真剣で私に恋しなさい!S~弓腰少女のマジ恋!~【未編集再投稿】   作:Celtmyth

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Episode 02 『弓の家系』

 大和が蘭と出会って、時間は過ぎて今は夕刻。日も沈みかける時間に彼は秘密基地に足を運んでいた。今日は集会のある金曜日ではなかったがファミリー全員が集まっていた。

 

「今日は皆揃っているな」

「夏休みだからね。暇な時間とか出来るからね」

「まぁ金曜集会以外でみんなが揃うのは珍しいよな」

「私は大和がいたから来ただけだよ」

『ブレないねー』

「でも京さんらしいですね」

 

 特に何かをやろうと言う訳ではなく、皆が偶然に暇を持て余して集まったと言えるだろう。しかしこの中で一人『暇を持て余して』の言葉が当てはまらない人物がいる。

 

「でもキャップはいるのは偶然よね。つい先日まで海外に行ってたんだから」

「おうよ! そして今回もスリルあって楽しかったぜ! たまたま見つけた半壊の海上基地に入ったら巨大ザメと遭遇したからな」

『それ、国家機密とかじゃね?』

「いや、特に何も言われてねぇけど」

「これ、気にしちゃダメなんだろうね」

 

 卓也の言うとおり、深く詮索しないが正解だろう。皆もそれは十二分に承知しているので誰一人そうはしなかった。

 

「しかし巨大ザメか。東西交流戦以来、大きな相手をしていないからな。今度探して見るか」

「そんな生物、早々いないと思うよ姉さん」

「いやわからないぞ。特にこの川神は」

「確かに変わった植物は多いし、川神谷とか危険指定区域とか多いからね」

 

 決して『いない』と言わないあたりこの市は相変わらず摩訶不思議の認識だ。しかしそれが川神市という場所であり、住人たちはそれを認知している。しかしこの中で一人、『川神谷』の単語を聞いて別のことを考えているものがいた。それは昼間に出会った少女、蘭の事だった。

 

(あの子、川神谷で過ごすって言ってたけど本当にだいじょうぶなのかなぁ?)

 

 ここにいる皆が川神谷を危険区域として認識しているため、そこで生活すると言っていた蘭の身の安全は正直不安に感じていた。ただそれに反して外見の、獣の皮を身に纏った姿は逆にしっくり着ているとも思っていた。ただ足りないのは彼女の実力であった。

 

(わざわざあの場所に行くことに不安は感じていなかったから実力はあるんだろうけど、本当にあのあの子って何者なんだ?)

 

 思考は更なる疑問を呼び、大和は深く落ちていく。その為に口数が減り、沈黙を続けたために仲間たちから疑問の眼差しを向けられた。

 

「どうしたの大和? なんだかさっきから黙ったままだけど」

「え?」

 

 大和は一子に声をかけられてようやく現実に戻ってくる。そしてここで皆が自分に注目されていることに気づいたのであった。

 

「何か気になることでもあるのか?」

「まぁ、あると言えばある。今日の特別授業の帰り、変わった人に出会ってね。その子の事を思い出していただけ」

「女の子か?」

「うん」

「オメーは何で女子のエンカウント率が高ぇんだよ」

 

 正直に答えると真っ先に岳人に涙ながら嫉妬を貰った。異性との縁がないゆえの悲しみだが誰一人として気遣わないからすでに当たり前である。そして性別を尋ねてきた百代は興味心身に、ウキウキと質問を続ける。

 

「で、その子ってどんな子なんだ?」

「どんなって言われても、行き倒れしていた子?」

「なんだそれ?」

「よくわからないからな。行き倒れは初対面の時だし、服装も一部毛皮だったしね。川神らしいほどに変わった子だったよ」

「美少女か?」

「うーん、身だしなみは雑だったから判別しずらいかな」

「と言うか女子のモモ先輩がなんでしつこく尋ねるのさ」

「もちろん、かわいいなら紹介してもらうためだ」

「あ、ズリィ。大和、かわいいなら俺に紹介してくれ」

「何張り合ってるんだよ」

 

 と言いつつ、二人はぶれないなと百代と岳人を見ながら思う大和であった。

 

「とりあえず人脈を大事にするお前のことだ。名前とか個人情報は聞いてるんだろ?」

「うん、行き倒れを助けたお礼をいつかするって事でメルアドを交換したよ。名前は笹谷蘭って言う――」

 

 

 

 

 

 ドンッ!!

 

 

 

 

 

 大和が蘭のフルネームを教えた瞬間、部屋に大きな音が鳴った。驚いた皆がその発信元に目を向けると更に驚いた。音を立てたのは京、ファミリーの中で『物音を立てる』事には縁遠い彼女が音を立てたことに驚いたのだ。

 

「……大和、今『笹谷』って言った?」

「あ、ああ。そうだけど」

「もしかしてカナダから来たとか?」

「え、なんで知って……」

「やっぱり!!」

 

 

 京は更に大きな音を立てて皆を二重に驚かせた。しかし彼女がここまで動揺するとなればある答えが導かれる。

 彼女は『笹谷 蘭』、と言うより『笹谷』と言う名前を知ってるのだと。

 

 

「京、笹谷さんの事を知っているのか?」

「弓使いなら知らないほうがおかしいんだよ、笹谷って言う名前は」

「とりあえず京、その笹谷ってどんなところなんだ」

「うん。笹谷は弓師・矢師・かけ師―――日本の弓矢を作る職人を一纏めにした一族で何より――」

 

 クールな彼女がここまで熱い言葉で伝え、そしてもっとも重要である事を皆に伝える。

 

「その笹谷には『弓聖』と呼ばれた弓使いがいて、そしてその人は『天下五弓』の名前と五弓を選んだ人だよ」

 

 

 

 

 

 

「「クシュン!! ……あれ?」」

 

 

この時、カナダと川神谷にいる笹谷の母娘は同時にくしゃみをしていた。

 

 

 

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