神次元ゲイムネプテューヌ 渇望のアウトサイダー【完結】   作:ジマリス

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5 ルウィーへ

「『がはははは。ルウィーの女神が貴様らを引き付けてくれたおかげで、すんなりと破壊工作ができたぞ』」

 

僕はアノネデスに手渡された紙を見た。

 

「なにこれ」

 

「コピリーちゃんに渡した文章よ。ラステイションの工場を壊しつつ、女神が現れたら読むように言ってあるの。どう?」

 

「コピリーに漢字が読めるとは思わないかな」

 

紙を丸めて、会議室の隅にあるゴミ箱へ向かって投げた。見事に入る。

 

「ああ、そうよね。失敗だったわ。まあワレチューちゃんも一緒に行ってるし大丈夫よね」

 

「つまり、七賢人とルウィーの女神がグルだと思わせるってわけだね」

 

「そ。ルウィーの女神とラステイションの女神は衝突は回避できるし、ルウィーが七賢人と繋がってるって勘違いして仲は悪いまま」

 

あくまでも今すぐの戦争を避けるための策だった。

この状態がこんがらがれば、よりひどいことになってしまう。

それは避けなければいけない。

 

『あ~やっぱりアノ姉さんの仕業ッスか』

 

僕の折り畳み式携帯端末から、アイの声が聞こえる。

 

「お、アイ。そっちはどうだった?」

 

『まあアノ姉さんの思惑通り進行してるッスね。コピリーは普通に負けたみたいッスけど』

 

偵察を任しているアイしかあちら側の現状はわからない。

しかしとりあえずは作戦通りみたいだ。

 

「まあねえ。今回のは緊急措置的な策だし…」

 

『残骸…とかどうするんッスか?』

 

「……あ…」

 

『…まあいいッス。あとでウチが回収するッスよ』

 

「いや、僕が回収するよ。アイはそのままルウィーに向かってくれるかな。今後の戦争を回避したわけじゃないし、常に最新の情報は持っておきたい」

 

『ガッテンッス!』

 

アイが通話を切ったのを確認すると、僕はその端末で情報を集めることにした。

会議室はみんな集まってきているものの、今はまだ様子見だ。

 

「ううん、ん?アブネス」

 

「どうしたの、ヤマト?」

 

気になる記事を見つけた僕は、アブネスに端末の画面を見せる。

 

「いや、これ知ってる?」

 

「なになに…『子どもたちの神隠し相次ぐ』……ってなにこれ!?」

 

アブネスが素っ頓狂な声を上げる。

 

「ちょっと前からある事件らしいんだけど、幼年幼女に詳しいアブネスなら何か知ってない?」

 

以前子供の行方不明事件があったのは覚えているが、連続で起こったのは初めて聞いた。

 

「知らないわよ!誰よこんなけしからんことやってるの!?はっ、女神ね!こんな極悪非道を働くのは女神に違いないわ!!」

 

「どんな理屈だよ……って行っちゃったか」

 

僕が止める前に、アブネスは全速力で出ていった。

 

 

                   △

 

 

 

ギリギリの戦争回避から数日後、とくに戦争が起こる気配もなく、アイは近況を知るためにルウィーへ赴いていた。

もちろんのこと、コピリーエースは女神たちに負け、そのバラバラになった身体はヤマトによって回収済みだ。

 

「ふうん。これがこの大陸最大の国家、ルウィーの街並み…興味深いですわね」

 

「き、ききき金髪おっぱいだ…」

 

落ち着いたルウィーの街並みにおおよそ似つかわしくない、露出度の高い緑のドレスを着飾っている女性に、アイは目を丸くした。

なによりもアイにはない、豊満な体の一部を揺らす姿に驚愕していた。

 

「なにか、褒められてるような違うような複雑な言葉ですわ」

 

女性はアイに気が付くと、品定めするようにじとっと見た。

 

「いやあ、失敬失敬。っとこんなことしてる場合じゃなかったッス。ブランちゃんから情報を集めないと…」

 

「ちょ、ちょっとお待ちになって!今、ブランと仰いました?」

 

「ん~?言ったッスけど…」

 

ブランの名前に焦った反応を見せる女性に、アイはすこし警戒する。

 

「あ、いえ…ほんの少し、気になりまして…どういった方なのですの?」

 

「あー、えっと。言い表すには簡単じゃないッスけど、まあ一言でいうならキレッキレッスかね」

 

「キ、キレッキレ?」

 

「お?あそこにいるのは……おーい、プルちゃーん!」

 

遠くにぜえはあと息を切らして休憩しているプルルート、ネプテューヌ、ノワールを見て、アイが手を振った。

 

「おー、アイちゃん久しぶり~」

 

アイに気付いたプルルートたちが合流する。

 

「あら、あなたもルウィーに来てたのね」

 

「まあ、観光みたいなもんッス。そっちはなんで?」

 

「なんでもなにも文句言いに来たのよ、文句!」

 

「いやあ、本当はプラネテューヌでグチグチ言ってただけなのを、変身したぷるるんにおしお……ちょっと怒られたから来たんだけどね」

 

「はは~ん?」

 

ネプテューヌの言葉を聞いて、アイがにやりと笑う。

それでルウィーに来る途中、兵士に見つかりでもしたのだろう。

息を切らしているのは、それが原因か。

そんな二人のいやみったらしい行動にも関わらず、ノワールはぷんすこ怒っていた。

 

「それにしても、偶然だね。アイちゃ……うーん、アイちゃんっていうと違う子を思い浮かべちゃうからなー…」

 

「うぇぇ…じゃあ、『篠宮』はどうッスか?ウチの苗字なんスけど」

 

「シノミヤシノミヤ…あれ?どこかで聞いたことあるような…」

 

「じゃ、シノちゃんで~」

 

「お、気に入ったッス」

 

何かを思い出そうとするネプテューヌをさしおいて、プルルートがアイのあだ名を決めた。

アイも納得したようで、にこにこと笑っている。

ネプテューヌは悩んでいたのもつかの間、まあいいかというふうに考えるのをやめた。

 

「で、隣の人は?」

 

「金髪ボインのチャンネーッス。ルウィー初めてらしいッス」

 

ノワールをアイの隣の女性を怪しい目で見た。

 

「てことは、ルウィーの人間じゃない…?」

 

「うっ……。お、お友達が見つかってよかったですわね。では、わたくしはこれで…」

 

いぶかしむノワールから逃げるように踵を返そうとする女性。

それを逃がさないようにネプテューヌが指さした。

 

「ああああああ!!ベール!ベールだーっ!」

 

「ぶーっ!?な、ななな、なぜわたくしの名前をっ!?」

 

ベールと呼ばれた女性がおもいっきり吹きだした。

 

「ネプテューヌの友達ッスか?」

 

「うん!そっかそっか!やっぱりこっちにはベールもいたんだね!うわー、久しぶりー!」

 

初対面とは思えないほどべたべたと触るネプテューヌに対し、ベールは唖然としていた。

 

「つまり、向こうの世界での知り合いなのね」

 

「こっち…?向こう…?」

 

ノワールの言葉にアイはハテナを浮かべる。

 

「ねぷちゃんはね~、実は違う次元から来たんだよ~」

 

「ナナナナンダッテー!」

 

「…あなたってネプテューヌ並みにノリがいいわよね…」

 

目を丸くしてみせたアイに、ノワールは呆れた。

実際にはアイは相当に驚いている。七賢人、細かく言えばアノネデスの情報にもなかった事実だ。

プルルートとネプテューヌが言っているだけなら、「はいはい」で終わらせていたが、ノワールが文句を言わないところを見ると本当のことらしい。

 

「あ、紹介するね。この人はベールって言って、私やノワールとおんなじでリーンボックスのめが…」

 

「わーっ!わーっ!わああああっ!!!」

 

「わ、びっくりした。どうしたの?いきなり奇声張り上げたりして」

 

イメージにそぐわない叫び声を上げるベール。

近くにいたアイは、ブランで慣れているのかすでに耳をふさいでいた。

若くして耳が遠くなるのは避けたいのである。

 

「あ、あなたが軽々しく乙女の秘密をバラそうとするから!ちょっとこちらにきなさい!」

 

ベールはネプテューヌを引きずり、焦りながらも小声で何かを話しだした。

 

「めが…ってなんなのかしら」

 

「そりゃメガドラ…」

 

「わーーーっ!!」

 

ベールと同じような叫び声をあげるノワールのそばで、アイは耳をふさいだ。

 

「わ~、ノワールちゃん耳元で怒鳴らないで~」

 

「さっきの物まねッスか?」

 

「あなたが危ないこと言いそうになるからでしょおおお!?」

 

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