真剣で私に恋しなさい!S~弓腰少女のマジ恋!~【未編集再投稿】   作:Celtmyth

1 / 12
 ここから現時点での話数まで投稿します。
 これは『真剣で私に恋しなさい!S~少女たちのマジ恋!~』で、1つの小説に2つの物語を湯王していたのを、思う所あって分けた作品です。
 内容の変更はしてませんので、あしからず。


弓腰少女のプロローグ

 某、加奈陀(カナダ)。どこかの国家擬人化漫画で見られるようにたまにと勘違いさせられる――まぁ領土が『北アメリカ大陸』だしね――この国は森林地帯が国土の54%を占める。森と言えば木々の集まりと言え、そこで狩猟をすると言うのならかなり難しいだろう。

 そして文字通りである森の中、木々に囲まれる中で弓を引いている少女がいた。使う弓は、正直分類が当てはめづらい。長さは和弓並、外見は洋弓のように機械的、それでいて形状は質素。まるで絵で描かれたような非現実的な弓だ。

 

「………」

 

 少女はその弓を手に、目を閉じていた。弓手が目を閉じるなど愚行以上に馬鹿な行動だ。しかし咎める者はいない。今は彼女一人であるし、いたとしても彼女の母親は咎める事ないだろう。そして彼女は、予備動作もなく矢を放った。

 静寂な森に弦の音が響いていく。反響はなく小さくなりながら広がる。そして、続いて悲痛な鳴き声が響いた。

 

「……よし」

 

 その鳴き声を聞くと少女は初めて声を出し、満足気に発した。弓を降ろし、そのまま急ぎ足で進み始める。弓を放った直線状とは少し傾いた方向へ、しかも進むにつれてグネグネと曲がりながらだ。そうしていると、一匹の獣が横たわっていた。見た目からしてトナカイ。加国ではジビエとして食される獣だ。そしてこのトナカイの眉間には棒状の物、少女が先ほど放った矢で仕留められていた。

 

「食料確保っと。続いて血抜き血抜き」

 

 トナカイはシカ科なので素早く血抜きの処理をしないと味が悪くなるため、少女はナイフを手に持って作業を始めるのだった。

 

 

 

 

 しばらくて、血抜きを終えたトナカイを担ぎながら少女は自分の家に到着した。見た目はログハウス。しかもかなりの大きさがある。十分に立派と言えた。そんな家の、入り口の扉の横に少女は仕留めたトナカイを置き、そして身軽になった所で家の中へ入っていく。

 

「ただいまー」

「お帰りなさい」

 

 少女を迎えたのは彼女の母親らしき女性。部屋のテーブルの片隅に座り、広げた羽根で矢の矢羽を一本一本丁寧に作成していた。

 

「上手くできた?」

「うん。母さんの言われた時間内に見つけて仕留めたよ。まぁギリギリだったけど」

「でも一本で仕留められたんでしょ?」

「それはもちろん」

「じゃあ私から言う事はないわ。お疲れ様」

「はーい」

 

 特に指摘らしい指摘を受けずに労いの言葉を貰った少女は少々ご機嫌だ。そして報告を済ませたので改めてトナカイの解体をしようと外に出ようとする。

 

「――ねぇ、そろそろ腕を確かめに行かない?」

 

 しかしそこで少女の母親がそう言って呼び止める。少女はその言葉を聞いて振り返り、そして驚きと嬉しさが混じったその顔がよく見えた。

 

「……マジ?」

「ええ、マジよ。私も大体の事は教えたし、貴女も十分な実力を身に付けた。そろそろ私以外を相手にした戦いを積まないといけないわ」

 

 母親からの言葉を聞くたびに少女の心は静かに燃え上がる。長い修業を積み続け、一切の実践を経験しなかった物足りなさが満たされるかのようだ。

 

「だから貴女には日本に行ってもらうわ。詳しい場所は川神市」

「武神がいる街だね」

「ええ、そうよ。それに貴女と同世代で実力のある子たちがいるし、なにより今は剣聖の娘さんがいるわ」

「剣聖って、母さんの友人だったっけ?」

「そうよ。でも大成くんはいないから、期待はしちゃだめよ」

「してないわよ。まだ母さんを追い抜いてないんだから、まだ先でいいし」

「ならいいわ。――出発は一週間後で準備しなさい。連絡は私の方からしておくわ」

「はーい。でもその前に解体をしておくから」

「ええ、そっちもよろしくね」

 

 話を終え、少女はトナカイの解体へ向かい、母親は矢の作成に戻る。

 

 

 

 

 

 

 後回しになってしまったが、この母娘の正体を伝えよう。

 

 少女の名前は笹谷 蘭。自作のを使う弓の使い手。大きな潜在能力を秘めていながら実戦経験なしである未知数の実力者。

 母親の名前は笹谷 三左。娘に弓術から弓矢の作り方を教えた師。知る者が知る異名は『』であり、『天下五弓』の名付け親。

 

 

 一時故郷を離れた『弓聖』の娘が、川神市へ立つ。波乱は、必須だった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。