

なんと、ムウマージ自らシオンと同行する道を選んだのだ。

強いかどうかはともかく、これからのことを考えるならばこれ以上心強い提案はないだろう。

シオンはその提案をのむことにした。

「でもどうする?サーシャ休みたいでしょ」

『はい、申し訳ありませんが少し疲れました』

考えた末、シオンはレディで戦うことにした。

「たのんだよレディ」

『ウチは全然構わないよー』

レディはやる気満々というふうにシオンにサムズアップをしてみせる。

ムウマージを見ると既に臨戦体制に入っていた。

『決まったようじゃの、ならば、我からゆくぞ!』

そういうとムウマージは自分の前に黒い球体の塊をだす。

そしてそれをレディに向けて発射した。

「レディ、『エナジーボール』で相殺!後に草笛!」

レディの発射したエナジーボールとムウマージのシャドーボールがぶつかり爆発が起きる。

その直後、あたりには心地よい音色が鳴り響く。

爆煙が晴れるとそこには眠っているムウマージがいた。

「レディ、多分起きたらすぐに強襲してくる、『剣の舞』を溜めておこう」

シオンの言葉と共にレディが踊り出す。

5分程してムウマージは目を覚ます。

同時に姿を消した。

「!?『シャドーダイブ』!?なんで野生のムウマージが!」

『大丈夫だよシオン!』

「・・・・・っ!レディ『心の目』!」

レディは目をつむり、全神経を研ぎ澄ます。

一瞬、ほんとに一瞬、レディの影が揺らいだのをレディは見逃さなかった。

「レディ!『花弁の舞』!」

直後、レディの影からムウマージが姿を表すが、それと同時に無数の花弁がムウマージを襲う。

シオンはボールを準備し、ムウマージが弱る瞬間を見つけようとするが、ムウマージの姿がぶれて消えてしまう。

『影分身』だ。

「!?」

レディの真後ろに突如現れたムウマージはレディに向かってシャドーボールを放つ。

そのままレディは声も出せずに倒れてしまった。

「・・・・・負けた」

シオンは呟いた。

『うぬよ、誤解を解くために言っておくが我はもとは人の子と旅をしておった、訳あっていまは共にはおらぬがの、『シャドーダイブ』はその時に覚えたのじゃ』

その言葉にシオンはなっとくしてしまった。

つまり、ムウマージはシオンよりもずっと強く、勝負に長けているトレーナーに育てられ、ここまで強くなったのだ。

同時にシオンの中に疑問が残る。

「・・・・・なら、なぜ俺について来ると?」

『我が主は3年前に死んだ、主は「次にお前の主人になるやつがいいやつであることを祈るよ」と言ってな、我はそれをうぬだと確信した、同時に、うぬには主よりも強くなる資質も見出した、我の目に狂いはないよ』

腑に落ちない点がいくつかあったが、シオンはムウマージにボールを向ける。

ムウマージは無言でそのボールの開閉ボタンを押し、自らボールの中に入っていった。

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