真剣で私に恋しなさい!S~弓腰少女のマジ恋!~【未編集再投稿】 作:Celtmyth
由紀江から服を借り、その間に大和たちも準備を終えて出発した。そして島津寮生以外の面子と合流した。そして合流の度に蘭はこう言われた。
「「「「「誰っ!?」」」」」
先日までの浮浪姿からファッション誌の模範というべき姿に一同驚くのだった。
と、何故か個人ファッションショーが行われて滞りなく終了した後、大和たちは蘭を連れて川神市内を歩いていた。
「ところで笹谷さん、その鞄って少し大きくない?」
するとちょうど彼女の後ろを歩いていた卓也が彼女がぶら下げているカバンを尋ねた。大きい、とは言えなく寧ろちょうどいいくらいのサイズだが街の散策には少々大きすぎる気もする。学校帰りでもないし、もう少し小さくてもいいんじゃないかと思って声を掛けた。
「これ、大事なモノ、入って、る。具体的、に、言うと、笹谷、の、家訓。その、一つ」
「お家の仕来りですか。なら尊重すべきですね」
「まゆっちが言うと説得力あるわね」
蘭からの返事に由紀江が続いたことで説得力がました。その気持ちを声に出した一子を始め、皆も同じ気持ちだ。というか家の事情で真剣を持ち歩いている彼女だから、逆に指摘したら驚きだ。
「なぁ、何が入ってるんだ?」
「これ、非常時。だから、その時、まで、お楽しみ」
「え~、いいじゃん。見せてくれよ~」
「No」
カバンに興味を持ち始めた翔一のお願いを蘭は頑なに拒否をした。その後、ファミリー女子組が『女の子の荷物を詮索するな』と言い含めた。
「ところで、場所、聞く、OK?」
「どんな場所を案内するか聞いても大丈夫かって事?」
「Yes」
「問題ないぜ。とりあえず最初は川神院に向かうつもりだ。ここでは実力者と戦うのが目的だったろ? ちょうどいいと思ってな」
「私とお姉様がいる寺よ。修行僧のみんなもいっぱいあるからね」
「ですか。では、その先、楽しみ、します」
川神院と聞いて口元が綻ぶ蘭。喜んでくれたようだが、それが強者と戦える喜びではない。
実は彼女、日本について川神市にやってきたもののここにいる実力者のことは一切把握してない。ここに来る前に母親から情報などは言い渡されず、しかし反論しても無意味と理解していたので0のままここに来たということだった。それが少しでも情報が得られると思うと気持ちが高揚した。
それを見て大和は彼女が考えている事とは逆に捉え、その上で声を掛けた。
「笹谷さん。川神院に来たら決闘とか?」
「すぐは、しません。ですが、近い内、始める、つもり、です」
「そうかそうか。じゃあまず始めに私と――」
「遠慮、します。ワタシ、貴女、勝てない。それだと、ワタシの、実力、見定め、ない」
「えー、いいだろー」
「No、です。だた、その頂、知っておく、あり。後々、お願い、します」
「おっし、わかった。その時は胸を貸してくれ!!」
「?」
「あ、笹谷さん。気にしなくていいし、別に言葉を間違えた訳じゃないから」
セクハラを理解できずに首をかしげた蘭を大和が制する。『いいの?』と言わんばかりの可愛い顔を向けてくるので思わず照れて顔を背けた。
「むぅ――!!」
「??」
すると今度は京が唸り始めて蘭は更に首を傾げた。
「とにかく早く行こう。お爺様にも貴女の事を伝えているから向こうも楽しみに――」
「フハハハハハハハツ!!」
一子が急ぎ川神院へ案内しようとすると、遠くからでもここに聞こえるほどの高笑い。そして蘭以外はそれが誰なのかその笑いで察する。
「我、九鬼英雄、降臨である!!」
蘭を除き皆『やっぱり』と心で呟いた。
「やぁ皆の衆、今日も相変わらず賑やかだな!!」
「どうしたの九鬼くん、何か用でもあるの?」
「いや、この夏休みに久方ぶりに一子殿の姿を見つけたので声を掛けようと思ったまで」
「そ、そう……」
遠まわしに『特に用はない』という事だった。まぁ用があっても彼らにしてみれば面倒事の類にしかならないが。とは言えそれを口に出せば傍に控えるメイドに脅される。
「貴方たち、英雄様がわざわざお声を掛けられたのですよ?」
と、忍足あずみは笑顔のまま威圧をかける。要訳すれば「おいオメェら、英雄様がわざわざ声をかけられてんだ。敬えコラァ」である。それを受け、岳人と卓也がとりあえず嬉しそうな態度を取るのだった。
「む、見慣れる者があるな。新しいメンバーか?」
と、ようやく英雄は彼らと一緒にいる蘭の姿を認識した。初めて見る顔で、しかし年頃は近そうで川神学園なのかと思案する。
対して蘭の方は元々、弓作りの家系生まれなので完成品を渡す現場に居合わせた経験から大抵の登場には冷静でいられる。というか無礼な態度で母親にお仕置きと称した地獄特訓を課せられる方の恐怖心が強かった。
「あ、違う違う。ただの川神市案内だ。武者修行だと」
「と言うと武士娘か?」
「えーっと、そうなのか?」
「いえ。一応、職人、系、です」
「む、やけに片言であるな」
「日本語、不慣れ。英語、フランス語、なら、OK」
「ふむ――。Is it easy to talk if English?(訳:英語なら話しやすいのか?)」
「ん――。It is more easy to talk to.(訳:そのほうが話しやすいわ)」
「That's good. If you try to self-digestion again. I'm Kuki Hideo. The man who will be king.(訳:そうか。ならば改めて自己紹介しよう。我は九鬼英雄。王となる男だ。)」
「......I'm Sasatani Ran.Nice to meet you.(……私は笹谷蘭よ。よろしく)」
英雄が流暢に使い、蘭は今までの片言の日本語よりも使い慣れた調子で答える。
「This is easy to talk indeed.(訳:確かにこっちが話しやすいな)」
「Yeah, it is easy to talk to.(訳:ええ、話しやすいわ)」
「Give birth. By the way what It's a craftsman?(訳:うむ。ところで何の職人なのだ?)」
「Bow craftsman. You, probably the son of a noble family of the Kuki. Nara and I'll see if you hear the Sasatani?(訳:弓職人よ。貴方、九鬼の御曹司でしょ。なら笹谷を聞けばわかるはずだけど?)」
「Oh! There was a heard of Come to think of it! This was accidentally!(訳:おお! そう言えば聞いたことがあったわ! これはうっかりしていたわ!)」
会話は盛り上がっているが、風間ファミリーは会話の内容を理解できないので半ば頭を傾げている。特にクリス、君は以前に日本愛をドイツ語ではなく英語で答えたのだからせめて理解しなさい。
英語を使って蘭と英雄は何やら盛り上がって話ていると、そこにあずみが二人の言葉に入り込む。
「英雄様、そろそろお時間が」
「む、そうか。I'm sorry to go anymore. Thanks to hear a fun story.(訳:すまぬが我はもう行く。楽しい話が聞けて感謝する)」
「I'll do not have to worry about.(訳:気にしなくていいわよ)」
「In See you also one.(訳:ならいずれまた会おう) あずみ、行くぞ」
「はい、英雄様」
「――I wonder if I ask only one thing?(訳:――ひとつだけ聞いてもいいかしら?)」
「ぬ?」
蘭は英雄を呼び止めると一言だけ口にした。
「Some things that would look back behind you?(訳:貴方の後ろに振り返ってしまう物はある?)」
やはり英語がよくわからないファミリーの面々は首をかしげるが、わかる英雄とあずみもその意図が読めずに幾ばかり呆ける。しかし英雄はそんな状態に長くいる訳ではなく、堂々と彼女への返事を伝えた。
「Absent.(訳:ない)」
自信と覚悟は込められた返事を残し、英雄はあずみと共に言ってしまった。
「相変わらずだな九鬼のやつ……」
「そうだね。笹谷さん、大丈夫だった」
「――イエ、話は楽しかたデスヨ」
「ん?」
様子を聞いた大和だったが、返ってきた蘭の言葉が先程までのものとは違っていた。まだ拙いが日本語を流暢に使っている、そんな言葉だった。
「今の言葉……」
「Yes. 先ホドの人にしゃべり方をアドバイスをもらて、実践しているだけデス」
「さっきはそんな会話を……」
「マ、ワタシの家は海外のおキャクもいますし、何より実力者と決闘をするナラ語学はいくつも必須デス」
蘭が理由と見解を行っていると端から聞いていた百代は顔を背け、そんな彼女を見ていた一子が苦笑していた。世界中の武道家と戦いと望む武神に取って今の言葉は耳に痛いものだったろう。
「あ、スミマセン。今ので時間を取てしまいマシタネ」
「気にすんなよ。じゃあ改めて川神案内に行くぞ――!!」
「おー!」
「おお――!!」
「おっ、モモ先輩元気がいいなー」
「間違いなく語学から逃避してる」
「キャップみたいにボディランゲージを貫くかもね」
そんなツッコミも百代は聞き流すのだった。