真剣で私に恋しなさい!S~弓腰少女のマジ恋!~【未編集再投稿】 作:Celtmyth
本日二度目となる『笹谷欄の驚愕の事実』から川神院をあとにして大和たち。しかしそれでショックから抜けきらない者が多い。
「スミマセン、ワタシのせいデ……」
「あいや、気にしなくていいよ。家庭の事情なんてそれぞれだから」
「ハァ……」
申し訳なさそうにする蘭であるが本人に悪気があったわけではない、法律的には問題はない。芸能人だって年の差結婚などザラだ。ただ珍しいので驚いただけだった。
「そんな歳になっても結婚できるなら年下を考えておくべきかな?」
「やめときなよガクト。言っちゃなんだけど井上と同じ目で見られるよ」
「あぁ~、さすがにロリコンはやだなぁ」
「と言うかその考えだと、年を取ってから結婚という考えになるぞ」
「ああ、そっか。だったら若いうちにしたほうがいいな」
こっちはこっちで斜め上の結論に至るところを軌道修正していた。
さて、実のところ川神院で案内が最後だった。あとは自由に歩き回るというノープランだ。
「笹谷さん。これで俺たちからの案内は終わりだけど他に見てみたい場所はある?」
「そうデスネー」
土地感がない蘭にはあまり意味がない質問かもしれなかったが何か気になった物があったという可能性を考えてだった。
その時だった。
「Got it!(訳:見つけたぞ!)」
「ん?」
「What?」
突如として彼らの目の前に現れる男。西部劇に出るようなガンマン風の格好だった。
「I early Rudd shot of Texas! Apply for one-on-one fight to the daughter of "Kyusei"!(訳:俺はテキサスの早撃ちラッド!『弓聖』の娘に一騎打ちを申し込む!)」
英語でほとんどは何を言っているのかわからない。それを理解したのは蘭だけ。しかも彼は彼女を指名していた。
「コレが川神デスカ。Sorry、ワタシの挑戦者デス」
「え、蘭ちゃんに? 私かと思ったぞ」
「……英語、やはり覚えたホウがいいデスヨ武神」
「~♪」
百代は口笛吹いて誤魔化すのだった。
さて、相手は蘭への挑戦者で、彼女にしてみれば母親の言いつけを果たせるから歓迎だ。しかし、気になることが一つ。
「Mr. Rudd, why are you know me? It has not been shed rumor(訳:ラッドさん、どうして私の事を知っているんですか? 噂を流してはいませんよ)」
「Oh, Well it's simple. "YumiKiyoshi" himself Yeah shed. And I say even hear also the whereabouts if defeat you.(訳:ああ、それなら簡単だ。『弓聖』自身が流したそうだ。そしてお前を倒せばその居場所も聞けるってこともな)
「The patronage You mother. But apparently, you are the Gunner?(訳:母に御用ですか。でも見たところ、あなたはガンナーでは?)」
「I'm certainly gunman but "YumiKiyoshi" is a pinnacle of long distance. Do you want to try challenging if you use the same missile.(訳:確かに俺はガンマンだが『弓聖』は遠距離の最高峰だ。同じ飛び道具を使うなら挑んでみたいのさ)」
「It is a noble ambition unlike appearance outlaw.(訳:アウトローな外見とは違い高潔な向上心ですね)」
「This dress's my hobby.(訳:この格好は俺の趣味だ)」
「I see.(訳:そうですか)」
事情を把握した蘭は大和の方へ向く。
「聞いてのとおり――」
「英語でわかりません!!」
「ワン子、今度英会話の授業ね」
「ぎゃー! 墓穴掘った――!!」
「とにかく決闘の場所でも紹介してくれってことじゃね?」
「え、キャップわかったの?」
「中国の武術家が決闘する雰囲気に似ているからそうに違いない!!」
「根拠はないが納得できる!」
決闘すると伝えようと思ったところなのになんか風間ファミリーは盛り上がるのだった。
さて、少し脱線はしたものの大和たちはガンマンのラッドと多馬川の河川敷に来ていた。もちろん風間ファミリーが紹介した。
「いきなり場所の案内したけどさ、お前弓はどうするんだ?」
「ああ、そうだな。弓は携帯できるものでもないし、ここは一度、島津寮に戻るのか?」
「ゴ心配なく」
弓矢を持たないことについて指摘すると蘭は自身の鞄に手を入れ、その中から折り畳まれた棒を取り出した。
「……っ! それって」
「ご名答。流石デス」
それが何かを見破ったのは京だけだった。
その様子を見て蘭が微笑むと畳まれた棒を伸ばす。それは真っ直ぐにはならずに沿った形に、そして両端には透明な糸で繋がれ、ピンッを張った状態になった。
それは誰が見ても弓だった。
「ハハと共同で制作シタ携帯式の弓デス。持ち運びに便利デス」
「でもそれだと威力や飛距離が」
「モチロン、従来ヨリ下がりマス。デモ、それを補えば充分使えマス。ソレに、ワタシは寧ろソッチのスタイルです」
「スタイル?」
「恐らく型の方だと思うよ。体のスタイルじゃないよ姉さん、ガクト」
察した大和がガチでそんな事を考えていた二人に言っておいた。
そんな間にも蘭は次にコンパクトにされていた矢筒と矢を準備する。弓兵としての姿だ。
「Do you ready?(訳:準備は出来たか?)」
「Yes, over there I'm not saying anything about weapons.(訳:はい、そっちは武器についてなにも言わないんですね)」
「That bow and arrow of Sasatani is not defective I know. At the same honorific Iran to say whether it superior. It is a partner of the duel. Can I on an equal footing.(訳:笹谷の弓矢が欠陥品ではない事は知っている。それと目上だかと言って敬語はいらん。決闘の相手だ。対等でいい)」
「...... So. So I'll keep doing so. None refrain. One after.(訳:……そう。じゃあそうしておくわ。遠慮なしで。あと一つ)」
「What?(訳:なんだ?)」
「When Sasatani is hold the bow, I'll be a heterogeneous way battle at that point. Rights to challenge to the mother Nante I distant and do in prejudice.(訳:笹谷が弓を握る時、その時点では異質な戦い方をするわ。先入観でやると母さんへの挑戦権すなんて遠いわよ)」
「...... I was OK.(訳:……了解した)」
確認を終え、互いに構える。蘭は矢を弓に番え、ラッドはホルスター近くに手を添える。
「(合図は?)」
「(いらないわ。開始は早撃ちガンマンのように自分で先手を取るようにで)」
「(いいだろう)」
最後に確認を取り、その後は静かにそれぞれ相手から目を離さない。
大和たちはその様子を黙って見守る。特に京は食い入るような視線だ。かの弓聖の娘の初決闘だ。どんな戦い方なのか興味深いのだろう。
そして動かぬ両者。先手が有利か不利か決まりはない。一見して早撃ちなら銃に分があるだろうが、それに臆しない蘭には何か勝機があるとも思わせた。
そして、先に動いたのは蘭だった。弦を引き、番えた矢を射るべく動いた。
しかしそれは弓と銃の決定的な差。いくら矢の早撃ちがあってもその構造上、引き金を引いて撃つ銃が早い。
だからこそ動きに遅れたラッドが先に銃弾を撃った。銃弾といっても実弾ではない決闘用の非殺傷仕様。ここに来るまで九鬼の従者部隊から入念にチェックを貰って使った物。この距離でも当たっても問題はない。そして早撃ちであっても照準に気は抜かず、真っ直ぐに蘭の眉間を狙った。
(とった!)
先に撃ち、狙いも一寸の狂いも乱さなかった。早撃ちは先に撃った者が勝利者となる。この時ラッドは勝利を確信していた。
しかし、銃弾は蘭に当たるか当たらないかという位置で外れた。
(!?)
思わず目を疑ったラッド。これが彼にとって不運となった。外れたなら外れたと納得し、今いる場所から動くべきだった。
その隙に、蘭は矢を射た。そしてそれはすぐに動かなかったラッドの眉間に向かい、狂いなく命中した。
「ガフッ!」
矢が命中したラッドは首が仰け反り、加えて矢の威力で意識も刈り取られ体勢が崩れ、後ろへ倒れた。
決闘は、蘭の一射による勝利だった。
「フゥゥゥゥ……」
しかし勝者の蘭は長く息をだした。冷静な顔とは違って集中は高めていたようだ。そして弓を降ろし、そのままコンパクトサイズに畳む。
その直後、彼女は素早く今の場所から退避した。
「ほぉ、やっぱりな」
蘭がいた場所にいたのは百代だった。大和たちもいつものことだがこの決闘の後のこれは驚いた。
「なんデスカ? 連戦ナラお断りデスヨ」
「いやなに。お前って京、いや天下五弓は違うタイプの弓兵だって認識しただけさ」
「どういうこと、お姉さま」
「ここ、地面を見てみるといい」
百代が地面を指差すと皆がその場所を注視する。そこは蘭の足跡があったが、弓を構えていたにしては形が変だった。あるで滑ったような跡だった。
「やはりそうでしたか」
「うん、私にも見えたけどこれを見ないことには確認できなかった」
由紀江と京はこの後を見て納得した。彼女たちは百代のように証拠なしで確信をえていなかった。しかし残りはまだどういうことなのわかっていない。
それに答えたのはここを教えた百代だった。
「相手の銃弾を避けた後だよ。素早く、しかし相手にそれを気取られないほどギリギリに。それを矢を構えた状態でやってのけ、その上で的確に射ってみせた」
「私でも場所を移動するなら矢を射ることは一旦外す。毛利のホウガンならともかく、バランスがいる弓はそうはいかない」
「つまり、どういうことなんだ?」
京も続けて説明をするがそれでもわからないと岳人が言う。なので答えをスッパリと言う。
「彼女は”移動”が長所の弓兵なの。一箇所には留まらず状況によて素早く場所を変える。その場合飛距離は関係なくなる」
「簡単に言えば、前線にも出られる単独行動が出来る弓兵なんだよ」
「なんとなくわかるような、わからないような」
「ゲームでソロプレイするアーチャーって思っておけ」
「ああ、それならわかりやすいかな」
ようやく全員が納得した。
大和は京の答えから理解して、そしてそれが異常であることも理解した。
弓兵で求められるのは命中率だが、戦場になると求められるのは数の多さによる矢の雨。京のように精密な射撃が出来るのは本当に限られている。だからこそ矢は量が一番なのだ。
もしそこに、常に移動できる弓兵がいたら? 常に生存率があり、場合によっては指揮する者を射程範囲に入れて射る事だって出来る。まさに単独行動型の弓兵だ。
この時、大和はより蘭の事を知りたいと思った。