一言で説明するならば、この作品は百合作品です。カルネさんって百合が似合いそうだなぁ~と思ったら書いていたのです。
のんびりと楽しんでいってください♪
窓からカーテン越しに入り込む朝の日差しに眠気を飛ばされ目を覚ます。
そろそろ暑くなってきたこともあって、出していたタオルケットも寝ている間に蹴飛ばしたのかもしれない。ベッドからずり落ちている。
上半身を起こせば見慣れた光景。馴染みの友人の家だ。
昨夜はその友人の家で共にお酒を飲んで一晩を明かしたので泊まらせてもらったのだった。
これも見慣れたものだ。私がこの家に泊まるのはもう何度目かも覚えていないほどなのだから。
「……おはよう、早いのね」
隣で寝ていた友人も目が覚めたのだろう。声をかけてきた。
「あぁ、おはよう。
あんたはもう少し寝ててもいいのよ?
昨日だって仕事の打ち上げの帰りだったんだし、今日は予定入ってないでしょ?」
「んふふ~、仕事について言うなら、お互い様でしょ?
それに、あなたが隣にいるのに二度寝なんて勿体無いじゃない」
「そりゃそうか。
私だって同じ気持ちになるもんな、なぁ……カルネ」
ベッドから起き上がった友人――カルネは一糸纏わぬその裸体を薄明るい室内で晒す。
白く透き通るような肌も、形の良い乳房も、張りのあるお尻も全てが芸術品とも言えるだろう。
そんな彼女の裸身を見ることが出来るのは自分だけというのがたまらなく嬉しい。
まぁ、なんだ。多少の
「いい、朝だな……」
窓から差し込む明かりを見て、それからもう一度カルネに視線を向ける。
彼女は変わらず私を見つめてくれている。挑発的に誘惑してくる牝の顔だ。
私と彼女しかいないこの部屋で、私だけに見せてくれる彼女の素顔。幾度となく肌を重ねた愛しい女性。
「それじゃ……もう一度するかい?」
「ふふ、聞くまでもないじゃない♪」
覆いかぶさるように私にもたれ掛かってきた彼女を受け止め、その唇にそっと自分の唇を重ねた。
お互いに衣服を着ていないためにお互いの距離がゼロになると、より強く鼓動を感じる。
トクン、トクンと、流れる血流。興奮しているのは私だけじゃない。彼女だって、同じ位に私の身体を求めてくれている。
白い肌を蹂躙するように指を這わせ、柔らかさを手のひらで包むように感じる。指先でつまむように弄ると少女のように可憐な反応をしてくれるのも、いつものこと。
友人という隠れ蓑を使った恋人同士の私たち。二人だけの秘め事を朝の日差しに祝福されたかのように迎える。
再び距離を無くした互いの唇は、糸を引きながら離される。甘い口づけ。そうして離れては触れ合うということをもう何度か繰り返しながら微笑みあった。
だって、私たちは愛し合っているのだから。
◆ ◆ ◆
簡単に私についての説明をしておこう。
私の名前はリンデ。職業は女優だ。
自慢じゃないが雑誌やテレビ、映画にだって引っ張りだこの今を生きる大女優と言っても過言ではないかもしれない。
幼馴染にして同じ夢を持って育ったカルネもまた女優をしている。彼女を知らない人なんて、カロス地方にはいないはずだ。
そしてそれは私自身も同じこと。私たち二人は最高の大女優、最高のライバルとして世間では評判である。
だけど、それだけじゃない。私とカルネは恋人同士なのだ。
まだ幼い頃、カルネの何気ない仕草の一つ一つにときめき、自分の心にある感情が恋心だと気がついた時には、私は彼女に告白をしていた。
彼女自身も少なからず私を思っていてくれたようだ。そこからは川が流れるように、そうであるのが当然であるかのように、付き合うようになった。
友人としてではなく、恋人同士として。
お互いの家に泊まることも珍しくない親しい間柄だ。世間にバレることはない。
何本もの映画に共演し、その全てが大ヒット。大女優と呼ばれるが、それでも関係は変わらない。
世間ってのも不思議なものね。若いうちに恋人が出来たら騒がれて、悪くすれば業界を干されるだろうに、女優としてベテランにまでなった今では、まだ結婚をしないのか? なんて質問まで飛び交うのだから。
確かにこの年にもなれば異性との結婚は良い意味でニュースとなるだろう。男の友人たちの中には私やカルネをそういう目で見てくる奴らだっている。
だけど、私たちはそんな連中は眼中にない。告白されても全てを断っている。逆恨みしてくる男もいたけれど、もはや私たちを放り出せないほどに業界は私たちの息のかかった連中が多い。返り打ちにしてやるわ。
だから男なんて要らない。敵になれば潰す。その覚悟で世間的にはお互いに独り身を演じている。
私にはカルネだけ、カルネにも私だけが恋人なのだ。
そんな私は、カルネにも隠している事実がある。
◆ ◆ ◆
ミアレシティのローズ広場。そのすぐ近くに私が設計デザインをしたカフェがある。
仕事であっちこっちの街を飛び回ることの多い私だけれど、ここミアレシティでカルネと秘め事を行うために建てた店ね。
各地に似たような場所は幾つも建てたけれど、ここは私の裏の顔とも繋がっている。
店の外観はシンプルにするつもりだったけれど、部下の提案で真っ赤に染まっている。中は落着いた感じで調度品は私の好みで統一し、私のためのカフェに相応しい内装ではあるけれど。
小ぢんまりとした店内は隠れた名店として私のファンの間でも人気の店。その秘密の通路を通って行くことで私は裏の顔を発揮する。
「リンデさん――いえ、ボス。
準備が整いました」
「ん~、ありがとね。
こっちも表の仕事が忙しかったから、なかなか来れなくてね。
いつも助かっているよ――フラダリ」
「いえいえ、それほどでもありませんよ」
秘密通路の先にある研究室。そこで執事然として立っていた男の名はフラダリ。
彼も表の顔は結構な会社の社長となるんでしょうね。ポケモントレーナーをサポートする様々なグッズを開発、研究をしている。
そんな男も、私の前では部下の一人でしかない。
「ボスのためならばこのフラダリ、身を粉にして働きます!」
「んっ、ちょっと暑苦しいから、そんなに固くならなくていいわよ。
この世界を誰にも奪い合う必要のない幸福に満たされた世界へと作り変えるという同じ目的を持った同士なのだからね」
「ですがッ! ボスに教わったこの世界の真理はわたしのこれまでの価値観が大きく崩れたのです!
破壊と再生! ボスはこれまでの常識を打ち砕き、わたしの中に革命を起こしたのです!
そうッ! その新たな世界の真理の名は『百合』ッ!!」
ん~……、フラダリとの出会いは偶然で、たまたまカルネとのちょっとばかり濃い目のスキンシップを見られたことから百合を好きだといわれて部下になるって言ってきたのよね。
なんでも世界平和だか何だか知らないけれど、人類究極の目標を大真面目に取り組んで、心が折れて、そうして私とカルネの関係に可能性を見出したのだとか。
出会ってすぐは「こいつ何言ってんの?」みたいに思っていたけれど、社会的地位はきちんとしているし、話を聞けばフレア団っていう私の理想を実現させるのにちょうど良い組織を作っているじゃないの。
だから、私は利用した。
フラダリの方も、私の在り方が世界全人類と全てのポケモンを平和で幸福な世界を創ると心酔しているもんだから特に問題なく組織のトップを横から取っちゃったのよね。
どっかりと椅子に座って現在研究中の伝説のポケモンに関する実験データに目を通していると、後ろから椅子の背もたれ越しに一人の女性が腕を絡ませてきた。
「お姉様……♪」
荒い息遣いで耳元にかかる甘い声と吐息。桃色の髪がこちらの顔を覗き込むことで、くすぐるように揺れている様子はそれだけで扇情的にも見える。
「表ではあまり親しく出来ないからって、裏の顔になった途端に抱きついてくるのはどうなの? ねぇ、パキラ」
「お姉様ったら、表でわたくしがどれほど我慢しているのか分かっているのかしら?」
「そんな必死で我慢をしているパキラの姿が見たくて表ではあまり積極的に交流をしていたいのだけれどね」
「わたくしの純情ハートに火をつけたのは後にも先にもお姉様だけ。
そんなお姉様のことを想うからこそ、表では我慢し、こうして裏の顔では愛を囁かせてもらっているの♪」
私がフレア団のトップへとなるのに、フラダリ以上の熱い支援をしてくれたのが彼女。
当初のフレア団は色々と多方面に渡って研究していたようだけれど、私が組織を取りまとめるようになってからは一つの目的にのみ集中することとなり、その目的を一番応援してくれているのが“炎の女”パキラ。
フフッ、私の心はカルネの物……と言いたいところだけれど、私はカルネの恋人であると同時に全世界の女性達の共有財産でもありたいと思っているわ。
だからこそ、フレア団は私の目的には都合が良くて、フラダリもパキラも強力してくれている。
元・組織のNo.1とNo.2が揃って敬愛する女だからこそ、私は私なの。
二人の熱い気持ちを真摯に受け止め、私だからこそ出来る世界平和を実現するのは今日。
まとめられた報告資料からは実験データはすでにまとまっており、私の理想を実現するのはすでに可能。
さぁ、世界を愛で満たしてあげるわ!
◆ ◆ ◆
樹木と繭の姿で千年の時を眠りについていた伝説のポケモン――ゼルネアスとイベンタル。
その二匹が揃って今、私の目の前にいるわ。
ここまでの実験で得てきたデータは予想を大きく上回り、それだけの力を秘めたこの二匹に私を見定めてもらうことが目的へと至る道。
過去に伝説のポケモンの力を悪用しようとした悪の組織は数多くあり、私はそれらの組織が潰れた原因が、強大な力を持つポケモンを人の手で操ろうとすることにあるのだと考えたの。
結局のところ、伝説のポケモンは人の手に余るもの。それを自由に使えるはずがない。それでもポケモンの力で世界を変えるほどの影響力を得るにはどうすれば良いか?
答えは簡単、ポケモンの方から力を貸したくなる人間が組織のトップになればいいのよ。
『イクシャア♪』
『イガレッカ♪』
そうこう考えている間に古の樹木と繭は本来の姿を取り戻す。
まさに神と言っても過言ではない圧倒的なまでの存在感を放つ伝説のポケモンが、いま私の目の前にいる。
瞳には歓喜の色が浮かんでいることから、私との対面は二匹にとって悪いものではないのでしょう。
ここからね!
「ゼルネアス、イベンタル、私は大きな目的のためにあなた達の力を欲しています。
どうか、あなた達が力を貸しても良いと思える人間か見定めてはもらえないかしら?」
一歩前に出て頭を下げ、見下すことはせず、かと言って自分を卑下することもなく、真正面から礼を持って接する。
改めて二匹と視線が合うと、少しばり気圧されてしまうけれど、自分の心は伝説のポケモンにだって劣らない。
ならば、私はただ立ってしっかりと見つめていればわかってもらえるはず。
「私はあなた達以外にも、各地の伝説のポケモン達の情報を集めてきたわ。
その中で興味を引いたのは、一般的に伝説のポケモンには性別がないというところ……。
これって生物としては不完全ってことになるでしょう?
だけど私の考えはそこで終わらなかった」
二匹は今も真剣に私の目を見てくれている。
私は語るのをやめない。
「同じように性別のないポケモンであるメタモンは、種族や性別に関わらずに卵を生み出すことが出来る。
ここから推測を広げて、あなた達も相手の性別に関係なく子孫を残せるのではないかと考えたの」
人であれポケモンであれ、あらゆる生命は繁殖能力を持っている。
植物のように性行為を必要としない繁殖方法もあるけれど、それが伝説のポケモンに当てはまるとは思えない。
「私は女だけれど、同じ女しか愛せない。
そんな私があなた達に頼みたい目的……それは、女同士でも子を為すことの出来る世界を創ること!!
あなた達だって、きっと同性愛というものが好きだからこそ、あえて性別不明のままいるのでしょう。
さぁ、性別がないからこそ、どちらの性別にもなれるであろう、あなた達だからこそ問うわ!
私の目的に力を貸してッ! この世を百合の愛に満ちた世界へ変えましょう!!」
二匹が光り輝き辺り一面が眩しくなって目を閉じた瞬間、私の持っていたモンスターボールが反応し、二匹は収まっていた。
「ふふっ、これからよろしくね♪」
ボールの中ではしゃいでいる二匹に感謝と敬意を持ち、私の目的は進められる……。
◆ ◆ ◆
そこからのフレア団の活動はより本格的となった。
組織の構成員をフル活動して百合という女性同士での恋愛を世間に広めていくことで少しずつ私のような人間も表社会に進出してきた。
なかには同性愛など汚らわしいという人もいたけれど、そうした人は闇から闇へと伝説のポケモンである二匹を用いてポケモンバトルという至って平和的な方法で解決していく。
何も乱暴なことをするのではなく、イベンタルの力で生命力を奪い、死にかけの状態にゼルネアスの力で生命力を与える。
命を奪われ、そこに新しい命を吹き込むことで、その人の価値観や心境に大きな変化をもたらす能力……それが伝説の二匹の力よ。
命を奪う力と与える力。この力のおかげで、世界中で女同士で子作りが出来るように変わっていった。
勿論、私が出て行く相手は女性に限定されるけれど、社会的地位のある女性はほとんどが百合の文化を受け入れ始めている。
だからでしょうね、噂レベルの小さなものからテレビのように大きなものまで、あらゆる情報媒体で日夜、百合についての話題が上るようになった。
これも私の信奉者でもあるフラダリとパキラの協力のおかげでもあるわね。あの二人っては、本当に私の在り方を認めて、さらに敬意を持ってくれる。良き仲間にして同士。
だけど最高の私の理解者はフレア団ではない。
女性が好きでこの世の在り方を大きく変えた私だけれど、この魂を捧げたいたった一人に伝えたい言葉がある。
伝説のポケモン達の力と、表社会にも堂々と進出し始めたフレア団の数の力により、百合が常識になった今のカロスで――今の世界で、私が百合であってもおかしいとは思われないでしょう。
だけど、その先に私は進む! さらなる百合の境地を切り開くために!!
「カルネ……あなたとは長い付き合いだけれど、これからは伴侶として一緒になってほしい。
結婚しましょう」
恋人でありながら、世間の目を気にして隠れるようにして友達ごっこをしていたカルネに私は結婚の告白をした。
それもテレビの生放送番組の最中に。
女性同士の結婚など、前代未聞かもしれないが、それでも私はこれ以上自分の気持ちに嘘をつきたくない。
カルネと結婚をするために、そのために私はカロス地方のみならず、全世界に百合という文化が当たり前であるように広めていったのだから。
頬を朱に染め、耳まで紅潮したカルネだったけれど、それでも笑顔で私を受け入れてくれた。
そのことに誰よりも安堵した私は彼女を抱きしめ、溢れ出た彼女の涙を救うと優しくキスをする。
とろけるように深く。舌を絡め、歯を舐め、唾液の一滴から漏れ出る吐息の全てを堪能するような情熱的なキスを終えると、周囲の人達からは拍手が送られた。
こうして私の野望とも言えるポケモンの協力によって得た力は世界に新たな常識を作り出してくれた。
百合という文化は伝説となり、私とカルネは未来永劫語られるであろう女性同士の夫婦としてこれからもテレビや映画で活動していくのだった。
~おわり~
さて、このお話は連載作品のつもりでカカッと書き上げたプロットがいまいちだったので修正ついでに設定から何からほぼ書き直した結果、無駄を省いて短編となりました。
まぁ、私自身が百合好きで百合が書きたかったので仕方がないですね♪
百合シーンや主人公の目的以外は無くても良かったのでまとめたらこうなりました、的なお話です。
一応、R15タグを付けてはいますが、私にしては描写がちょっと温いかもしれませんね。
この短編を元に連載作品を書くならばもう少しエロを足してR18にするなり、触手要素を出したいものです。
では、最後までお読みいただき、ありがとうございました♪